異世界でミリオタが現代兵器を使うとこうなる   作:往復ミサイル

142 / 534
第8章
シベリスブルク山脈


 

 この世界に転生してからは、血の臭いがかなり身近な臭いになった。

 

 前世の世界では、怪我をしない限りは嗅ぐことのない臭いだろう。だが、あの世界で起きた飛行機事故で死亡し、タクヤ・ハヤカワという少年として転生した俺は、幼少期の頃からこの火薬の臭いと血の臭いを嗅ぎ、狩りと訓練をしながら成長した。

 

 狩りに行って獲物を仕留めれば、その獲物が流す血の臭いと、獲物を仕留めた銃の火薬の臭いが鼻孔を侵食する。前世では非日常的と言えるが――――――この異世界では、日常茶飯事である。

 

 強力な騎士団が街に駐留して治安維持しているものの、どの街も治安が良いというわけではない。街中にギャングや盗賊が潜んでいるのは当たり前だし、時折魔物が街を襲撃してくる事がある。

 

 どれだけ安全な街に住んでいる裕福な人間でも、魔物やごろつきに襲われて殺されるのがあり得る世界。転生したばかりの頃は、魔術が実在する夢のような世界だと思っていたんだが………前世よりも血生臭く、物騒な世界だ。

 

 そんな世界で、敵を蹂躙していき伸びてきた両親に育てられたからこそ、もう人を殺すことを躊躇わなくなったのかもしれない。

 

 血まみれになったナイフを腰の鞘に戻し、床の上に転がる死体の手足をほんの少しだけ蹴飛ばす。切断された少年の片腕がごろん、と転がり、真っ赤になった床の上でまた動かなくなる。

 

 指先に付着した血をハンカチで拭き取った俺は、壁にその血で描かれた文章を見上げながら息を吐いた。

 

《これ以上人々を虐げるならば、お前たちもこうなる》

 

 短い文章の片隅に『切り裂きジャックより』と書き足し、俺は踵を返した。

 

 部屋の中でバラバラにされているのも、転生者の1人だった。どうやら最近この町へとやってきたらしく、端末で作りだしたと思われる能力で警備していた騎士団を蹂躙し、町長を追い出してちょっとした独裁国家を作り上げていたのである。

 

 『奇妙な能力を使う少年が町を乗っ取った』という噂を聞いた俺たちは、すぐにその少年の事を調査し始め、転生者であるという事を確認してから襲撃を仕掛けた。まだレベルの低い転生者であったらしく、町長のものだった屋敷を警備していたごろつきをあっさりと殲滅してから少年をぶち殺すよりも、壁にこのメッセージを書く方が時間がかかってしまったほどの弱さだった。

 

 もちろん、壁に彼の血で書いたメッセージは日本語だ。この異世界の一般的な共通語として使われているオルトバルカ語ではなく、翻訳できる人物もかなり限られる異世界の言語でメッセージを残したのは、これが読める人物へのメッセージであるからだ。

 

 親父が言うには、転生者の大半は日本人らしい。

 

 理由は不明だが、大半が日本人ならばメッセージを日本語で書けば彼らは理解できる。転生者はオルトバルカ語についての知識を得た状態で転生してくるため、俺のように赤ん坊の状態で転生したケースを除けば改めて言語を勉強する必要はない。それに日本語の記憶も残っているから、最初から2つの言語をマスターしているという事になる。

 

 だから、より親しい言語を使って、その〝限定的な連中”へとメッセージを送っているのだ。

 

 異世界の文字だから、この世界の人々では絶対に翻訳することは出来ない。どれだけ有名な考古学者でも、別の世界の言語を翻訳することは不可能なのだ。だから異世界の人々にはただの奇妙な模様にしか見えない。

 

 家で生活していた頃は、親父と秘密の話をする時はよく日本語で会話していた。おかげで母さんたちをかなりびっくりさせることになっちまったが、親父が「ニホン語の勉強の時間だ」と言って誤魔化してくれたから、怪しまれずに済んだけどね。

