異世界でミリオタが現代兵器を使うとこうなる   作:往復ミサイル

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残光と切り札

 

 丁字戦法は、簡単に言えば搭載されているほぼ全ての主砲を、単縦陣で突撃してくる敵艦隊の先頭を進む艦へと、味方艦と共に集中砲火をお見舞いする戦術である。

 

 そうすれば、攻撃される敵の艦隊は先頭の艦が邪魔になるせいで後続の艦が反撃することができなくなる上に、攻撃を受ける先頭の艦も前部甲板の主砲しか使用できなくなってしまうため、仮に丁字戦法で攻撃してくる艦隊よりも数が上であったとしても、集中砲火で容易く撃沈されてしまう。

 

 テンプル騎士団艦隊は最大戦速で河を脱出したばかりであったため、単縦陣の状態のままであった。そのままジャック・ド・モレーが先頭を航行し、敵のミサイルを片っ端から迎撃しながら肉薄して、先ほどのミサイル攻撃を迎撃した吸血鬼たちの艦隊を砲撃で撃滅する予定だったのだ。

 

 しかし、吸血鬼たちはテンプル騎士団の超弩級戦艦が肉薄してくるよりも先に、たった3隻のビスマルク級戦艦を投入し、丁字戦法でテンプル騎士団艦隊を迎撃したのである。

 

 近代化改修を受けたビスマルク級戦艦『ティルピッツ』の艦長は、後方のアーレイ・バーク級たちを撃滅するために単縦陣の状態のまま直進するテンプル騎士団艦隊の反応を睨みつけながら、唇を噛み締めた。

 

 このまま敵艦隊の目の前に躍り出た『ティルピッツ』、『ルーデンドルフ』、『ファルケンハイン』の3隻で敵艦隊の先頭を進む超弩級戦艦―――――――おそらく、テンプル騎士団艦隊旗艦『ジャック・ド・モレー』だろう―――――――を集中攻撃で撃沈し、後続の艦隊にも損害を与える予定だが、敵艦隊は対艦ミサイルを使い果たしているとはいえ、8隻も戦艦がいる。しかもそのうちの5隻は40cm砲を搭載した超弩級戦艦であり、敵艦隊の旗艦はヴリシアで戦艦『モンタナ』を撃沈する戦果をあげている。

 

 テンプル騎士団の戦艦ジャック・ド・モレーは、この世界に存在する戦艦の中では最強と言っても過言ではないだろう。逆に、そのジャック・ド・モレーをこの丁字戦法で撃沈することができれば、敵艦隊は最も練度の高井法亢員たちの乗る切り札を失い、かなり弱体化するのは明らかだ。

 

 しかし、いくら集中砲火ができるとはいえ、たった3隻の戦艦で複数の駆逐艦や巡洋艦を引き連れた8隻の戦艦を食い止めるのは困難である。しかも、吸血鬼たちの海軍は未だに練度が低い乗組員が多く、海軍の錬度だけならば、同じく練度の低い新兵が大半を占めているテンプル騎士団と同レベルであったのだ。

 

 ヴリシアの戦いでも吸血鬼たちは艦隊を出撃させたものの、その際に出撃したイージス艦や空母の乗組員たちは吸血鬼ではなく、”徴兵”した人間の労働者や奴隷たちだけだ。しかしその乗組員たちの錬度は、連合軍がヴリシアへと侵攻するよりも前から本格的な訓練や魔物の掃討作戦を行っていたため、今の吸血鬼たちの海軍よりも高かったのである。

 

 更に、今回の春季攻勢(カイザーシュラハト)で最も重要視されたのは、吸血鬼の極めて高い身体能力をフル活用し、圧倒的な機動力で瞬く間に塹壕や防衛戦を突破して、敵の司令部や通信設備を破壊する突撃歩兵たちだった。

 

