ユキウサギから情報を受け取る。
どうやら音隠れの湖には本当に三尾がいるようで、大蛇丸と木ノ葉との争いもかなりの激しい事がわかった。
ただ、三尾自体は動きが鈍いからデイダラなら簡単に捕獲できそうだ。
大蛇丸側も木ノ葉側もかなりお互いに消耗しているようで、三尾をどうにかする事は難しそうだ。
『三尾と四尾を封印する』
長門からだ。意識を飛ばす。
『遅いぞ。』
『ちょうど人柱力を狩ったところでしてね。逃げないように縛り上げてて遅くなったんですよ。』
『…よし…これで全員揃ったな。』
『ん?まだ飛段と角都が見えませんが?』
ああ、そうか。鬼鮫さんは知らないのか。私はユキウサギの伝令で先に知っている。
『そうですか…クク。あのゾンビコンビでも死ぬんですね。どうやって死んだのか見たかったですねぇ。』
『仲間にそう言う言い方はよせ』
『やったのは?』
『木ノ葉の連中だ。』
『マタ カカシト九尾ノ人柱力ノ小隊ダヨ。』
『強いですよね。あの小隊。デイダラさんもボコボコにされるわけだ。』
『トビ!!』
実際にあの小隊はとても強い。カカシさんにヤマトさんが反則級に強い。その上、中忍レベルなのにこちらのメンバーを何人も倒してる実績もある。本当に強いと思う。
『てめぇそれ以上言ってみろ!オイラのカンニン袋が爆発するぜ!!うん!』
『アハハハ。堪忍袋って我慢する為の袋であって…デイダラさんのは爆発袋でしょ。すぐにキレんだから。』
『てめぇトビ!コラァアア!!』
『デイダラ、静かにしろ。それじゃトビの言う通りだ。』
『チィ……』
『アハハハハ』
『それからトビ。お前はいつも一言多い。先輩は立てろ。』
『ハーイ!すいませ〜〜〜ん!』
『こんなんで人柱力を集めきれますかね…』
『ハァ…』
『と…そんな事より四尾の人柱力をさっさと封印したいんですがね…』
『待て…まだ話は終わってない。』
『何です?』
『もう1人殺された奴がいる。』
あれ?
そんな人は居ないはず。メンバーも全員揃ってる。
『もう1人?』
『………』
『大蛇丸だ。』
『…………』
え?
大蛇丸が殺されたの?
私のトラウマがあっさり殺されるなんて……
でも、すぐ復活するだろうけど。
ただ、そうなると。やった犯人ってまさか……
『暁を抜けて十年…殺す手間が省けたと言うところですか。しかし、あの大蛇丸を倒すとは大した手練れですね。誰がやったんです?』
『うちはサスケだ。』
やっぱり…
ちらっとイタチを見る。
『………』
特に反応はない。
『大蛇丸はオイラがぶっ殺すと決めてたのによ…うん』
『フッ…やりますね。さすがイタチさんの弟だ。』
『今、仲間を集め回ってる……それも厄介な忍ばかりをだ。』
『と言うと?』
『お前もよく知ってるだろ…霧隠れの鬼灯兄弟…あれの片割れだ。』
『…水月か。懐かしいですね。』
『それに天秤の重吾もいる。せいぜい気をつけろイタチ、鬼鮫。おそらくお前達を狙ってる。』
『………』
『他の者も一応うちはサスケの事は頭に入れておけ。イタチや鬼鮫の情報を得ようと暁を標的にするかもしれん。』
『鬼鮫、どんな奴なんだ。その水月ってのは…うん?』
『………十年も前だ…可愛い顔で笑う子でしてね…決まって相手の手足をぶった切ってから頭に止めを刺す事から…鬼人・再不斬の再来と呼ばれた神童ですよ。』
!?
何それ、そんな人がいるの?
再不斬さんと同等って事だよね。凄く気になるんだけど。
『そいつら面白そうだな。うん…』
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6日間の長い封印が終わった。2体同時はしんどいね。
『さて…どっち行くかな…うん。』
『どっちって?どっちとどっちの事言ってんスカ?』
『カカシ率いる九尾の人柱力か、うちはサスケか。』
『………』
ああ、そうか。水月君の事が気になったけど、会いに行けば確実にサスケ君と戦うことになっちゃうんだよね………
『どっちもやめましょうよ!大体ボクらのノルマは終わってるし!』
『冗談じゃねぇ…九尾の人柱力には殴られた借りがある。カカシには右腕やられたしな…うん。オイラが殺す筈だった大蛇丸を殺りやがった。うちはサスケも許せねぇ…行くぞ、トビ!』
『え〜〜〜〜!?』
デイダラとトビが消える。
困ったな。できればデイダラにはナルト君にもサスケ君にも手を出さないで欲しいんだけど……
そうは言っても、2人とも木ノ葉の忍だし、サスケ君はイタチがターゲットだろうから、暁とは敵対関係になるのは時間の問題。
どちらも無事で居てくれる事を祈るしかない。
サソリの時みたいに駆けつけるつもりはない。イタチを信じると決めたから。
ただそれでも、心配になる。ナルト君とサスケ君は兄さんの忘れ形見みたいなものだし。暁のメンバーは私の家族みたいな居場所だ。どちらも失いたくはない。だけど、敵対関係を避ける事もできない。
『いいんですか?イタチさん』
鬼鮫さんがイタチに聞く。
イタチは答える事なく去った。
きっと私には止める事もできないし、どっちが死んでも後悔するんだろうな。
そんな遣る瀬無い気持ちで通信を切った。