異世界でミリオタが現代兵器を使うとこうなる   作:往復ミサイル

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砂漠と翼

 

 

 今まで、砂漠にやってきた経験は一度もない。

 

 幼少の頃からドイツ(ドイッチュラント)のバイエルン州で育ち、中学3年生の頃に両親の仕事の都合でオーストリアに引っ越したくらいだ。オーストリアとドイツ(ドイッチュラント)の2ヵ国からは一歩も外に出たことがないのだから、実際に砂漠を歩いた経験などあるわけがない。

 

 それにあの奇妙な端末の説明を受けた後、気が付いたらこの砂漠でぶっ倒れていたのである。だから砂漠越えのために必要な装備やたっぷりと水の入った水筒など身につけているわけがない。身につけているものと言えば、ベルリンにある学生寮へと持ち帰ろうとしていた、どっさりと分厚い教科書を押し込んだカバンのみ。中にはなけなしの金が入った新品の財布が入ってるが、これらが役に立つとは思えない。

 

 どこかで水を売っていないかと思いつつ、額の汗を拭って遠くを見据える。

 

 砂と空だけだ。それ以外をすべて排除してしまったかのような、広大であるにもかかわらずシンプル過ぎる世界。その中を歩く俺は、きっとこの世界からすれば”異物”なのかもしれない。

 

 ああ、そう言えば所持品の中に便利なものが1つだけある。

 

 ジーンズのポケットの中に入っていた真っ赤な端末を取り出し、画面をタッチする。あの真っ暗な空間で受けた説明通りに画面をタッチしていき、生産した武器の一覧の中からあるものをタッチする。

 

 すると、何の前触れもなく腰の右側がほんの少し重くなったような気がした。腰を見下ろしてみると、愛用しているジーンズにはミスマッチとしか言いようがない革製のホルスターがそこに出現していて、その中にはしっかりと”中身”が収まっていた。

 

 木製の部品が埋め込まれたグリップと、コンパクトな本体。そのグリップを軽く握って引き抜いた俺は、その中に納まっていた漆黒の得物を、砂漠を照らす太陽の下に晒す。

 

 端末についての説明を受けた際、”初期装備”として最初に持っていたポイントで生産した、ドイツ製ハンドガンのルガーP08だ。他にも最新型のハンドガンがずらりと並んでいたんだが、この銃には思い入れがあるのでこれを選んだのだ。

 

 俺の先祖は第一次世界大戦で戦闘機のパイロットをしていたらしいのだが、自分の機体に乗り込む時は必ず護身用にナイフとルガーを身につけていたという。戦争が終わってからもずっと隠し持っていたらしく、俺の実家には未だにご先祖様の形見の錆び付いたルガーが保管されている。

 

 そして俺の祖父も、第二次世界大戦でドイツ空軍のパイロットだった。他のエースパイロットには及ばなかったようだが、終戦までに75機も敵機を撃墜したエースパイロットの1人で、俺が小さい時に当時の話を聞くと、いつもこっそり隠し持っていた古びたルガーを撫でながら『イギリスのスピットファイア共をよく血祭りにあげてやった』と誇らしげに話していたものだ。祖父は俺がオーストリアに引っ越してから他界してしまったが、まだ実家にはご先祖様のルガーの隣に、祖父のルガーも一緒に飾ってある。

 

 俺が一番最初に触れた銃はこれだ。幼少の頃から、あの大空で戦った先祖と祖父の武勇伝を聴きながらこの銃に触れていた。

 

 だから一番最初にルガーを選んだのだ。

 

 さすがに先進国の軍が採用している銃に比べると性能は大きく劣ってしまうものの、まだ役には立つはずである。かつて先祖と祖父が手にした得物と同じ銃をホルスターの中に戻した俺は、汗をぬぐいながらひたすら歩き続ける。

 

 しかし、必要な装備や水すら持たずに砂漠を越えられるわけがない。もう既に口の中は熱と中に入り込んだ砂のせいで唾液が枯渇してしまうのではないかと思えるほど乾いており、服に覆われている身体中の皮膚からは汗が溢れ出している。このままでは砂漠を越えるよりも先にぶっ倒れるのが関の山だろう。