 ヴリシアでの敗戦の原因は序盤で制空権を確保されてしまったことであるため、空軍も同じく重要視されていた。1人でも多く優秀なパイロットを生み出すためにコストの高い高性能な戦闘機が配備されたため、海軍は次々に”後回し”にされる羽目になったのである。

 

 しかも、テンプル騎士団の本拠地は陸地である。河を上っていけば彼らの軍港まで一気に進軍できるとはいえ、狭い河の中では逆に対艦ミサイルを搭載した敵のコルベットの奇襲や、陸地に展開した大型の自走砲による砲撃で袋叩きにされる恐れがあったため、あくまでも空軍と陸軍が徹底的に艇の地上部隊や航空隊を叩き潰した後に、艦隊が河を上りつつ艦砲射撃で味方を支援することになった。

 

 海軍の役目は、出撃してくるテンプル騎士団艦隊を撃滅する事なのだ。

 

 もしこの丁字戦法で敵艦隊を食い止めることができなかったとしても、後方にはハープーンやトマホークを温存したアーレイ・バーク級たちがいる。場合によっては彼らに支援攻撃を要請する事が可能だ。

 

 更に、アーレイ・バーク級たちの後方には――――――――”切り札”を搭載した、戦艦『ビスマルク』が鎮座している。搭載した切り札のせいで速度が落ちた挙句、攻撃力が半減してしまっているものの、その切り札が投入されれば敵艦隊はほぼ確実に壊滅するだろう。

 

 まず最初に、この丁字戦法で敵艦隊にダメージを与える必要がある。

 

「よし、全艦砲撃用意。目標は先頭の敵戦艦だ」

 

「了解(ヤヴォール)。全艦、砲撃用意!」

 

 単縦陣の状態で直進するテンプル騎士団艦隊の目の前に躍り出た3隻のビスマルク級戦艦に搭載された38cm砲が、一斉に先頭の戦艦ジャック・ド・モレーへと向けられた。

 

 ジャック・ド・モレーやソビエツキー・ソユーズ級に搭載された主砲と比べると攻撃力は劣っているが、一番最初に標的にしたジャック・ド・モレーの前部甲板に鎮座する合計で6門の40cmと、ジャック・ド・モレーの目の前に踊り出し、前部甲板と後部甲板に搭載された全ての砲塔を向けている3隻のビスマルク級戦艦ならば、彼らの方が火力では勝っていると言える。

 

 しかし、艦長が砲撃命令を下すよりも先に、艦橋にいる乗組員が無線で報告してきた。

 

『敵艦が発砲!』

 

「先頭の艦は分かるか!?」

 

『お待ちください。…………おそらく、戦艦ジャック・ド・モレーです! キャニスターの数が他の艦よりも多い!』

 

 CICの内部にあるスピーカーから”ジャック・ド・モレー”という名前が聞こえてきた瞬間、そのジャック・ド・モレーからの砲撃がティルピッツの近くに着弾して水柱を吹き上げた衝撃がティルピッツを呑み込んでいるにも関わらず、CICの乗組員たちがざわついた。

 

 ヴリシアで戦艦モンタナを撃沈し、ボロボロになった状態で艦砲射撃を続けたテンプル騎士団の力の象徴が、一番最初の標的になったのだから。

 

 ジャック・ド・モレーの乗組員たちの錬度は、間違いなくテンプル騎士団海軍の中でも最も高いと言えるだろう。下手をすればたった1隻でこちらの丁字戦法を突破してしまうのではないかと思ってしまった艦長は、敵艦隊の先頭を進む艦の反応を睨みつけながら命令を下す。

 

「砲撃開始だ。あの化け物を海の藻屑にしてやれッ!」

 

「全艦、砲撃開始! 目標、敵艦隊旗艦”ジャック・ド・モレー”!!」

 

 38cm砲の集中砲火でジャック・ド・モレーを撃沈する事さえできれば、敵艦隊は弱体化する。

 