 

 クソ野郎共へのメッセージを残した俺は、ドアノブを開けて1階へと下りていった。既に廊下を警備していたごろつき共は蜂の巣になっていたり、バラバラになった状態で廊下に転がっている。ただの襲撃者に殺されたならばもっと原形を留めている筈なんだが、これでは人間の面影を残した肉片が転がっているのと同じである。

 

 血生臭い屋敷の中から外へ出ようと、やはり血飛沫が付着したドアを開けた。町を支配していたバカ野郎が惨殺されていれば、すぐに新聞記者たちが記事にしてくれるだろう。もちろん、あの壁の異世界の文字(日本語)も白黒の写真で撮影してくれるに違いない。

 

 そうしてくれれば、この異世界中のクソ野郎共がそのメッセージを目にしてくれる筈だ。『人々を虐げるのならば、お前たちもこうなる』という転生者ハンター(切り裂きジャック)からのメッセージ。ビビって蛮行を止めてくれればいいんだが、続けるような馬鹿な片っ端から狩らなければならない。

 

 そして再びメッセージを残し、あの馬鹿共を恐れさせる。その恐怖が彼らへの抑止力となるのだ。

 

 これで蛮行も減ってくれるだろうかと思いながら屋敷の外へと出ると、甘い匂いを引き連れた夜風が、俺の血生臭い臭いを洗い流した。

 

 火薬の臭いもするが、かなり薄れている。

 

 俺と同じく血生臭い戦場にいるというのに、その甘い香りは、血の臭いの中でも消えることはない。

 

 血の臭いが支配する夜空の下に佇んでいたのは、漆黒の制服に身を包み、銃剣の付いた長大なライフルを肩に担いだ1人の少女であった。

 

 2枚の真紅の羽根で飾られた漆黒のベレー帽の下から覗くのは、炎を思わせる長い赤毛。前髪の下で足元の死体を見下ろすのは、同じく炎を彷彿とさせる赤い瞳。しかし炎を思い浮かべてしまう色にしてはその目つきは冷たく、むしろ目つきだけならば氷を思わせる。

 

 しかしその冷たい目つきは、屋敷の中から出て来た俺を目にした瞬間、一瞬で加熱されていつも目にする優しい目つきへと変わっていった。

 

「あっ、お疲れ様。終わった?」

 

「ああ。早く逃げようぜ」

 

 ラウラが抱き付いてくる前にそう言った俺は、アンチマテリアルライフルのヘカートⅡを肩に担ぐ彼女の手を引くと、一緒に屋敷の塀を飛び越え、仲間たちとの合流地点へと向かう事にした。

 

 この作戦は、ナタリアが立案した作戦である。

 

 まず、ナタリアが警備のごろつきを堂々と襲撃して囮になる。彼女を追撃するごろつき共をカノンとステラが待ち構えている森の中へと誘導して殲滅しつつ屋敷の警備を手薄にしてから、俺とラウラが屋敷を襲撃するという作戦だ。

 

 おかげで、戦闘は5分くらいで終わった。

 

「転生者は強かった?」

 

「いや? 喋ってる間にナイフで喉を斬ったら死んだ」

 

 それだけで、今回の戦いは終わったのである。

 

 強力な力を手に入れて油断していたのだろうが、相手が自分より格上である可能性もあるのだから、当たり前だが油断しないのが鉄則なのではないだろうか。

 

 容易く狩れるのは喜ばしいが、愚かな敵が多過ぎる。

 

 落胆しながら、俺はラウラを連れて走り続けた。

 

 もう、血の臭いは消え失せていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 倭国での九稜城攻防戦の最中に、何とか本物の鍵を手に入れる事ができた俺たちは、親父に追撃される前にエゾを後にして倭国海をDSRVで越え、その向こうにあるオルトバルカ王国の領土の『ヴィラヌオストク』へと到着していた。

 

