異世界でミリオタが現代兵器を使うとこうなる   作:往復ミサイル

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ショタクヤになるとこうなる

 

 

 この異世界に転生してからは、前世の世界ではありえないようなものをたくさん目にしてきた。

 

 アニメやマンガの中でしかお目にかかれない魔術や魔物。そしてその恐ろしい魔物に挑んでいく騎士たちや、未知の世界を調査する冒険者たち。前世では絶対に経験できないことばかりで、物騒な世界だけれどもときめいてしまったのは今でもよく覚えている。

 

 身体は幼かったのに中身は17歳の水無月永人(みなづきながと)だったからなのか、早く成長して、俺も冒険者になってこの異世界を旅してみたいという猛烈な願望をずっと持ち続けていた。普通の子供が持つ〝夢”ではなく、俺のはもっと生々しくて剥き出しの〝願望”。けれどもそれが動力源になったからこそ、厳しい訓練にも耐える事ができた。

 

 そしてありえない光景を何度も目の当たりにし、常軌を逸した能力を持つ強敵を仲間たちとの連携で撃破し、何度も逆境を粉砕してきたんだが―――――――――これは粉砕できないよ、お母さん。

 

「…………なにこれ」

 

 俺の姿を見下ろす仲間たちが様々なリアクションを始める中で、テンプル騎士団のメンバーの中では数少ないまともな仲間のナタリアが、唖然としながら俺の胸中に浮かんでいた言葉を代弁してくれた。

 

 唖然とする彼女を見上げながら、俺は首を傾げる。いつもならナタリアと一緒に立てば、むしろ俺がナタリアをほんの少し見下ろせるくらいの身長差なのだが、今はまるで幼少の頃に両親を見上げていたように上を見なければ、彼女の顔を見ることはできない。

 

 何故か顔を赤くしながら頬を抑える彼女に違和感を感じながら、自分の両手をもう一度まじまじと見つめる。

 

 少女のようにすらりとしていたのに対し、容易く人間の身体を貫いてしまうほどの獰猛な腕力を誇った俺の手は、何だか小さくなってぷにぷにしている。

 

 小さくなっているのは手だけではない。全体的に手足が縮んでいるし、身長も仲間たちを見上げなければならないほど縮んでしまっているのだ。夢だろうと思いながらも近くのテーブルの上に置かれているコップを見てみると、湾曲した表面には赤毛の少女と手をつないだ状態の、蒼い髪の幼い少年の姿が映っているのが見える。

 

 その幼い少年が――――――――今の俺である。

 

 なんだよこれ。

 

 いつも通りにラウラに抱き締められながら目を覚ますんだろうと思いきや、今日はいきなりのしかかられた挙句頬ずりされ、頬に何回もキスされた。母親から遺伝したあの大きなおっぱいが猛威を振るったのは言うまでもない。

 

 いつも以上に甘え始めた彼女に困りながらも辛うじて着替えを済ませ、こうしてお姉ちゃんと一緒に食堂までやってきたんだが、やっぱりみんなのリアクションは予想通りだった。

 

 ちなみに服装なんだが、今の服装は自分の能力で出している。どうやら俺の体格の変化に合わせて自分の着る服のサイズも調整されるというかなり便利な能力らしい。

 

 いつもの転生者ハンターのコートは能力で生産したものではなく、フィオナちゃんが作って親父が着ていたものをアレンジしたものなので、サイズは変わらない。こんな状態で着ても大き過ぎる。

 

「えへへっ。可愛いでしょ♪」

 

「ま、まあ…………」

 

「お姉様、わたくしに抱っこさせてくれませんか!?」

 

「だ、だっこ!?」

 

 小さくなった俺の姿を見て顔を赤くしたカノンが、どういうわけか興奮しながらラウラに迫る。でもな、カノン。残念だけどお姉ちゃんはヤンデレなんだよ。だからそう簡単に俺を抱っこさせるわけがないじゃん。

 

 ねえ、お姉ちゃん?

 

 それにカノンに抱っこされたら、下手をしたらそのまま襲われかねない。さすがにこの身体の状態では全然抵抗できないので、それだけは本当にやめてほしい。平然とエロ本や薄い本を自室に並べているような彼女だから本当にやりかねない。

 

 お姉ちゃん、断るよね?

 

「いいよっ♪」

 

「まあ!」

 

 いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!? か、艦長! 超弩級戦艦ラウラが轟沈しましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

 

 何で許可しちゃうの!? 襲われるかもしれないんだよ!? というか、お前ヤンデレだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?

