来禅高校のとある女子高生の日記   作:笹案

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今回はグロ注意とヤンデレ要素、そして原作キャラ死亡描写があります。
苦手な方は注意をお願いします。



幕間


 

 

駄目だから。

■■くんは助けないと駄目だから。

じゃあ彼女は?

それは■けなくてもいい。■にとって一番■■なのは彼だから。

じゃあ、あそこの■面に■がっているアノ■は?

それも■■ない。だから■く……!■■■かないと……!

 

 

 

 

 

何で、何で、何で……!

私に必要なのは彼だけ。彼だけ居ればいいの。

なのに何で彼は私を見てくれないの!?

可笑しい!おかしい!オカシイ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はどこかの屋上で目を醒ました。

ここには、五河君も居て……

五河君?何で五河君は泣いているの?

 

『……で、………てる?』

「誰なんだ!?違う、お前は違う!!

頼む……京乃を、あいつらを返してくれ!!」

 

焦点が定まっていない目で彼は私を、私ではない誰かを見つめる。

京乃って私だよね?それにあいつらって誰の事?

 

 

……頭がイタイ。

私はナニカ、ワすレテいる?

私は……。私ハ彼を助けるたメに動いタ。

彼ヲ助ける為だケにあノ力を奮ッタ。

だから彼イ外は……

私は、周りを見渡しタ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辺りには今までに気づかなかったのが不思議な位におびただしい量の血で溢れかえっていて、とても濃密な鉄の臭いにむせ返りそうになる。

その血のもとには何があるのか……

私は恐る恐る血の中を歩いた。

そして暫く歩くと何かに(つまづ)いて転びそうになった。

そしてその“何か”を、見てみると━━

 

 

 

 

それは、十香ちゃんの顔だった。

あんなにもいつも楽しそうに笑っていた顔は血塗れで、グチャグチャで原型も無くなっていた。

それなのにそれが彼女のものだと分かったのは闇色の綺麗な髪と、いつもつけている赤いリボンがあったからだ。

それがなかったら、私はそれが十香ちゃんだと気付くことは出来なかっただろう。

 

『……ッ!』

 

怖くなって後ずさると、また、何か柔らかいものが足に当たる。

それは、折紙ちゃんの頭だった。

赤い血に混じって見える白い髪は間違いなく、毎日見ていた彼女の髪だ。

顔にはあまり傷は見あたらないが、死に面した時に何もわからなかったのであろう顔には“どうして”と書いてある。

その身体には、私の握りこぶしくらいの大きさの穴が両手に収まらないくらいにあり……

 

『……』

 

この光景に耐え切れなくなり、逃げ出そうとした時、私は見てしまった。

まるで子供に興味本位でバラバラにされた虫のように頭と両手、両足が切断されて、何度も何度も執拗に斬り刻まれたのであろう時崎狂三の姿を。

そして、この惨劇を作り出してしまったのは……

 

『……違う。違う違う違う……っ!!私はこんなつもりじゃ……!』

 

頭を抱えてしゃがみこむ。

こんなんじゃ、こんな筈じゃなかった。

違う、嫌だ、何で……。

そんな事を思い時間が経った頃、私は立ち上がってふらふらとフェンスの方へ歩いていき、それを乗り越えて躊躇いもなく屋上から飛び降りる。

数秒間の浮遊感の後、自分の体に激痛が奔り、地面に赤いものが広がった。骨が折れる音がした。

しかし死なない。

鏖殺公(サンダルフォン)を顕現させ、迷いなく自分の胸に突き刺した。

しかし死なない。死ねない。

 

━━数秒後には不思議な青い炎が自分の傷を癒すからだ。

 

『あ、ああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!』

 

私は慟哭して胸に鏖殺公を突き刺す。何度も何度も何度も……!

何で私は死なない?

何で?何で十香ちゃんや折紙ちゃんは死んじゃったのに私は死なない?

こんなの可笑しい。

誰か……私を殺して……

 

 

 

そんな私の願いを聞いたのか、十香ちゃんや折紙ちゃんが笑いながら返事をする声がしたような気がする。

……幻聴かな?それならそれでいいや。

もう疲れた。

 

 

次第に訪れる頭への鈍い痛み。

その痛みに、だんだん意識は闇に呑まれていって…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━っ!!」

 

見慣れた部屋の中、京乃は目を覚ました。

 

とてつもないレベルの悪夢を見た。

自分が体験してきたかのようなそれが、正夢のようなそれが、ただの悪夢とは思えずに、茫然としながら寝間着のポケットの中身をぎゅっと握りしめた。

だけど大丈夫、大丈夫だあれもまた、ただの夢なんだと気持ちを落ち着かせ、ベットから降りる。

目覚まし時計を見てみたらまだ朝の6時だった。

今日は学校だが今から行くには流石に早すぎだろうし、二度寝をしてしまえばまた先程の悪夢を見てしまいそうで恐ろしい。

じっとりと汗ばんだ肌に服が張り付くのに不快だし、まずは汗を流そうか。

そうすれば、少しは気分も落ち着くかもしれない。

そう判断した京乃は、冷や汗を流す為にシャワーを浴びることにした。

 

