☆一輪の白い花   作:モン太

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チャクラの始祖

「やっと厄介な奴を殺せたよ。便意もきっとこんな感じでスッキリするんだろうな!」

 

真数千手の千の拳が振り下ろされた瓦礫には、暁のマントの切れ端が転がるだけだ。

 

「…そ、そんな……アイツぐらいしかまともに戦えてなかったのに…!」

 

「肉片も残らないぐらいに粉々にしちゃった。」

 

「……五影様もチャクラ切れ…もう穢土転生の三代目火影様しかいない!」

 

「おい!…あっちを見ろ!!」

 

「…神樹が……」

 

「……消えていく…」

 

「うんうん。スッキリしたし、順調そうね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………そうかしら。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、真数千手が凍りつき粉々に砕ける。

 

「…え?……え?」

 

空中に投げ出され、呆気に取られてる奴の背後に瞬身で回り込む。

 

「氷遁・崩壊凍結」

 

奴の背中に手を当てれば、粉々に体が消滅する。

 

中から出てきたヤマトさんを抱えて着地する。

 

「大振りな術は破壊力や殲滅力はあるけど、隙も多いのよ。……と言っても、もう死んでしまってる相手に言っても仕方ないわね。」

 

それにしても………

 

「せっかくの暁の一張羅も吹き飛んでしまったわね。」

 

戦争が終われば、また小南にでも貰おうかしら。

 

あれはあれで、結構私の大切な物だし、戦後もあれを着るつもりだから。あれを着ていれば、暁だってわかるから。

 

………まったく。

 

少し、時間凍結のタイミングが遅れてしまった。

 

予想以上に真数千手のスピードが速かった。

 

流石は伝説の木遁忍術……

 

すると、いきなり地面が大きく揺れた。

 

「うわっ!!!」

 

「何だ!?」

 

「四時の方!隕石です!!」

 

見れば10個以上の隕石が降り注いでいた。

 

……あっちの方角はナルト君やマダラが飛んでいった方向だったはず。

 

「なんて数だ!」

 

「うわっ!!」

 

「振動に備えろ!」

 

「向こうで一体何が起きてんだろ!?あんなの異常だよ!!」

 

「ナルトが皆んなへ渡していたチャクラが消え…あのでかい樹も急に消えた…向こうで大きなことが起きているのは確かだ。それもおそらく良くない事が…」

 

「ワンワン!」

 

「なんだと!?」

 

「どうした、キバ!?」

 

「シノ…月だ!月を見てみろ!」

 

「これは…まさか!?」

 

「なんたる事じゃ!!」

 

月に巴模様が浮かんでいた。

 

……まさか、無限月読の準備が整ってしまった!?

 

だけど、神樹は消えたはず……なのにどうして……

 

考えていると突如、月が太陽のような光を放った。

 

眩しッ………

 

思わず目を細める。

 

皆の動きが突如止まる。

 

目が輪廻眼みたいに……まさか…………

 

「くっ…!」

 

また激しい揺れ……!

 

地面から大きな大木が生えてくる。そこから、蔦のような物が生えて人々を絡め取っていく。

 

……何だこれは?

 

私に向かっても伸びてきたので、全て粉々に凍りつかせる。

 

それでも巻き付いてこようとしてくるので、剣気による不可視の刃で切り刻んだ。

 

一人一人を剥がそうにも、取った先からまた巻き付いて埒が開かない。

 

………!?

 

ナルト君達がいる方角から、今までにない程の神性が発生した。

 

こっちで蔦を引きちぎってても仕方ない。根本から叩かないと……

 

新たな神性の発生源に向かって走ろうと一歩を踏み出した瞬間

 

「…え?なにっ!?」

 

地面が無くなった。

 

……いや、地面が溶岩になった。

 

……何でマグマ?

 

咄嗟に空間凍結の足場に立つ。

 

周りに生えていた神樹も無くなっている。……というより、異世界に転移させられた感じか……シンジみたいな事をしてくる。

 

神性は相変わらず感じれる。

 

そちらに向かって、空中を走った。

 

それにしても熱い………幻術でもなく、異空間を口寄せでもしたって訳か?………ただでさえ強かったマダラが六道の力を得たら、こんなことも可能って事ね。

 

あれかな?

