異世界でミリオタが現代兵器を使うとこうなる   作:往復ミサイル

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タクヤの悪あがき

 

 最初にナイフで切り刻んだ獲物は、何の変哲もないゴブリンだった。

 

 銃で戦う事も重要である。この異世界には銃が存在しないため、魔力を使わずに強力な射撃を連発でコイル銃は、あらゆる戦いにおいて重宝するからだ。それにこの世界の人々は銃を知らないため、対処法も知らない。よほどの難敵が現れない限り、対処するのは不可能だろう。

 

 だが、それだけに頼れば他の転生者たちと同じになってしまう。だから俺たちは何度も、銃を使う事を禁止された状態で、魔物たちに白兵戦を挑んだものだ。

 

 その時に俺は、握りしめたナイフでゴブリンを切り刻んだ。あらゆる冒険者が一番最初に相手にすると言われている弱い魔物を、数多の前例に倣って俺たちも相手にしたのだ。その時にゴブリンをナイフで切り刻んだ時の感覚は、旅に出た後も何度も思い出してしまう。

 

 なぜならば―――――――人間を切り裂く感覚と、全く同じだったからだ。

 

 皮膚の色は違うし、体格も違う。更に知識の量も違うし、ゴブリンは言葉を話さない。なのに、感覚は同じだった。ナイフが皮膚を貫き、筋肉繊維をセレーションでズタズタにして、骨にほんの少し阻まれながらも貫いていく感覚。ゴブリンではなく、相手が人間になっても感覚が全く同じなのである。

 

 偽善者でも、クソ野郎でも同じだ。そしてその前例と同じく――――――――ジョシュアをバラバラにした時の感覚も、全く同じだった。

 

 親父と俺の同時攻撃で、ジョシュアの野郎は見事にバラバラになっていた。身に着けていた防具や制服まで切り刻まれているけれど、あいつが手にしていた魔剣は両断されるのを免れたらしく、魔剣は渡さないと言わんばかりに柄を握りしめているジョシュアの手首から先がぎゅっと握り続けている。

 

「こいつを壊せば…………」

 

「ああ、もうジョシュアは再生しない。ゾンビ共も何とかなる筈だ」

 

 チンクエディアの刀身をそのまま伸ばし、漆黒に染めてから真紅のラインを刻みつけたかのような禍々しい魔剣を見下ろしながら、俺はナイフの中に内蔵されているカートリッジを交換し、点火用の黒色火薬を火皿の中へと注いだ。これで再び、テルミット反応を利用した強烈な一撃が使えるようになる。

 

 レリエル・クロフォードの血と魔力によって汚染されている魔剣だが、テルミット反応を利用すれば破壊できるだろうか? 場合によってはC4爆弾で爆破してしまってもよさそうだ。

 

 そう思いつつ、ナイフの先端にある噴射口を魔剣へと近づけ始めたその時だった。まるで意識を取り戻した人間のように、魔剣の柄を握っていたジョシュアの指がぴくり、と動いたのである。

 

「!!」

 

 咄嗟に、俺は親父の袖を掴みながら後ろへと飛び退いていた。前世でラグビーをやっていたという親父の身体は若い頃からがっしりしていて予想以上に重かったけど、強引に後ろへと引っ張る。

 

「おい、何を―――――――」

 

 俺を睨みつけた親父が抗議しようとした瞬間、魔剣を握っていたジョシュアの手が宙に浮き、まるで腕と繋がっているかのように魔剣の刀身を振り上げたのである。

 

 もしあのまま魔剣を破壊するために留まっていたら、今の予想外の攻撃で頭を下から両断されていた事だろう。使い手は雑魚としか言いようがないが、武器そのものはまさに最強の剣と言わざるを得ない。切れ味も、刀身の耐久性も最高クラス。おそらく、どんな鍛冶職人でもあの魔剣の複製は不可能だろう。

 

「ッ!?」

 

「おい、大丈夫か!?」

 

