異世界でミリオタが現代兵器を使うとこうなる   作:往復ミサイル

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転生者が地下墓地の魔物と戦うとこうなる

 

 スコープのカーソルの向こうにうっすらと見えたのは、防具を身に着けた人影だった。錆びついた防具を身に着け、ボロボロになった剣を片手に持ちながらふらふらとこちらに向かって来るその人影の手足は、普通の人間と比べるとやけに蒼白く、細い。

 

 他の冒険者かと思ってしまったが、ラウラのエコーロケーションによる索敵によって既にその人影の正体は魔物であると理解している。地下墓地のようなダンジョンに生息し、あのように蒼白く細い手足を持つ魔物の正体を理解した俺は、その魔物の頭へと照準を合わせると、すぐにトリガーを引いた。

 

 セミオート射撃でぶっ放した6.8mm弾がマズルフラッシュで照らされた通路の中を一瞬で駆け抜けて行き、残響が反響を繰り返しながら弾丸を追いかけていく。しかし荒々しい残響が哀れな魔物に掴みかかるよりも先に、スコープの向こうにいたその魔物の首から上は、かつん、と軽い音を立てながら胴体の上から転がり落ちていた。

 

「スケルトンだッ!!」

 

 地下墓地や廃墟に生息する魔物の一種だ。草原や森などには生息する事のない魔物だが、このようなダンジョンには必ず生息している。ゾンビのように動きは非常に鈍いが、基本的にボロボロの鎧と剣で武装している上に集団で襲い掛かって来る危険な魔物である。

 

「射撃開始!」

 

「了解ッ!」

 

 隣にいたナタリアもPDWをセミオート射撃に切り替えて攻撃を開始する。まだ射撃の命中精度は低く、何発か狙いを外して胴体を撃ってしまっていたが、草原でゴブリンと戦っていた頃と比べるとナタリアの命中精度は上がっているようだ。

 

 スケルトンたちは防具を身に着けているものの、その防具は錆びついたりボロボロになっている粗末な防具だ。5.56mm弾でも普通の防具を貫通できるのだから彼らの粗末な防具に弾かれるわけがないし、スケルトンの防御力も高くはない。

 

 G36Kのセミオート射撃でスケルトンの頭を吹き飛ばし続けていた俺は、ちらりと仲間たちの様子を確認した。カノンはMP7A1を構えて射撃しようとしているが、ラウラは俺とナタリアの2人で判断したのか、射撃しようとしている彼女を止めている。

 

 確かに数は多いが、人間と同じく頭を撃ち抜けばすぐに倒せるというのならば短時間で殲滅できるだろう。

 

「ステラ、そのガトリング砲はまだ温存しとけよ!」

 

「はい。では、ステラはタクヤのカッコいい戦い方をじっと見ています」

 

「あ、ああ……」

 

 ステラにそんなことを言われて少しだけ顔を赤くしてしまったが、それを聞いていたラウラが睨みつけてきたので、咳払いしてから攻撃を続けることにした。

 

 スコープから目を離してドットサイトを覗き込む。フルオート射撃で一気に薙ぎ払ってしまおうかと思ったが、まだここはダンジョンの入口だ。ウィルヘルムと思われる新種の魔物との戦いのために弾丸は温存しておくべきだろう。

 

「ナタリア、援護を!」

 

「えっ? た、タクヤっ!?」

 

 G36Kを腰の後ろに下げ、鞘の中から大型トレンチナイフと大型ソードブレイカーを引き抜く。この大型ソードブレイカーは、以前から俺が使っている大型トレンチナイフの派生型の武器らしく、グリップとフィンガーガードのデザインは全く同じだ。重量もほぼ同じだから、引き抜いた時の感覚もこの得物に近かった。

 

 スケルトンたちが持っているボロボロの剣と比べれば、大型のナイフとはいえ短い。だが、切れ味と頑丈さならばこっちの方が上だ。日本刀の素材にも使われる玉鋼を使用したこのナイフが、あんなボロボロの剣に負けるわけがない。

