Fate/Grand Mahabharata   作:ましまし

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メリークリスマス! 3話です! やっぱりぐだ男視点。いつになったらスラクシャの視点に移れるんでしょうか。彼女の視点は完全オリジナルになるのでもうしばらくお待ちを。

ではどうぞ!


story:第5特異点 イ・プルーリバス・ウナム3

 ナイチンゲールがドクター・ラッシュさんに患者に対する対処法を伝えている。

 

 パァン!

 

 ……患者に対する、対処法を、教えている。

 

「あの……今、銃を撃ちませんでしたか?」

「気のせいです、行きましょう」

「いや、気のせいじゃないよね。今、思いっきり撃ってたよね?」

「峰打ちです」

「銃に峰打ちなんてあるの!?」

 

 銃で峰打ちって……どうやってするんだ。

 

「おそらく……グリップの底で、こう、優しく脳震盪を起こすのではないでしょうか?」

 

 なるほど。それは峰打ち……かな? 撃つのに比べたら峰打ちだけど、でも銃声してたような……。

 

「失礼。治療現場でに私語は控えるように。行きましょう」

「「あ、はい」」

 

 

「お待ちなさいなフローレンス。何処に行くつもりなの?」

 

 

 パッと後ろを振り向くと、ラベンダー色の髪に大きな本を持った女性。そしてその後ろに控えるバベッジ、基、機械化兵士。

 ナイチンゲールに戻るように言う彼女は実力行使も辞さないようだ。

 

「バーサーカーのあなたに行かせる訳にはいかないでしょ。戦線が混乱したらどうするのよ。王様は認めないわよ、絶対に」

 

 王様? アメリカに王様何ていたっけ。そして彼女の言い分にちょっと納得してしまった自分が悔しい。

 

「……王様? そんな人物に私を止める権利などありません。より効果的な根幹治療の提示があるのなら別ですが」

「うわお、やっぱりバーサーカーは話通じないわねえ。どうしたものかしら」

 

 

「これまで何度も思想的に衝突してきたし、いい機会だから片付けてしまおうかしら?」

「……その発想はエレガントではありませんが、同感です。この先の無駄話が省けます」

 

 

 ……可笑しい。二人の間に火花が散って、いやブリザードが吹き荒れているのが見える。

 

《なんで行動的な女性サーヴァントが揃うと、こう修羅場っぽくなっちゃうんだ!?》

 

 それは違うよロマン。スラクシャはかなりアグレッシブな女性サーヴァントだけど修羅場になったことは……。

 …………本当の意味で修羅場になったことはあったや。血塗れ的な意味で。

 

 まあとりあえず。

 

「マシュ、仲介をお願い」

「了解です! お、お話中、失礼しますっ!」

 

 頑張れマシュ。女性同士の修羅場に男が首を突っ込んではいけないってエミヤに何回も言われてるんだ。

 

「あなたも? って……まあ! サーヴァントがこんなに! よくってよ! ケルトの連中を撃退したと聞いて、まーたフローレンスが一人で暴れたのかと思ったけど……」

 

 またってことは、何度もやってるんですねナイチンゲールさん。

 

「どうやらそうでもなかったようね。これは王様にとってグッドニュースかしら?」

「王……?」

 

 彼女によると今のアメリカは二つに分離し内戦中らしい。

 一方はさっきの戦士たち、もう一方が「王様」率いるアメリカ西部合衆国。この西側が彼女たちの陣営らしい。

 

 そんな彼女の真名はエレナ・ブラヴァツキー。ロマンによると、魔術協会とは余り関わらず、独自のスタンス、独自の力だけで神秘学を編纂した才女らしい。

 

「しかし、サーヴァントとしてここにいるという事は、魔術協会側のエージェントだったりするのかい?」

「無いわよ。この世界には。そもそもアメリカ以外の主要国家は全て滅んでいるし」

 

 アメリカ以外は全てって……。新たな特異点が見つかるたびに被害が大きくなっているような気がしてたけど。

 

「それにしても、誰に仕えているの?」

「あら、あなたが此度のマスターなのね。でも残念。あたしたちは既にあるじを定めているの」

 

 それがさっきから話題に出ている王様。彼が世界を制覇すればこの特異点は、何処の次元からも分離した大陸となり、彷徨い続けるらしい。

 

「英霊の座みたいなものよ。これはこれで、救いがある結末だと思わない?」

「――そんなもの、治療とは認めません。悪い部分を切断してそれで済まそうなど、言語道断です」

「……まあ、あなたはそういうと思ったけど。そちらはどうかしら?」

 

 

 

 ――――座に召し上げられてから、今の今まで誰にもあったことがなかったもので――――

 

 ――――隔離された英霊か。人理を焼却した影響でようやく座から脱出できたのか――――

 

 

 

 ……もしエレナが言うようにここが英霊の座のようになったら、此処に居る英霊たちはどうなるんだろう?

