勇者の行動記録   作:サトウトシオ

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<概略>
Lv.70まで鍛え、勇者ロトになるはずだった男が独り、ダイの大冒険の世界に迷い込みました。
その後の彼の物語をたんたんと書いていきます。


<第1話>

苦戦の末に大魔王ゾーマを倒した。ゾーマへの最後の一撃は魔法使いのメラゾーマだった。ゾーマを倒したあと、玉座の間が崩れ始めたところまでは記憶しているが、そのあとどれだけの時間が経過しているのか、そして今、自分がどこにいるのかわからない。仲間たちはどこへ?ゾーマと戦っていたときに身に着けていたものもなくなっている、今身に着けているのはごくごく普通の服、それに袋の中に道具として魔法の聖水と薬草、キメラの翼、携帯用保存食が入っているだけ。

 

見覚えのない景色。ここはいったい・・・どうやら街道のようだが・・・

 

しかし悩んでいても何も結論が出ない、それならば行動に移さねば。ましてや暗かった世界も明るくなっている、ゾーマを倒したことは間違いないはずだ。そう考えラダトームへ移動するためルーラを唱えた、ラダトーム王への報告、そして仲間を探すためだ。だがルーラが発動しない。ではリムルダールはどうだ?アリアハンへは?しかしルーラはやはり発動しなかった。感覚的に魔法力を消費していることはわかる、だから呪文がなくなったとかそういうことではないのかもしれない。この調子だとキメラの翼の効果もないかもしれないから試すのはよそう。念のためメラを唱え、実際に魔法が使えることを確認し歩き始めた。

 

街道を道なりに歩く。道中、ライオンヘッドやガルーダといったモンスターと遭遇した。ガルナの塔やバラモス城で戦ったモンスターだが、なぜこんなところにいるんだろうか?ますます自分がどこにいるのかわからなくなった。ただそうはいってもモンスターは問答無用に襲ってくるため戦わねばならない、こんなところでやられてしまうなんてまっぴらである。手持ちに武器が一切ないものの魔法と体術を中心に軽くあしらい、順調に歩を進める。

 

さらに3時間ほど歩いた、空はとても赤い夕焼け、今までのアレフガルドではありえない光景だったはずだ。ちょうど峠を越えたあたりで遠くに城が見えてきた、街道のマイルストーンを除けば目が覚めてから初めての人工物である。遠くではあるものの少し安堵する。今のペースで歩き続けると到着までおよそ1日といった距離か。ただ見覚えのない城だ、少なくともこれまでの旅で知り得た情報で、こんな城や街、国家のことなんて聞いたことはない。

そう疑問に思いながらも野宿に適した場所を探すためさらに10分ほど歩みを続けると、遠目にその城から煙が複数立ち昇るのが見えた。火事?いやしかし火事で煙が複数というのはおかしいのではないか?モンスターの襲撃か?だが駆けつけるにしても城へは歩いて1日かかる、夜を徹して歩いても到着はおそらく明朝。しばらく判断に迷ったが、夜を徹して歩くことに決めた。

すでに日は暮れ始めている、夜間の移動は危険だがこの際しかたあるまい。袋の中に入っていた燻製肉を食し、ただひたすら街道を歩く。途中、体力回復のため2時間ほど仮眠し、さらに歩き続ける。夜明け前、薄明かりの中、城から逃げてきたと思われる5名ほどの町民と遭遇する。ケガやヤケドがひどいためホイミで治療した。体力が多い戦闘者ではないためホイミでじゅうぶんに回復できる。彼らの弁によるとやはりモンスターが攻めてきたというので間違いないようだ。またここから城まではおよそ2時間程度とのこと。歩き続けで疲れているが、歩を早めた。

 


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