「あ、ああ………。すまん、助かった」

 

「気にすんな、親孝行ってやつだ。………それにしても、再生が早いんじゃないか?」

 

 ジョシュアの身体はバラバラになった筈だ。まだ再生能力は生きているが、完全に再生するにはまだ時間がかかる筈である。吸血鬼との戦いで経験したことだが、吸血鬼のような再生能力を持つ場合、再生にかかる時間の長さは負った傷の大きさに比例する。例えば、掠り傷ならば一瞬で再生してしまうが、腕を失ったり半身が消滅してしまうほどの重傷を負った場合、再生するのに時間がかかるという事だ。とはいえ、時間がかかると言っても長くて1分程度だろう。大概は30秒以内に完全に再生してしまう。

 

 しかし、今のは明らかに1分くらいはかかるほどのダメージだった筈なのに、まだ10秒も経ってないぞ…………?

 

 こんな状態で再生能力が強化されたのか? いや、あくまでジョシュアは人間だ。あの再生能力は吸血鬼の再生能力が劣化したものだから、吸血鬼の再生能力を上回るとは考えにくい。いくらゾンビから魔力を吸収していたとはいえ、その魔力を使ったオーラはさっきの戦闘で消失していたではないか。

 

『2人とも、気を付けてください!!』

 

 杖を構えながらジョシュアを睨みつけていたフィオナちゃんがそう言うと同時に、傍らにいた母さんとエリスさんも武器を構える。

 

 まだ戦いは終わっていない。予想以上の再生能力だが、何とか隙を見て魔剣を破壊するしかない。

 

 ナイフからアサルトライフルに持ち替え、また射撃で何とかジョシュアを殺すしかないと作戦を考えながら振り向こうとしていた俺は、ジョシュアから離れようとする俺と親父の影を奇妙な形の影が飲み込んでいることに気付き、一瞬だけ止まってしまう。

 

 その影の形状はどうやって例えればいいのだろうか。でこぼこした巨大な球体の表面に、適当に細い手足を何本も植え付けたようなグロテスクなシルエットである。

 

 この影は何だ…………?

 

 ぞくりとしながら後ろを振り返った俺と親父は―――――――そのグロテスクな姿を目の当たりにして、親子で同時にぎょっとした。

 

 バラバラになったジョシュアの死体が転がっていた筈の場所には、そのシルエットの通りの姿をした怪物が居座っていたのである。シルエットだけならば形状が分かるだけだからそれほどショックは受けないけど、実際に姿を目にしてみると、しばらくは夢で見てしまいそうなほどグロテスクな姿をしている。

 

 でこぼこした球体の表面は、黒ずんだ肌色や藍色で彩られていた。中には鮮血のように真っ赤な部位もあるけれど、大半は藍色と肌色だ。それをいくつもつなぎ合わせ、表面から人間の手足を生やしたような異形である。

 

 表面を構成しているのは――――――――俺たちの周囲で蠢いていた、無数のゾンビたちであった。まるでゾンビたちが組体操を始めたかのように一ヵ所に集まり、互いに腐敗したグロテスクな身体を繋ぎ合わせたゾンビの集合体のような姿だ。肌色に紛れている藍色の部分は、ゾンビたちが身に着けているラトーニウス騎士団の制服なのだろう。

 

 その表面からは無数の人間の手足が生え、びくびくと痙攣したり、ゆらゆらと揺れている。そんなゾンビたちの塊の中から生えているのは―――――――見覚えのある、金髪の少年だった。

 

 右手にはいつの間にかあの魔剣を握りしめ、ボロボロになった防具と制服を身に纏いながら、まるでケンタウロスのようにゾンビの塊の中から生えているのである。下半身はすっかりゾンビの塊の中に埋まっているらしく、いきなり分離して奇襲してくるような気配はない。

 

『キモっ…………』

 

「なにこれ…………に、肉団子?」

 

「グロ過ぎだろ………。ねえお父さん、今夜の夕飯はあれにしなよ。きっと未来の妻たちが喜ぶよ?」

 

