異世界でミリオタが現代兵器を使うとこうなる   作:往復ミサイル

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解放

 

 

 その出来事は、先進国だけでなく発展途上国の新聞にも掲載された。

 

 カルガニスタンの土地の一部をフランセン共和国から買い取ったテンプル騎士団の領土に、カルガニスタンに派遣されていた総督が、本国に無断で総攻撃をかけたのである。

 

 フランセン共和国は、オルトバルカ王国ほどではないとはいえ、積極的にオルトバルカ王国から最新型の装備を購入し、軍拡を進めていた列強国の1つである。その騎士団が、規模がそれなりに大きいとはいえ正規軍よりもはるかに規模の小さなテンプル騎士団へと総攻撃を仕掛け―――――――陸軍、海軍、空軍をあっさりと壊滅させられてしまったのだ。

 

 その記事を目にした若い将校たちは、列強国の騎士団が小規模なギルドに負ける筈がないと決めつけて笑い飛ばしたが、既に退役していた将校や退役直前の将校たちは、その記事が本当であるということを確信していた。

 

 彼らは、かつて未知の兵器を使ってこの世界で猛威を振るった、最強の傭兵ギルドの事を知っていたのである。

 

 たった2人で無数の魔物の群れを蹴散らすだけでなく、ヴリシア帝国で復活した伝説の吸血鬼であるレリエル・クロフォードを、たった10人足らずの傭兵たちだけで撃退することに成功しているのだ。

 

 その最強の傭兵ギルドのリーダーの子供たちが、フランセン騎士団を瞬殺したテンプル騎士団を率いているのである。

 

 だからこそ、モリガンの傭兵たちを知っている将校たちは信じた。

 

 あのモリガンの傭兵の子供たちならば、フランセン騎士団を瞬殺してもおかしくはないと。

 

 その戦いで、フランセン共和国が植民地に派遣していた部隊は大損害を被っていた。

 

 最新式のスチームライフルを装備した戦列歩兵たちは、塹壕に配備された歩兵たちの掃射で次々に蜂の巣にされ、虎の子の飛竜に跨った操縦士とライフルマンたちは、射程距離外から飛来した高性能な空対空ミサイルを回避する事ができずに、次々に木っ端微塵にされていった。軍港から出撃した戦艦や装甲艦たちも射程外から飛来した対艦ミサイルで次々に轟沈しており、ウィルバー海峡で海の藻屑と化す羽目になった。

 

 しかも、テンプル騎士団が派遣した大型の戦艦で構成された主力艦隊による容赦のない艦砲射撃で沿岸砲台群を壊滅させられた上に、艦隊に同行していた強襲揚陸艦から上陸した海兵隊によって、植民地の本拠地ともいえる総督府をあっさりと占拠されてしまったのである。

 

 総督が総攻撃を命じてから1日足らずで、その戦争は終わったのだ。

 

 それゆえに、ベテランの将校たちは確信した。

 

 テンプル騎士団はモリガンと同系列の兵器を使う、”モリガンの再来”とも言える強力な組織なのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 交渉している相手に威圧感を与えるコツは、適度に微笑む事だと思う。

 

 微笑んでれば相手にこっちの余裕をアピールできるし、こっちの威圧感に侵食されている相手を見守るのは気分がいい。

 

 テーブルの向こうでこちらが渡した書類を見下ろし、先ほどから何度も派手な刺繍で彩られた高級そうなハンカチで何度も冷や汗を拭いている中年の将校を微笑みながら見つめる。俺と一緒にこの交渉に参加してくれたラウラが部屋に入った時は、子供と交渉するのだから簡単だろう、と高を括っていたのか、あの資料を見るまではあんなに冷や汗をかいていなかった。

 

 どうやら俺の持論は正しかったらしいな。よし、これからも交渉の時は微笑むようにしよう。

 

 白と黄色で彩られたフランセン共和国騎士団の制服に身を包んだ中年の将校の腹は、少しばかり膨らんでいて、袖の中にある腕もやけに太い。もちろん訓練で鍛え上げたことで筋肉がついているわけではなく、ただ単に脂肪で覆われているだけのようだ。この将校は最前線での戦闘を経験したことはあるのだろうか。

