異世界でミリオタが現代兵器を使うとこうなる   作:往復ミサイル

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テンプル騎士団の攻勢

 

 

「側面にも敵の戦車が!」

 

「っ!?」

 

 ぎょっとしながら、俺は双眼鏡を覗き込んだ。

 

 タンプル搭の近くに最終防衛ラインを構築していた敵の部隊は真正面にしかいない筈だ。確かに敵の兵力は大損害を出して弱体化している俺たちの7倍だが、側面に回り込むよりも、このまま真正面から総攻撃をかけて俺たちを退けた方が手っ取り早いだろう。

 

 このまま前進するだけでこちらの部隊をブレスト要塞まで後退させることができるというのに、わざわざ一部の部隊を側面へと回り込ませるような回りくどい作戦を実行するわけがない。

 

 こっちの状態と敵の陣形を思い浮かべながら、APFSDSが飛来した方向を双眼鏡で覗き込む。よりにもよって砲塔の側面にAPFSDSを突き立てられる羽目になったレオパルトの残骸の向こうに見えたのは、灰色の砂の丘を乗り越えながら砲塔を旋回させ、後退を続けるM1128ストライカーMGSに狙いを定めたフランスの戦車だった。

 

「ルクレール…………!?」

 

 バカな。

 

 テンプル騎士団の戦車の大半はロシア製の筈だ。殲虎公司(ジェンフーコンスー)から購入したのか、中国製の戦車も見受けられたが、テンプル騎士団がフランス製の戦車を採用しているのは考えられない。

 

 当たり前だが、フランスの戦車とロシアの戦車は全く違う。砲弾どころか搭載している主砲も全く違うから砲弾を味方に分けることもできないし、エンジンなども全く違う代物であるため、整備を担当する整備兵たちに負担をかけてしまう。

 

 この春季攻勢(カイザーシュラハト)を察知してかき集めた代物なのだろうかと思ったが、車体の側面にこれ見よがしに描かれているエンブレムを見た途端、俺は凍り付いてしまった。

 

 交差しているハンマーとレンチの上に深紅の星が描かれた、モリガン・カンパニーのエンブレムだった。

 

「あれは…………モリガン・カンパニーの戦車だ!!」

 

「バカな、もう到着したというのか!?」

 

 ただでさえテンプル騎士団よりも兵力が少なくなっているというのに、テンプル騎士団よりも練度が高い上に、圧倒的な兵力を誇る最大の勢力がもう兵力を戦場に派遣してくるとは…………ッ!

 

 すでに浸透戦術は頓挫している。近代化改修型のマウスを前進させて強引に最終防衛ラインを突破しようとしたが、敵が投入した超重戦車―――――――おそらく近代化改修型のシャール2Cだろう―――――――に蹂躙されており、突破するどころか逆に損害を出し続けている。しかも戦車部隊の先陣を切るテンプル騎士団の超重戦車は、未だに1両も戦闘不能になっていないのだ。

 

 正面装甲には被弾した跡がいくつも刻まれているというのに、APFSDSが直撃しても、装甲の破片や火花を巻き散らしながら巨大な連装滑腔砲で反撃してくるのである。

 

 対戦車ミサイルを搭載したヘリが攻撃しようとしても、アクティブ防御システムにミサイルが迎撃してしまうためダメージすら与えられない。それどころか、敵陣の一番左側を進んでいる超重戦車の車体に搭載された対空機関砲と地対空ミサイルで逆に反撃されて損害を出してしまっている。

 

 航空機に攻撃を要請したいところだが、虎の子の航空隊は俺たちの頭上で敵の航空隊に蹂躙されていた。

 

 ―――――――チェック・メイトなのか。

 

 このまま強引に突撃しても、タンプル搭の要塞砲の餌食になるだけだろう。浸透戦術が成功していれば容易く最終防衛ラインを突破できたはずだが、浸透戦術があっさりと頓挫してしまった以上、この最終防衛ラインを突破するのは不可能なのかもしれない。

 

「ブラド様、ご命令を! このまま攻撃を続行しますか!?」

 

「くっ…………!」

 