 

「で、ではさっそく…………ッ! ち、ち、小さくなったお兄様を思う存分…………ッ!」

 

「ひぃっ………………!」

 

 よ、よだれを垂らしながら寄ってくるなよバカッ! お前絶対俺の事襲うつもりだろ!? 抱っこしてからすかさずに部屋に連れ帰って○○○するつもりだろ!?

 

 ラウラにはすでに襲われてるけど、さすがにこの状態で襲われるのはまずい! くそ、なんでハヤカワ家の男は女に襲われやすいんだよ!? これじゃただの草食動物じゃねえか!

 

「そのかわり、お姉ちゃんも抱っこするっ! カノンちゃんは後ろからね♪」

 

「ええ、構いませんわ♪」

 

 は? ラウラも抱っこするの?

 

 何をするつもりなのかと混乱していると、いきなりラウラのすらりとした白い両手に、すっかり小さくなってしまった俺の身体があっけなく持ち上げられてしまった。まるで母親が小さな子供を抱っこしようとしているかのように、俺はそのままラウラに持ち上げられ、大きな胸に押し付けられるかのように抱き締められてしまう。

 

 ああ、柔らかい……………。しかも甘い匂いが………………ッ!

 

 微かに石鹸の香りを孕んだ彼女の甘い香りに包まれ、一瞬で顔が赤くなる。滅茶苦茶幸せなんだが、仲間が見ている前でこんなことをされるのはただの恥でしかない。出来るならばこういう事は2人っきりの時にしてほしいものだ。

 

 顔を真っ赤にしながら抜け出そうと足掻いていると――――――――後方からも、別の甘い香りが襲来した。

 

「こまんちっ!?」

 

「ああ、お兄様ぁ……………小さくて可愛いですわぁ………………ッ♪」

 

 か、カノンか!?

 

 なんという事だ。目の前にラウラに抱き締められている状態で、後ろからはカノンに抱き締められるなんて…………!

 

 ラウラと比べるとカノンの胸は小さいけれど、ステラよりは大きい。きっともう少し成長すればカレンさんみたいにバランスの取れたサイズになることだろう。

 

 と、とりあえず逃げないと…………!

 

「こら、ダメでしょ? お姉ちゃんと一緒にいないとダメなのっ♪」

 

「うふふっ。逃がしませんわよ、お兄様っ♪」

 

 逃げられないよこれ………………。

 

 幸せだけど、滅茶苦茶恥ずかしい……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タクヤっ、あーん♪」

 

「あーん………………」

 

 きっと俺の目はヤンデレのラウラのように虚ろになっている事だろう。確信しながら小さな口を精一杯開け、ラウラが差し出すローストビーフを咀嚼する。

 

 このローストビーフはムジャヒディンのメンバーの1人が勉強して作ってくれたものらしいんだが、今の状況のせいなのか、はっきり言うと味が全然わからない。もしいつも通りに朝食を取ることができて、無事に訓練を終えて戻ってきたのならば、この昼食のローストビーフを存分に味わう事ができただろう。

 

 食堂の椅子はテンプル騎士団のメンバーたちの平均的な体格に合わせて作られている。当然ながらこの騎士団には3歳児なんていないし、仮に難民として受け入れていた中に小さな子供がいたとしても、戦闘員向けのこの食堂で食事を摂ることは考えられないだろう。

 

 何が言いたいかと言うと、この食堂には幼児になってしまった俺の体格に合う椅子がないという事だ。もし仮に座る事ができたとしても手が短いから、奥にある料理まで手が届かない。

 

 なので―――――――――今の俺は、女子たちの思い通りにされている。まあ、主にラウラとカノンの2人にだが。

 

「おいしい?」

 

「うん、おいしいよおねえちゃん………………」

 

 頭上からラウラの声が聞こえてくる。虚ろな目のまま見上げてみると、俺の頭の上にはラウラの大きな胸があり、その奥には満足そうに微笑む赤毛のお姉ちゃんの顔がある。

 

 今の俺は、椅子に上に座るラウラの太腿の上に座らされている状態なのだ。

 

 黒ニーソと太腿の組み合わせは確かに最高だけどさ、せめて仲間の前じゃなくて2人っきりの時にしてよ。

 

「タクヤが小さいです……………! ナタリア、今のタクヤってステラよりも小さいですよね!?」

 

「え、ええ、小さいんじゃない?」

 

「やりました!」

 

 なぜ勝ち誇る?

