☆一輪の白い花   作:モン太

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共闘

途中目に映った白ゼツを万華氷で射抜きながら、夜通し飛び続けていた。

 

既に朝日は登ってる。

 

強い神性二つがイタチと長門に接触したのを感じる。

 

ナルト君とビーさんね。あと小南も近付いてる。

 

戦闘の上空までやってきた。長門の口寄せ動物とそれに乗るイタチ。その背後には長門。睨み合うようにナルト君がいる。

 

何だか黄金に輝いてる。ますます神性が大きくなったね。……つまり、九尾の力をコントロールできるようになってきたのかな?

 

ビーさんの持ってるあれは鮫肌。……つまり鬼鮫さんはもう亡くなったって訳ね。

 

今の私は暁の裏切り者だ。きっと鬼鮫さんと戦う可能性があった。それが無くなってよかったのかもしれないけど、私を大事にしてくれた人が亡くなるのはやっぱり悲しいね。

 

俯瞰しているとクルッとイタチが上空の私の方を見てきた。

 

その瞬間、私の全身が黒い炎に包まれる。

 

これが天照。

 

焦点が合うだけで発火する消えない黒炎。光の速度なら確かに魔鏡氷晶と同じく、回避は無理だね。それでいて、消えない黒炎なんて反則もいいところだ。

 

「接触凍結」

 

天照の黒炎を凍らせる。

 

ズルッと黒炎を凍らせた黒い氷が落ちる。

 

一瞬だったから、特に火傷もない。

 

カブトめ…………穢土転生を減らされた事で私を確実に排除しにかかったな。

 

イタチと長門が私の雪を受けて無事って事は、多分スサノオを使ったのかな。

 

地面に降り立つ。

 

「お前ってば、暁!」

 

ナルト君とビーさんが警戒する。

 

「天照を凍らせるとは、相変わらず規格外だな、藍。」

 

まあ、天照なんて神性の塊。寧ろ普通の炎よりも簡単に凍らせれる。

 

「イタチに言われたくないわね。」

 

近付いてきたナルト君が私の顔を見て指差してくる。

 

「あー、お前ってば藍!!」

 

「お久しぶりです、ナルト君。」

 

「ん?……暁にその声って、まさか!」

 

お面を取り出す。

 

「これの事ですか?」

 

「そうそう、それって!!!」

 

と話していると、イタチがナルト君の方に視線を向けようとしている。

 

天照か?…今度はナルト君狙い。

 

「さて、どうなるか……」

 

「ナルト君、天照が来ますよ。」

 

次の瞬間、ナルト君の口からカラスが出てきた。

 

「ヴヴヴ〜〜〜」

 

「カァーーー!!」

 

「やはり出たか…」

 

「ヴゥオオエエッ!!」

 

「カァーーー!!」

 

「な……なんでオレの口からカラスが…出てくんだよォ…」

 

イタチの術かしら?だとしたら………

 

「!?」

 

イタチの身体がびくりと動いた。

 

だが何も起こらない。

 

「天照じゃないのか?」

 

「こうなったか…」

 

「…どうなったんだ?」

 

長門の口寄せ動物に黒炎が発生する。

 

「え?…天照を外した?」

 

あのカラス…

 

左目が万華鏡写輪眼だ。

 

その眼とイタチの目が合ったタイミングでイタチの身体がビクッと動いた。

 

つまり、これはイタチが自身に幻術をかけて、カブトの支配から逃れたって事?

 

「あのカラス……お前のだな。あのカラスで何をしたんだ!?」

 

「上手くいった…」

 

「ああ…そういう事か……」

 

長門も理解したようだ。

 

長門にも黒炎がつく。

 

イタチがこちらにやってくる。

 

「うわ!来た!!」

 

「落ち着け…もうオレは操られていない。この敵の術の上に新たな幻術をかけた。よって穢土転生の術は打ち消された。『木ノ葉を守れ』という幻術だ。」

 

「!?」

 

「そのカラスは………オレの万華鏡写輪眼に呼応して出てくるように細工しておいたものだ。もしもの時の為にな…」

 

「どういう事だ。」

 

