異世界でミリオタが現代兵器を使うとこうなる   作:往復ミサイル

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遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。


変わり果てたネイリンゲン

 

 ネイリンゲンは、オルトバルカ王国の最南端にかつて存在していた田舎の街である。ラトーニウス王国との国境のすぐ近くにある街であったが、実際にラトーニウスからの攻撃によって被害を受けたのはたった一度のみ。しかも周囲には魔物があまり出現しないため、他の大きな街と違って物騒な防壁が建造されることはなく、街の中からでも広い草原が一望できた。

 

 多くの傭兵ギルドの事務所が存在したため、あの田舎の街は”傭兵の街”とも呼ばれていた。今では最強の傭兵ギルドと言われているモリガンも、そのネイリンゲンで産声を上げたのである。

 

 しかし、もうあの街は存在しない。

 

 俺たちが3歳の頃に、転生者たちによる襲撃で壊滅してしまったのである。

 

 当時のモリガンは、”勇者”と呼ばれていた転生者が率いる武装集団と敵対しており、李風さんが率いていた転生者たちと協力して情報収集を続けていた。自分たちの居場所を知られる前に手を打つべきだと判断したのか、勇者が派遣した転生者の部隊がネイリンゲンへを襲撃したのだ。

 

 何とか親父が転生者たちを血祭りにあげたものの、ネイリンゲンは結局壊滅してしまい、俺たちはネイリンゲンの生存者たちと共に王都ラガヴァンビウスへと移り住むことになったのである。

 

 そして、壊滅してしまったネイリンゲンの廃墟は―――――――今では、凶悪な魔物たちは生息する危険なダンジョンと化している。

 

 本来ならば、ダンジョンは”環境や生息する魔物が危険すぎるせいで調査ができていない地域”の総称だ。だから正確に言うと、ネイリンゲンはダンジョンとは言えないのかもしれない。けれども襲撃事件後のネイリンゲンは魔物のせいでほとんど調査されておらず、危険度も周辺のダンジョンよりも高いため、冒険者管理局はこのネイリンゲンだった地域をダンジョンに指定しているのだ。

 

 ラトーニウス王国との国境に一番近い街を失ってしまったことになるが、その失われた街が危険なダンジョンと化してしまったため、ここが完全に調査されて魔物も掃討されない限り、ラトーニウスからの侵略を防ぐ防衛ラインとして機能する。そのため王室や管理局もここの調査には消極的で、ここに近づこうとする冒険者は殆どいない。

 

 しかし、そこに大昔から人類が追い求めていた神秘の天秤が眠っているとしたら、ほぼすべての冒険者がネイリンゲンへと殺到するだろう。

 

 天秤を手に入れれば、願いが叶うのだから。

 

 だが、現時点でその天秤を手に入れる資格を持つのは、俺たちだけである。

 

 もし仮に天秤が保管されている場所を見つけたとしても、3つの鍵がなければ天秤が手に入ることは決してない。だから俺たちよりも先に天秤を奪われることはありえないだろう。

 

「…………」

 

 天秤の在り処が分かったのだから、今すぐにヘリでネイリンゲンへと向かいたいのだが―――――――あそこは危険なダンジョンの1つである。現代兵器を投入しても討伐が難しい魔物が徘徊する危険な場所なのだから、慎重にならなければならない。

 

 そこで俺たちは、ネイリンゲンへと向かう前に偵察機をネイリンゲン上空へと派遣することにした。

 

 出撃したのは、テンプル騎士団で戦闘機として運用しているSu-30SM2機である。機動性が高い機体なので、もし偵察中にドラゴンによる奇襲を受けたとしてもすぐに反撃したり、離脱することが可能だ。

 

 Su-30SMに搭載されたカメラから送られてくる映像が、タンプル搭の戦術区画の中枢に鎮座する中央指令室のモニターへと移し出されている。

 

 荒廃した”傭兵の街”は、俺たちが訪れた時とあまり変わっていないようだ。

 