 しかも敵艦隊は対艦ミサイルをもう既に使い果たしている状態であり、主砲の射程距離外に逃げることができれば、対艦ミサイルで追撃される恐れもない。それに対し、ビスマルク級たちはミサイルを使い果たしてしまったものの、アーレイ・バーク級たちはまだ強力なハープーンやトマホークを温存しているのだ。

 

 有利なのは、吸血鬼たちの方である。

 

撃て(フォイア)!!」

 

 甲板に搭載された主砲が、立て続けに火を噴いた。

 

 連装型の38cm砲は、ビスマルク級1隻で8門も搭載している。それを全てジャック・ド・モレーへと向けていた吸血鬼たちが放ったのは、合計で24発もの強烈な砲撃だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 艦橋にいる乗組員が敵艦が砲撃を開始したことを報告した数秒後に、ジャック・ド・モレーの船体が激震する。何かが落下し、分厚い装甲へと叩きつけられる音。砲弾を弾くことができるほど硬い装甲に風穴を開けられる轟音が、CICの中にも流れ込んでくる。

 

 ヴリシアの海戦の際にもその音を聞いていたブルシーロフ大佐は、唇を噛み締めた。

 

 敵の放った砲弾のうちの1発が、いきなりジャック・ド・モレーに着弾したのだ。まだどの部位に命中したのかは不明だが、轟音が聞こえてきた方向は艦首側である。

 

 幸いビスマルク級の主砲は、ヴリシアで一騎討ちをしたモンタナ級と比べれば小型だ。さすがに集中砲火を叩き込まれればひとたまりもないものの、1発被弾した程度でジャック・ド・モレーが行動不能になるのはありえない。

 

「どこに喰らった!?」

 

『第一砲塔の近くです! 戦闘と航行に支障はありません!』

 

『火災も確認できず!』

 

「よし、このまま反撃する! 同志カノン、期待しているぞ!」

 

『お任せください、同志ブルシーロフ』

 

 スピーカーの向こうから聞こえてきたのは、他の乗組員たちと比べると幼い声だった。しかし喋り方はまるで落ち着いた貴族の女性のようで、先に敵の砲弾を喰らう羽目になったというのに、全く狼狽していないことが分かる。

 

 ジャック・ド・モレーの第二砲塔に乗り込んでいるのは、かつてモリガンの傭兵の一員として死闘を繰り広げた、カレン・ディーア・レ・ドルレアンの娘であるカノン・セラス・レ・ドルレアン。普段は中距離用のマークスマンライフルを使用することが多いものの、砲撃も得意としており、彼女の砲撃はほぼ百発百中と言われている。

 

 ヴリシアの戦いでは母であるカレンと共にジャック・ド・モレーの第二砲塔に乗り込み、極めて正確な砲撃で立て続けにモンタナに40cm砲をお見舞いしている。

 

 今回は母親のカレンは乗っていないものの、彼女の砲撃の技術はテンプル騎士団の中で最高と言っても過言ではない。最強の砲手が乗っているのだから、ジャック・ド・モレーが敵艦隊に敗北するわけがなかった。

 

 装填を終えた第一砲塔と第二砲塔が、立て続けに40cm砲を放つ。CICの中にも轟く爆音を聞きながら、この一撃で敵戦艦のどれかの反応が消えないだろうかと思いながらモニターを見つめていたブルシーロフ艦長は、乗組員から「砲撃命中せず」と報告された瞬間、息を吐きながら頭をかいた。

 

 やはり、対艦ミサイルを温存するべきだったのかもしれない。

 

 一応キーロフ級巡洋艦は対艦ミサイルを温存しているものの、砲撃戦の真っ只中にミサイル攻撃を始めれば、味方艦が混乱する恐れがある。それに、こちらにミサイルがまだ残っているという事はまだ隠しておくべきだ。敵艦隊の司令官は、九分九厘こちらの艦隊がミサイルを使い果たしたと思い込んでいる筈なのだから。

 