「馬鹿、腹壊すだろうが。お前こそあれ持って帰って仲間に振るまってやれ。絶対株上がるって」

 

「いや、むしろ大暴落だろ!? 何考えてんだよ!? ゾンビを喰う奴なんて―――――――」

 

 …………あっ、ちょっと待って。喰いそうな奴、テンプル騎士団のメンバーで心当たりがあるんですけど。

 

「…………こ、心当たりあるの?」

 

「あ、あるッス…………」

 

 ステラだったら、「あれ美味しいぞ」って嘘をつくだけで目を輝かせながら飛び掛かりそうだ。くそ、彼女がいてくれたら魔剣もろともジョシュアを平らげてすぐに戦いが終わるのに…………!

 

 というか、ステラの最大の武器って重火器や強力な魔術よりも、あの食欲なんじゃないだろうか? 前もグロテスクな植物型の魔物に「アロエという植物は食用だと聞きました。きっとあれも食べられる筈です」と言いながら襲い掛かってたんだよな………。

 

『ギャハハハハハハハハハハッ! 余所者、俺はまだ死んでないぞ!』

 

「うわあ…………随分とキモい姿になりましたねぇ、ジョシュアさん」

 

 そう言いながら、俺と親父はアンチマテリアルライフルの準備をする。

 

 俺と親父のアンチマテリアルライフルはどちらもかなりカスタマイズされているけれど、どちらも同じくロシア製のOSV-96である。

 

 親父のOSV-96は、使用する弾薬は12.7mm弾のままになっている。ライフル本体の火力では14.5mm弾に弾丸を変更した俺の銃よりも劣るけれど、銃身の下には信頼性と射程距離を犠牲にして搭載したRPG-7がぶら下っている。戦車を破壊できるほどの威力を持つロケット弾と、大口径の銃弾による狙撃を併用できる火力特化型だ。

 

 あの化け物を殺すには、それくらいの火力がなければ足りない…………!

 

『そういえば、遠くにもう1人いるみたいだなぁ…………!?』

 

「!」

 

 ラウラの事か…………!

 

 だが、ラウラの能力を見抜くことはかなり難しい。彼女は小さな氷の粒子を全身に纏って周囲の光景を反射し、氷をマジックミラーのように使って姿を消してしまうし、それを探知するのも困難だ。しかも彼女はスコープを不要とするほど視力が良いし、視界が悪くてもエコーロケーションで強引に索敵して狙撃を行う事ができるのである。

 

 しかもスピードも速いから、狙撃した後の移動はかなり迅速なのである。

 

 先ほどからラウラが狙撃していたから、もう1人遠距離に味方がいるという事を察しているのだろうと思っていたが、にやりと笑ったジョシュアの顔を見た瞬間、俺はぞっとしながら冷や汗を拭った。

 

 こいつ、もしかしたらラウラの狙撃地点を…………!?

 

「拙い、ラウラ! 逃げろ!!」

 

『…………!?』

 

 魔剣を掲げた瞬間、漆黒の禍々しい刀身があの真紅のオーラを纏い始める。だがそのオーラの厚みは、先ほど俺たちと戦っていた時のオーラの比ではない。先ほどまでのオーラが戦車砲ならば、今のジョシュアのオーラは…………戦艦の主砲だ。

 

 しかも、闇属性の魔力が更に濃くなっている…………!

 

 ジョシュアが繰り出そうとしている攻撃の脅威を感じ取ったらしく、狙撃していた地点からラウラが慌てて移動を始める。氷を駆使した擬似的な光学迷彩すら解除して、全ての余計な魔力を封じた状態での全力疾走。本気を出した状態でなければ追いつくのは難しいほどの速さである。

 

 だが、ジョシュアはやはりラウラの狙撃地点を見破っていたらしく、彼女が姿を現した瞬間ににやりと笑った。

 

『消し飛べ、小娘ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!』

 

「ラウラぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 魔剣が振り下ろされた瞬間、目の前が魔剣の発するオーラの光で真紅に染まった。あらゆる景色が真紅の光に塗り潰され、見えなくなってしまうほどの大きさの閃光が、運悪く掠めてしまった草原の草を一瞬で消滅させながらラウラへと向かって疾走していく!

