異世界でミリオタが現代兵器を使うとこうなる   作:往復ミサイル

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キメラと奇襲

 

 ボディアーマーやテンプル騎士団の黒い制服に身を包み、AK-12を手にした兵士たちが、分厚い隔壁を睨みつけながら息を呑んでいる。

 

 目の前に居座ってトンネルを遮断している隔壁は、160cm滑腔砲から発射されたAPFSDSすら防いでしまうことが可能な近代化改修型シャール2Cの正面装甲の4倍の防御力を誇る隔壁だ。トンネルを辿って追撃されることを防ぐために、このトンネルにはこれでもかというほど分厚い隔壁を何枚も設置しているのである。

 

 作戦前にイリナが計算していたんだが、タンプル砲専用のMOAB弾頭の爆発ならばこの隔壁を8枚ほど吹き飛ばしてしまうという。けれども、隔壁よりも先にトンネルの天井を突き破って火柱と爆炎で地上を焼き尽くすことになるという。

 

 俺たちの目の前に居座っているのは20枚目の隔壁だ。さすがに10枚以上の隔壁を爆風で突き破るのは不可能だろう。そう思いながら俺も隔壁を睨みつけつつ、懐中時計で起爆までの時間を確認しながら息を呑んでいた。

 

 タンプル砲の破壊力と射程距離は圧倒的だ。口径はあらゆる戦艦の主砲を上回る200cmであり、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を使用した際はこの異世界を自由にミサイルで攻撃できるほどの射程距離を誇る。

 

 テンプル騎士団の決戦兵器なのだ。

 

 タンプル砲から発射するわけではないため、今回は射程距離は全く関係ないが、200cm砲のMOAB弾頭の破壊力はちょっとした核弾頭だ。起爆すればあらゆる砲弾の爆風を上回る爆風が周囲にいるすべての敵を瞬時に焼き尽くし、圧倒的な衝撃波が敵を木っ端微塵にしてしまう。

 

 核兵器に匹敵する砲弾が、この隔壁たちの向こうで起爆しようとしているのだ。分厚い隔壁たちで身を守ることはできる筈だけど、この隔壁がその爆風で突き破られて、俺たちまでMOAB弾頭の餌食になるんじゃないかと思ってしまう。

 

 けれども、ここまで爆風や衝撃波が届くことがないという事は既にイリナが計算してくれている。

 

「起爆まで15秒…………秒読み開始」

 

 息を吐いてから、隔壁を睨みつけつつ秒読みを開始する。テンプル騎士団の規定では、秒読みをする際はこの世界の公用語であるオルトバルカ語ではなくドイツ語でカウントダウンをすることになっているのだ。

 

 俺はロシア語のカウントダウンにしようと思ったんだが、クランとケーターに猛反対されてしまっている。

 

「「――――――10(ツェーン)(ノイン)(アハト)(ズィーベン)(ゼクス)(フュンフ)(フィーア)(ドライ)(ツヴァイ)(アインス)

 

 カウントダウンを終えた直後、分厚い隔壁で遮断されたトンネルの向こうで、置き去りにされたMOAB弾頭が咆哮した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 隔壁と未完成のトンネルに遮られた場所で産声を上げたMOAB弾頭の爆炎は、手始めに自分をここまで運んできた大型の貨車を呆気なく消滅させた。大型とはいえ、通常の貨車をそのまま大型化させて装甲を搭載しただけの車両は、内側で産声を上げた爆炎によってあっという間に融解すると、その爆炎を本来ならばブレスト要塞のホームになる筈だった場所へと解き放ってしまう。

 

 膨れ上がった爆炎と衝撃波が、真下にある線路や周囲の壁に牙を剥く。後方にあった分厚い隔壁にも衝撃波たちは襲い掛かっていき、シャール2Cの正面装甲よりもはるかに堅牢な隔壁を呆気なく突き破ってしまう。

 