 ヴィラヌオストクはオルトバルカ王国の最も東に位置する半島で、すぐ隣にはジャングオ民国がある。列強と呼ばれる先進国がある巨大な大陸を貫くかのように位置するこの地域は、オルトバルカ王国の極東地域での橋頭保とも言える。そのためなのか建物の建築様式には東洋の建築様式の影響が見受けられるし、王都からかなり離れているせいで産業革命の影響が少なかったのか、鉄道が走っている様子はなく、道路を走っている馬車も古い物が多い。

 

 オルトバルカ王国の名物であるフィッシュアンドチップスを頬張りながら、片手で頭上のハンチング帽を直す。いくら髪の中に隠れてしまうほどの長さの角とはいえ、感情が少しでも昂れば勝手に伸びてしまうため、キメラにとって角を隠すための帽子やフードは必需品である。

 

 服装はいつものコート姿ではなく、ごく普通の私服と変わらない『ポーランドのレジスタンス』にしている。あのコートを身に着けていても別に問題はないんだが、たまにはフードじゃなくてハンチング帽をかぶりたかったので、服装はあまり目立たないこちらの方を選んだ。

 

 ちなみに服装にもスキルがついており、身に着けるだけでそのスキルを使う事ができるようになる。この服装にも敵が多ければ多いほど自分のステータスが上がるという便利なスキルが装備されているのだが、基本的にコート姿のまま戦うし、仲間と連携ばかりするせいで複数の敵を相手にする事が全く無いので、こっちの服装は俺の私服と化している。

 

 タルタルソースの付いたフィッシュアンドチップスを飲み込み、パブのテーブルの上に置かれていた新聞紙を手に取る。どうやら新しい新聞のようだ。

 

 その新聞紙に記載されている記事の中で一番大きな記事を目にした瞬間、俺はもぐもぐとフィッシュアンドチップスを噛み砕いていた口を、思わず止めてしまう。

 

 ――――――《切り裂きジャック、ヴィラヌオストクへ上陸か》。

 

 あらら、もう記事になってる。

 

「ふにゅ、今日の新聞だね」

 

 パブの隣の席でフライドポテトを頬張っていたラウラが、さりげなく俺の頬に頬ずりしながら新聞紙の記事を覗き込んだ。花と石鹸の匂いを混ぜ合わせたような甘い香りにドキドキしながら、ハンチング帽を押さえつつ俺も記事を凝視する。

 

『昨日、ヴィラヌオストク地方のフラシスブルクを乗っ取り、町民たちを圧政で苦しめていた謎の少年が惨殺される事件が起こった。騎士団の調査では、少年の死体はバラバラにされており、壁には少年の血で奇妙な記号のようなものが描かれていたという。先週にはラトーニウス王国のノルト・ダグズでも同じ事件が勃発しており、同じ犯人による事件ではないかと思われる。なお、この殺人事件の犯人は〝切り裂きジャック”と呼ばれている』

 

 その文章の下には、少年が乗っ取った屋敷の白黒写真が掲載されていて、町民へのインタビューも載っているようだ。インタビューはとりあえず流し読みして隣にいるラウラに新聞紙を渡し、残っていたフィッシュアンドチップスを口の中へと放り込む。

 

 海が近いからなのか、ここのフィッシュアンドチップスは王都のよりも美味いような気がする。食材が新鮮だからなんだろうか。

 

「ふにゅー………切り裂きジャックだって」

 

 他のテーブルでも、これから仕事に行くと思われる労働者の男性たちが新聞紙を読みながら、ハムエッグとトーストを頬張っているところだった。今日の新聞に載った切り裂きジャックが同じパブで朝食を摂っているんだが、もし俺の正体を知ったらここの客はかなりびっくりするに違いない。

 

 だが、無差別にあんな殺し方をするわけではない。あくまで惨殺するのは悪さをする転生者だけ。この世界の人間でも悪さをする奴はもちろんぶち殺すが、血でメッセージを書くのは転生者を殺した時だけにしている。

 