 

 こんな状態になる前でも、ナバウレアの防壁を消滅させるほどの威力があったのだ。増幅されたその攻撃を、いくら転生者の遺伝子を受け継いでいるとはいえキメラが防ぎ切れるわけがない。

 

 ラウラと距離が離れているせいでかばうこともできない俺は、上手く躱してくれ、と祈りながらその閃光を見送る事しかできなかった。

 

 ついにジョシュアの放った真紅の閃光がラウラの走っていた地点の近くに着弾し――――――――核爆弾の爆発にも似たキノコ雲を生み出す。膨れ上がった黒煙は噴き上がった火柱を自分の中へと吸い込もうとしているかのように回転しながら舞い上がると、そのまま少しずつ夜空へと消えていった。

 

「ラウラ? …………ラウラ、応答せよ! ラウラ!」

 

『げほっ、げほっ…………だ、大丈夫。ちゃんと避けたよ』

 

「お姉ちゃん!」

 

 よ、良かった…………! 咳き込んでるみたいだけど、怪我をした様子はないみたいだ。

 

『ふふっ。タクヤのお嫁さんになるまで、お姉ちゃんは死なないからねっ♪』

 

「ああ…………そうしてくれ、ラウラ」

 

 過去に飛ばされて、その過去で命を落としたら笑えないからな。

 

 それに、もしラウラが死んだら…………俺は生きていけないかもしれない。今までずっと一緒にいたパートナーが帰らぬ人になるショックがどれだけ大きいのかは、前世でも経験している。

 

 ずっと俺を支えてくれた母さんが病死した時は…………本当に、俺も母さんの後を追おうとした。あの時は親戚のおかげで何とか自殺せずに済んだけど、もしラウラが命を落とすようなことになったら、俺は今度こそ駄目になってしまう。

 

「くそったれが、ふざけやがってッ!」

 

「待て、タクヤ!!」

 

 ぶち殺してやるッ!!

 

 OSV-96の銃身を持ち上げ、左手でキャリングハンドルを掴みながら照準を合わせる。とはいえ、ちゃんと銃床に方を当てながらスコープを覗き込んでいるわけではないので、命中精度は照準器を覗かずに撃ちまくっている時と変わらない。

 

 ズドン、とアサルトライフルを超える銃声が轟く。キャリングハンドルとグリップを握る腕を凄まじい反動(リコイル)が圧迫しようとするけど、人間よりも強靭なキメラの筋肉が、その反動(リコイル)を払い除ける。

 

 ぶちん、と化け物と化したジョシュアの胴体―――――――正確に言うならば下半身だろうか―――――――から生えていたゾンビたちの手足をいくつか巻き込み、強引にへし折りながら駆け抜けた弾丸が、ジョシュアの身体を直撃した。

 

 元々は対戦車ライフルの弾薬としても使用されていた14.5mm弾の直撃を喰らう羽目になったジョシュアの上半身が、その一撃で無数の真紅の欠片と化した。血飛沫をまき散らしながら弾け飛ぶその中から、原形を留めている欠片を探し当てるのは不可能だろう。

 

 しかし――――――――それでも、まだ断面が蠢く。魔剣の使い手となった男を蘇生させようと、あらゆる生物の特徴を無視するかのように肉や骨が蠢き、徐々にあの神経を逆なでする貴族の少年の上半身がゾンビの塊から再び生える。

 

 くそったれ、再生の速度も上がってやがる………!

 

「だったら!」

 

 白燐弾で焼き尽くしてやる! 燃やしてしまえば再生もある程度停滞する筈だ!