 

 交渉の相手が冷や汗を拭いながら動揺していることを確認し、テーブルの上に用意してもらったカップへと手を伸ばす。フランセンでは紅茶よりもコーヒーの方が人気と言われており、喫茶店の中には紅茶を用意していない店もあるという。

 

 個人的には紅茶の方が好きなんだけど、さすがに紅茶を出せと言うのは失礼過ぎる。

 

「む、ムッシュ・ハヤカワ」

 

「なんでしょう?」

 

 冷や汗を拭い去った将校が、動揺しながら俺を呼んだ。

 

「ば、賠償金だけではダメでしょうか」

 

 賠償金だけか?

 

 動揺している中年の将校の提案を聞きながら、目を細める。

 

「いえいえ、賠償金は支払わなくて結構ですよ」

 

 笑顔を浮かべたまま無慈悲に提案を断り、もう一度カップへと手を伸ばす。

 

 隣に座っているラウラは、当たり前だけどいつもの子供っぽいお姉ちゃんではなく、冷静で大人びている方のお姉ちゃんになっている。けれどもやっぱり味覚は変わっていないらしく、先ほどからテーブルにある角砂糖の入った容器の中から角砂糖を拾い上げ、これでもかというほど自分のカップの中へと投下している。

 

 実は、ラウラは苦いものがあまり好きではないのだ。

 

 だから紅茶を飲むときは甘いナタリア特製のジャムをこれでもかというほど入れるし、コーヒーにも容赦なく角砂糖の飽和攻撃を敢行する。それほど砂糖やジャムを入れて毎日紅茶を入れているのだから太るんじゃないかと思ってしまうけれど、相変わらずラウラのスタイルは良いままだ。

 

 多分、普段経験している過酷な訓練や実戦でちゃんとカロリーを消費しているからなんだろう。

 

 彼女のすらりとした身体をちらりと見てから、ブラックコーヒーを飲み込む。

 

「我々はカルガニスタン全土をこちらに明け渡していただきたいだけなのですよ」

 

「しっ、しかし、カルガニスタンは我が国に資源を供給している貴重な植民地で…………」

 

 そう、俺たちの要求は賠償金などではなく、カルガニスタン全土をテンプル騎士団に明け渡してもらうことだ。

 

 賠償金を支払ってもらうのも魅力的な提案である。当たり前だけど、敗戦国が戦勝国に支払う賠償金の金額は、傭兵ギルドや冒険者ギルドが手に入れることのできる報酬の金額の比ではない。

 

 しかもテンプル騎士団は毎日のように奴隷たちを保護しており、希望者にはしっかりと人権と役割を与えて市民として受け入れている。

 

 当然ながら最前線で戦っている兵士たちや、食料を作ってくれている農民たちにも”給料”を支払わなければならない。だが、受け入れている奴隷の数はどんどん増えているし、場合によっては盗賊団や魔物の襲撃で故郷の村を壊滅させられた難民たちがタンプル搭を訪れることもあるから、組織のために貢献してくれている彼らのために支払わなければならない金額の量はどんどん増えている。

 

 けれども―――――――俺たちが運用している兵器は、12時間経過すれば弾薬が勝手に補充されたり、自動的にメンテナンスが実施されて最善の状態にしてもらえるため、応急処置が必要な場合を除けば、極端だけどメンテナンスをする必要などないのだ。

 

 もちろん戦車や戦艦に必要な燃料も48時間後に補充されるので、燃料を用意する必要は殆どない。

 

 団員や市民が急激に増え続けているけれど、兵士たちには冒険者の資格の取得を義務付けているし、海兵隊には訓練も兼ねて傭兵として戦ってもらっているため、彼らが手に入れた報酬のうちの2割を組織の運営資金として納めてもらえればテンプル騎士団という組織は十分に運営できる。

 

 だから、はっきり言うと賠償金は払ってもらってもあまり意味はない。

 

 それよりも俺たちはカルガニスタンの大地を欲しているのだ。

 

 かつてフランセン共和国が先住民たちから奪った、灰色の砂漠で覆われた土地を。

 