 

「へえ、タクヤって小さい時はこんな感じだったんだ…………。興味深いなぁ…………♪」

 

 隣へとやってきたイリナが、ニヤニヤと笑いながら俺の頬を指先で突き始める。思わず顔を赤くしてしまうんだけど、テンプル騎士団の爆弾魔と言っても過言ではない彼女の腰のホルスターにはカンプピストルが収まっており、その隣では対人用の小型榴弾が揺れている。

 

 ちょっと待て、何でここまで持ち込んでるんだよ。

 

 青ざめながら顔を上げる俺に、更にテーブルの向こうから追撃をかけるもう1人の人物がいた。

 

 他の女子たちが様々なリアクションをする中で、特にイリナが俺の頬を突き始めた辺りから急に威圧感を俺にだけ集中させている人物がいるのである。テーブルの反対側で腕を組み、人間よりも長い犬歯を噛み締めながら目つきをやけに鋭くしている大男に睨みつけられれば、ドラゴンでも怯えてしまうに違いない。

 

 そう、イリナの兄のウラルである。

 

「あ、あのショタ野郎ぉ…………………ッ!!」

 

 しょ、ショタ野郎!?

 

「ああやってイリナを油断させるつもりだな? くそ、なんてことだ……………ッ! イリナがやられる前に俺が何とかしなければぁ……………ッ!」

 

 お前、もしかしてシスコンだったの?

 

 うわ……………。テンプル騎士団の男性陣全滅じゃねえか。

 

 とりあえず兄貴、落ち着いて。歯ぎしりしながら指を鳴らさないで。こんな状態であんたにぶん殴られたら即死しちゃうから。

 

「ふふっ。小さい頃のお兄ちゃんだっ♪」

 

「お、おい、ノエル……………」

 

 にこにこと笑っていたノエルまで参戦。イリナと一緒に、小さくなった俺の頬を指先でつんつんとつつき始める。

 

 ちょ、ちょっと待って。まだ口の中にローストビーフ残ってるから。噛めないでしょ? だからつんつんつつくのをやめて!

 

「はい、タクヤっ。あーんっ♪」

 

「むぐー!?」

 

 ひ、ひでえ! まだ口の中にさっきのローストビーフ残ってるのに、強引に口の中にフォークごと突っ込んできやがった!?

 

「えへへっ。おいしいでしょ?」

 

「むぐぅ……………」

 

 お願い、いじめないで。ここにいるのはただの3歳児なの。

 

「ところで、なんでドラゴン(ドラッヘ)は小さくなっちゃったのかしら?」

 

「突然変異か?」

 

「ふにゅ……………キメラは突然変異の塊ってパパが言ってたし、たぶんそうかも……………」

 

 いや、俺には心当たりがある。昨日シルヴィアから渡された、あの皺のついたウィッチアップルだ。あれを食った後に違和感のようなものを感じたんだ。その違和感はすぐに消えてしまったが、目を覚ましたらこんな姿になっていた。ということは、あのリンゴが原因である可能性は十分高いといえる。

 

 でも、シルヴィアの言っていたことが本当なら、あのリンゴはサキュバスたちが大昔に好んで口にしていたはずだ。あのウィッチアップルにそんな効果があるなら、サキュバスは幼女だらけのロリコンが大喜びしそうな種族になっているはずである。

 

 どういうことなんだ? とりあえず、シルヴィアに相談してみるか。このままだと本格的に女子に襲われる可能性があるし……………。

 

「とりあえず、あーんっ♪」

 

「むぐぅっ!?」

 

 だからまだ噛んでる最中だろうがぁッ!?

 

「ちょ、ちょっと、ラウラ! タクヤがかわいそうでしょ!?」

 

「ふにゃっ?」

 

 ああ、やっぱりナタリアはまともだ……………。気づいてくれてありがとう、ナタリア。

 

 彼女は食べかけのサンドイッチを皿の上に置くと、ローストビーフを強引に口の中へと突っ込まれ続けていた俺のほうへとやってきて、さりげなく俺の頭を撫で始めた。

 

「まだ食べてる最中なんだから、そんなにたくさん食べさせたら可哀そうよ。もう少し待ってあげなさい」

 

「はーい……………。でも、もぐもぐしてるタクヤが可愛くて……………」

 

「そ、それは……………」

 

 ちらりと俺の顔を見下ろすナタリア。さっきまではしっかり者だという雰囲気を発していた彼女だけど、今の彼女はまるで可愛らしい小動物を目にするかのように、頬を赤くしながら目を輝かせているようにも見える。

 

 ん? もしかして、陥落寸前…………?