 クソ野郎以外の奴をあんな方法で殺したら、俺もクソ野郎になってしまう。親父に狩られるわけにはいかないし、クソ野郎になるつもりはないので、このルールは絶対に守るようにしたい。

 

「この恐怖が抑止力になってくれればいいのですが………お兄様を侮る輩が多過ぎますわ」

 

「ですが、テンプル騎士団の規模が大きくなれば転生者たちの蛮行も減るかと」

 

 ステラの言う通りだ。今はこれまで通りに天秤を探しつつ、適度に転生者を狩り続けていればいい。

 

 親父のように転生者を狩り続けるのも有効な手段だが、人数が少なすぎるという欠点がある。いくら最強の転生者でも、たった1人で世界中の転生者を皆殺しにするのは不可能だし、転生者は次々にこの世界へとやってくるので全く切りがない。

 

 そこで、俺は恐怖を抑止力にすることで、転生者たちの蛮行を止めようという計画を立てた。人々を虐げ、圧政を続けるような転生者はテンプル騎士団に狩られるという事を知らしめることで、彼らの蛮行を抑制して人々を守るのだ。

 

 そのために、モリガンのような少数精鋭ではなく、大規模な組織にしなければならない。最終的に世界中の諜報員を派遣して情報を入手させ、実働部隊がその転生者を狩るという仕組みにする事が出来れば、俺たちの〝狩り”は効率が良くなるだろう。

 

 親父は自分の能力で造った武器を同志に悪用されることを恐れていたようだが、虐げられた経験のあるもの同士ならば力を悪用しようとはせず、自分たちを虐げていた理不尽な奴らに復讐しようと団結するものだ。俺は親父から様々なことを学んだが、これだけは親父と同じ方法にするつもりはない。

 

「まず、諜報員が欲しい。情報収集のプロを各地に派遣して転生者の情報を入手して………実働部隊が転生者を狩る。これを世界中で出来るような規模にしたいんだが………」

 

「それ、王国の騎士団並みの人員が必要になるわよ………?」

 

 理想的な仕組みを口にするが、向かいの席でバターとストロベリージャムを塗ったトーストを齧っていたナタリアにあっさりとそんな事を言われてしまう。

 

 うぅ………。確かに世界中に諜報員とか実働部隊を派遣できる組織って、この王国の騎士団並みの人員がいなければ実現できねえよな………。実働部隊を少数精鋭にするとアンバランスになるし、諜報員を減らせば肝心な情報が集まらなくなる。

 

 うーん、やっぱり人数を増やさないとダメか。

 

「正式採用のライフルとか考えてたのに………」

 

「へえ? 何にするつもりだったの?」

 

「AK-47とマカロフ」

 

 どちらもロシア製のアサルトライフルとハンドガンである。

 

 他の国に派遣する場合は別の武器にするべきだし、臨機応変に武器を変えた方が効率的なんだが、少なくとも雪国のオルトバルカ王国で戦うならばロシアの銃が適任だろう。気候も似ているし、武器は滅茶苦茶頑丈だからな。

 

「ふにゅ、狙撃手も育成するの?」

 

「ああ」

 

「じゃあ、狙撃手の銃はSV-98にしようよ! 私もあれ使ってたし!」

 

「お姉様、ドラグノフも捨て難いですわよ」

 

 ま、また武器の論争が始まりそうだ………。

 

 とりあえず、テンプル騎士団の人員の事は旅をしながら考えよう。このまま話を続けていたらヤバい。

 

 

 

 

 

 

 

「次の目的地は、ヴリシア帝国ですね」

 

「ああ」

 

 アイテムをコートのホルダーに入れ、ポーチの中身を今のうちに確認しておく。銃のチェックもやっておきたいところだが、街中でこの世界に存在しない銃を見せびらかしたくはないのでチェックは郊外でやろう。アイテムを販売している露店の近くでチェックするのは、あくまでアイテムと接近戦用の得物のチェックのみである。

 

 これから俺たちは、このヴィラヌオストクから更に北に向かい、オルトバルカ王国の領土内で最も危険な場所と言われる『シベリスブルク山脈』を超え、ヴリシア帝国を目指すことにしている。