「確かに、あの国はあなた方にとっては貴重な植民地だ。大規模な鉱脈から採掘できる多彩な鉱石は、フランセン共和国の工業にとってはまさに生命線…………。絶対に手放すことのできない存在と言っても過言ではないでしょう」

 

 同情するかのように、優しい口調でそう言う。テーブルの向こうにいる将校たちや彼らの護衛の騎士たちは、こっちが植民地を手に入れることを諦めたと思ったのか、少しずつ落ち着き始めている。

 

 けれども―――――――悪いけれど、俺は残酷な男なんだ。

 

 その残酷さをあらわにしないように細心の注意を払いながら、彼らの”生命線”を立つことにした。

 

「でも―――――――我らは戦争に勝利した”戦勝国”で、あなた方は戦争に敗北した”敗戦国”だ。戦勝国は敗戦国から賠償金や土地を貰い受ける権利がある。分かりますよね?」

 

 同情するかのような言葉の陰から飛び出した残酷さの刃が、安心し始めていた彼らの心を抉り取る。

 

 一斉にぎょっとした将校たちを微笑みながら見つめ、俺は言った。

 

「今回の”戦争”の原因は植民地を統治する総督ですが…………残念なことに、彼は責任を果たさずに自殺してしまった」

 

「…………!」

 

 総督があの路地裏で”自殺”したことで、自殺した原因は、本国に独断で独立国となったテンプル騎士団に戦争を仕掛け、惨敗して多大な損害を被ってしまったことを本国で裁かれるのを恐れたからということになっている。

 

 悪いけれど、あの総督の”死”も利用させてもらう。

 

 あのような殺し方もできるのだから、ノエルの能力は本当に便利だ。彼女が受け継いだ暗殺の技術が目立っているかもしれないが、今回のように標的を自殺に見せかけて消す事ができるのである。彼女をスペツナズへと譲らずに、諜報部隊(シュタージ)の”矛”として残しておいたのは正解だな。

 

「総督を制止できなかった本国(あなた方)にも、責任があるのですよ?」

 

「…………ッ!」

 

 カルガニスタンで採掘できる豊富な資源は、まさにフランセン共和国の工業の”生命線”と言ってもいい。他にもフランセンの植民地はあるものの、多彩な種類の鉱石が採掘できるのはカルガニスタンだけだ。それに広大なカルガニスタンには無数のダンジョンや危険な魔物が生息している地域があるため、ダンジョン調査の報酬や魔物の素材を売却すれば、かなりの金額になるだろう。

 

 そこを手放せば国家の発展どころか、最悪の場合は国家の弱体化につながりかねない。

 

 けれども俺たちは、彼らから容赦なくその生命線を奪うつもりだ。

 

 彼らが手に入れたその生命線は―――――――カルガニスタンの先住民たちを虐げて奪った土地なのだから。

 

 あの土地は、先住民たちに返さなければならない。

 

 もし仮に今回の戦闘が他国に知られていなかったら、彼らはカルガニスタンを死守するために、強引に賠償金を支払って済ませるつもりだったのは想像に難くない。しかし、”どういうわけか”フランセンの総督が無断で独立国に侵攻したという情報が先進国や発展途上国に流出してしまっており、誰かが撮影した白黒の写真と共に各国の新聞に掲載されてしまっているのである。

 

 …………一体誰がそんな事をしたのだろうか。

 

 しかも本国で裁かれることを恐れた総督が自殺してしまっているのである。

 

 つまりフランセンは、周辺諸国から「しっかり責任をとれよ」と圧力をかけられている状態だ。責任を取らなければ周辺諸国や列強国に非難される上に、最悪の場合は同盟国と同盟関係を破棄され、孤立する羽目になってしまう。

 

 だからこそ彼らは、強引にテンプル騎士団に賠償金を支払う事ができない。

 

 生命線を差し出すしかないのだ。

 

 よくやったよ、シュタージ。

 

 そういう事は想定していなかったんだが、戦闘の最中にも舞台裏から相手を追い詰める準備を進めていたクランに感謝しつつ、俺はその材料を使ってフランセンの将校たちをどんどん追い詰めていく。

 