「そのカラスの左眼に仕込んでおいたのだ…うちはシスイ 万華鏡写輪眼 最強幻術 別天神!」

 

カラスの眼が普通の写輪眼になった。

 

「その幻術でオレは元に戻った。どうやらもう万華鏡は切れたようだが…」

 

一旦、話を止める。

 

「私は長門の相手をしておくわ。イタチはもう少し、ナルト君と話してて。」

 

視線の先で長門が神羅天征で黒炎を飛ばしていた。

 

「ああ、頼んだ。」

 

瞬身で長門の所に行く。

 

完全に意識がカブトに乗っ取られてる。

 

「氷遁・万華氷」

 

「神羅天征!!」

 

射出した氷柱が砕ける。

 

神羅天征は5秒のインターバルが必要。5秒も有れば、私の速力なら近付くのも簡単。

 

一気に接近する。

 

「修羅道!!」

 

腕が6本増える。

 

成程、それで対応しようと言うわけね。

 

更に腕から誘導弾が飛んでくる。

 

これって、千本で迎撃しにくいんだよね。

 

「氷遁・万華氷」

 

なんとか全て撃ち落とす。だけど、全ての弾が爆発して視界を遮る。

 

まあそれは構わない。感知できるし、ただ問題は……

 

長門に斬りかかる。

 

「神羅天征!!」

 

5秒以上かかってるんだよね。

 

吹き飛ばされる。

 

空中で姿勢を変えて木に着地する。

 

「小南!!」

 

大声で叫んだ瞬間、長門に向かって大量の起爆札が降り注ぐ。

 

ナイスタイミング。この距離じゃ突っ込んでもまた神羅天征で飛ばされるからね。私と小南でロッテ戦術に徹すれば、片方が神羅天征を引き受ければいいだけだから楽だ。

 

長門はパンダを口寄せして盾にしていた。

 

「藍、これはどういう状況なの?」

 

「長門が穢土転生の術で操られてるの。」

 

「小南!?」

 

「ナルト、話は後にしろ。」

 

長門がビーさんの所へ向かう。

 

「カンタンにはいかねーぜバカヤロー!コノヤロー!」

 

ビーさんが赤黒いチャクラを纏う。

 

尾獣化か……

 

「雷犂熱刀!!!」

 

ビーさんのパンチが入る。

 

「餓鬼道!」

 

あれは長門のチャクラ吸収。

 

随分と血色が良くなったわね。

 

「ビーのオッチャン、大丈夫か!?」

 

ナルト君が加勢に入るけど、カメレオンに捕まる。

 

「人間道!」

 

不味い!

 

あれは魂を抜き取って相手を殺す技!

 

ナルト君が抵抗して、螺旋丸を放つが餓鬼道に吸収される。

 

長門の背後に閻魔像が現れる。

 

カブトめ。ナルト君の魂を回収して、封印する気か……

 

ビーさんと小南も加勢するが、修羅道に絡め取られる。

 

輪廻眼は厄介ね。

 

口寄せ輪廻眼

 

視界共有を潰す。

 

千本を投げて、口寄せ動物の輪廻眼を射抜く。

 

「イタチ!!」

 

「ああ!」

 

スサノオの手刀が長門に叩きつけられる。

 

視界を潰せば、輪廻眼の視野の広さをなくせる!

 

「ナイス、イタチ!」

 

「何だこの忍者は!?はっきり言ってむちゃ強えーじゃねーかよ、バカヤロー!コノヤロー!」

 

「ペイン六道つって…六道仙人の力を持ってんだからそりゃ強えーよ!!」

 

「しかも、今は長門本人が動いてるからより多彩ね。」

 

「来るぞ…」

 

長門が黒い球を空へ投げる。

 

地面木々が吸い込まれていく。

 

「あの黒い玉。…相当の引力があるようだ。」

 

「何だありゃヨウ!」

 

「小南!あれは何!?」

 

「地爆天星…黒い球体を核に、星を作ってそこに閉じ込める術よ。」

 

「こ…この術を前にやられた!マジヤベーんだってばよ!!これも食らったら終わりだ!」

 