 複合装甲の塊とも言える分厚い隔壁があっという間にひしゃげたかと思うと、表面が融解を始め、猛烈な衝撃波が隔壁に風穴を開けていく。あっさりと突き破られた隔壁の向こうに居座る隔壁も目の前にいた仲間と同じ運命を辿る羽目になり、同じように風穴を開けられてしまう。

 

 しかし、隔壁たちを蹂躙しているMOAB弾頭の爆発は、”氷山の一角”でしかない。

 

 大半の爆炎と衝撃波は――――――――分厚い隔壁よりも先に融解する羽目になった天井へと、牙を剥いていたのだ。

 

 火柱と化した爆炎に貫かれた天井に大穴が空き、炎と衝撃波たちの奔流が大地を侵食していく。大穴を開けた火柱はブレスト要塞の地下にある戦術区画へと達すると、ブレスト要塞と同じようにパイプやケーブルが剥き出しになっている殺風景な通路を火の海にし、戦術区画の中にある全てのものを焼き尽くした。

 

 吸血鬼たちの侵攻を防ぐために、司令官が閉鎖させた隔壁をあっさりと突き破り、ブレスト要塞の戦術区画を焼き尽くしていく。通路の中にある隔壁もC4爆弾を使わない限り穴を開けられないほど堅牢だったが、MOAB弾頭の爆発にとっては”薄い金属の遮蔽物”でしかない。

 

 薄い木の壁を猛スピードの車が突き破っていくかのように、あらゆる隔壁が吹っ飛んで行く。やがて炎と衝撃波たちは吸血鬼たちが投入した80cm列車砲(ドーラ)の砲撃によって壊滅した中央指令室へと達すると、その中に残っていたモニターを全て吹き飛ばし、ドーラの砲撃が刻み付けた巨大な縦穴を”逆流”し始める。

 

 そして、ついにその爆炎が地上へと達した。

 

 ドーラの砲撃で空いた大穴を覆っていた分厚い鉄板が、戦車ですら吹き飛ばしてしまうほどの衝撃波を受け止める羽目になって膨らんだかと思うと、金属がひしゃげる轟音を地上へと解き放った。要塞を包囲し始めている連合軍やテンプル騎士団の地上部隊を監視していた兵士たちが、火柱が地下にある区画を蹂躙する音と分厚い鉄板がひしゃげる音を聞いて後ろを振り向いた頃には、突き破られた鉄板の下から躍り出たフレアのような火柱が、吹き飛ばされた隔壁の破片を大空へと吹き飛ばしながら、ブレスト要塞を照らし出していたのである。

 

 その火柱に呑み込まれた近代化改修型マウスの群れがあっという間に融解し、中に乗っていた乗組員と共に消滅していった。

 

 火柱が噴き出た大穴の周囲に亀裂が入り、火柱の近くにいた戦車やブラドが生産した大型の臼砲たちが、乗組員や砲兵もろとも火の海と化した地下へと落ちていく。

 

 吸血鬼たちは圧倒的な再生能力を誇るが、肉体が完全に消滅してしまえば再生することは不可能である。それゆえにその爆炎の中へと落ちる羽目になった吸血鬼たちは、MOAB弾頭が生み出した超高温の爆炎に焼き尽くされる羽目になった。

 

 やがて穴の周囲に生まれた亀裂がどんどん広がっていき、ブレスト要塞の飛行場の滑走路が崩落を始める。管制塔が倒壊して滑走路の一部と共に穴へと落ちていき、逃げ遅れた兵士たちも滑走路と共に業火の中へと転落していく。

 

 火柱と共に飛び出した衝撃波が地上で拡散し、防壁へと牙を剥く。最初に攻撃された際に何度も砲弾を叩き込まれていた防壁にも亀裂が生まれたかと思うと、東側に鎮座していた防壁の一角が倒壊し、要塞を包囲している連合軍―――――――しかもよりにもよって最も規模の大きなモリガン・カンパニーがいる方向である―――――――に突破口を与えることになった。

