☆一輪の白い花   作:モン太

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本領発揮

「結界の中で逃げ回るだけだ。」

 

その瞬間、オビトが一瞬で目の前に来る。

 

速い!

 

右手が振られる。

 

身体を逸らして回避する。

 

黒い球が飛んでくる。

 

それを後ろに跳んで回避する。

 

雷遁瞬身よりも遥かに速いね。断然、私よりも速い。

 

「どうした?……デカイ口を聞いた割に逃げるだけか?」

 

「大丈夫。もう眼が慣れたから次は右腕を貰うね。」

 

「…フン、やれるものならな。今のザマでできるとは思えんがな。」

 

再び高速で迫ってくるオビト。

 

「時間遅延」

 

オビトの速度が半減する。

 

これなら、だいぶ目でも追いやすい。

 

この状態でも私の速度は変わらず動けるから、オビトから見れば私が4倍速になったようなものだね。

 

宣言通り、オビトの右腕を狙って、下から氷剣で斬りあげる。

 

宙を舞うオビトの右腕。

 

そのまま剣を振り下ろす。

 

だけど、流石は十尾の人柱力。すぐに黒い球が形態変化し、盾のように広がる。

 

まあ、そんなもの何の役にも立たないよ。

 

私は盾諸共オビトを斬り裂く。

 

オビトの血が飛び散る。体勢を立て直す為にオビトが距離を取ろうとする。

 

即座に氷槍を作り、後方へ逃げるオビト目掛けて投げる。

 

それを黒い球を形態変化させ、棒にして弾いた。

 

流石にそこまで上手くはいかないか。

 

弾かれた氷槍が地面に突き刺さった瞬間、

 

「罪の枝」

 

地面から無数の氷の杭がオビトに向かう。

 

屍骨脈の早蕨の舞のようだ。

 

それを黒い玉を形態変化させて薙ぎ払う。

 

凄い便利だねあの黒い玉。

 

「…………」

 

「…………」

 

お互い無言で睨み合う。その間に飛ばした腕と胸の傷が一瞬で癒えていく。

 

オビトも先程までの油断が無くなった。私の一挙手一投足に注意を払ってる。

 

私は時間遅延の一分のリミットがきた事で、一度動きを止めた為にできた睨み合いの時間。

 

時間遅延

 

もう一度能力を使って、オビトの背後に瞬身で回り込む。

 

その際、正面から斬りつけて回転をかけて背後からも斬りつける二重攻撃を放つ。

 

鮮血が舞う。

 

「くっ!!」

 

オビトが距離を取る。

 

「氷遁・氷精の吐息」

 

イメージしたのは、火遁の術。それを冷気の霧で再現したもの。

 

口から冷気を放つ。

 

黒い玉を盾にして防ぐ。すぐに凍りつくけど、逃げる事には成功したみたい。

 

「さっきのセリフを返してあげるわ。………大きな口を開いても逃げてばかりね。」

 

「……そうでもないぞ!」

 

オビトが指を刺してくる。

 

すると光が……足元を見ると、黒い玉が青白く光っていた。

 

成程、距離を離した際の置き土産か。……如何にも爆発しますって感じね。

 

好都合なので時間遅延を切って、空間凍結に切り替える。

 

視界が光と土煙に包まれ、轟音が響く。

 

オビトもこれで私を殺せるとは思ってないだろう。

 

ゆっくりと煙から出る。

 

時間遅延を使用している間は圧倒できても、切れてる間は、こちらが防戦一方になる。持続時間は一分しか続かない。

 

煙の中や煙から出た瞬間に襲われるかもしれない。だから、気配を気にしながら煙から出た。

 

だが、出てきてみれば、目を丸くしたオビトがいた。

 

「…何故死なない…?……何故無傷だ?……さっきもそうだ。十尾の尾獣玉を無傷で凌いだ……お前はオレの身体に傷をつける事ができた。……仙術が使えるのか?」

 

相当混乱している様子。まあ、時間遅延の隙間を狙われないのは好都合だが。

 

オビトの混乱もわかる。十尾の人柱力。…それは六道仙人と同じだ。

 

九尾の人柱力のナルト君ならともかく、ただの一血継限界が十尾の人柱力に追従どころか圧倒しているのだ。確かに異常だ。

 

だが、やりすぎなんて今更だ。水分身で三尾と戦ったり、五影会談での大立ち回り、オビトにイザナギを使わせる、忍界全域に魂魄を溶かす雪を降らせる等。

 

忍界の状況変化が目まぐるしいから、気が付かれていないが、私だけを注目している人がいればすぐに気がつく。それが大蛇丸なんだろうけど。

 

「……いや、隈取はない。なら、オレと同じ陰陽遁が使えるのか?…だが、千手もうちはの力も持っていない。輪廻眼の力も持っていない。……だとしたら、そもそもお前のその力はチャクラなのか?」

 

おっと、核心に近い考察が出た。だけど、そうやって口からダダ漏れな当たり、混乱が抜け切っていない様子。

 

あまりこれ以上考察されるのも不味い。氷剣を構える。

 

「……!?………フンッ…貴様が如何なる力を持っていようが、接近戦をしなければ問題はない!!」

 

「……おい!誰か結界に取り残されてるぞ!!」

 

「あれは……暁!!」

 

外の連合も気がついたようね。さっきの爆発で気が付かない訳もないか。

 

一瞬、意識は逸れた隙を突くかのように黒い玉を形態変化させて、槍のように伸びてきた。

 

塵遁より流動的に好きな形にできる優れ物。それでいて、エネルギーは尾獣玉以上。

 

時間遅延

 

能力発動は間に合った。だけど、迎撃できない。仕方ない。

 

左手で伸びてきた黒い槍を掴んで握りつぶした。粉々に砕け散り、空気に霧散していく、黒い粒子。

 

オビトがまた動揺する。今度は私が隙を突いて、瞬身で接近して胸を切り裂いた。

 

だが、逆にオビトが冷静になってしまう。

 

直後、オビトの背後に巨大な九尾化したナルト君と四代目火影様が現れる。巨大な仙術螺旋丸がオビトの背中に直撃する。

 

「……藍!!助けに来たってばよ!!!」

 

オビトもすぐに黒い盾を展開する。

 

結界を超えて、急に現れたことから飛雷神の術か……

 

「「オオオオオオ!!!」」

 

螺旋丸と黒い盾が同時に爆発し、両者吹き飛ぶ。

 

「硬ってーなぁ、あの黒いの!くっそー!!今度はガードされちまった。」

 

「やはり読まれていたな………飛雷神一辺倒の作戦では苦しいな…」

 

「あの黒いのぶっ壊すしかねーってばよ!」

 

「……どうする?」

 

「よォ〜〜しィ…!なら次はァ、この尾獣玉に仙術を加えてやるってばよ!」

 

「よし!いいぞ!」

 

「そっちの九喇嘛も協力してくれ!」

 

「そうこなくっちゃね!」

 

九尾化したナルト君が尾獣玉を作る。

 

私もナルト君の元へ駆け寄ろうとした時に事態は急変した。

 

オビトが両手を合わせる。

 

「始めようか。」

 

オビトの体から何かが出てくる。

 

さっきの大木よりも更に大きい。

 

結界が解かれた。次の瞬間、それが一気に樹木となって襲いかかってきた。


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