 

 オルトバルカ王国は国土の4分の1が雪山になっている雪国だ。シベリスブルク山脈は、その雪山の中でも最も高く危険な場所である。山脈の全域が危険なダンジョンにしているされている雪山で、エンシェントドラゴンに匹敵するほど危険な魔物がうようよ生息している危険地帯なんだが――――――最も危険なのは、その魔物よりも環境の方だ。

 

 手前の小さな山脈はごく普通の雪山なんだが、中心部へ近づくにつれて段々と気温は低くなり、常にブリザードが荒れ狂っている。そのブリザードの先にあるシベリスブルク山脈は永久凍土となっており、最深部の最低気温は-102.8度だと言われている。

 

 屈強な冒険者や魔物でもあっさりと凍えてしまう気温だ。しかも山脈の周囲は危険な魔物が徘徊しているため、開拓どころか調査すら進んでおらず、ここを調査しようとする冒険者は数少ない。

 

 ちなみに、オルトバルカ王国ではシベリスブルク山脈をダンジョンだけではなく流刑地にも指定しているらしく、犯罪者はここに追放される事があるという。

 

 俺たちは、今からその山脈を超えようとしているのだ。ちなみに調査が目的ではないので、危険な中心部ではなく外周部を通って反対側へと向かうだけだ。

 

 危険な場所だが、ここを突破すれば隣国のフランセン共和国の植民地がある。そこから船に乗るか潜水艇を使えば、島国であるヴリシア帝国まですぐに向かえるというわけだ。

 

 この危険な場所を通ろうとしたのは、親父たちよりも早くヴリシア帝国に辿り着かなければならないためである。倭国での争奪戦で痛感したばかりだが、親父たちには勝てない。逃げ切ろうとしていたにもかかわらず敗北し、偽物とはいえ鍵を奪われてしまっている。だから遭遇するのではなく、そもそも親父たちと争奪戦をしてはいけない。

 

 だから、最短ルートを通ってヴリシア帝国へと向かわなければならない。

 

「よし、これでいいな」

 

「ちょっと待ちなさい」

 

「ん?」

 

 回復用のエリクサーを胸のホルダーに差し込み終えた俺にナタリアが声をかけてくる。彼女はもう既に準備を終えているらしく、腰には愛用のククリナイフを下げていた。

 

「何だ?」

 

「ねえ、それは何?」

 

「え?」

 

 ナタリアが見下ろしているのは、俺が左足の太腿のホルダーに差し込んでいるやつだろう。

 

「あ、これ? さっき鍛冶屋で買ってきたんだよね」

 

 そう言いながら、俺は太腿のホルダーから伸びる柄を握り―――――中に入っていたスコップを、引き抜いた。

 

 朝食を終えてからアイテムの準備を始めたんだが、その時に近くの鍛冶屋で購入してきたのだ。ちなみにこのスコップはモリガン・カンパニー製で、折り畳み式である。

 

「何でスコップを買ったわけ?」

 

「え? 親父が使ってたし、便利かなって思ってさ」

 

 倭国で親父が使ってたんだよ。戦闘中に何回かスコップで殴られたし、あの親父はラウラの狙撃をスコップで防いでたからな。

 

 あの時、俺もスコップがどれだけ便利なものなのか気付いたんだ。塹壕を掘る時に使うし、ダンジョンの中で使う事もあるだろう。それに武器にもなる筈だ。実際に第一次世界大戦では、接近戦でスコップも武器として使用されていたという。

 

 だから俺も、親父みたいにスコップで敵の狙撃を防げるようになりたいのさ。

 

「た、確かに使ってたわね………」

 

「雪山でも活躍すると思うぜ」

 

 これを購入したのは、親父の影響を受けただけなんだけどね。

 

 親父も使っていたという事を思い出したナタリアが納得している間に、俺はこっそりとラウラの方を振り向くと、にやりと笑いながらウインクするのだった。

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。