 

 一瞬で2000人以上の吸血鬼たちを焼き尽くした爆炎が、衝撃波と共に天空で拡散していく。

 

 地下からブレスト要塞を貫いた業火の柱は青空にどす黒い黒煙を刻み付けると、冷たい風の中で崩壊していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 爆発の音は何度も聞いたことがある。自分の放り投げた手榴弾が起爆して敵兵の手足を捥ぎ取る音や、味方の戦車が放った砲弾が戦車の装甲を貫き、敵の乗組員をミンチにする音はいつも耳にしている。

 

 けれども、こんなに大きな爆音を聞いたことは殆どなかった。

 

 壁に設置されているレバーを押し上げて、目の前の隔壁を開けていく。幸い目の前に居座っていた隔壁は全く変形していなかったけれど、この奥にある隔壁は何枚目からひしゃげているのだろうか。

 

 そんなことを考えながら、俺は淡々と次の隔壁のレバーを押し上げる。甲高い音をトンネルの中にぶちまけながら上へと上がっていく隔壁の向こうには無傷の隔壁が鎮座していた。今しがた上へと上がっていった隔壁と待ったく変わらない。

 

「す、凄い爆音だったよぉ…………ッ!」

 

 顔を赤くしながら、隣でまだイリナが震えている。タンプル砲を発射した際の爆発と爆音を感じた彼女は中央指令室の中で”幸せすぎて気絶した”らしいが、今回は気絶していない。

 

 もし仮に彼女が幸せすぎて気絶してたら、彼女を後方の機関車の運転手の所まで運んでから進撃する予定だったんだが、機関車まで走って戻らなくて済んだようだ。

 

「最高だよね、爆発って。この世界で一番気持ちがいいんじゃないかな?」

 

 どうなんだろうな、と思いながら、俺はまたしても隔壁のレバーを押し上げた。

 

 爆発を目の当たりにしても、はっきり言うと俺は何も感じない。その爆発の近くにあった敵や魔物が木っ端微塵になったんだろうなと思うだけだ。だから俺は、ベッドの上でゆっくり眠るか、女を抱いた方が気持ちいいと思う。いつも俺が襲われる羽目になるんだけどね。

 

 そんなことを考えながら、開き始めた隔壁の向こうをライトで照らしているナタリアの方を見つめた。最近の戦闘では戦車に乗って指揮を執るか、中央指令室の中で全ての部隊に指示を出していることが多いため、ナタリアは他のメンバーと比べるとあまり戦闘は得意ではない。

 

 だから今回の作戦は中央指令部で指揮を執るべきだ、と彼女に言ったんだけど、彼女は武器を装備して俺たちと一緒に最前線で戦うことを選んだ。

 

 彼女のメインアームは、テンプル騎士団仕様のAK-12だ。銃身の下にはフォアグリップを装備し、ライフルの上部にはアメリカ製ホロサイトと、中距離射撃を想定してブースターも装備している。銃身の側面にはライトとレーザーサイトを装備しているようだ。

 

 グレネードランチャーを装備している俺のAK-15と比べると、極めてバランスの良いカスタマイズである。

 

 サイドアームはテンプル騎士団の兵士たちが使用しているPL-14。レーザーサイトとドットサイトを装着しているのが分かる。

 

 それ以外の武装はソ連製の対戦車手榴弾と、対人用の一般的な手榴弾だ。戦車を吹っ飛ばすことも想定しているらしく、彼女のポーチの中にはC4爆弾がいくつか収められている。

 

 更に、ナタリアは腰に小型のナイフのホルダーをいくつも身につけていた。その中に納まっているのはスペツナズ・ナイフの刀身を小型化し、グリップをかなり細くしたようなデザインの小型ナイフたちである。

 