「総督が勝手に侵攻したせいで、こちらの市民や兵士たちを脅かしたのです。責任を取っていただかなければなりませんよ」

 

「し、しかし…………ッ!」

 

 もっと追い詰めるべきだろうか。

 

 そう思っていると、隣で角砂糖の飽和攻撃を叩き込まれたコーヒーを飲み終えたラウラが、カルガニスタンを手放さないように抵抗を続ける将校たちを容赦なく追い詰める。

 

「―――――――正規軍ではなくギルドに惨敗したという大恥をかいた挙句、そのギルドに強引に賠償金を押し付けるという恥をかくおつもりですか?」

 

「「「ッ!」」」

 

 む、昔のエリスさんを思い出した…………。

 

 22年前のネイリンゲンにタイムスリップした時に会ったエリスさんもこんな感じだったよな…………。今ではかなり明るいお母さんだけれど、親父たちに出会う前はかなり冷酷な女性だったんだ。

 

 ラウラはエリスさんの冷たさまでちゃんと受け継いでいるらしい。

 

 よし、そろそろ止めを刺そう。

 

「―――――――しっかりと責任を取っていただきますよ、皆さん。あなた方は”敗戦国”なのですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ、はぁっ…………!」

 

 鉄鉱石を積んだ荷台のロープを引っ張り、重い荷台を坑道の外へと運んで行く。坑道の外にあるスペースにその荷台を置いてから薄汚れた布をポケットから取り出し、砕けた鉱石の破片が混じった汗を拭い去る。

 

 俺たちの本職はここで鉱石を採掘する事じゃない。村で畑を耕していた奴もいるし、家族と一緒に家畜を育てていた奴もいる。

 

 俺も、フランセンの連中にこんな薄暗い鉱山に連れて来られる前は故郷の村で家畜の面倒を見ていた。村にいる鍛冶職人が作ってくれた鉄製の剣を腰に下げて、家畜を狙ってくる魔物を撃退するのが俺の仕事だったんだ。

 

 けれどもフランセンの騎士たちが村にやってきて、村にいた男性たちはほぼ全員この鉱山に連れて来られた。中には逆らった奴もいたけれど、騎士たちに逆らった奴は財産を没収された挙句、家族を商人たちに奴隷として売られてしまった。

 

 このカルガニスタンを占領したフランセンの連中は、俺たちを奴隷だと思っていやがるんだ。

 

 村は無事だろうか? ここにやってくる直前に妻のお腹は膨らんでいたから、多分俺が家に戻る頃にはもう子供が生まれている事だろう。今は何歳になっているのだろうか。

 

 妻と生まれている筈の息子の事を考えながら、もう一度坑道の中へと戻る。まだ鉄鉱石を積み込んだ荷台が3台もあるから、坑道が崩落しませんようにと祈りながらそれを全部引っ張り出さなければならない。

 

「ん?」

 

 坑道に戻ろうとしたその時、鉱山の入口の方から誰かが入ってきたのが見えた。スチームライフルらしき武器を背中に背負っていたから、フランセンの連中が俺たちの監視にやってきたのだろうと思ったんだが、よく見るとフランセン騎士団とは制服のデザインが全く違う。

 

 フランセンの連中は白と黄色の制服を身に着けているんだが、鉱山に入ってきたその3名の兵士たちは黒と灰色の奇妙な模様で彩られた制服に身を包み、真っ黒なヘルメットをかぶっていたんだ。

 

 しかもその兵士たちの種族はバラバラだった。

 

 フランセン騎士団の騎士たちは基本的に人間ばかりだ。中には奴隷だけで構成された奴隷部隊も存在するらしいけれど、その部隊に最新式のスチームライフルが支給されることはない。飛び道具が段々と主役になりつつあるにもかかわらず、彼らに支給されるのは産業革命以前の剣や弓矢ばかりなのである。

 

 だというのに、その兵士たちが背負っているのはスチームライフルと思われる飛び道具なのだ。

 

「こんにちは」

 

「誰だ、あんたら」

 

 よく見ると、今声をかけてきた兵士がかぶっているヘルメットの下からは長い耳と少しばかり浅黒い肌が覗いているのが分かる。

 

 同胞(ハーフエルフ)か?