 このまま攻撃を続行すれば、こちらは損害を出し続けるだろう。しかも側面からも攻撃を受けているため、下手をすれば側面に展開している部隊が壊滅してしまう恐れがある。正面にいる敵の守備隊を突破するのが不可能になってしまったのだから、大人しくブレスト要塞に撤退して応戦するべきかもしれない。

 

 しかし、ここで撤退してブレスト要塞に戻っても敵に包囲されるのが関の山だ。圧倒的な数の爆撃機や戦闘機で空爆され、蹂躙されるのは想像に難くない。

 

 いっそのこと、このまま強引に攻撃を続行するべきなのではないだろうか?

 

 そう思いながら双眼鏡をもう一度覗き込み、マウスたちを蹂躙している超重戦車の群れを睨みつける。立て続けに放たれた対戦車ミサイルがマウスの正面装甲を食い破り、またしても虎の子のマウスを火達磨に変えてしまう。

 

 先ほどヘリを撃墜した一番左側のシャール2Cは、あろうことか車体後部の砲塔を天空へと向け、上空で空戦を続けているテンプル騎士団の航空隊の支援を始めていた。地対空ミサイルを喰らう羽目になったラファールが木っ端微塵になり、黒焦げになった残骸を砂漠にまき散らす。

 

 F-35やF-22はフレアをばら撒きつつ圧倒的な機動力で逃げ回っているが、ミサイルを回避した直後にテンプル騎士団のPAK-FAやF-22に攻撃されて撃墜されてしまっている。

 

 このまま強引に攻撃しても、全滅するのは火を見るよりも明らかだった。

 

 双眼鏡から目を離し、こっちを見上げている吸血鬼の兵士たちを見下ろす。

 

 吸血鬼は非常に人数の少ない種族だ。多分、この戦いで更に吸血鬼の数が減ってしまったことだろう。

 

 大切な同胞たちに無茶な命令を下し、戦死させるわけにはいかない。

 

「―――――――ブレスト要塞まで後退する。全ての部隊に、ブレスト要塞まで後退するように伝えてくれ」

 

「りょ、了解しました」

 

 モリガン・カンパニーや殲虎公司(ジェンフーコンスー)の連中は捕虜を一切受け入れないらしく、ヴリシアでは武装解除した兵士たちや負傷兵まで撃ち殺していたらしいが、テンプル騎士団は降伏すればちゃんと捕虜を受け入れてくれるという。

 

 俺は殺されてしまうかもしれないが、場合によってはテンプル騎士団に降伏するべきなのかもしれない。

 

 拳を握り締めながら、俺は戦闘機たちが死闘を繰り広げる星空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 砲弾やマズルフラッシュと一緒にルクレールの方向から飛び出した火薬の臭いの中で、俺たちはそっと耳から手を離した。

 

 ルクレールの砲手がぶっ放した砲弾はレオパルトの砲塔の側面を貫通し、被弾する羽目になったレオパルトを行動不能にしてしまったらしい。負傷兵たちを乗せて撤退する途中だった戦車の中から乗組員たちが悲鳴を上げながら飛び出し、戦車の上から吹っ飛ばされた負傷兵たちと共に逃げ出していく。

 

 砲塔の中から聞こえてきた自動装填装置の音が、重機関銃の銃声にかき消される。主砲同軸に搭載されたブローニングM2重機関銃が火を噴き、逃げていく負傷兵や戦車から追い出された乗組員たちを12.7mm弾でミンチに変えていった。

 

 容赦のない砲手だと思ったが、あの吸血鬼共はグランバルカ号を撃沈し、民間人の命を奪ったクソ野郎共だ。容赦する必要はない。

 

「15年前と同じだな」

 

 第一次転生者戦争の時も、俺たちは容赦がなかった。あの戦いで戦死した敵兵の人数は、守備隊の人数と全く同じだったのだ。もちろん捕虜は1人もいない。

 

 FA-MASを構える前に、俺はそっと左手を伸ばし、自分の眼帯に触れた。この左目はあの戦いの最中に失ってしまったのだ。おかげで常に眼帯を付ける羽目になり、私服姿ではギャングや盗賊団のボスだと勘違いされる羽目になっちまった。