 

「…………水」

 

 水が欲しい。

 

 一滴でもいい。もし仮に金塊の山か一滴の水を選ぶことになったら、間違いなく俺は脇目も振らずに一滴の水に飛びつく筈だ。それほど喉が渇いている。

 

 列車の中で購入した水は車内で飲み干してしまったし、カバンの中には何の役にも立たない教科書となけなしの金が入った財布だけ。

 

 どうして俺は砂漠を彷徨わなければならないのか?

 

 あの時、何が起きた? 列車の中でベルリンに到着するのを待っていた時の事を思い出しながら、とにかく歩き続ける。

 

 俺が意識を失ったのは、列車が急ブレーキをかけた直後だった。周囲に座っていた他の乗客たちの悲鳴が聞こえてきたかと思うと、いきなり身体が目の前の座席に叩きつけられ、その直後に何かがひしゃげるような轟音が鳴り響いた。

 

 もしかして―――――――列車事故か?

 

「…………」

 

 いや、おかしい。もし事故なんだったら俺はとっくに死んでいる筈だ。仮に生きていたとしても、手当てを受けてから病室で目を覚ますはずである。なのに俺は怪我をしておらず、何もない真っ暗な空間で変な端末についての説明を受けてから、この砂漠に放り出された。

 

 夢か?

 

 もしかしてこれは、列車の中で眠っている俺が見ている夢なのか?

 

 そう思った瞬間、両足に力が入らなくなった。

 

「うっ―――――――」

 

 拙いな…………。

 

 起き上がろうと思って両腕に力を込めるが、砂に覆われた大地に手のひらを押し付けた両手はそこから身体を起こすという仕事を拒否したいらしく、全く動こうとしない。むしろ俺の体重を支える事すら出いなくなったらしく、再び上半身を熱い砂の上に叩きつける羽目になってしまう。

 

 俺は砂漠で死ぬのか…………。

 

 せめて、祖父や先祖のようにパイロットになりたかったなぁ…………。飛行機のコクピットからこの砂漠を見下ろしたら、きっと綺麗だったに違いない。

 

 飛行機のコクピットに腰を下ろし、操縦桿を握る瞬間を想像しながら、俺は目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつの間にか、身体中を覆っていた汗と忌々しい砂の感触はすっかり消えていた。

 

 誰かが汗や砂を丁寧に拭き取ってくれたからなのだろうか? 瞼を開けるよりも一足先に鼻孔の中へと流れ込んできた空気は、あの砂漠の熱風よりもはるかに涼しくて、微かに香辛料のような香りも含んでいる。

 

 瞼をそっと開けて身体を起こしつつ、やはりあの砂漠に放り出されたのも、奇妙な端末を与えられた体験もすべて夢だったのだと考え始める。きっとここは最寄りの病院の病室だろう。身体にちゃんと力が入るという事は、少なくとも重症という事はなさそうだ。

 

 とりあえず、電話で両親に無事だという事を伝えよう。

 

 そう思いながら周囲を見渡したのだが―――――――起き上がりながら考えていた事を、周囲の光景が全て粉砕してしまった。

 

 確かに俺はベッドの上で寝かされていた。けれども寝かされていたベッドは病院にあるような清潔そうなベッドではなく、ボロボロの布を強引につなぎ合わせて作った即席の毛布のようなものが敷かれてあるだけの簡単なベッドである。

 

 そしてそのボロボロのベッドが置かれている場所も、病室とは思えない。

 

 砂で薄汚れたレンガで作り上げられたような壁と天井。床には外から入り込んできたものなのか、砂や小石が散らばっている。とても怪我人を寝かせておくような場所とは思えない。

 

 小さな窓はあるが、ガラスはない。窓というよりは壁に穿たれたただの小さな穴と言うべきだろうか。身体を更に起こして外を見てみると、あの忌々しい青空と砂の大地に支配された砂漠が外に広がっている。

 

 ここはどこだ? 中東か?