 

「我々はテンプル騎士団だ」

 

「テンプル騎士団…………?」

 

 フランセンの連中から土地を買い取ったギルドだ。各地で奴隷を救出して市民として受け入れているらしく、受け入れた市民にはちゃんと人権や仕事を与えてくれるという。しかも賃金も高いらしい。

 

「何しに来たんだ? ここはフランセンの連中が保有している鉱山だぜ? 揉め事になる前に帰りな」

 

「安心してくれ。もうフランセンの連中はここに来ない」

 

「なに?」

 

 どういうことだ?

 

「―――――――先ほど、フランセンの議会がカルガニスタンをテンプル騎士団に明け渡すことを宣言した」

 

「はっ、ということは今日からあんたらが俺たち(奴隷)のご主人様ってわけか」

 

「いや、君たちはもう奴隷ではない」

 

「は?」

 

 奇妙な格好をしたハーフエルフの兵士は微笑みながらそう言うと、隣に立っている女性の兵士―――――――多分こっちの兵士は肌が白いからエルフだろう―――――――に目配せすると、彼女が持っていた紙を広げ、俺に見せてくれた。

 

 だが、残念ながら俺は読み書きを教わっていなかったので何と書いてあるのかは読めない。俺が文字を読めていないことを理解したのか、その兵士はわざわざその書類に書いてある文字を読んでくれた。

 

「『テンプル騎士団はカルガニスタンの独立を承認する』。…………つまり、もうこの国は植民地じゃない。諸君らの国である」

 

「え?」

 

 右手を伸ばし、俺の薄汚れた右手を握る兵士。困惑しながらその隣にいる兵士を見ると、その2人も微笑みながら頷く。

 

「―――――――今までよく耐えてくれた。けれども、今日からはもう自由だ」

 

「え―――――――」

 

 自由…………?

 

 じゃあ、また故郷の村に戻ることができるのか?

 

 妻と一緒に、子供を育てる事ができるのか?

 

「あ…………あぁ……………………!」

 

 無意識のうちに溢れ出す涙を左手で拭い去りながら、妻たちの事を思い出す。きっと妻は俺が戻ったら喜んでくれる筈だ。生まれている筈の子供は俺に会ったことがないから困惑するかもしれないけれど、一緒に遊んだら喜んでくれるに違いない。

 

 また平穏な生活ができるのか…………!

 

「それに、要望があれば我々が対処する。奴隷として売られた住人たちは他の部隊が全力で捜索中だから安心してくれ」

 

「あ、あ…………ありがとう……………!」

 

「ほら、他の仲間にも知らせるんだ」

 

「あ、ああ!」

 

 やったぞ……………!

 

 もうこんな過酷な仕事をしなくていいんだ!

 

 俺たちは―――――――自由になったんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、カルガニスタンはテンプル騎士団の宣言によって独立する事となった。

 

 豊富な資源が採掘できるカルガニスタンという生命線を失ったフランセン共和国は、周辺諸国との戦争で資源を消費し、急激に衰退していくことになる。最終的にフランセン共和国はタクヤたちの孫の代に崩壊し、『ヴリシア・フランセン二重帝国』という新たな列強国が産声を上げることになるのだ。

 

 テンプル騎士団との戦闘と植民地の喪失が、二重帝国が誕生するきっかけとなったのである。

 

 そしてフランセンから独立することに成功したカルガニスタンも、やがて『アスマン帝国』という大国に生まれ変わり、タクヤたちの子孫の時代に勃発することになる”世界大戦”で、オルトバルカ王国の敵として立ちはだかることになるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ

 

 器用すぎ

 

ラウラ「ふにゅ? カノンちゃん、どうしたの?」

 

カノン「あ、お姉様。ちょっと髪が伸びてきたので切りたいのですが…………」

 

ラウラ「ふにゅー………」

 

カノン「そういえばお姉様はどこで髪を切っていますの?」

 

ラウラ「タクヤだよ?」

 

カノン「えっ?」

 

ラウラ「8歳くらいの時からずっとタクヤが髪を切ってくれるの♪」

 

カノン(き、器用すぎですわお兄様…………)

 

 完

 

 

 


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