 

 眼帯に触れながら苦笑いしていると、隣にいるカレンが心配そうにこっちを見てきた。

 

 第一次転生者戦争が勃発した時はカレンのお腹にカノンがいたため、彼女はファルリュー島で繰り広げられた死闘に参加していない。

 

 あの戦いで片目を失って帰還した俺を見たカレンが大泣きしてしまった事を思い出した俺は、心配そうにこっちを見ているカレンを見つめながら頷く。モリガンのメンバーの中で一番無茶をしてたのは旦那だが、俺も無茶をするから彼女にいつも心配をかけてしまっている。

 

 けれども、今回は心配をかけるわけにはいかない。

 

「安心しろって。最愛の妻を未亡人にするつもりはねえよ」

 

「ギュンター…………」

 

 そっと彼女の頭を撫でてから、抱えていたFA-MASのセレクターレバーをセミオートに切り替える。

 

 俺たちの目的は後方に展開して敵を包囲する事ではなく、このまま側面から敵の本隊に攻撃を行い、撤退していく敵部隊の戦力を削り取って、そのまま後方のブレスト要塞まで押し返すことだ。ここに派遣された兵士たちの半数は百戦錬磨のハーレム・ヘルファイターズの兵士たちだが、一緒に派遣されたドルレアン家の私兵たちはまだ錬度が低い。それに、敵部隊よりもはるかにこっちの人数が少ないから、迂闊に後方から挟み撃ちにしようとすれば死に物狂いで攻撃してくる敵にあっさりと粉砕されるのが関の山だ。

 

 テンプル騎士団と戦っている吸血鬼たちは風前の灯火だが、危険な相手に違いない。

 

 戦場を見つめながら、15年前にファルリュー島で経験した戦いを思い出す。あの時の俺たちはたった300人の海兵隊で、10000人の守備隊を打ち破って勝利した。けれどもあの時は敵の守備隊が、たった300人の海兵隊なのだから真正面から戦ってもすぐに決着がつくだろうと高を括っていたおかげで勝利することができたのだ。

 

 そう、あの時の敵は高を括っていた。それゆえに圧倒的な兵力があったにもかかわらず、防衛ラインの兵士たちがぶっ放してきた弾幕は不十分としか言いようがなかったんだ。

 

 だが、俺たちがこれから戦うことになる吸血鬼たちは、高を括っていた敵とは全く違う。

 

 窮地に陥っているせいで、死に物狂いになっている一番恐ろしい敵だ。間違いなくファルリュー島での戦いの経験は全く役に立たない。

 

「―――――――よし。全部隊、撤退する敵部隊を追撃するわよ!」

 

「分かってるな!? 無理に突撃せずに距離を空け続けろ! 敵の戦力を削り取れッ!!」

 

『『『『『うおぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!』』』』』

 

 突撃するなと命令した瞬間、出撃前に鍛冶屋に立ち寄って購入してきたのか、マチェットやスコップを準備していた数名の兵士たちが残念そうな顔をしやがった。

 

 多分、それの出番はないと思うぞ? このままブレスト要塞まで後退させたら、あとは連合軍の王兵隊がひたすらブレスト要塞に砲撃をぶち込むだけになるからな。

 

 突撃させろよと言わんばかりにこっちを見つめてくる兵士たちに向かって苦笑いしているうちに、後方にいたシェリダンたちも合流したらしい。キャタピラとエンジンの音を響かせながら砂の丘から降りていくと、俺たちが側面から攻撃を仕掛けていることに気付いた敵兵が放つ銃弾をことごとく弾き飛ばしながら前進し、対吸血鬼用に水銀を詰め込んだ多目的対戦車榴弾(HEAT-MP)で歩兵の群れをミンチに変えちまった。

 

 シェリダンが搭載している主砲はガンランチャーっていう兵器らしい。ルクレールの主砲よりも旧式らしいが、口径ならシェリダンの方が上だって旦那が言ってたな。今ではガンランチャーを搭載している戦車は殆どないらしいけど。

 

「よし、行くぞぉッ!」

 