 

『グォォォ!!』

 

 戦士のような雄叫びを上げながら剣を振り下ろしてくるスケルトン。俺は左手のソードブレイカーを構え、大きめのセレーションでスケルトンの剣戟を受け止めると、そのままソードブレイカーを反時計回りに捻った。

 

 スケルトンが手にしていた錆びついたロングソードが曲がったかと思うと、一瞬だけ錆だらけの刀身に亀裂が浮かび上がり、その亀裂が瞬く間に巨大化して刀身がへし折れる。錆びた破片をまき散らしながら左側へと吹っ飛んでいった刀身が壁に激突すると同時に、今度は右手に持っていた大型トレンチナイフをスケルトンの顔面に思い切り突き立てる。

 

 まるで木の幹にナイフを突き刺したような感覚だった。スケルトンは呻き声を発すると、右手からへし折られた剣を落とし、そのまま地面に崩れ落ちてバラバラになった。

 

 服の下から蒼い外殻に覆われた尻尾を出し、前方から錆びついたカトラスで斬りかかってきたスケルトンの喉元を貫く。銃弾を弾き返してしまうほど硬い外殻に覆われた尻尾は容易くスケルトンの防具を貫き、そのまま首の骨まで貫いてしまう。

 

 このまま首をへし折って止めを刺してやろうと思ったんだが、止めを刺す前にそのスケルトンの眉間にナタリアの6.8mm弾がめり込み、俺の尻尾に止めを刺される前にそのスケルトンはバラバラになってしまった。

 

「おいおい、獲物を取るなよ」

 

「何言ってんのよ。………怪我はない?」

 

「ああ、無傷だ」

 

「それはよかったわ」

 

 ナイフを鞘に戻しながら報告すると、ナタリアは微笑みながら頷いた。彼女の方も怪我はしていないようだ。

 

「弾薬は?」

 

「このマガジンの中にあと5発くらいかしら? でも、マガジンはまだあと5個あるわ」

 

「今のうちに別のマガジンに変えとけ」

 

 戦闘中に再装填(リロード)するのは危険だからな。いくら銃でも、再装填(リロード)中は攻撃できないから、もしさらにスケルトンの大軍が襲いかかってきた場合、再装填(リロード)の最中に距離を詰められてしまう恐れがある。

 

 ナタリアがマガジンを交換しているうちに、俺はスコープを覗き込み、ライトで照らし出しながら通路の奥を凝視した。このスケルトンたちが襲いかかってきた通路の向こうにはもう何もいないようだが、ここは危険度の高いダンジョンだ。もしかしたら別の魔物が隠れている可能性があるし、

 

 トラップが仕掛けられているかもしれない。特に裏切者たちの侵入を防ぐためのトラップで、命を落としていった冒険者たちは数多いのだ。

 

「何もないな」

 

 仲間たちに向かって手を振り、奥へと歩き出す。

 

 通路の奥には曲がり角があった。ちらりと後ろを歩くナタリアを見てから曲がり角に隠れ、恐る恐る通路の向こうを覗いてみる。

 

 相変わらず、その曲がり角の向こうにも崩れかけの壁画と苔やツタに覆われた床が続いているだけだった。魔物は見当たらないし、トラップもない。念のために天井も見上げてみたけど、天井の隙間から伸びた木の根が、まるで女性の頭髪のようにぶら下がっているだけだった。

 

「ん?」

 

 通路の奥をスコープで覗いてみると、無数の白骨死体が転がる通路の向こうに、ボロボロの台座のようなものが鎮座していた。その上には黒い残骸のようなものが乗っているようだが、既に破壊されているらしく機能を停止しているようだ。

 

 おそらく、トラップの制御装置の1つだろう。

 

「あれは何?」

 

「安心しろ。………制御装置のようだが、もうぶっ壊れてる」

 

 既に他の冒険者が破壊したようだ。焦げ付いている台座が苔で覆われ始めているという事は、かなり前に破壊されていたらしい。床の上に転がる白骨死体の中の誰かが、命懸けで破壊してくれたんだろうか。

