皆さん風邪はひいてませんか? もちをのどに詰まらせないように気を付けてください。
この小説を書き始めた時はまさかこんな大勢の人が読んでくれるとは思いませんでした。
さすがインド兄弟。
皆さんの感想にはいつも励まされ、モチベーションを上げさせてもらっています。
今年から私生活が忙しくなるので月一更新も難しくなるかもしれませんが精いっぱい努力します。
FGOマテⅢも出て公式との違いも出てくると思いますが、この小説のはそういう設定なんだな、という生暖かい目でお願いします!
今年もよろしくお願いします。
最後に一つ。
スラクシャ全然出てこなくてすいません!!
なんか固いな……。
「先輩、先輩……! 良かった、起きました!」
「マシュ、一体……?」
起きて周りを見渡して……びっくりした。固いはずだ、オレを荷物担ぎ(仰向け)みたいな体勢で運んでいるのは機械化兵士だった。まあ、マシュやナイチンゲールに抱えてもらう訳にもいかないか。
「宝具の一撃をあなたのサーヴァントが防ぎました。が、その余波だけで全員が見事に失神」
宝具……。あー、【
「あら、起きたのね~。今、あなたたちは輸送中。逃げたいなら逃げてもいいけど……」
「すいません、降ろしてもらっていい?」
「あ」
~しばらくお待ちください~
「大丈夫ですか、先輩」
「うん、もう大丈夫」
ようやく気持ち悪さが収まってきた。どれくらいの時間運ばれてたのかは分からないけど、頭ずっと下げっぱなしは酷いと思う。
マシュが差し出してくれた水を飲みながら相手の様子をうかがう。うん、逃げるのは無理だ。機械化兵士たちが周りをガッチリ固めているし、サーヴァントが二体。しかも、その内の一体は色んな意味で相手がし辛い。
インドの叙事詩、マハーバーラタを原典とする大英雄カルナ。スラクシャの兄。
本当に、なんでこのタイミングで出会っちゃったかなあ……。
「先輩、あの……」
「今は黙っておこう。スラ……ライダーと合流して意見を聞いてからだ」
彼女に見つからないようにマハーバーラタをざっと読んでみたことがあるけど……あれはひどかった。
この特異点にレイシフトする前に見たあの夢から考えても、スラクシャのことは完っ全に地雷だろうし、他人が口を出す事でもない。当事者が揃うまではお口チャックだ。
「もういいかしら? さあ、行くわよ」
「何が目的なんだ?」
「まず、こちらの王様に会ってもらうわ。その上で、どちらの味方になるか決めなさい。そっちのサーヴァント二人は味方にならないだろうけど、貴方を説得できれば話は別でしょ」
む……。確かにナイチンゲールはともかく、マシュはオレが彼らに付くと言えばついてきそうだ。ナイチンゲールはともかく。
「……あの、レディ・ブラヴァツキー。どうして、そこまで“王様”という方に肩入れするのですか?」
「レディ! いいわね、あなた、とてもいい。礼節ってものをわかってる!」
マシュの態度に気をよくしたエレナが王様に肩入れする理由を答えてくれる。
彼、とは生前に因縁があったとか。肩入れするんだから悪い事ではないんだろう、友人とかかな。
「そもそも東部を支配しているケルトは、ケルト人以外を認めないからね」
降伏しても殺されるか、生贄にされるかじゃないか、という彼女をよそに顔が引きつるのがわかった。
ケルト! てことはランサーとランサーとキャスターとセイバーとランサーとらんさ……ランサー多い!
ロマン曰く「頭のネジが吹っ飛んだ天然バーサーカー」。酷い言いようだけど、その通りだから仕方がない。
《うわあ、これは面倒くさいことになって来たぞ……。せめて彼女がいればなあ……》
カルデアにいるケルト組がスラクシャにセクハラ発言をして言い負かされ、セクハラをして投げ飛ばされていたのは最近の話だ。
「? なにいまの魔力波? もしかしてもうひとりいる? もしかしてグラハム・ベルでもいるの? でもあんなのいたら、王様、今度こそ本気でキレちゃうしなぁ……」
ベルって、電話を発明した人だったような気がする。そんな人にキレるって、王様ってどんな人なんだろう。
《挨拶が遅れたねブラヴァツキー女史。僕は彼らのナビゲーターだ。Dr.ロマンと覚えておきたまえ。いずれ縁ができるかもしれないし》
「うわあ……聞くだけで軽率な男とわかる声ね。ろくなコトしてないでしょ、あなた」
《なんでみんなファーストコンタクトでボクをディスるんだい!?》
そういう雰囲気を出しているからじゃないかな?