 崩れ落ちた建物の群れと、まるで自分たちの縄張りだと言わんばかりに大地に刻み付けられた、魔物たちの巨大な足跡。フィエーニュの森で遭遇したトロールに匹敵するサイズの足跡が、空を舞う戦闘機のカメラからはっきりと見える。

 

 かつては市街地だった場所から少し離れた場所には、壊滅する前までは畑だったと思われる地域が広がっている。植えられた野菜たちの面倒を見る住民たちがいないため、かつて畝(うね)だった大地は雑草に覆いつくされたり、巨大な魔物によって踏み潰され、ちょっとしたクレーターのようになっている。

 

 そしてその畑から更に離れたところにぽつんと存在している廃墟が―――――――モリガンの本部だった、フィオナちゃんの屋敷だ。

 

『こちらジェド・マロース1-1。ネイリンゲン旧市街地にトロールの群れを発見』

 

 報告しながら、ジェド・マロース1-1に搭載されたカメラが旧市街地へと向けられる。段々とカメラがズームされていくにつれて、かつては傭兵ギルドの事務所だったと思われる建物の残骸の前を進んでいく巨人たちの姿が、巨大なモニターに投影される。

 

 モスグリーンの皮膚と大量の脂肪に覆われている巨大な人影の頭からは、巨木の枝のように太い頭髪が伸びており、脂肪に覆われた剛腕は一見すると骨と脂肪を皮に詰め込んだだけに見えるが、体重を乗せればドラゴンですら一撃で叩き潰すほどの破壊力を発揮する。

 

 トロールが1体生息するだけでダンジョンの危険度が変わると言われることもあり、討伐に向かった8000人の騎士団を壊滅させたこともあるという。

 

 天空を舞う2機のSu-30SMが発するエンジン音に気付いたのか、街の中心へと進んでいたトロールの群れの中の1体が、地上をカメラで撮影する戦闘機へと手を伸ばしながら、ニヤニヤと笑った。

 

「うっ」

 

 フィエーニュの森で襲われた時の事を思い出したのか、隣に座っているナタリアが凍り付いた。

 

 俺たちが一番最初に調査したフィエーニュの森で、ナタリアは森に生息していたトロールに襲撃され、食い殺されかけているのである。今の彼女ならばトロールの撃退は難しくはないだろうが、さすがにあんな巨大な怪物を怯えずに倒すのはまだ無理なのかもしれない。

 

「フィエーニュの森にいた奴よりもでかいな」

 

「しかも群れを作っているなんて…………」

 

 モリガンの本部で一泊した時に遭遇しなくてよかったと思いながら、映像を見つめる。

 

 どうやら他の魔物と遭遇したのか、それとも街に調査にやってきた冒険者を見つけたのか、先頭を進んでいたトロールが雄叫びを上げたかと思うと、いきなり剛腕で目の前の残骸を思い切り薙ぎ払った。

 

 15年間も放置されていたとはいえ、レンガ造りの倉庫と思われる半壊した建物が、まるで無数のC4爆弾で爆破されたかのように木っ端微塵に吹っ飛ばされる。天空へと舞い上がり、徐々に地上へと落下を始めていく破片の中に混ざっているのは、ゴブリンの変異種と思われる魔物たちの小さな肉片。

 

 魔物の縄張り争いか。

 

「…………さすがに、生身であそこに行くのは危険だね」

 

「戦車で行くか」

 

 トロールの一撃を喰らえば、いくらキメラでも木っ端微塵だろう。キメラどころか最新の戦車ですらスクラップにされかねない。

 

 基本的にトロールの防御力は、それほど高くはない。ドラゴンのような外殻を持っているわけではなく、柔らかい皮膚と脂肪で覆われているだけである。だからハンドガンの弾丸でも皮膚の貫通は容易なのだ。

 

 しかし、トロールを”殺す”のであれば、せめてアンチマテリアルライフルや重機関銃は必要だろう。一番効果的なのはロケットランチャーや大口径の無反動砲。もちろん対戦車ミサイルも有効である。

 