 

 後ろからやってくるカノンやラウラたちに手招きし、彼女たちが合流してくるまで通路の様子を確認する。壁画が描かれている崩れかけの壁面や、気味の悪い木の根がぶら下る天井を何度も確認してトラップが無い事を確認してから、アサルトライフルを足元に立て掛けてため息をつく。

 

 指先に小さな蒼い炎を出してランタン代わりにしながら、ポケットから取り出した懐中時計を照らし出して時刻を確認する。今の時刻は午前11時26分。まだダンジョンに入ったばかりだから、最深部に到着するのは午後になるだろう。下手をしたらこのダンジョンの中で野宿をする羽目になるかもしれない。

 

 非常食はあるし、炎はこのように自由に出す事ができるから、壁面から伸びている木の根を使えば焚火は出来そうだ。だが、こんな気味の悪いダンジョンの中で眠るのは難しいだろう。間違いなく安眠は出来ない筈だ。

 

「べ、便利な身体ね………」

 

「まあな。属性は決まってるけど」

 

 キメラは普通の人間と違い、既に体内に属性に変換された魔力を持っている。普通の場合は詠唱や魔法陣などで魔力を属性に変換し、それから撃ち出す必要があるんだが、キメラの場合は既に魔力が返還されているため、その属性の魔術ならば詠唱や魔法陣は必要ない。しかもこのように指先から炎を出したり、手から炎を噴出してバーナー代わりにすることも可能なのだ。

 

 その代わり、体内の属性に特化しているため、それ以外の魔術を使う場合は一旦体内の魔力を無属性に変換し直してからもう一度変換し直さなければならないため、普通の人間と比べると魔術を使うための時間が長くなってしまう上に、発動できる他の属性の魔術も威力が落ちてしまう。

 

 俺の属性は親父から受け継いだ炎と、母さんから受け継いだ雷の2つ。ラウラはエリスさんから受け継いだ氷属性のみとなっている。キメラの体内にある魔力の属性は、どうやら両親が得意としていた魔術の属性で決まるようだ。

 

「ふにゅう………何かあった?」

 

「何もないよ。………行こうぜ」

 

 合流してきたラウラにそう言って、曲がり角の向こうへと向かう。

 

 仲間たちが合流する前にトラップが無いか確認しておいたんだが、念のためにまだ床や天井をライトで照らしながらゆっくりと進んでいく。ラウラのエコーロケーションは敵の索敵は出来るが、このように通路などに隠されているトラップまで発見するのは不可能だ。だから彼女の索敵に頼らず、自分で探さなければならない。

 

 通路の真ん中に鎮座する台座の上には、真っ黒に焦げた石ころのようなものが乗っていた。石炭のように見えるが、よく見ると表面には複雑な模様が刻まれている。

 

 やはりこれはトラップの制御装置だったのだろうかと歩きながら考えていると、最後尾を歩いていたステラの方から、べちょ、と水溜りを踏みつけたような音が聞こえてきた。

 

「ん? ステラ?」

 

「………何か踏みました」

 

 顔をしかめながら俺の傍らへと駆け寄ってくるステラ。どうやら気持ち悪かったらしい。

 

 だが、床に水溜りはなかったぞ。床にあるのは苔と白骨死体の破片くらいだった筈だ。ステラはいったい何を踏みつけたんだ?