「攻撃開始ぃッ!!」

 

 ハーフエルフの分隊長が号令を下した直後、方向を変えたシェリダンの車体を盾にした数名のハーフエルフの兵士たちが、ゆっくりと進むシェリダンの影から身を乗り出してFA-MASで射撃を開始する。

 

 よし、俺も参戦するとしよう。シンヤみたいに作戦を考えるのは苦手だし、俺の妻(カレン)みたいに敵を正確に狙撃するのは無理だ。俺の役割は最前線で弾幕を張って、味方を支援する事なのだから。

 

「じゃあ、支援は頼んだぜ」

 

「分かってるわ。―――――――無茶したら許さないからね、ギュンター」

 

はいよ(ヤー)

 

 マークスマンライフルを抱えているカレンにそう言ってから、踵を返して味方のルクレールと合流する。早くも敵兵や敵の装甲車の機関銃がこっちに向けてぶっ放してきたが、妻の目の前でミンチにされるわけにはいかない。

 

 ハーフエルフの身体は頑丈だから5.56mm弾に被弾した程度では致命傷にならないけど、さすがに7.62mm弾や12.7mm弾を喰らうわけにはいかないのだ。大慌てで突っ走ってルクレールの陰に隠れた途端、敵と平行に移動し始めていたルクレールの装甲にこれでもかというほど銃弾が激突し、跳弾する音を奏でた。

 

 くそったれ、早くも集中砲火か!

 

 セレクターレバーをフルオートに切り替え、陰に隠れている歩兵たちに合わせてゆっくりと移動しているルクレールの車体の影から撃ちまくる。ぶっ放しているとはいえ、照準器を覗き込んでちゃんと狙っているわけではないから命中することはないだろう。こっちに向かって撃ちまくっている敵兵を牽制できればいい。

 

 そう思いながら銀の5.56mm弾をぶちまけてたんだが、後方から立て続けに銃声が聞こえてくる度に、ルクレールの装甲に銃弾が激突する音がどんどん小さくなっていった。

 

「カレン…………」

 

 灰色の砂の丘の上に伏せながらスコープを覗き込んでいる金髪の女性を見た瞬間、俺はニヤリと笑ってしまった。

 

 モリガンの傭兵の1人として、世界中で様々な強敵と死闘を繰り広げていた頃に鍛え上げた彼女の狙撃の技術はまだ健在だった。セミオートマチック式のマークスマンライフルは、狙撃を想定しているボルトアクションライフルと比べると命中精度が低くなってしまうとはいえ、連射速度ではセミオートマチック式の方が圧倒的に上だ。その強みをフル活用したカレンの連続中距離狙撃は、まるで早撃ちをしているのではないかと思ってしまうほどの連射速度で、正確に敵兵の頭に風穴を開けていた。

 

 立ち上がりつつバイポッドを折り畳み、カレンがすぐに移動する。俺たちの後方にある砂の丘の影を突っ走りながら姿勢を低くし、マガジンを交換するカレン。コッキングレバーを引く音を奏でた彼女は銃撃が止まった隙に銃身を丘の影から突き出し、またしてもトリガーを引く。

 

 3点バースト射撃を思わせる速度で数発の弾丸が彼女のMAS49の銃口から飛び出し、装甲車を盾にしていた敵兵のヘルメットを貫通する。吸血鬼の防御力自体は人間とそれほど変わらないため、キメラのように外殻で弾丸から身を守ることはできないのだ。

 

 砕けたヘルメットの中から真っ赤な鮮血とピンク色の肉片が吹き上がり、敵兵が絶命したことを告げる。さっきの一斉射撃で選抜射手(マークスマン)を仕留め切れていなかったことに気付いた敵兵が即座にMG3のフルオート射撃を始めるが、その弾丸が砂の大地を穿つ頃には、カレンは既に移動を始めていた。

 

 さすがにカレンの武装じゃ装甲車を撃破するのは無理だな。

 

『砲撃する。耳を塞げ!』

 

 無線で砲撃を要請しようと思ったんだが、どうやらルクレールの砲手と車長も次の標的をあの装甲車にしたらしい。

 