 テンプル騎士団の兵士たちは近接武器も装備している。一般的な装備はナイフなんだが、この世界では未だに剣や棍棒が現役であるため、テンプル騎士団の兵士の中には銃よりも剣などの近接武器を好む兵士も多い。だから銃を装備している兵士が腰に古めかしいロングソードを下げているのも珍しくはないのだが、あんなにナイフを装備する必要はないのではないだろうかと思ってしまう。

 

 ナタリアが装備している小型ナイフは、タンプル搭で鍛冶職人をしているバーンズさんが作ってくれた投げナイフだ。俺たちと出会う前からナタリアはメスや投げナイフの投擲も得意としていたらしく、投げナイフを使った訓練では的に全ての投げナイフを命中させていた。

 

 とはいえ、銃という強力な異世界の武器を使ったり、指揮を執ることが多かったから、今まで正確な投擲で敵を仕留めたことは一度しかない。

 

 ステラが仲間になったナギアラントでの戦いを思い出しながら、もう一度彼女の投げナイフを見下ろした。

 

「な、何よ?」

 

「何でもないよ」

 

 それに、彼女は今は亡き父親から託された強力な武器を持っている。

 

 彼女のズボンのポケットに入っている黒い手袋を見つめながら、俺はニヤリと笑った。

 

 ナタリアのポケットに入っているのは、彼女の父親だったロイ・ブラスベルグ氏がナタリアのために遺した『ミダス王の左手』という特殊な手袋だ。魔力を流し込みながら触れた物をあっという間に黄金に変えてしまうという代物であり、再生能力を持っている敵でも関係なく黄金にしてしまうという。

 

 自滅する可能性もあるが、かなり強力な武器だ。今は亡きナタリアの父親が遺した最高傑作と言っても過言ではないだろう。

 

 それに、ナタリアも何度も死闘を経験しているのだから問題は無い筈だ。

 

 隔壁の向こうをライトで照らしながら後続の兵士たちに合図をしているナタリアを見守りながら、俺は次の隔壁のレバーを押し上げた。

 

 分厚い隔壁の向こうに現れた次の隔壁が――――――――ひしゃげているのが見える。

 

「…………すげえ破壊力だな」

 

 この隔壁の厚さは、近代化改修型シャール2Cの4倍だ。しかも複合装甲であるため、120mm滑腔砲や160mm滑腔砲のAPFSDSが直撃した程度では表面が少しだけ抉られるだけで済む筈なんだが、圧倒的な防御力を誇る分厚い隔壁が、へし折られる直前の板のようにひしゃげているのだ。

 

 動かないだろうなと思いながらレバーを押し上げると、隔壁の上半分が軋む音を響かせながら上へと上がっていった。下半分も一緒に上がり始めたけれど、下にある線路から隔壁が離れた途端、隔壁の下半分が剥がれ落ちて線路の上に落下し、大きな金属音をトンネルの中へとぶちまける。

 

 その向こうに見えたのは、大穴の開いた隔壁たちだった。

 

「タクヤ、もうレバーは操作しなくて良さそうですね」

 

「そうだな」

 

 穴が開いているし、レバーを動かしても隔壁は多分上がらないだろう。これほど分厚い隔壁が融解するほどの高熱だったのだから、隔壁の上の部分はきっと天井と”溶接”されてしまっているに違いない。

 

 銃を一旦背中に背負い、大穴の開いている隔壁に触れる。それほど熱くないことを確認してからよじ登り、一足先に奥へと進む。

 

 風穴を開けられた隔壁たちの向こうにあったのは、地上へと続く大穴だった。瓦礫だらけなんじゃないだろうかと思っていたんだが、どうやら200cm砲のMOAB弾頭の爆発が予想以上に凄まじかったらしく、崩落してきた瓦礫まで消滅させてしまったらしい。

 

 要塞に奇襲をかけるにはこの縦穴を上らなければならないようだ。溜息をつきながら穴の壁面に触れて、金属が埋まっていないか確認する。

 

