☆一輪の白い花   作:モン太

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先行き

イタチが亡くなって、すぐに六尾が捕獲されて封印された。

 

今回は6日かかった。一体だけにもかかわらずだ。それだけ暁のメンバーが減ったと言う事だ。

 

もう残りは5人だけ。残る尾獣は2体。

 

九尾と八尾。

 

噂によれば、八尾は私よりも強いらしいし、ナルト君の強さはよく知ってる。

 

私にとって暁は大切なものだ。だけど、兄さんもイタチもナルト君を狩る事は望んでいない。なら、ナルト君の力を信じよう。ナルト君の夢が勝つか、暁の平和への構想が勝つか。

 

「十分羽は伸ばせたかい?」

 

ゼツが現れた。

 

「東のアジトに集合だよ。」

 

「スグニ ムカウヨウニ トノ コトダ。」

 

「…………」

 

「伝えたよ〜」

 

すぐにゼツは消えた。

 

色んなメンバーに声をかけてるのか。

 

とりあえず今はアジトに行こうか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「コン先輩ー!」

 

アジトに着いた途端。トビが出迎えてくれた。

 

「生きてたのね。よかった。……怪我は無い?」

 

「大丈夫ですよ!ピンピンしてます!」

 

「そう良かったわ。」

 

アジトに入る。

 

「コン先輩にお話があるんスけど。」

 

後ろから声をかけられる。

 

「どうしたの?」

 

振り返るとトビが仮面を少しずらして、右目を見せていた。

 

「貴方、それ……」

 

写輪眼だ。

 

「お前もよく知ってるだろう。」

 

口調も全然違うし。

 

「オレの正体はうちはマダラだ。」

 

さらっと告げられた衝撃の事実。

 

「うちはマダラって、あの伝説の忍?」

 

「そうだ。」

 

「……そう。」

 

何で生きてるんだろう。それにもし本当にそうなのだとしたら、暁の本当のリーダーはこの人か。

 

「……それが本当の貴方なのね。」

 

まあ、マダラだからと言って別に今までの態度を変える気は無い。この人がどんな行動をするのかによるけど。

 

彼の後ろに着いて行くと鬼鮫さんとサスケ君達4人がいた。

 

「木ノ葉を潰すと言っても具体的にどう狙っていく?」

 

木ノ葉を潰す?

 

どういう事だろう。

 

「殺るのは上層部だ…それ以外は基本的に対象としない。」

 

「…あの、いきなりの事でよくわからないのだけど、何で木ノ葉を潰す事になったの?」

 

いきなりすぎて、意味がわからなかったので聞いてみた。

 

「後でオレが説明してやる。」

 

マダラが教えてくれるそうだ。

 

「上を狙えば下が盾になる。そう簡単には行きませんよ…アナタたち鷹とやらだけでは戦力不足ですねぇ。」

 

「鬼鮫先輩…あまりボク達を舐めない方がいい。あの時の遊びの決着はまだつけてないし…本気で…」

 

「やめろ水月。」

 

水月君は鬼鮫さんにかなり対抗意識があるようね。

 

「フッ…」

 

その瞬間、水月が瞬身の術で鬼鮫さんに斬りかかった。

 

私は即座に氷剣を生成。首切り包丁に空いてる穴に氷剣を差し込み、首切り包丁を止めて、そのまま水月君を蹴り飛ばした。

 

「うわっ!」

 

壁に叩きつけられた瞬間に、水になる水月君。

 

水化の術は便利だね。

 

「…水月君。その程度の力で首切り包丁を振り回さない方が良いですよ。……特に私の前では。」

 

「水月、てめーバカじゃねーのか、こんなとこで!」

 

「ボクの目的はそこの鮫肌だ…それを手に入れるためにサスケとくっついてただけだ。…ボクに蹴りを入れてくれた君もその内、斬り殺すけどね。」

 

ちょうどいいのかもしれない。水月君が再不斬さんの後任として相応しいか。私が戦ってみよう。

 

そう思い。水月君に向かおうとする私を鬼鮫さんが止めた。

 

「ここは話し合いの場だ。技のキレを見せる場ではありませんよ。」

 

まあ、そういう事なら。

 

「…わかったわ。」

 

「サスケ…どうするんだ?」

 

「分かった。やりたきゃ勝手にやれ水月。どうせまだそいつらには勝てない。」

 

「おお…言うね、サスケ。まあ、そのうち美味いフカヒレと淡白な刺身でも食べさしてあげるからさ。」

 

「そうは言っても暁も戦力不足だ。」

 

「人のことばっか言えないねアンタら。」

 

「我々の利害は一致する。これより鷹は暁と行動を共にしてもらう。」

 

「その話にオレ達が乗る見返りは?」

 

「尾獣をやる。」

 

「尾獣?」

 

「何も知らないのか?」

 

「あれだろ!九尾の仲間みたいなもんで尾の生えたチャクラの塊が具現化したーー」

 

「つまり何だ?」

 

「チャクラのバケモノだ。元々は初代火影がいくつか集めてコントロール下に置いていたものだ。忍界大戦の度に火影柱間はそれらを条約や協定の証に五大国を始めとする他国に分配し、パワーバランスを取ってきた。究極のチャクラ兵器と言ってもいい…悪くない条件だろう。」

 

「気前がいいな。」

 

「ただし暁を裏切ればちゃんと死んでもらう。」

 

「フッ…」

 

「…この世に尾獣は九匹います。今は七匹まで暁が集めてますから…あと二匹。」

 

「オレたちと鷹で残り二匹を手分けして狩る…それが我々の目的だ。」

 

「ってことは…九尾はまだってことか。」

 

「ナルトは暁が狩る。鷹はもう一方を当たれ。」

 

ナルト君とサスケ君を当てたくないようね。失敗のリスクが大きいでしょうし。向こうはサスケ君が木ノ葉に帰ることを願ってる。

 

サスケ君達は早速、雲隠れの里へと向かって行った。

 

マダラから今の状況を伝えられる。

 

「今、ペインと小南が木ノ葉へ向かってる。」

 

成程、その二人か…

 

ある意味この戦いが一番の山場かも。私が判断する上で。

 

長門も小南もナルト君も平和への願いを持ってる。ナルト君はより理想的な方法で、長門達はより現実的な方法で……

 

どちらが絶対的に正しくも間違ってる訳でもない。だけど、これが今後のこの世界の方向を決める物になりそうだなと思った。

 

ただ、イタチの想いを知った今なら、理想的な平和を現実的な方法で実現しようとしたイタチの意志を尊重したいと思う。

 

ナルト君が勝てば、現実的な側面でサポートしよう。私が戦い続ける事で……

 

長門と小南が勝てば、理想的な側面でサポートしよう。私が傷ついた人達を慰める事で……

 

「それで、どうしてサスケ君が木ノ葉を潰そうと考えたの?」

 

「オレがサスケにイタチの真実を話したからだ。」

 

「ちょっと、何で!!」

 

「やはりお前も知っていたか……。だからこそだ。サスケにはイタチの真実を知る義務がある。そして、彼が自分で考えて決断した事だ。」

 

そう言われるとそうだが……

 

「お前はどうする……」

 

どうするか…

 

わかっていた事だ。イタチの意志を受け継いだ時点でジレンマに陥る事は、だけどまだ私の答えを出せていない。

 

なら、長門と小南、ナルト君の先を見て判断しよう。

 

「……わからない。今までと変わらないわ。」

 

「そうか。好きにすればいい。」

 

「……ありがとう、マダラ。」

 


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