エレナに「私たち」とは結局なんなのかを聞いたが、黙っていた方が面白いとはぐらかされてしまった。
途中でエネミーに襲われたりした以外は概ね何事もなかった。どうせ倒さなければならないから手伝ったけど……カルナいるよね? オレたち必要だったかなあ。
そうして――
「さ、到着」
「……アメリカにあるまじき城塞ですね」
「ホワイトハウスは奪われちゃったし、仕方ないのよ。城は一から作ったわ」
これを一から……!? やっぱり機械化兵士たちにさせたのかな。
「ブラヴァツキー夫人、カルナ様。大統王がお待ちかねです、すぐにおいでください」
つい癖でカルナに目線を向けてしまった。勿論、意味が通じるわけもなく、彼は首を傾げたけど。
その仕草は余りにもスラクシャにそっくりだった。色合いとか身長が違わなければ、うっかり間違えてしまったかもしれない。
それにしても大統王って……すごいネーミングだ。
「さ、ついてきて。王様、ああ見えて気が短いから」
「……この先に、あなたの雇い主がいるのですね?」
そういって腰の銃に手を掛けるナイチンゲール……って待って待って! 戦闘態勢待ったなし!?
「待て、それは悪手だナイチンゲール。もうしばらくその撃鉄は休ませてやれ。世界の兵士を癒そうと言うのなら、病巣を把握しろ。それとも、おまえも短絡的なのか?」
……これは止めてるんだよね? 煽ってるわけではないんだよね。スラクシャの言う「一言多くて、一言足りない」ってこういう事か。付け加えるなら言葉のチョイスも悪い気がする。
ともかくカルナの説得によってナイチンゲールは銃を収め、オレたちは王様とやらに拝謁することになった。
「連れてきたわよ、王様~」
「了解しました。大統王閣下がご到着されるまで、あと一分です」
「……緊張してきましたね、先輩。いったいどんな王様なんでしょうか……」
緊張するマシュには悪いけど、なんだろう、微妙に嫌な予感がする。これは、そう。サンタオルタと会った時のような……。
《新しいサーヴァント反応が近づいてきているけど、これがどうも奇妙というか……。うーん……これ、本当に英霊なのかなあ?》
「奇妙……ですか。ドクター、それは一体どんな風に?」
《いや、憶測でキミたちに先入観は与えたくない。ともかく、すべては本人と面会してからだ》
まあ、百聞は一見にしかずというしね。
それからすぐに機械化兵士が大統王の到着を告げる。
「おおおおおおおおお! ついにあの天使と対面する時が来たのだな! この瞬間をどれほど焦がれた事か!」
――ビリビリと体が震えるような大声が轟いた。
「……はあ。歩きながらの独り言は治らないのよねぇ。独り言はもう少し小声でやってくれないものかしら」
「今の独り言なの!?」
「す、すごいです先輩……! 人間の限界を超えています!」
そして扉が開く。そこに立っていたのは、筋骨隆々のスーパーマンのような服を着た、何故か胸に大砲、肩にランプをつけている――
「――率直に言って大儀である! みんな、はじめまして、おめでとう!」
――獅子の頭をしたなにか。
「……」
「……」
「……」
《あれー? モニターの故障かなー? クリーチャーしか映ってないぞぅー?》
全員が、ナイチンゲールですら絶句した。ロマンは現実から逃げることを選んだ。
いや、だって、これ。えぇ?
「もう一度言おう! 諸君、大儀である、と!」
「ね、驚いたでしょ。ね、ね、ね?」
ものすごく楽しそうなエレナは百パー確信犯だ。面白そうって、此れの事か!
「……それはまあ、驚くだろうな」
目を逸らしながら困った顔をするカルナは、彼もさすがに初見はビックリしただろうことが察せられた。
これはまあ、誰だってビックリする。
「あの……あなたがアメリカ西部を支配する王様……なのですね?」
「いかにもその通り。我こそはあの野蛮なるケルトを粉砕する役割を背負った、このアメリカを総べる王――」
「サーヴァントにしてサーヴァントを養うジェントルマン! 大統王、トーマス・アルバ・エジソンである!!」
…………。
「え!?」
《じ!?》
「ソンな馬鹿な!?」
なんでさーーーーー!!
皆さん終章クリアしましたか? 私は号泣しました。これからクリスマスが待ち遠しいとともに心苦しい日となってしまいました。おのれ運営、最高のストーリーでしたよ!!
まだ5章も終わっていないのに気が早いのですが、終章を書くかどうか悩んでいます。
おおまかな内容は浮かんでいますが、やっぱりあのシーンこのシーンは実際にプレイしてほしい気もしますし。
もし書くとしたらまた6章、7章すっ飛ばして終章いきそうですし。
まあ5章も終わりに近づいてから考えることにします。
あ。番外のほうにも正月ネタを投稿しましたので良ければ見てください。
誤字脱字、感想ありましたらお願いします。