 

 

 

 

シャワーを浴びたらすぐに学校に行けるようにと制服に着替えたが、まだまだ時間はたくさんある。

だから京乃は朝食を食べたり、学校から出されていた課題をこなしたりして時間を潰した。

課題の期限までは時間があるのだがなにぶん暇だし、もしかしたら分からない問題があって士道が自分を頼ってくれるかもしれないなどと思ったりしながら、課題を淡々と進めていく。

そしてその課題も終わり、気がついたらいつも家を出るくらいの時間になっていた。

もうそろそろ学校に行った方がいいか、なんて事を思いながら洗面所の前で身支度の最終チェックをする。

服はオッケー。髪もちゃんとドライヤーで乾かしてとかした。

問題は顔は自分の顔だけだが、まあ、それはどうしようもない。生まれつきのものはどうも出来ない。

そう苦笑いして立ち上がると、学校へ行く為に玄関から出ていった。

今日も大好きな士道に会って、彼の楽しそうな姿を見るんだ、なんて事を思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ小話

 

「京乃ちゃん、いいよなぁ……」

 

朝のホームルームが始まる前の教室の中で、他愛もない会話をしてた殿町が突然鼻の下を伸ばしてそう言ったのを見て、俺は思わず距離を取った。

 

「なんだ殿町、今日は一段と気色悪いな」

「親友に対してその態度酷くね!

殿町さんは五河君の人間性を疑いますよ」

「何キャラだよ」

 

呆れながら殿町を見るが、あいつはそれを意にも介さぬようでニヤニヤと笑った。

殿町は俺と中学は違うものの、高校に入ってからは二年間同じクラスだ。

竹馬の友ではないものの、仲の良い友達だし気軽に悪態をつきあえるやつだと思っている。

……少し、いやかなり気持ち悪いところがあるやつだが、悪いやつではないのは確かだ。

 

俺がそんな事を考えているとはつゆほども思っていないであろう殿町は、笑いながら観月について話している。

 

「京乃ちゃんは、去年の『恋人にしたい女子ランキング・ベスト13』で4位なんだぜ」

「……ああ、4月に言っていたランキングか?」

 

確か、『恋人にしたい女子ランキング・ベスト13』や『恋人にしたい男子ランキング・ベスト358』やらを開催してるらしいというのは4月に殿町の口から聞いたというのを覚えている。

確か鳶一が3位だったんだよな。

 

「しかも京乃ちゃんは“守ってあげたい女子トップ161”のランキングでも見事1位という素晴らしい成績だかんな!」

「そうか」

「反応うすっ!」

 

あまり興味のない話題を聞き流していたらそんな事を言われ、仕方なく何か反応を返してやろうと考える。

 

「えっ、そうだな……今回の主催者も順位低いな、殿町よりは順位上だが」

「ああ、主催者はどちらかというと守ってもらいたい女子側に位置するらしい……って誰の順位が低いって!?」

「いやお前だよ」

 

『恋人にしたい男子ランキング・ベスト358』で358位の殿町以外に誰がいるのか。

ちなみに何故か俺には匿名から2票入っていたらしく32位という順位だったらしい。

中々の高順位に驚きを隠せなかったのを覚えているが、選ばれなかった理由は惨憺(さんたん)たるものであったのだからあまり喜べない。

そして蛇足ではあるが殿町と俺は『腐女子が選んだ校内ベストカップル』では見事2位らしい。凄く要らない情報を耳にしてしまった。

 

そんな事を考えていると、教室に観月が入ってきたのが見えた。

 

「おっ、噂をすればなんとやら。

京乃ちゃーん!おはよー!」

 

殿町が声をかけて観月に向けて手を振ると、観月はビクりと肩を震わせてから辺りを見渡し、声を発しているのが殿町であることに気がつくと駆け足で近寄ってきた。

 

「えっと……その……」

 

視線を泳がせながら言葉を探している様子の観月だったが、少し経つと何かを決心したように両手の拳を握って口を開いた。

 

「お、おはようございます殿村君!」

「惜しいなー殿村じゃなくて殿町ですよ京乃ちゃん!」

「は、はいすみません……」

 

申し訳なさそうな表情を浮かべて頭を深々と下げる観月を見て、殿町は笑って口を開く。

 

「気にしてないから大丈夫だよ!