「おい…ナルト。」

 

「何ィ〜〜〜〜!?」

 

「食らって終わりなら、お前はなんで生きてる?」

 

「……」

 

「アハハハハ!なら大丈夫!この勝負!」

 

「笑ってる場合じゃなーい!!何でこの状況で余裕ぶっかませんだァァ!?前ん時は九尾の暴走でたまたま…!」

 

「余裕でいるんじゃない。分析には冷静さがいる。さっき長門が投げた黒い玉を破壊すればいい。各々の最強遠距離攻撃で一斉に中央を攻撃する!わかってるな、藍」

 

「了解」

 

「こんな状況じゃうまく中央を狙えねーってばよ!」

 

「狙わなくても当たる。この強すぎる引力を利用する算段だ。どんな術にも弱点となる穴は必ずある!」

 

皆がチャクラを練り始める。

 

「八坂ノ勾玉!!」

 

「神の紙者の術!!」

 

「尾獣玉!!」

 

「風遁・螺旋手裏剣!!」

 

「白氷龍」

 

大爆発が発生する。

 

瓦礫や土煙で視界はゼロ。だけど、私は全員の位置を感知できてる。

 

「イタチ、八時の方向。岸辺にいる。」

 

「了解」

 

スサノオから十拳剣が召喚される。

 

それを長門に突き刺す。

 

「すまないな…イタチ。」

 

「元へ戻ったか…十拳剣だ…すぐに封印する…何か言い残す事はあるか?」

 

「ナルト……オレは師匠の所へ戻ってお前の物語を見ておくとするよ……オレから言わせれば、お前は三部作目の完結編だ。…一部が自来也…完璧だった。だが、二部作目ってのは大概駄作になる。オレのようにな……師にも認めてもらってない。シリーズのできってのは三部作目…完結編で決まる!駄作を帳消しにするぐらいの最高傑作になってくれよ…ナルト!」

 

今度は小南の方を見る。

 

「小南……オレは先に言ってお前の事も見守るよ。一人にさせてしまうのは申し訳ないけど、オレ達弥彦との夢は今も目の前で生き続けてる。…だからありがとう。」

 

「長門……私にとっては貴方は駄作なんかじゃなかった。誰にも誇れる最高傑作だったわ。その続きもきっとそうなる。だから、安心して長門。さようなら。」

 

そうして長門は封印された。

 

「…このエドテンとか言う術…気に食わねェ!戦いたくねェ人と戦わされる……おそらく他の戦地でもそうなんだろ?」

 

「穢土転生はオレが止める。マダラはお前達に任せる。」

 

イタチが声を上げる。

 

まあ、妥当だろうね。穢土転生のイタチならカブトノ場所を逆探知してるだろうし。

 

「…ここへ来る途中に穢土転生の奴と戦った。砂の忍がそいつを封印したが、どうやら殺せはしないヨウだOK?この術は弱点の無い完璧な術だそうだOK?」

 

「さっき言ったはずだ。どんな術にも弱点となる穴が必ずあると。」

 

「どうだろうな…」

 

「まあ、こうして自由な身になった穢土転生体に逆襲かけられるのは、大きすぎるリスクだと思うけどね。」

 

「これはオレだからやれた事ではあるがな。」

 

「イヤ…オレが止める!さっきオレも言ったはずだ。…後はオレに任せてくれって!影分身の術!!」

 

ナルト君の影分身が出るけど、金色の光が無くなった。

 

結構チャクラ使ってるね。しんどそうだ。

 

「くっ…!」

 

「九尾チャクラモードの使いすぎだ…それ以上分身はするな、ナルト!」

 

「一人で無理をしようとするな。この穢土転生を止めるためにはオレが打ってつけだ。考えがある……」

 

「…この戦争は全部オレ一人でやる!!全部オレが引き受ける。…それがオレの役目なんだ!!」

 

「…………」

 

「ハア、ハア」

 

「ナルト。ここには5人の手練れがいる。貴方一人でやるより、手分けした方が効率的よ。」

 

「……それでも、これはオレが原因の戦争だから…」

 

