瞬身で駆けつけた時には既に終わっていた。
ナルト君達の姿はなく、戦闘は終わっていた。ゼツとトビもいた。デイダラは重症の傷を負って、両腕を失っていて角都に繋いで貰っていた様だ。意外にも元気に動き回り、トビをいじめるデイダラは結構タフだ。
でも、相方のサソリがいない………
気配を感じない事に心胆が冷える。
「………サソリは、何処にいったの?」
そう聞くと、デイダラが目を見開いて少し視線を外した。
……まさか本当に
「………旦那は死んだ。」
「……そう。」
そんな気はしていた。不死身でも傀儡の体でも、確かに命の
だけど、今は何も感じなかった。
信じたくなくて聞いたけど、デイダラの口から出た言葉なら信じざるおえない。
涙が流れる。
仮面で顔が見えない様にしていてよかった。
サソリには最近、クロの事で救ってくれたのに。何も恩返しできていなかったのに。
私達は抜忍。いつかはこんな日が来る事はわかってる。寧ろ私達暁の方が沢山の人を殺しているだろう。私達が迎える先には終焉しかない事はわかってる。
それでも私は抗う為に力を付けた筈なのに。
失う時は一瞬だ。
角都は直ぐに去り、トビがおちゃらけてデイダラが暴れていたけど、あまり反応できなかった。
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崩壊したアジトに向かう。
瓦礫の隙間を埋める真っ黒な砂鉄。大量の傀儡。
これだけの砂鉄量と傀儡量は初めて見る。本当にサソリは全力で戦ったって訳だ。
……どう見ても指の数で操れる傀儡の量じゃないね。これが一国を落としたと言われるサソリの本気。
チヨさんが亡くなったとは聞いていたけど、それだけ強い人だったんだよね。
…………サソリのお祖母さん。
家族と殺し合うなんて…………
その苦しさはクロと刃を交えた私にはわかる。
もっと早く駆けつけていれば…………
あの優しいサソリの事だ。本当に辛かったかもしれないのに。
傀儡の残骸の中を歩く。
瓦礫の中、サソリの亡骸があった。
うつ伏せに倒れていた。苦しそうだから、仰向けに寝かせる。
サソリの顔は、意外にも穏やかな表情だった。
ふと、サソリの左右に倒れている傀儡を見る。
もしかして…………
仮面を外して頭を下げた。
勘違いならそれでもいい。でも、最後に抱きしめられて逝けたのなら、サソリの表情もわかる。
サソリはここに置いていこう。どっちにしても、ゼツが処理しないといけないから。
私はとある場所へ向かった。
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「久しぶりです。兄さん、再不斬さん。」
向かった先は波の国。
3年ぶりに2人の元へ戻ってきた。
もう二度と来る事は無いと思ってたし、抜忍になってからは各地を転々としていたから。…………それに何より、2人に合わす顔が無いと思っていたから。
でも、こうしてここに来たのはちょっとした近況報告と新たに二つの墓を建てたから。
クロとサソリ………
クロのお墓がだいぶ遅れちゃったね。
あの頃はダンゾウと大蛇丸に追われてそれどころじゃなかったんだけど。……ごめんね。
2人に手を合わせる。
ここに建てるお墓の数は増えてだろう。それでも、私は諦めない。
サソリも再不斬さんと同様に私の恩人だ。
だから、彼への感謝の気持ちを胸にこれからも戦っていく。たとえ、この先が地獄であっても。