 

「夢じゃない…………?」

 

 こ、混乱してきた…………。

 

 あ、そう言えば俺の持ってた荷物はどうなった!? 一応あの中に財布入ってるぞ!?

 

 慌てて周囲を見渡すと、ベッドのすぐ近くに見慣れたカバンが置いてあった。微かに開いたチャックの隙間からは分厚い教科書が覗いていて、隙間から入り込んだ砂が付着している。

 

 財布は無事なのだろうかと思い、大慌てでカバンを拾い上げる。すぐにチャックを開けて中に入っていた財布を掴み取って中身を確認すると、ちゃんと中身は入っていた。どうやら何も盗まれてはいないらしい。

 

 よ、よかった…………。

 

 財布の中身を見下ろしながら安堵していると、随分と傷だらけの木製の扉が開く音が薄汚い部屋の中に響き渡る。もう既にここが病院の病室ではないと理解していたから、その向こうから姿を現す人物は決して看護婦ではないだろうなとは思っていた。

 

 案の定、扉の向こうから姿を現したのは看護婦ではなかった。真っ黒な軍服にも似た制服に身を包み、頭に灰色のターバンらしきものを巻いた、浅黒い肌の男性だ。制服に覆われた身体はがっちりとした筋肉で覆われており、猛烈な威圧感を放っている。

 

 はっきり言うとその威圧感に少しビビった。でも、俺はそれよりもその男性の”耳”に注目していた。

 

 ―――――――人間と比べると、やけに長いのである。

 

 形状も全く違う。髪型によっては頭髪で隠せるような形状ではなく、まるでエルフのように尖った耳が左右へと伸びているのだ。もしかしたら中東の伝統的な耳飾りでも付けているのだろうかと思ったが、どうやらそれは耳飾りなどではなく、正真正銘の耳らしい。

 

 何だあれ。

 

「気が付いたようだな」

 

「あ、あの、ここは…………?」

 

「ここはテンプル騎士団の”ブレスト要塞”だ」

 

 は? ブレスト要塞?

 

 独ソ戦の序盤で陥落したソ連軍の要塞か? でもここって中東だよな?

 

 も、もう訳が分かりません…………。これ、夢じゃないの?

 

「お前、名前は?」

 

「ええと…………『アルフォンス・オルデンハイン』です」

 

「アルフォンスか…………何であんなところでぶっ倒れてたんだ? まさか、水も持たずに砂漠越えしようとしてたんじゃないだろうな?」

 

「…………い、いや、実はあまり覚えてなくて…………。ベルリン行きの列車に乗ってた筈なんですが、気付いたら砂漠のど真ん中に…………」

 

「はっ? ベルリン? …………聞いたことねえ場所だな。どこだ?」

 

「え? ドイツの首都ですけど…………」

 

「ドイツぅ? おいおい、そんな国ねえよ。お前大丈夫か?」

 

 え…………?

 

 い、いや、ドイツはあるよ? ヨーロッパにちゃんとありますよ? あんたこそ世界地図見たことある!?

 

 もしかして、俺の祖国って中東だと知名度低いのか…………? で、でも、第一次世界大戦と第二次世界大戦で連合国を苦しめたんだよ? 

 

「…………す、すみません」

 

「あ?」

 

 頭に灰色のターバンを巻いたエルフみたいな男性は、ベッドの近くに椅子を置くと、その上に腕を組みながら腰を下ろした。

 

「こ、ここは何という国ですか…………?」

 

「カルガニスタンだ」

 

 かっ、カルガニスタン…………?

 

 アフガニスタンなら聞いたことあるけど、カルガニスタンってどこ………? 失礼かもしれないが、この人こそ頭大丈夫か?