 その時、またしてもジャック・ド・モレーが揺れる。主砲を発射した時の衝撃というよりは、何かがジャック・ド・モレーの船体に激突した振動だ。またしても被弾したのかと思った彼が目を見開くと同時に、乗組員たちが報告を始める。

 

「3番キャニスターに被弾! 戦闘に支障なし!」

 

「艦首に被弾しました! でも航行に支障はありません!」

 

「くそ、第七副砲も被弾! 火災が発生しています!」

 

「消火を急げ!」

 

 対艦ミサイルを発射し終えたキャニスターと副砲に命中したらしい。キャニスターの方は吹き飛ばされた程度で済んだものの、破壊された副砲(AK-130)の周囲では火災が発生してしまっているという。

 

 それほど大きな損害ではないが、これ以上被弾するよりも先に敵艦隊を撃滅できなければ、袋叩きにされた挙句海の藻屑となってしまうのは想像に難くない。

 

 何とか応戦を続けるジャック・ド・モレーだったが――――――――命中したという報告は聞こえてこない。それどころか、凄まじい衝撃と共に装甲が砕ける轟音が鳴り響き、乗組員たちが被弾した個所の状況を報告してくる声しか聞こえなくなる。

 

「くそ、左舷のグブカがやられました! 装填してあったミサイルも誘爆し、火災が発生した模様!」

 

「後方の敵艦隊がハープーンを発射! 数は8!」

 

「全力で迎撃しろ! 後続の艦隊も左右に散開させ、目の前の3隻を集中攻撃! 急げ!!」

 

 単縦陣のままでは、立て続けに被弾するジャック・ド・モレーが邪魔になるせいで後続の戦艦が敵戦艦を攻撃できない。それよりは単縦陣をやめて艦隊を散開させ、目の前の敵戦艦を集中攻撃して撃沈しつつ、ミサイルを迎撃した方がマシである。

 

 ジャック・ド・モレーの後方を航行していた戦艦『ソビエツキー・ソユーズ』や『ソビエツカヤ・ウクライナ』たちが、まるで被弾し続けているジャック・ド・モレーを追い越そうとするかのように左右へと進路を変更していく。戦艦たちを護衛するソヴレメンヌイ級やキーロフ級たちも同じように進路を変え、ゆっくりと散開していく。

 

 丁字戦法は敵の先頭の艦を集中攻撃できるという利点があるが、敵はたった3隻の戦艦。それに対し、散開して攻撃態勢に入ったのは8隻の戦艦と無数の駆逐艦たち。あの3隻のビスマルク級は、すぐに無数の砲弾に貫かれ、海の藻屑と化すだろう。

 

 そう思った次の瞬間、スピーカーの向こうから、散開を終えて砲撃を始めようとしていた味方の戦艦の乗組員が、旗艦であるジャック・ド・モレーに報告してきた。

 

『こ、こちらソビエツカヤ・ベロルーシヤ! ジャック・ド・モレー、聞こえるか!?』

 

「どうした?」

 

『て、敵艦隊のさらに後方から…………れっ、レーダー照射を受けています!!』

 

「なに? …………アーレイ・バーク級たちよりも後方からか?」

 

『は、はい。距離は――――――――きゅ、958000m先からです!』

 

「なっ…………!?」

 

 ブルシーロフ艦長はぞっとした。

 

 今しがたハープーンを発射した後方の艦隊よりもさらに後方に敵の艦隊が居座っていたのである。しかも、距離は958000m先。ハープーンの射程距離よりもはるかに長い。

 

 敵はそんな距離から、味方の艦をロックオンしていたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 丁字戦法と対艦ミサイルで応戦する味方艦隊の戦いを、その後方で巨大な戦艦が見守っていた。2隻の空母と2隻の重巡洋艦を引き連れたその超弩級戦艦は、丁字戦法で敵艦隊に打撃を与えつつある”ティルピッツ”、”ルーデンドルフ”、”ファルケンハイン”の同型艦だ。

 