「お兄様、このままジェド・マロース1-1に攻撃を命じるのは? 武装は搭載しているのでしょう?」

 

「ああ、だが止めといた方が良さそうだ。爆音と血の臭いで他の魔物が集まってくるのが関の山だからな」

 

「そうですわね…………」

 

 魔物が徘徊するだけの場所に突入するよりも、魔物たちが激昂して乱闘を繰り広げる真っ只中に飛び込むほうが、当たり前だが難易度は高い。

 

 だから航空機で先制攻撃を仕掛けるのではなく、戦車で突入するべきなのだ。

 

 できるならばヘリ部隊に支援してもらうのが望ましいが―――――――今は、それは愚策としか言いようがない。

 

 確かに戦車で突入し、頭上から戦闘ヘリが機関砲やロケットランチャーの一斉射撃で敵を薙ぎ払ってくれれば、強力な魔物の巣窟もすぐに綺麗になるだろう。今の状態よりもさらに荒廃してしまうだろうが、俺たちは安全に”宝探し”ができるようになる。

 

 しかし、少なくとも”天秤の争奪戦”の真っ只中に、航空支援のための兵力を動かすわけにはいかない。

 

 なぜならば、俺たち以外にも天秤を狙っている奴らがいるからだ。

 

 もしネイリンゲンに大規模な戦車部隊と戦闘ヘリ部隊を派遣すれば、すぐに戦闘は終わるに違いない。しかし、今では特に調べる必要もない上に危険な魔物が徘徊する、何も得をすることがないダンジョンに大部隊を派遣すれば、天秤を狙う他の勢力は「テンプル騎士団は、あそこにある天秤を確保するつもりなのだ」ということを察知するだろう。

 

 そいつらが三流の冒険者や傭兵共ならば返り討ちにするのは容易い。しかし、もしそれを察知して襲い掛かってくるのがモリガンの傭兵たちや、ヴリシアの吸血鬼たちの残党だったのならば厄介なことになる。

 

 下手をすれば、鍵を奪われた挙句、天秤まで奴らに渡すことになりかねない。モリガン・カンパニーとは一応今も同盟関係にあるものの、いつその同盟を破棄して天秤を手に入れようとするか分からない。だからもう彼らは敵だと思うべきだ。

 

 それゆえに、膠着状態を維持しようとしているかのように見せかけるため、可能な限り部隊は動かさない方が望ましいのだ。

 

 だからネイリンゲンには、テンプル騎士団本隊のみで向かう。シュタージにはドローンを使ってバックアップをしてもらおう。

 

「とりあえず、ネイリンゲンには俺たちだけで向かう。シュタージはドローンで―――――――」

 

 作戦を指令室の仲間に伝えようとした、その時だった。

 

 ネイリンゲンを上空から監視している2機のSu-30SMから、ノイズの混じった通信が指令室へと送り届けられたのである。

 

『――――――こちらジェド・マロース1-2。ネイリンゲンの周囲の風速が急激に上がっています。何だこれは…………!?』

 

「どうした?」

 

 風速が上がっている?

 

『分かりません。段々と風が強く―――――――うわ、なんだありゃ!? 下を見てみろ! トロールが!』

 

 もう既にSu-30SMのカメラは下へと向けられており、その映像は指令室へと送り続けられていたからこそ、俺たちはパイロットが地上で起こっていることに気付くよりも先に、何が起きているのかを目にする羽目になった。

 

 段々と大地に砂塵が舞い始めたかと思うと、まるで激流のように北東へと砂塵が流れ始め―――――――縄張り争いをまだ続けていたトロールの群れを、あっさりと飲み込んだのだ。

 

 しかし、トロールの体重は平均で65t。アメリカのM1エイブラムスに匹敵するほどの重量なのだから、その程度の風を浴びてもびくともしないだろう。ノイズが映り始めた映像を見つめながらそう思っていたのだが、砂塵の激流と化した風の中で、踏ん張っていたトロールの巨躯がぐらついたのが見えた直後、その映像を見ていた円卓の騎士たちは一斉に凍り付くことになる。

 