 

「つ、次は…………私が食べさせてもいいかしら?」

 

「うん、いいよっ♪」

 

 いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!? ま、また巡洋艦ナタリアが轟沈したぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?

 

 どうやら無意識のうちに口の中のローストビーフを飲み込んでいたらしく、口の中にはソースの香りしか残っていなかった。それにナタリアは気づいたらしく、皿の上にあるサンドイッチを拾い上げると、やっぱり顔を赤くしながら俺の口へと近づけ始めた。

 

「あ、あーん……………」

 

「あーん」

 

 こ、拒めませんよね、これ。

 

 とりあえず口を開けて、差し出されたサンドイッチにかぶりつく。みんなに見られている前でこんなことをされているという恥ずかしさのせいなのか、やっぱり味がわからない。辛うじてレタスの風味が理解できた程度である。

 

「あっ…………た、食べてくれた…………!」

 

 俺は小動物か。

 

「あ、あのねっ、私のことも……………お、お姉ちゃんって呼んでもいいのよ……………?」

 

「ナタリアおねえちゃん?」

 

「………………っ!」

 

 さっそくそう呼んだ直後、ナタリアの顔が一瞬で赤くなる。サンドイッチを差し出していた手もぷるぷると震え始め、しっかりしているナタリアは恥ずかしいのか俺から目をそらしてしまう。

 

「わ、悪くないわね………………」

 

「うん、小さいタクヤも可愛いよねっ♪」

 

 とりあえず、早く元のサイズに戻りたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何とか食事を終え、シルヴィアのいる畑へと向かう。彼女は植物のことには詳しいらしいので、きっとウィッチアップルの効果についても知っているはずだ。あの時効果のことも聞いておけばよかったと後悔しながら廊下を歩く俺の隣には、まるで幼い子供と手をつなぐ母親のように俺の手を握るラウラが、にこにこしながら歩いている。

 

 こんな風に手をつながれたのは、前世の世界でまだ小さかった頃に母さんと出かけた時以来だろうか。こっちの世界に転生してきてからも手をつないでもらったことはあったけれど、ラウラと比べると俺のほうが大人びていた―――――――中身が17歳の男子高校生だから当たり前だ―――――――からなのか、俺よりもラウラのほうが手をつないでもらう回数は多かったような気がする。

 

 幼少の頃に戻ったような気分だが、一応年齢は17歳だ。前世の年齢も含めれば34歳か…………。

 

「なあ、ラウラ」

 

「ふにゅ? どうしたの? あっ、もしかして疲れちゃった? じゃあお姉ちゃんが抱っこしてあげる♪」

 

「い、いや、俺は自分で歩け―――――――――にゃああああああああっ!?」

 

 幼児になっているせいですっかり体重が軽くなった俺は、重い重火器を軽々と扱えるほどのキメラの腕力でたやすく持ち上げられてしまう。ラウラにあっさりと抱っこされた後は、今朝と同じく彼女の頬ずりをされるだけだ。悪くはないんだけど早く元の体に戻りたい。

 

 とりあえず、下してもらえるだろうか。

 

「おねえちゃん、おろしてよ。おれはひとりでもあるけるから」

 

「うふふっ、ダメっ♪ 迷子になったら大変だもんっ♪」

 

「……………じゃあ、このままはたけにいきたいな」

 

「はーいっ♪」

 

 ラウラに抱っこされたまま、タンプル塔の地下にある廊下を進んでいく。このまま誰にも会いませんようにと祈っていたんだが、第一居住区の廊下を進んだ先にある曲がり角から、ムジャヒディンのメンバーだった団員たちと出くわす羽目になり、俺は顔を青くしてしまう。

 

 どうやら訓練が終わった後らしく、彼らの制服からは火薬の臭いがする。マガジンを抜いたAK-12を背負った彼らはラウラを見た瞬間に雑談をやめ、直立して敬礼をするが、彼女が抱っこしている俺を見て目を丸くしているようだった。

 

「お疲れさまであります、同志」

 

「うん、みんなお疲れさまっ♪」

 

「あ、あの、同志ラウラ。……………そのお子さんは、いったい……………?」

 

「ま、ま、まさか……………あなたのお子さんですか?」

 

 ご、誤解されてるっ! お姉ちゃん、誤解されてるよこれ!