 

 ま、拙い…………本当に混乱しそうだ…………。

 

「まあ、この世界はまだ解き明かされてない場所も多いからな…………それよりお前、腹減ってないか? ライ麦パンとジャガイモのスープがあるから持ってきてやるよ」

 

「…………Danke|(ありがとうございます)」

 

「ん? ダンケ?」

 

「え、ええと―――――――」

 

 そういえば、どうして言語が通じているのだろうか? 今はうっかりドイツ語を話してしまったからなのか通じなかったが、それ以外は全部しっかりと通じていたし、意思疎通もできていた。

 

 どういうことだ…………?

 

 首を傾げようとしたその時だった。

 

『緊急連絡! 緊急連絡! 魔物の群れが要塞に接近中! 非戦闘員は直ちに退避し、戦闘員は速やかに迎撃態勢に入れ! 繰り返す、魔物の群れが要塞に接近中―――――――』

 

「え、魔物―――――――」

 

 なんだそりゃ? 猛獣か何かの事か? 魔物なんてこの世界に存在するわけないだろ?

 

 部屋の中に設置されていたスピーカーから聞こえてきた男性の声を聴きながら、随分と気合の入った悪ふざけだなと思いつつニヤリと笑う。俺の目の前にいる男性もきっとそう思いながら苦笑いしているのだろうなと思ってちらりと見てみたが―――――――頭にターバンを巻いた男性は、笑みなど浮かべてはいなかった。

 

 目つきがすぐに鋭くなったかと思うと、「ここにいろ!」と言いながらいきなり立ち上がり、勢い良く部屋のドアを開けて廊下へと飛び出していった。明らかにあれは仲間の悪ふざけを目の当たりにした表情ではなく、敵の襲来を迎撃するために出撃していく兵士の表情である。

 

 俺の親父もドイツ連邦軍でパイロットをやっているから、兵士がどういう目つきになるのかはよく分かる。

 

 開けっ放しにされたドアの向こうで、ベークライト製のマガジンを装着したアサルトライフル―――――――おそらくロシア製のAK-12だ―――――――を手にした黒服の兵士たちが、大慌てでどこかへと走っていくのが見える。

 

「…………え?」

 

 じ、実戦なのか? 魔物って、何かの暗号?

 

 もしそうなら俺はここでじっとしていた方がいいかもしれない。本当にこれから戦争が始まるのならば、銃弾の応酬が始まる戦場に飛び出すよりも、ここにいた方が生存率は高いからだ。

 

 そう思いながら再びベッドに横になろうとしたその時、壁に穿たれた窓の向こうを、信じられないものが飛翔していた。

 

 赤黒い突起物がいくつも隆起した外殻と鱗に覆われた、巨大な怪物である。

 

 巨大な翼を広げて飛翔するその怪物は、一見するとかつて絶滅した恐竜のようにも見えるかもしれない。けれどもどちらかと言うと、今しがた窓の外を通過していったその巨大生物は、恐竜というよりは―――――――神話や御伽噺の中で、勇敢な戦士と対峙するドラゴンのような姿だった。

 

 一瞬だけだったが、俺はその姿を見ただけで度肝を抜かれた。

 

「ちゅ、中東に、ドラゴン………せ、せっ、生息してるの…………!?」

 

 そんなわけがない。

 

 ごとん、とジーンズのポケットから滑り落ちた何かが、砂だらけの床に転がり落ちる。いつの間にかジーンズのポケットの中に入っていた、あの奇妙な赤い端末だ。

 

 そうだ。俺はこいつを使って、ルガーを生産した。グリップを握った感触は、確かに実家に保管されている先祖と祖父の形見(ルガー)と変わらなかったじゃないか。

 

 これは―――――――現実だ。

 

「くそ…………わけが分からん…………ッ」

 

 確かにわけがわからない。

 

 だが―――――――俺はこの端末で、ルガー以外にももう1つ生産したじゃないか。

 

 目の前にある全ての理不尽を”切り開く”ための、翼を。

 

 かつて先祖と祖父が大空を駆けながら振るった、力を。

 

「…………行くかッ」

 

 端末を素早くタッチし、生産したルガーの入ったホルスターを腰に下げてから、俺も部屋の中を飛び出した。

 