 

 はっとしながら立ち止まり、G36Kのライトで先ほどステラが踏みつけた床を照らし出す。ランタンよりも明るい蒼白いライトが先ほどまで照らし出していたのは苔だらけの床だった筈だが、ライトに照らし出されたのは苔に覆われた床ではなかった。

 

 水溜りのようなものを踏みつけてしまったステラの小さな足跡が残されている床の隙間から、赤紫色の粘液のような何かが溢れ出していたんだ。

 

 床から溢れ出してきたその粘液は水溜りのようになってから盛り上がり始めると、まるでゼリーの球体のような姿へと変貌していく。

 

「こ、こいつは――――――スライムか?」

 

 今まで一度も戦ったことはないが、家にあった図鑑で何度も目にしたことがある。

 

 強酸性の粘液で形成された魔物の一種で、生物を見つけるとすぐに襲い掛かり、粘液で体を溶かして吸収してしまうという恐ろしい魔物だ。しかも剣で斬りつけたり、矢で撃ち抜いても全く意味はないため、基本的に撃破するためには魔術を使うしかない。そのため、魔術が使えない冒険者はスライムと遭遇したら逃げるしかない。

 

 目の前に現れたスライムは50cmくらいの大きさしかないが、銃弾を何発も叩き込んだとしてもこいつは倒せないだろう。弾丸が無駄になるし、迂闊に弾丸をお見舞いすれば飛び散った粘液で負傷する可能性もある。

 

「お姉ちゃんに任せて」

 

「ラウラ?」

 

 銃口を向けながら仲間たちと共に後ずさりしていると、ラウラがにっこりと笑いながら前へと歩き始めた。武器は手にしていない。

 

「お姉様、危険ですわ!」

 

「ラウラ、無茶よ!」

 

「大丈夫だよ、みんな」

 

 彼女はこっちを振り向いてから微笑むと、スライムを見下ろしながら右手を振り上げた。すると、ラウラの白い肌がまるで鮮血のように紅い氷に包まれ始め、地下墓地の通路を冷気で蹂躙し始める。

 

 スライムは近くにいるラウラから吸収しようとしたようだが、獲物に触れなければ溶かして吸収できないスライムでは、俺のお姉ちゃんに勝利することは出来ないだろう。

 

 なぜならば、ラウラは相手に触れなくても冷気だけで氷漬けにする事ができるのだから。

 

 ラウラを吸収するために近付き続けていたスライムに彼女が氷で覆った自分の手を近づけた瞬間、その手を包み込もうとスライムが伸ばした粘液の触手が、紅い氷に覆われ始めた。やがて触手を全て氷結させた紅い氷は主を吸収しようとしていたスライムを逆に包み込み始め、そのまま氷漬けにしてしまう。

 

 手をそっと離したラウラは、冷気の中に鎮座する紅い氷の塊を見下ろすと、にこにこと笑いながら俺の方を振り向いた。そのまますたすたとこっちに近付いてくると、いつも甘えてくる時のように抱き付いてくる。

 

「えへへっ。どうだった?」

 

「かっこよかったよ、お姉ちゃん」

 

「えへへへっ、ありがとっ」

 

 抱き着いたまま頬ずりを始めるラウラ。かなり喜んでいるらしく、ミニスカートの中から伸びる彼女の紅い尻尾は先ほどから左右に揺れている。

 

 彼女の頭を撫でてあげようと思ったんだが、手を伸ばしかけたその時、尻尾を振りながら俺に抱き付いているラウラの背後の床から、またしても赤紫色の粘液が滲み出した事に気付いた俺は、慌ててラウラの身体を引っ張りながら叫んだ。

 

「おいおい、まだいるぞッ!」

 

「ふにゃあっ!? お、お姉ちゃんがまた凍らせる!?」

 

「いや………」

 

 さっきみたいな小さい奴だけならばもう一度ラウラにお願いしていた事だろう。だが、ラウラの後ろの床から滲み出した粘液の量は、先ほど姿を現したスライムよりも遥かに多い。確実に先ほどのスライムよりも巨大なスライムが形成されることだろう。

 

 しかも、他の床からも次々に粘液が滲み出し、スライムを形成しつつある。このままではこの粘液たちに包囲される羽目になる。

 

「逃げようぜ!」

 