 崩落した際に落下してきたのか、壁面や大穴の開いた足元には戦車の残骸の一部や、銃の残骸が転がっていた。壁面にはブレスト要塞の地下にある区画に設置されていた金属製のパイプの一部も見受けられるから、ここをよじ登るのは簡単だろう。

 

 そういえば、メウンサルバ遺跡で落とし穴に落ちた後はナタリアと一緒に縦穴を上ったな。

 

 ナタリアもあの時の事を思い出しているらしく、顔を赤くしながらこっちを見ていた。

 

 穴の上の方からはヴリシア語の怒声が聞こえてくる。航空隊の空爆は既に始まっているらしく、まだ健在な対空機関砲やミサイルで応戦しているようだ。

 

 この大爆発があいつらに大打撃を与えたのは想像に難くないが、その”傷跡”から更に追撃をお見舞いされるとは思っていないだろう。

 

「―――――――先に行って攪乱してくる」

 

 壁面に触れて金属があることを確認してから、両足をキメラの外殻で覆う。がっちりした黒いブーツの中で膝から下が蒼と黒の外殻に覆われ、まるでドラゴンのような足に変貌していく。その足で目の前にある縦穴の壁面を踏みつけると、足の裏が壁面にくっついてしまった。

 

 ゆっくりと反対の足も持ち上げて、壁を踏みつける。試しに片足をそのまま上げてみるけれど、地面の上で片足で立っているような感覚だ。

 

 よし、これならすぐに穴を上がれるだろう。

 

「え? か、壁に立ってる…………!?」

 

「便利よね、キメラって…………」

 

 本当に便利だよ、この身体は。女に間違われるのは不便だけど。

 

 仲間たちが壁をよじ登り始めたのを確認してから、背負っていたAA-12を装備する。安全装置(セーフティ)を解除して銃口を縦穴の向こうに居座る天空へと向けつつ、そのまま壁面を猛ダッシュする。

 

 まるで巨大な金属製の配管の中を突っ走っているような感じがするな。

 

 母さんから受け継いだ雷属性の魔術のおかげで、電撃だけでなく磁力も操ることができるのだ。しかも俺の魔力はもう既に炎属性と雷属性に変換済みだから、わざわざ詠唱しなくてもいいのである。

 

 壁の中に金属さえあれば、壁を走るだけでなく天井を走ることもできるのだ。けれどもこうやって壁を歩いている間は少しずつ魔力を消費する羽目になるので、いつまでもはしゃいでいたら魔力が枯渇し、再び置き去りにしてきた床と再会することになってしまうから、とっとと上ってしまうのが望ましい。

 

 敵に魔力を察知されないように放出する量を抑えつつ、壁を猛ダッシュする。仲間たちは壁をよじ登っている最中だから、間違いなく先陣を切ることになるのは俺だろう。

 

 その時、弾薬の入った箱を抱えながら走っていた若い兵士が穴の中を覗き込んだのが見えた。黒いコートを身に纏っていたおかげなのか、その兵士はまだ俺が穴を上っていることに気付いていないらしい。けれども魔力の反応は感知されてしまったらしく、その兵士は箱を足元に置いてMP5Kを穴の中へと向けた。

 

 発見されるのは時間の問題だろう。このまま留まっても放出している魔力でバレてしまうのだから、排除するべきだ。

 

 そう思った俺は、躊躇なく銃口をその若い兵士へと向け、AA-12のトリガーを引いた。

 

 銃口から12ゲージの散弾が躍り出る。もちろん、対吸血鬼用に散弾は銀の散弾に変更してある。吸血鬼たちを殺すために改造された銀の散弾たちはその若い兵士の胸板に喰らい付くと、瞬く間にオリーブぐーんの軍服もろともその兵士の身体をズタズタにしてしまう。

 

 散弾で胸を撃たれた兵士がぐらりと揺れ、そのまま火柱が抉った大穴の底へと落ちていった。

 

 エジェクション・ポートから躍り出た空の薬莢を一瞥し、俺は穴を上ることにした。

 

 

 

 

 

 


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