それに俺のことは名字じゃなくてニックネームとかで呼んでくれてもいいんだよ京乃ちゃん!」

「は、はあ」

 

詰め寄る殿町に対して少し辟易(へきえき)としている様子の観月を見て、俺は二人の間に割って入る。

 

「おい殿町、観月嫌がってんだろ」

「……!?おお、おはようございます五河君……!」

「おはよ……う……」

 

今しがた俺の存在に気が付きましたと言わんばかりの様子の観月に挨拶をしようとしたが、言い終える前に観月は深々と頭を下げて急ぎ足で自分の席へと向かったので俺の挨拶の最後の方の声は消え入るようになってしまい、それを見た殿町に笑って小突かれた。

 

「五河逃げられてやんの〜!」

「うわ、うっぜ」

 

少しげんなりとしながら殿町に返事を返す。

観月とは俺の家に料理を教わりに来るときにはそれなりに話すこともあるが、学校内でとなるとあまり話さない。

いや、話さないというか話せない。

話しかけようとするとやはり先程のように逃げられる事が大半なのだ。

家でのことだって基本的には料理に関することであって他の世間話なんかはあまりしない。

好きな人に美味しいと言われるような料理を作りたいと言っていた観月のことだ。

きっと観月が俺を頼るのも近くに料理を手伝ってくれるような人が俺以外にいなかったからだろう。

 

俺がそう思っていると、殿町は自分の言葉で俺が落ち込んだとでも思ったのか、まあまあとフォローするように口を開いた。

 

「でもほら、京乃ちゃんやっぱり前よりもとっつきやすくなったって」

「まあ、確かにな」

 

それは最近思うようになった。

最近はたまに鳶一とも何か話すようになったようだし、俺の家の中だけの事だが十香とも話すようになったようだ。

それを見て何か心の中が暖かくなるのを感じるのだ。

これは……雛鳥を見守る親鳥のような気持ちだろうか?

どちらかというと見守ってあげたいという感じではあるが、確かに守ってやりたいと思っているのかもしれない。

 

「……それで、殿町は観月と付き合いたいと?」

「五河……お前、鳶一さんや十香ちゃんだけでは飽き足らず、京乃ちゃんにまで手を出すつもりなのか……?」

 

殿町が怪訝そうな表情でそう言うと、近くにいたあいまいみートリオがドン引きしたようにこちらを見てきてヒソヒソと話し始めた。

 

「うわっ、マジか五河君、十香ちゃんや鳶一さんに加えて観月さんまでもハーレムに加えるつもりなの?」

「噂じゃシスコンでもあって、ちっちゃい子にも手を出してるらしいよ?」

「まじひくわー」

 

……あいまいみートリオからそんな会話が聞こえてきたような気がするが、きっと気のせいだろう。

そう思わないとやっていけない。

 

「ちがうわ!何でそうなる!

てか折紙や十香にも何もしてねえし!

……ただ俺は、観月がお前に告られたりしたら断れないだろうし、怯えて嫌な気持ちのままズルズルと付き合うなんて可哀想だと思ってな?」

「酷い言われよう!」

「事実を述べただけだ」

「まあ安心したまえ、殿町さんは五河と同じ気持ちだ。

セクシャルビースト五河と同じ気持ちだ」

「何で言い直したし!というかそのよく分からん呼び方もうやめろよ!」

「はっはっは、俺とお前の仲だろ?」

 

フランクに俺の肩に組んできやがった殿町の腕をすぐに振りほどいた。

 

「いやいや、どんな仲だったらそんな呼び方になるんだよ!」

「いいんですぅー、最近色づきやがった五河にはその呼び方で充分なんですぅー」

 

ブーブーと分かりやすいブーイングをする殿町。

それを見て子供かと呆れつつも口に出すことなく、あいつが話す内容を聞く。

 

「京乃ちゃんはなぁ……癒やしだ」

「はあ」

「京乃ちゃんの周りにマイナスイオンがいっぱい飛んでいるに違いない」

「そうか。

……つまりどういうことだ?」

 

俺がそう聞くと殿町はやれやれと言った風に肩をすくめた。

その気取っている姿を見て無性に殴りたくなったが、何とか我慢した。

 

「つまりどういうことかと言うと遠くで眺めていたいんだよ、分かれよ五河!」

「ああ、なるほど……」

 

殿町の言葉に適当に相槌を打った後に後ろを振り返ると、こちらを見つめている観月と目が合った。

観月は俺が後ろを振り返ると思っていなかったからか、混乱したように顔を真っ赤に染めて机に突っ伏した。

 

「……なるほどな」

 

殿町の言葉も分からなくはないかもしれない。

 

 

 

 

 

 

翌朝。

 

「と、殿市くんおはようございます!」

「いやー、惜しいなー

俺の名字は殿町ですよ、京乃ちゃん!」

 




Q,何で屋上には夥しい量の血があったの?屋上に居たのは狂三達だけじゃなかったっけ?

A,大体はきょうぞうさんの分身体の血。
きょうぞうさん本人が死んだら分身体達も消えんだろっていうのは勝手な想像なんですけどね。
……って思ってたんだけどなぁ(17巻を見つつ)



夢の中での設定

オリ主san値ピンチ状態。
なーぜか、精霊化してしまったオリ主。
オリ主は仲が良くなった精霊の能力を完コピ出来る精霊(キスする必要なし)というチート。
チートなのですが琴里同様破壊衝動が付き纏い、一定時間自我が消えたりします、自分の欲望がむき出しになったりします。
ちなみにこの設定が今後に登場する事はありません。
 
これは単なる夢なのか、それとも予知夢なのか。
それとも……


京乃→殿町
名前覚えられない

どうでもいいですが、オリ主と士道と殿町は一年の頃も同クラスという設定。

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