 

 左手を87式グレネードランチャーのグリップに伸ばし、さっそく白燐弾を叩き込もうとしたその時だった。

 

「―――――――」

 

 どん、と何かが俺の腹を突き飛ばしたような気がした。

 

 その瞬間だけは、〝突き飛ばされただけ”だと思っていた。

 

 でも――――――――グレネードランチャーのトリガーを引こうとする左手が動かないのである。まるでどれだけ力を込めても何かに吸い取られているかのように、力が入らない………!

 

「タクヤッ!!」

 

「あのバカ! 下がれぇッ!!」

 

「え―――――――」

 

 なぜ、下がる必要がある? こいつはあんたの妻になる女を弄び、利用してから殺したクソ野郎なんだぞ? 

 

 今だったら殺せる。白燐弾を叩き込み、再生速度を停滞させることさえ出来れば殺せるというのに。

 

 親父、まだ俺は戦える。まだ戦わせてくれ。この時代はあんたの時代かもしれないが、これは俺の戦いだ。

 

 そう思いながら後ろを振り向こうとした時、今度は踵を返そうとする身体がぴたりと動かなくなる。

 

 そこでやっと――――――――腹の辺りで、激痛が生じた。

 

「…………マジかよ」

 

 口の中が一気に血の臭いに支配される。吐血しないようにと必死に歯を食いしばるけれど、身体の中から噴き上がってきた自分の血は容赦がなかった。まるで俺の歯をこじ開けるかのように口の外へと溢れ出すと、顎を伝って下へと落ちていく。

 

 その雫が――――――腐った肉の触手に、遮られる。

 

 その触手が伸びていたのは――――――――俺の腹だった。

 

『ギャハハハハハハハッ! 調子に乗るからだ、クソガキぃッ!!』

 

 ジョシュアの下半身から伸びた1本の触手が、俺の腹を貫いていたのだ。

 

『タクヤ…………? 嘘…………やだ、やだ………タクヤ、逃げて…………!』

 

 ラウラ…………。

 

 ああ、くそったれ。ダメだ、身体が全然動かない。

 

 くそ…………ラウラが泣いてるじゃん…………。

 

 色々と不器用で世話の焼けるお姉ちゃんだと思ったことは何度もあるけど、俺だってお姉ちゃんに心配かけまくってんじゃねえか。落とし穴に落ちたり、雪崩に巻き込まれた度にラウラが泣いていた事を思い出しながら、俺はもう一度歯を食いしばりながら、ジョシュアを睨みつける。

 

 すまん、俺はダメな弟だ。

 

 でも―――――――もう少しだけ、足掻いてもいいかな?

 

『終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁッ!』

 

「タクヤ、逃げてぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

「УРааааааа!!」

 

 死んでたまるか。

 

 ―――――――2回も、死んでたまるか!!

 

 ニヤニヤと笑いながら、ジョシュアがオーラを纏った魔剣を振り下ろしてくる。外殻で防御したとしてもあの切れ味では切り裂かれてしまうだろう。だから、最後の力を振り絞って、ちょっとした賭けをしてみようと思う。

 

 賭けはしない主義なんだ。でも、ここでは賭ける必要がある。

 

 勝てば勝利が手に入る。負ければ命を失う。単純で、もっとも原始的な賭け(ギャンブル)

 

 なけなしの力を込め、両手を蒼い外殻で覆う。そしてその両腕を、振り下ろされてくる魔剣を左右から挟み込むかのように思い切り持ち上げる。

 

 真剣白刃取りだ。俺の動体視力と反応速度を頼りにした、俺なりの悪あがき。

 

 真紅のオーラを纏った魔剣が、徐々に俺の頭上から急降下してくる。あのオーラに触れてしまったら両断されるのではないかと思いながらも、俺はその魔剣を睨みつけ続けた。

 

 勝負だ、ジョシュア――――――!

 

 

 

 

 

 

《エラー発生。規格外の能力を獲得しました》

 

 

 

 

 

 

 

 


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