「………ナルト君。それは手分けした方が死者を減らせるとしても、同じ事が言えますか?」

 

「…………」

 

「…お前は確かに前とは違い強くなった。力を得た。だがそのせいで大事な事を見失いかけてもいるようだな。」

 

「!?…………」

 

「…いいか。よく覚えておけ。お前を嫌っていた里の皆がお前を慕い始め…仲間だと思ってくれるようになったのは、お前が他人の存在を意識し、認められたいと願い一途に頑張ったからだ。」

 

「……」

 

「お前は皆のおかげでここまでこれたと言ったな。力をつけた今。他人の存在を忘れ驕り、個に執着すればいずれ…マダラの様になっていくぞ。」

 

「………」

 

「どんなに強くなろうとも全てを一人で背負おうとするな…そうすれば必ず失敗する。お前の父 ミナトが火影としてあったのは、母クシナや仲間の存在があったからこそだ。」

 

そう。私も今頑張れてるのは、兄さんに再不斬さん、イタチ等の支えてくれる人達がいるからだ。

 

「…お前の夢は確か父と同じだったな…なら覚えておけ。」

 

「……?」

 

「火影になった者が皆から認められるんじゃない。皆から認められた者が火影になれるんだ。…仲間を忘れるな。」

 

「………」

 

「ナルト、貴方は長門と弥彦の夢の続き。それは私にとっても変わらない。」

 

「ナルト…オレはイルカってのと約束してんだ、だいたい。お前を守るってな…一人じゃ行かせねーぞ!そもそも。オレはまだ生きてる ピンピン。」

 

「ナルト君、君は兄さんから夢を託された存在です。私も貴方を応援しているんですよ。」

 

「………確かに………オレが何とかしなきゃダメなんだって…思い込みすぎてたかもしんねェ…」

 

するとイタチがカラスを天照で燃やす。

 

まあ、もう使いものにならないし、敵に利用されるリスクが高過ぎるよね。

 

「何で!?」

 

「シスイの眼は十数年は役に立たない。…もうサスケの時には使えないだろうし。それにお前はシスイの眼以上のものを持ってる…それはシスイと同じ心だ。シスイが渡したかった本当のものはそれだ。もう眼はいらない。今のお前なら、こんな眼を使わなくてもサスケを止められる。」

 

「今ならアンタも直接サスケに会える!…今度こそーー」

 

「イヤ……」

 

「……!………」

 

「オレは一人で何でもしようとし…失敗した…今度は…それこそ仲間に任せるさ。」

 

「ただ強いってだけの忍じゃないな…アンタって奴は。」

 

「じゃあ、イタチと藍は穢土転生を止めに行って、私達はマダラを止めましょう。」

 

「そうだね。小南も死んじゃダメだよ。」

 

「ちょっと、待ったァ!!有耶無耶になってたけど、アンタってば味方なのか?」

 

「ナルト、これだけ一緒に戦ってるんだから、今更疑っても仕方ないわよ。」

 

「気持ちはわかりますが、マダラとやり合ってる所も見てますよね?」

 

「あ!そうだったってばよ。」

 

「おい、藍。マダラと戦ったのは本当か?」

 

「え?…まあ、ちょっとだけ。」

 

「……なんて、無茶な事を………」

 

「……いや、だってーー」

 

「はいはい、喧嘩しないの。」

 

「小南は相変わらず、お姉さんぶっちゃってさぁ!」

 

「……なんだか、暁のイメージが崩れるってばよ。……と言うか、藍は何で暁になっちまってんだ?」

 

チラッとイタチを見るが特に反応しない。

 

好きにしろって感じね。

 

「………話しても構いませんが、あまりにも話が脱線し過ぎる上に長話になってしまうので、またの機会でいいですか、ナルト君?」

 

「…まあ、チンタラしてらないってんなら仕方ないってばよ。」

 

「キラービー、小南…ナルトを頼む。」

 

「オウ!ヨウ!」

 

「ええ、わかってるわ。」

 

「行くぞ、藍。」

 

「うん。じゃあ、3人とも無事でいてね。」

 

こうして私達は二手に分かれた。


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