 

 何とか弁明してくれ! 下手したら俺がもう腹違いの姉と子供を作ったって変な噂が組織内に広まっちまう!!

 

「えへへっ。この子はね、タクヤなんだよっ♪」

 

「えっ?」

 

「朝起きたら小さくなってたの。ねえ、タクヤ?」

 

「う、うん。……………しんじられないとおもうけど、ほんとうだ」

 

「……………つまり、同志タクヤが同志ショタクヤになったと?」

 

 ショタクヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

 

 てめえ、粛清してやろうか!? それともシベリアに送ってやろうか!? あぁ!?

 

「いいなぁ……………小さくなってお姉さんたちに優しくしてもらえるのかぁ……………」

 

「同志カノンも言ってたけど、おねショタって最高だよな…………!」

 

 カノン、お前仲間に何教えてんの!? 

 

 というか、主力メンバー以外の戦闘員たちも段々とまともじゃなくなっているような気がするんだが、このままじゃ本当に変人だらけの組織になっちゃうんじゃないだろうか。

 

「「「お疲れさまであります、同志ショタクヤ!!」」」

 

「おめえらしゅくせいされたいの?」

 

 くそ、幼児の声でこんなこと言っても全然威圧感がない!

 

 笑いながら立ち去っていく仲間を見送り、ラウラに抱っこされたままため息をつく。ああ、これがテンプル騎士団の初代団長の姿なのか…………。

 

 とりあえず、現時点でも能力は使える。硬化や炎を操るキメラとしての能力も変わらないし、得意だった一瞬での硬化も自由自在だ。さらに転生者の能力も問題なく機能しているから、戦闘力そのものは変わらないんじゃないかと思っていた。

 

 だが―――――――――そんなことはない。

 

 残念ながら、かなり弱体化しているのだ。

 

 メニューを出して今の自分のステータスを確認する。魔物を倒し続けたおかげでレベルが96に達しているというのに、なんと3つのステータスは全て50。そろそろ10000に達するはずだったステータスが、初期ステータス以下にまで下がってしまっているのである。

 

 こんな状態ではいつものような戦闘力は発揮できないし、銃をぶっ放しても反動に耐えられない。いや、それどころか銃を持ったままいつものように移動することすらままならないだろう。

 

 女子に優しくしてもらえるからこのままでいいのではないかとも思ったけれど、これではメサイアの天秤を手に入れることは不可能だし、ヴリシア侵攻作戦がいつ発令されるかわからないのだから、一刻も早く元の姿に戻らなければ。

 

 畑のある広間の扉を開けると、その向こうでは植木鉢に植えられたアルラウネのシルヴィアが、腕から生えているツタを伸ばして野菜に水をあげているところだった。

 

「お疲れさま、シルヴィアちゃんっ♪」

 

「あっ、ラウラさん。お疲れ様ですっ! …………あ、あの、その子は?」

 

「おれだよ、シルヴィア」

 

「あ、あれっ? だ、だ、だっ、団長さんっ!?」

 

 やっぱりシルヴィアも俺のことをラウラの子供だと思っていたらしい。ハヤカワ姉弟の片割れだと気づいた彼女は目を丸くすると、野菜に水をあげるのをやめながら俺に問いかける。

 

「い、いったいどうしたんですかっ!?」

 

「あさおきたらこうなってたんだ。…………たぶん、きのうたべたリンゴがげんいんだとおもう」

 

「ウィッチアップルですか? で、でもあれにそんな効果は…………。あれは魔力の濃度の高い土地で育つリンゴで、人を小さくしてしまう効果はない筈です」

 

「そうなの?」

 

「はい。…………でも、念のため調べてみます」

 

「たのむ」

 

 一刻も元の姿に戻らなければ、親父たちの足を引っ張ってしまうからな。それにこの姿のままだとラウラやカノンに襲われそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ

 

 ラウラが小さくなるとこうなる

 

ラウラ(3歳)「ふにゃ?」

 

タクヤ「うお!?」

 

ナタリア「こ、今度はラウラが!?」

 

ラウラ「あっ、タクヤっ♪」

 

タクヤ(違和感がないんだが……………)

 

ラウラ「タクヤっ、いっしょにおふろはいろうよ♪」

 

タクヤ「!?」

 

ケーター「このロリコン」

 

タクヤ「はぁっ!?」

 

 完

 




※コマンチはアメリカの試作型ステルスヘリです。

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