 まあどんなふうになるにしろ、

 

「ノー、マム!」

 

 オレたちは聖杯を回収しにて特異点を元通りにしに来たんだから、そんな結末却下だ。

 

「マムって何よ、マムって。……コホン。じゃあ、あなたたちはフローレンスを連れてどこへ行くの?」

「……この世界の崩壊を防ぐために、その原因を取り除くつもりです」

「そう。それじゃ、あなたたちはあたしの敵ということになるかしら」

 

 まあ、やっぱりそうなるよね。

 今回は味方側についてくれるサーヴァントがナイチンゲールしかいないようだ。

 

「話は終わりましたね。では出発しましょう、玲。一刻も早く、一秒でも早く、この戦争を治療するのです」

 

 コミュニケーションはギリギリだけどまあ大丈夫だろう!

 

「玲君! ナイチンゲールと一緒に、そこから脱出だ!」

「わかった! マシュ、ナイチンゲール!」

「は、はい!」

 

 二人と一緒にエレナとは反対の方向へ向かって駆け出す。

 

「あーあ、仕方ないか。こちらも虎の子を呼び出さないといけないわ。機械化歩兵、前に出なさい!」

「うわっ!?」

 

 エレナが声を上げると、今まで微動だにしなかった機械化兵士たちがオレたちの進行方向に立ちふさがった。

 

「先ほどの量産型バベッジさん……!」

「あら、ミスタ・バベッジに遭遇したの?」

 

 バベッジの知り合い? そういえば年代が被ってるな。生前からの知り合いなのかな。

 

「でも、こちらは敗北などしないわ。だって王様が張り切って滅茶苦茶にしたんだもーん!」

「め、滅茶苦茶?」

 

 滅茶苦茶に、なに。砲弾と榴弾を撃てるようにしたの?

 

 バベッジは宝具と聖杯を使って分身を生み出したが、この機械化兵士たちは科学の力で大量生産した兵士らしい。

 

「……まあ、王様の言葉を借りて言うと「蒸気より電気の方が良いに決まっているだろ、馬鹿者」ね!」

「で、電動式……!?」

 

 電動……! ううっ、ここでつい興奮してしまうのは男子ならわかるはず。憧れるもんね!

 

「せ、先輩の目が輝いています」

《男の子だからね》

 

 

 

 幾ら大量生産されているとは言っても、ここは一応彼らの陣地内。派手に暴れるわけにもいかず、割と簡単に倒すことができた。

 

「蒸気であれ電気であれ、壊せば倒せます!」

「明白な事実ねー。でも、これで終わりっと。じゃ、カルナ! ちゃっちゃとやっちゃってー!」

 

 ……………………………なんだって?

 

「え……。あの、すいません。今、何と……?」

 

 

「……出番か。心得た」

 

 

 待って待って、嘘だろ。何でよりによって――

 

《わ!? いきなりサーヴァント反応だ! 君たちの直上! 強引に転移させるなんて、令呪なのか!? しかもこの何処かで見たような霊基数値と魔力反応はまさか――!》

カルナ(・・・)って、そんな……!?」

「……………」

 

 なんでスラクシャがいないこのタイミングで!?

 

「悪いけど、捕まえちゃってくれないかしらー? 一応ほら、敵に回るみたいだし」

「その不誠実な憶測に従おう。異邦からの客人よ、手荒い歓迎だが悪く思うな。――【梵天よ、地を覆え(ブラフマーストラ)】!」

 

 撤退……、無理だ、何度も見たからよく知ってる、速い!

 

 

 ドォオン!!

 

 

 

 

 

 

 

「…………!?」

「あの、どうかしましたか……?」

「いえ、大丈夫です」

 

 何だ今の。懐かしいような……それでいてなんかやっちまったような、覚えのある感覚が……。




それにしても魔神柱あっけなかったですね。寝て起きたら既に倒れてるという。そしてハルファスのではインド兄弟にテンション上がりすぎて奇声が出ました。

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