 辛うじて踏ん張っていたトロールたちが―――――――猛烈な風の激流によって、後方へと吹っ飛ばされていったのだ。

 

「―――――――は?」

 

『うわ、トロールが…………!?』

 

『くそ、砂塵で何も見えない! ジェド・マロース1-1、そっちは!?』

 

『こっちも見えない。…………おい、機体が揺れてるぞ!?』

 

『くっ…………偵察を中断し、ネイリンゲン上空より退避するッ!』

 

「りょ、了解。ただちにネイリンゲン上空を離れろ」

 

 無線機に向かって離脱許可を出した俺は、映像が終わったモニターの画面を見つめながら息を吐く。

 

 あの風はなんだ…………!? 3歳までネイリンゲンに住んでたが、あの街をあんな風が襲ったことは一度もなかったぞ…………!?

 

「…………偵察機は無事か?」

 

「は、はい、同志団長。2機とも無事に空域を離脱した模様」

 

「…………ふう」

 

 無事に逃げてくれたか…………。

 

 大切な同志が無事にネイリンゲンを離れてくれたのは喜ばしい事だが、あんな風に嬲られ続けているダンジョンに突入するのは不可能かもしれない。エイブラムスに匹敵する体重のトロールが群れもろとも吹っ飛ばされるほどなのだから、いくら凄まじい重量の戦車でネイリンゲンに突入してもあのトロールたちの二の舞になってしまう。

 

 くそ、虎の子のチョールヌイ・オリョールで突入しようと思ってたんだが、トロールを吹っ飛ばすほどの気流に突っ込んだらチョールヌイ・オリョールでもあっさりと吹っ飛ばされそうだ。

 

 もちろん、猛烈な気流の真っ只中にヘリや戦闘機を飛ばすのは論外である。

 

「ふにゅう、天秤大丈夫かなぁ…………?」

 

「吹っ飛ばされてないといいけど…………」

 

「…………」

 

 あの中に突っ込むのは無理か? 風がなくなるまで待つしかないのか?

 

 頭を抱えながら、とりあえずあの気流がなくなるまで待つのが一番だろうと思ったのだが―――――――テンプル騎士団の軍拡の最中に、試験的に3両のみ生産した”ある兵器”の事を思い出し、すぐにメニュー画面を開いた。

 

 生産済みの兵器の中から戦車を選び、ずらりと並ぶロシア製の戦車の名前の中からその戦車を探し始める。

 

 チョールヌイ・オリョールでは無理だが、あのような環境に突っ込んでもほぼ問題のない化け物が、ロシアの戦車の中には1つだけ存在するのだ。

 

「…………あった!」

 

「何が?」

 

「これだよ! この戦車なら…………!」

 

 タッチした戦車の画像を仲間たちに見せながら、俺はニヤリと笑った。

 

 画面に表示されていたのは―――――――冷戦の真っ只中にソ連が生み出した、鋼鉄の怪物だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なにこれ…………」

 

 ずらりと並ぶチョールヌイ・オリョールたちの隣に居座る異形の戦車を見つめながら、ナタリアはそう言った。彼女には今まで様々な現代兵器を見せてきたし、ちゃんとスペックも説明してきたけれど、多分彼女の目の前に鎮座する戦車はその中で最も変わった形状の兵器かもしれない。

 

 彼女のリアクションを見守りつつ、チョールヌイ・オリョールの隣に鎮座する戦車の正面装甲をそっと撫でる。

 

 まるで楕円形の車体の上に長い砲身の生えた砲塔を乗せたような戦車に見えるが、一番特徴的なのはその巨体の下から伸びるキャタピラだろう。普通の戦車であるならば、車体の左右にキャタピラを搭載しているのだが―――――――目の前に居座る異形の戦車の下部には、武骨なキャタピラが合計で4列も搭載されているのだ。

 

 横に並べた4列のキャタピラの上に楕円形の車体を乗せ、その上に砲塔を搭載した異形の戦車である。

 

 この戦車は、ソ連で開発されていた『オブイェークト279』と呼ばれる”重戦車”だ。

 