 

空中に浮いている3人と、おそらくナルト君の影分身に掴まれている3人。

 

凄まじい神性を放つ存在と対峙しているナルト君とサスケ君。ナルト君は空を飛べるようだ。

 

カカシさんのいる所に合流する。

 

「カカシさん、マダラの姿が随分変わったように見えるのですが………」

 

「君は………」

 

「藍!?」

 

「藍ってば、浮けるのか!?」

 

浮いてるというよりは、立ってるという方が正しい。まあ、いちいち説明はしない。

 

「……まあ、それはいいでしょう。マダラはどうなったんですか?」

 

「話すと長くなるが………要はマダラも利用されていた訳だ、黒ゼツに。」

 

はて?……あの黒ゼツが……

 

ツーマンセルのペアではあったが、殆ど絡みがなかった。結局、一番よくわからないアイツが……

 

でもわからないからこそ、こうして今目の前の脅威になってるのかもしれないわね。

 

「それで、あれが黒ゼツの正体という訳ですか?」

 

「いや、そうじゃない。……黒ゼツがマダラに何かをした結果、あの神のような存在が出てきた。」

 

おそらく、六道仙人の更に上の存在……

 

信じられない程の神性を感じる。

 

五尾の時に感じてた神性が児戯のように感じられる。

 

神性が高ければ、剣気を強力にはなるけど、神性が高いということはそれだけ、相手の力量も高いって事になる。

 

実際、六道仙人化したオビトの相手は時間遅延を使わないと対応できないレベルに達していた。

 

あれとまともにやり合うなら、時間凍結をデフォルトに対応しないと戦えないだろう。神性が増しているから、こちらの攻撃が通りやすくはあるけど。

 

視線の先でサスケ君が天照を使う。

 

だけど、当たり前のようにあの黒炎を振り払う。

 

その隙にナルト君が飛び出す。

 

「動いた!」

 

「くらえ!!」

 

ナルト君が影分身を使い、襲いかかる。

 

「おいろけ 逆ハーレムの術!!!」

 

「え?」

 

思わず、声が漏れてしまった。

 

てっきり、何か秘策があるのかと思ったら、まさかここに来て、相手の意表をつくような術を使うとは……

 

カグヤがナルト君に殴り飛ばされる。

 

まあ、ただの変化の術だけど、決まれば中々だね。

 

とはいえ

 

「……ははは。ナルト君は面白いですね。…意外性ナンバー1忍者は伊達じゃないですね。」

 

乾いた笑いが漏れてしまう。

 

「これが忍の歴史だコノヤロー!!」

 

「……あはは。」

 

カカシさんも苦笑い。

 

だけど、これで隙ができた。

 

「今だ、ナルト!!」

 

「おう!!」

 

ナルト君とサスケ君が手を伸ばす。その間に敵が瞬間移動する。

 

いや、瞬間移動させられた?……ナルト君かサスケ君の能力かな。

 

次の瞬間、世界が変わる。

 

「変わった!?」

 

……雪?

 

景色が一変した。降り積もる雪と雪山。氷河に覆われた大地。

 

「ナルト、サスケ君は!?」

 

「この場所…また移動したのか!?」

 

「…これどっちの術の効果なの、ナルト!?」

 

「え!?えっとこれはたぶん…」

 

「敵の能力でしょう。…最初のマグマの世界と同じ要領で今度は氷の世界に来たんでしょうね。」

 

「一瞬で世界を書き換え、それが実体である事…まるで幻術だよ……これこそ。」

 

それは無い。私は幻術にかからないから。…実際、無限月読だって一切効く気配すらなかった。

 

「今度は氷の世界!?どういう原理?」

 

「とりあえず、下に降りましょう。」

 

氷の大地に降り立つ。

 

「サクラさん、鼻血出てますよ。」

 

指摘してあげると、慌てて鼻を拭うサクラさん。

 

「も、もしかしたら、私達だけこの世界に連れて来られたのかも?」

 

「イヤ…本体のオレはこの世界にいるってばよ…ただサスケは感知できねェ。」

 

降りる時に急に気配が消えたから、あれはサスケ君だった訳か。……まさかやられたとは考えたく無いけど………

 

「うっ!」

 

「「「!!!」」」

 

「………どこだ…?」

 

「オビト…!」

 

「カカシか…」

 

オビトが目覚めた。

 

「オレは…死んだ…はず…」

 

「オレが回復させた………でも…」

 

ナルト君は死者蘇生ができるのか………?

 

いや、雰囲気からしてそうでは無さそう。

 

「マダラは…どうなった?倒したのか?」

 

「イヤ…そうじゃなくなった。」

 

「?」

 

「オレがカンタンに説明すっから!ついでに皆に六道仙人やカグヤのこと…その封印のことも!」

 

「何があったか分からないが…まだ敵は倒していないんだな?なら…そこへオレを連れて行け。その間に話を聞く。」

 

「サスケは感知できねーし…本体がピリピリしてんのもわかる…向こうはあぶねーかもしんねーぞ!?」

 

「私達が足手まといか役に立てるかどうかは分からない。けど、役に立てる時にそこにいないで失敗したくないの。」

 

「どうせそのカグヤってのを倒さない事にはオレ達の世界も終わりだしな。残ってるオレ達だけで足掻いてみるしかないんだ。もうとっくに覚悟は決まっただろ…死ぬ覚悟は。」


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