 アサルトライフルを腰の後ろに下げてからラウラの手を引いた俺は、片手をスライムへと突き出し、手の平に蒼い炎の球体を形成した。体内の炎属性の魔力を抽出して形成した炎の球体を放ち、形成する途中だったスライムの粘液をいくらか蒸発させた俺は、牽制するためにもう一発炎の球体を別のスライムへとお見舞いすると、セミオート射撃でスライムたちを牽制していた仲間たちを連れて通路の奥へと突っ走り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 産業革命の影響で、エイナ・ドルレアンの街並みは変わっている。城郭都市だという事はかつてレリエル様がこの世界を支配していた頃から変わらないが、その防壁も新しいものに変更されて頑丈になっている上に、防壁の上には新しい装備を身に着けた騎士たちが駐留して警備している。

 

 だが、彼らが戦う相手は基本的に盗賊か魔物だけだ。姿が人間と変わらない我々を見分ける事ができない彼らとは戦う必要はないだろう。

 

 我々の目的は、かつてレリエル様を魔界で葬った憎たらしいあのキメラを抹殺する事だ。今やこの国で最大の企業となったモリガン・カンパニーの頂点であり、最強の傭兵ギルドと言われたモリガンのリーダーでもあるリキヤ・ハヤカワを消せば、再び我々が世界を支配する事ができるだろう。

 

 しかし、リキヤ・ハヤカワはレリエル様を倒した最強の男だ。しかも奴の妻たちは我々の同胞を瞬殺してしまうほどの実力者だし、奴の仲間の1人である策士のシンヤ・ハヤカワは厄介だ。おそらく我々がリキヤ・ハヤカワを狙っていることはもう察知しているだろう。

 

 だから、奴よりも先にシンヤ・ハヤカワを消すのだ。優秀な策士を消し、魔王に苦痛を与えてやるのである。

 

 シンヤ・ハヤカワが住んでいるのはエイナ・ドルレアンの屋敷だ。かつてネイリンゲンにあったというモリガンの屋敷を再現しているらしく、そこで妻と娘と3人で暮らしているらしい。

 

 舞台裏での戦いは勝ち目はないだろう。だが、奴はモリガンのメンバーの中でも非力な方だと聞いている。だから直接襲撃すれば抹殺するのは容易い筈だ。

 

 隣を歩く同胞と目を合わせようとしたその時だった。天空から爆音が聞こえてきたかと思うと、俺の顔の近くを何かが通過し、その通過した何かが隣にいた同胞の顔面に喰らい付いた。

 

「なっ!?」

 

 我々は吸血鬼だ。弱点である銀で攻撃されない限り、すぐに傷口を再生させる事ができる。だが、たった今何かに頭を吹き飛ばされた同胞は、手足を痙攣させながら倒れているだけで、傷口を再生させる気配は全くない。

 

 まさか、今の攻撃は銀なのか………!?

 

「おい、フレデリックが!」

 

「分かってるッ!」

 

 同胞を怒鳴りつけながら、俺は今の攻撃が飛来した建物の屋根の上を見上げた。

 

 産業革命の影響で建築された工場から突き出た槍のような煙突の上で、白い煙と共に黒いトレンチコートがたなびいている。その漆黒のコートを身に纏いながら黒いシルクハットをかぶっている人物を睨みつけながら、俺は同胞と共に剣を抜いた。

 

「―――――――やあ、吸血鬼の諸君」

 

「貴様がシンヤ・ハヤカワか!?」

 

 剣を向けながら問い掛けると、男は煙突の上でシルクハットを頭の上から取って頭を下げ、再びかぶり直した。挨拶をしたつもりなんだろうか。

 

「ようこそ、エイナ・ドルレアンへ」

 

 煙突の上から見下ろしてくる男が発する威圧感は、彼が我々よりも遥かに手強いという事を告げ始めていた。非力な者が発するさっきと威圧感ではない。まるで吸血鬼の英雄であるレリエル様のように強烈な威圧感だ。

 

 モリガンのメンバーの中でも非力な男が、こんなに凄まじい威圧感を発するのか………!!

 

 威圧感だけで心を折られそうになりながら、俺と同胞は剣を構え、煙突の上の男へと飛び掛かって行った。

 

 


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