 分厚い装甲で覆われたルクレールの砲塔が旋回し、後方に撤退しながら機関銃を乱射している装甲車へと照準を定める。敵兵に向けて発砲していた味方の兵士に「耳を塞げ! ぶっ放すぞッ!!」と告げてから、俺も耳を塞いだ。

 

 砲手が発射スイッチを押した瞬間、砲身の中に装填されていた砲弾の炸薬が荒れ狂い、多目的対戦車榴弾(HEAT-MP)を砲身の外へと一気に押し出す。猛烈な轟音や衝撃波を纏って躍り出た獰猛な砲弾は、カルガニスタンの砂漠を覆っていた冷たい風に風穴を開けながら飛翔し、機関銃を乱射していた装甲車に激突した。

 

 メタルジェットがあっさりと装甲を貫き、爆風と対吸血鬼用の水銀が乗組員たちを蹂躙していく。

 

 装甲車の車体が爆発で一瞬だけ浮き、瞬く間に火達磨になった。もし敵兵が絶叫しながら飛び出してきたら風穴を開けてやろうと思ったんだが、炎上している装甲車の中から出てきたのは水銀に身体を貫かれた挙句、黒焦げになりつつある瀕死の吸血鬼だけだった。

 

 その吸血鬼はよろめきながら内ポケットから写真のようなものを取り出すと、それを握り締めてから崩れ落ちた。

 

 ホロサイトから目を離し、息を吐きながら戦車の陰に隠れる。さっきのフルオート射撃で空になっちまったマガジンを取り外し、新しいマガジンを装着する。コッキングレバーを引きながら唇を噛み締め、戦車の装甲で身を守りながら進撃していく。

 

 あんな奴らに情けをかけてたまるか。

 

 確かに、敵兵だって吸血鬼を守るために戦っている筈だ。けれどもあの吸血鬼共は、よりにもよって何の罪もない民間人が乗った豪華客船を撃沈しやがったんだ。情けをかけて生かしてやるわけにはいかない。

 

 産声を上げようとしていた甘い考えをすぐに捻り潰した俺は、再び戦車を盾にしながら銃撃を再開するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 テンプル騎士団の反撃とハーレム・ヘルファイターズの猛攻によって、吸血鬼たちは最終防衛ラインの突破に失敗し、後方のブレスト要塞まで逆戻りすることになった。

 

 もし仮に最終防衛ラインへの攻撃を行わずに、モリガン・カンパニーの宣戦布告が行われた時点で撤退する事を選んでいれば、吸血鬼たちがこのような甚大な損害を被ることはなかっただろう。

 

 タンプル搭へと到達することができなかった挙句、逆に大損害を被る羽目になった吸血鬼たちが再びタンプル搭へと攻撃を仕掛けることが不可能なのは、火を見るよりも明らかであった。

 

 吸血鬼たちを退けることに成功したテンプル騎士団は、襲撃してきた吸血鬼たちとの戦いに勝利したと言っても過言ではなかった。しかし、テンプル騎士団参謀総長であるナタリア・ブラスベルグは、モリガン・カンパニーと殲虎公司(ジェンフーコンスー)の兵力と合流し、即座にブレスト要塞の吸血鬼たちに総攻撃を仕掛ける作戦を立案する。

 

 吸血鬼たちとの戦いに勝利したものの、まだブレスト要塞というテンプル騎士団の”領土”は、敵に占領されたままだからである。

 

 攻勢を仕掛けてきた敵軍に対し、逆に攻勢を仕掛けるのだ。

 

 後に、この戦いから生還した兵士たちやテンプル騎士団の関係者たちから『ブラスベルグ攻勢』と呼ばれることになる、テンプル騎士団史上最大の攻勢が、幕を開けようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ 

 

 ロシア式コイントス

 

ケーター「コイントスしようぜ」

 

タクヤ「おう」

 

ケーター「…………よし、どっちだ?」

 

タクヤ「―――――――フッ」

 

ケーター「?」

 

タクヤ「Ураааааааааа!!(ウラァァァァァァァァァ!!)」

 

ケーター(く、くだらねぇ…………)

 

 完

 

 


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