 こいつが産声を上げたのは、ソ連とアメリカが繰り広げていた冷戦の真っ只中。当時のソ連とアメリカは凄まじい数の核ミサイルを準備している状態である。その頃、ソ連軍では『核戦争が始まっても戦場に投入できるような重戦車』を開発していた。

 

 その化け物が、この異形の重戦車である。

 

 核ミサイルが着弾した際に生み出す爆風は、頑丈な戦車でさえあっさりと吹っ飛ばしてしまうほど凄まじく、もし仮に核戦争が勃発すればその爆風で多くの戦車が行動不能に陥る危険性があった。

 

 そこでソ連軍は、『核爆発の爆風を喰らっても吹っ飛ばない重戦車』を生み出すことにした。

 

 キャタピラを4列も搭載することで核爆発の爆風を浴びても踏ん張れるようにし、更にその爆風を受け流せるような車体にすることで、吹っ飛ばされて行動不能にならないようにしたのである。

 

 搭載している主砲は、大口径の130mm戦車砲。現代の戦車には効果が薄いかもしれないが、ネイリンゲンの周辺に生息する大型の魔物を木っ端微塵にしてやるには十分すぎる。機銃は14.5mm弾を連射可能なKPVT。こちらもロシア製装甲車の機銃として搭載されるほど強力で、ゴブリンどころかドラゴンまで叩き落せるほどの威力がある。

 

 その代わり、コストが非常に高いという欠点がある。だからなのか、こいつを生産するために消費したポイントは9000ポイント。冷戦中の兵器であるにもかかわらず、最新型のステルス機に匹敵するポイントの量である。

 

 もしかしたらダンジョンの調査で役立つかもしれないと思い、試験的に3両のみ生産していたのだ。

 

 こいつのおかげで、俺たちは天秤の元までたどり着けるってわけだ。

 

 武装は特に変更しておらず、変更したのは照準器やアクティブ防御システムの追加くらいだ。あとは自動装填装置を追加しておいたけど、搭載できる主砲の砲弾がやや少ないため、ぶっ放す際は注意が必要になるかもしれない。

 

 砲塔の上へとよじ登り、ハッチの中へと非常用の武器が入った箱を運び込む。中に入っているのはロシア製SMG(サブマシンガン)のPP-2000で、魔物を刺激しないようにサプレッサーが装着されている。

 

「それで、作戦はどうするの?」

 

 ハッチから顔を出しながら質問してくるイリナ。彼女に手榴弾を渡しながら、俺は作戦を説明する。

 

「まず、気流の影響を受けない位置までカサートカで移動。あそこは草原だから着陸は容易だ。そこで降りたら、こいつに乗り換えてネイリンゲンを目指す」

 

「了解(ダー)。で、天秤を探すときは戦車から降りるんでしょ? 大丈夫?」

 

「シュタージが東西南北に観測用のドローンを飛ばして、気流を観測してくれてる。強烈な気流が接近したら無線で知らせてくれるはずだ」

 

 操縦士を担当するのはステラで、砲手はもちろんカノン。イリナは不服そうだったが、彼女には車長を担当してもらう予定である。実際に戦車の外へと降りて調査をするのは、あの街で生まれ育った俺とラウラとナタリアの3人。すっかり荒廃しているとはいえ、あそこに住んでいたことがあるのだから迷う事はない筈である。

 

 本来なら4人乗りの戦車だが、自動装填装置を搭載してるため3人で大丈夫だ。

 

 とはいえ、気流の中にいる時は戦車の中にいる必要があるため、多分車内は大変なことになるだろう。外にいたら吹っ飛ばされちまうからな。

 

「準備完了ですわ、お兄様」

 

「よし。全員、そのままヘリポートに向かうぞ」

 

 必要なものを車内へと積み込んでから、格納庫の床の上へと飛び降り、仲間たちと共にヘリポートへと向かう。

 

 久しぶりに、みんなで”故郷”に帰るとしよう。

 

 

 

 

 

 

 


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