 部屋の外にある通路では、未だにAK-12を手にした兵士たちが自分の配置につくために走り回っている。彼らとぶつからないように気を付けながら通路を進み、とりあえず外を目指す。

 

 あれは、外じゃないと使えないからな。できれば滑走路もあれば理想的なんだが―――――――。

 

 そう思いながらちらりと窓の外を見た俺は、ニヤリと笑った。

 

 窓の外には、ロシア製戦闘機のSu-27やSu-35の群れがずらりと並んでいる。どちらも機動性に優れた高性能なロシア製の機体である。

 

 その戦闘機がずらりと並んでいるという事は―――――――この要塞には飛行場があるという事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タンプル搭に緊急連絡! 救援を要請しろ!」

 

「了解(ダー)!」

 

 まだ未完成の指令室の中で命令を下した司令官は、目の前の巨大なモニターに映し出されている光景を睨みつけながら、唇を噛みしめていた。

 

 偵察のために飛行場から出撃していたSu-30に搭載されていたカメラから送信されている映像に映っているのは、砂嵐と間違えてしまうほど荒々しい粉塵を噴き上げながら砂漠を進軍する、無数の魔物たちの群れであった。

 

 魔物の中でも個体数が多いゴブリンももちろん紛れ込んでいるが、他にも砂漠に適応したゴーレムの変異種や、巨大なサソリのような姿をしたデッドアンタレスまでその群れと一緒に進軍している。非常に危険度の高い魔物ではあるが、あくまでもデッドアンタレスは砂の中に潜み、そこから獲物に奇襲を仕掛けるタイプの魔物だ。いくら獰猛とはいえ、積極的に攻撃を仕掛けるような魔物ではない。

 

 それが他の魔物と一緒に進軍してくるのである。

 

 更にその群れの上空には、まるで彼らを上空から援護しようとしているかのようにドラゴンの群れが集まり、編隊を形成してブレスト要塞へと接近しつつある。

 

 指揮官は、この異常事態の原因をすでに知っていた。

 

 一週間ほど前から、カルガニスタンの砂漠でフランセン共和国騎士団による大規模な魔物の掃討作戦が行われていたのである。二個中隊に加えて精鋭部隊まで投入した大規模な掃討作戦により、近隣の魔物を殲滅する計画のようであったが、どうやら騎士たちの進撃速度が想定より遅かったらしい。

 

 結局魔物たちは騎士たちに縄張りを奪われ、砂漠を北上して逃走する羽目になったのである。

 

 このブレスト要塞が検察されているのは、その北上していく魔物の群れの進路上。つまりテンプル騎士団から見れば、フランセンの騎士たちが取り逃がした魔物の群れを押し付けられたようなものである。

 

(フランセンのバカ共が…………ッ! こっちには民間人もいるんだぞ!?)

 

 民間人も駐留しているため、彼らを守るために守備隊もしっかりと派遣されていた。だが、進軍するだけでちょっとした砂嵐を起こすほどの規模の魔物たちと戦う事は想定外としか言いようがない。

 

「少将、戦闘機を出撃させますか!?」

 

「いや、もう遅い。攻撃ヘリと地上部隊で対処する。タンプル搭から救援が来るまで持ちこたえるんだ!」

 

「―――――――少将、飛行場の1番滑走路から戦闘機が飛び立とうとしています!」

 

「なっ…………!?」

 

 命令が行き届かったのだろうかと思いつつ、少将は目を見開いた。

 

 監視カメラの映像が目の前にモニターに表示される。確かにドワーフの職人たちが用意した滑走路の上には戦闘機らしきものが居座っており、管制室どころか少将も許可を下していないにもかかわらず飛び立とうとしているようだが―――――――その機体は、テンプル騎士団が採用している機体とは形状が違った。

 

 その戦闘機はジェットエンジンではなく、機首にプロペラを搭載した旧式の『メッサーシュミットBf109』と呼ばれる戦闘機だったのである。

 

 

 




新キャラのアルフォンスのハンドガンですが、最初はハンガリーのフロンマー・ストップにする予定でした(笑)

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