すぐに1話目も投稿しますので少々お待ちください。
序幕の物語
「……暇すぎる」
アルジュナに討たれ座に来たのはいい。いや、元一般人としてはかなりビビったけど。
「座」は英雄が来るところ、というのをどういう仕組みか知らないがなんとなく理解した私は大人しく兄と弟が来るのを待っているのだが……。
「いくらなんでも遅すぎじゃないですか」
座には時間の感覚がないから正確にどれくらいたったとかは知らんけど流石に遅い……と私は感じる。
え、一人称? どうやら座に来た時間が「俺」が生きてきた年齢を越したようで体の性別に引きずられたらしい。
単純に「私」っていう一人称に慣れすぎたってのもある。
いや、それはどうでもいいんだ。
ここずっと太陽昇ったまんまだからどれくらい過ぎてんのかマジでわからないし、景色だってある程度進んだらまたここに戻ってくるしで退屈なんてレベルじゃない。
時間の概念がないからそんな暇じゃないんじゃないって思うだろ? 時間の概念がない=ずっとこのままだから地味にストレスたまるよこれ。
退屈すぎて、目指せ☆石切り百回越えにチャレンジをはじめるくらいだ。
「というか、ここまで誰1人として遭遇しないとなると、私もしかして嫌われてるのでは……」
おこ? おこなの? 流石のカルナも薬盛った挙句に槍まで勝手に持ってかれて怒っちゃった?
もしくは神様勢がキレた? 「女のくせに戦場に出るなんて生意気!」みたいな感じで。んで……えー、父上、も怒っちゃったとか。
……あれ。私もしかして勘当された?
「うそー……」
せめて一言ほしい。流石に放置はつらい。まあ、生前普通に内心で神々(っていうかインドラとクリシュナの野郎)に対して散々暴言吐きまくってたし、仕方ないか。……いや。やっぱり絶縁宣言はしてくれ。そうしたら踏ん切りつくから……たぶん。
…………軽く言ってみるものの、やっぱりショックだ。いや、まだ勘当されたとは限らないけどさ。もしカルナに嫌われてたら……うん。自分でもどうなるかわからねえ。
重くなった心を抱えて石切り千回チャレンジしようとした時だった。
ドォオン!!
「!?」
突然の揺れに思わず構える。
うっそだろ!? 今まで太陽すら微動だにせず風すら吹かなかったこの場所に変化が起きただと!?
「って、なんだあれ」
視線の先には、何もない空間に入った亀裂。
恐る恐る近づいてみる。
――……に、銀……つ
「ん?」
――降り立……を。……閉じ、……り出で
所々、いや大部分が聞こえないが声が……詠唱が進むごとに自分の顔が期待に満ちていくのが分かる。
――間違いない、これ、サーヴァントを召喚するための呪文……!
今まで何の変化もなかった座に、なんで突然呼びかける声が聞こえてきたのかはわからない。というか、サーヴァントがどういうものかも正直分かってない。なんか聖杯戦争ってのに呼び出されるってことくらいしか知らない。
が、正直このなにもない状況から抜け出せるのならなんだっていい!!
「よし、早速……い゛っ!?」
入口だろう亀裂に手を伸ばすと、突然衝撃が走ってはじかれてしまった。
ちょ、なにこれ結界か!? 召喚にも応えるなってか!?
しかし、何度でもいうが、この状況を打破できるのなら何でもいい。
「
生前、共に戦場を駆け抜けた戦車を召喚する。
……これ兄に与えられたもののはずなのになんで私のところにあるんだ?
まあいい。いつか機会があったら返そう。
――まずはこの妙な結界をぶっ壊す!!
何をやっても変化一つなかった座に、突然召喚の声が聞こえるようになったってことはこの妙な結界が破れかかってるということだ。いつから張られてたのかは知らんが。
「
戦車を一度後退させ、本来飛び道具として放出させる魔力を戦車全体に纏わせる。
「―――
手綱を操って一気に加速させ、亀裂に向かって突撃する。
誰が張ったのか滅茶苦茶強力な結界だが、そのままぶつかり続ける。
そして
パアンッ!
結界が弾け飛び、わずかな亀裂が入口へ変わる。
「よっしゃぁ、見たか!!」
ついつい素が出てきてしまったが、気にせずに戦車から飛び降りる。
そのまま入口へと飛び込んだ。
誰も来ないのでネガティブになりかけてる主人公。
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