 しかし、同型艦であるにもかかわらず、前部甲板に搭載された兵器のせいなのか、他の3隻とは全く雰囲気が異なっていた。

 

 これでもかというほど速射砲やCIWSを搭載しているにもかかわらず、すらりとしている他のビスマルク級たちと比べると、そこに居座っている戦艦『ビスマルク』は、少しばかりがっちりし過ぎていた。

 

 前部甲板に搭載されている筈の連装砲は全て撤去されており、攻撃力は大きく低下している。この状態で味方艦隊の元へと向かい、一緒に砲撃戦を始めたとしても、足手まといにしかならないのは火を見るよりも明らかだ。

 

 だからこそ、ビスマルクは後方で前部甲板の”切り札”を使うのである。

 

 第一砲塔と第二砲塔を撤去した代わりに搭載されているのは――――――――まるで列車砲に搭載されているような長大な砲身を、改造して強引に前部甲板に搭載したような巨大な砲身であった。ビスマルクの艦橋よりもやや低いほどの高さを誇る白銀の砲身は、よく見ると砲身の左右の部分が取り外されており、砲身の内部が露出しているのが分かる。

 

 そのせいなのか、脇から見れば巨大な連装砲のようにも見えた。

 

「敵戦艦、ロックオンしました」

 

 CICの座席に座っている乗組員が、巨大なモニターの前で敵艦隊の反応を睨みつけているアリアに報告する。深紅の派手なドレスを身に纏った彼女は、報告してきた乗組員に向かって頷くと、ロックオンされた哀れな敵艦を見つめて微笑んだ。

 

 本来ならば進路を変えたジャック・ド・モレーを一番最初に狙撃する予定だったのだが、敵艦隊が散開したまま直進を始めたため、前方に展開している艦隊から”はみ出した”敵艦を狙撃することになったのである。

 

「”リントヴルム”、充電開始。現在、充電率10%」

 

「警報を鳴らしなさい。甲板の乗組員を退避させて」

 

「はっ! 甲板の乗組員は、直ちに艦内に退避せよ!!」

 

 警報が甲板の上に鳴り響き、乗組員たちが大慌てで船体のハッチへと飛び込んでいくと同時に、主砲を2基も撤去した代わりに搭載された巨大な砲身が、青白い電撃を纏い始める。徐々に朝日に照らされ始めた海の中で、まるで追いやられた三日月の残光のように煌き始めた。

 

 電撃を纏う巨大な砲身の正体は――――――――ブラドの手によって搭載された、巨大な『50cmレールガン』であった。

 

 従来の主砲どころか、一般的な対艦ミサイルを凌駕する射程距離を誇る上に、ミサイルや砲弾ですら置き去りにしてしまうほどの凄まじい弾速を誇る兵器である。直撃すれば超弩級戦艦の装甲を容易く貫き、そのまま衝撃波で風穴を抉って轟沈してしまうほどの破壊力がある。

 

 その代わりに、サイズが非常に大きいため、搭載する場合は装備を取り外さなければならない上に、速度まで大きく低下してしまうという欠点があった。

 

 そのレールガン(リントヴルム)を搭載したビスマルク級で、味方の艦隊と応戦している敵艦隊を後方から狙撃し、そのまま撃滅するのが吸血鬼たちの作戦であった。最新型のアーレイ・バーク級や近代化改修型のビスマルク級は陽動だったのである。

 

「リントヴルム、充電率70%」

 

「目標、ソビエツキー・ソユーズ級戦艦」

 

「充電率100%。―――――――発射準備よし」

 

 充電を終えたリントヴルムの砲身が、青白い電撃に包まれる。そのレールガンにロックオンされているのは、今しがた左右へと散開し、敵艦隊たちから”はみ出して”しまった、哀れな戦艦ソビエツカヤ・ベロルーシヤであった。

 

「―――――――発射(フォイア)」

 

 アリアが命令を下した直後、ドラゴンの名を冠した超大型レールガンが火を噴いた。

 

 

 

 

 

 

 

 


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