☆一輪の白い花   作:モン太

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迷い

岩隠れの戦争代行から2ヶ月後。

 

私は滝隠れの森を歩いていた。

 

『集合しろ』

 

頭にペインの声が響く。

 

どうしたんだろう?

 

木陰に身を隠して、印を結ぶ。

 

直ぐに意識が跳ぶ。

 

外道魔像の指の上に立つ。

 

視線を下に向ければ、人間が倒れていた。

 

………人柱力を捕らえたのね。

 

誰が捕まえたんだろう?

 

そう考えてると、精神体でない二人が外道魔像の指に飛び移った。

 

どうやらデイダラとサソリが捕まえた様だ。

 

『さて始めるか…』

 

『これから三日三晩はかかる。皆、本体の方にも気を配っておけよ。…………それからゼツ本体で一応外の見張りをしろ。一番範囲のデカいヤツでだぞ。』

 

『ワカッテル』

 

『三日ですか………長いですねぇ。』

 

『そう思うならさっさと始めろ。』

 

そういうと皆印を結ぶ。

 

封印術・幻龍九封尽!

 

封印が始まった。

 

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そうして、三日程封印を進めているとゼツから連絡が来た。

 

『コノアジトノチカクニ テキガチカヅイテイルゾ。ソレモソウトウノテダレ…コノハ…ナハ マイト・ガイ。』

 

『…………誰だそいつは?』

 

ペインの質問にイタチが答えた。

 

『木ノ葉の上忍で体術を使う。かなりのやり手だ。甘く見ない方がいい。』

 

『…ああ…あの珍獣ですね。』

 

『体術遣いなら、コンと戦わせても面白そうじゃねぇか。』

 

『私はお断りよ。……わざわざ強い人と戦いたくないわよ。』

 

『…………あの術をやる。』

 

『それならオレが行く…。人柱力が中々見つからなくてな…イライラしていたところだ…』

 

飛段が声を上げる。

 

『イヤ…私が行きましょう。その人には個人的にちょっと因縁がありましてね…』

 

『そうだな…。あの術は暁の中でもチャクラ量の多いお前向きだからな…鬼鮫。それでもチャクラの30%は貰うぞ。』

 

『チィ…』

 

冗談じゃない。チャクラ量の少ない私でやれば、あっという間にすっからかんじゃん。

 

『やれやれ…やっと…あの時の蹴りの借りが返せそうですね。』

 

鬼鮫さんがライバル認定する人なんて、絶対やばい人でしょ。私が行くように命令されなくて良かったと思う。

 

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『…マタキタゾ。コノハノシノビダ。』

 

『さて…今度は誰が行く?』

 

また木ノ葉の忍…

 

『どうして砂の忍じゃなくて、木ノ葉なんだろう?』

 

『砂と木ノ葉は同盟を結んでいる。一尾の捕獲によって木ノ葉に応援をよこしたんだろう。』

 

『なるほどね。』

 

『オレが行こう。鬼鮫が向かった事だしな。』

 

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4時間程度経過した時、ペインの術が解けた。

 

『術が解けたか…しかし、かなり時間稼ぎはできた。これなら十分だ。良くやったイタチ、鬼鮫。』

 

『簡単に言ってくれる。アンタの術の生贄になって奴らに体を捧げたのは二人ともオレの部下だってのに。』

 

『フン…このオレの象転の術で少しの間でも暁のメンバーになれたのだ。二人ともに逆に感謝してもらいたいくらいだが…』

 

そういう話をしている間にも封印は終わりかける。

 

『ゼツ。象転の術に使った二人を処理しておけ。』

 

『………ワカッタ。』

 

『イタチ…。奴らの人数と特徴を教えろ。』

 

『木ノ葉のはたけカカシ。春野サクラ。九尾の人柱力のうずまきナルトだ。それに砂の相談役のチヨのフォーマンセルだ。』

 

!?

 

ナルト君!?

 

それに九尾の人柱力って…………!?

 

あまりの情報量に頭が混乱する。

 

………ナルト君は兄さんが夢を託した忍だ。火影になる事を目指して、世界に平和をもたらしてくれる願いそのものだ。

 

私の中で絶対に手を出してはいけない存在…………。

 

だけど、暁は抜忍になった私が唯一拠り所になれる居場所。折角、見つけた新たな生きる意味。

 

私の中でどちらも天秤に掛ける事なんてできない。

 

兄さん…………

 

私はどうすればいいの?

 

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私が葛藤している間にも封印は進み。そして終わった。

 

外道魔像を口寄せしたアジトの外から音が響く。既にカカシさん達が到着したんだろう。

 

『外が騒がしくなってきたな。』

 

『もう一人、人柱力がいるんだってな。悪く思うなよ、イタチ。』

 

『…………』

 

!?

 

まさか、イタチのノルマって…………

 

『外の奴らはサソリとデイダラで始末しておけ。ただし人柱力は生捕にしろ。他は解散だ。』

 

『イタチ。九尾の人柱力はどんなヤローだ?』

 

『…………』

 

『教えてやれ。』

 

『…………一番最初に大声で怒鳴ってくる奴がそうだ。』

 

それって、やっぱりナルト君だ。

 

『ん?何だそりゃ?』

 

『もっと具体的な特徴はねーのか?うん?』

 

そのままイタチは連絡を絶った。

 

『チィ』

 

『連絡を待つ』

 

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意識が戻る。

 

だけど、私の頭は未だに霞がかっている。

 

訳がわからない………

 

ナルト君が九尾の人柱力?

 

そして、思い出す。

 

あの初めてナルト君と戦った。波の国での橋の上。あの悍ましい神性の気配。正体は九尾の力!

 

ノルマがナルト君だって事にイタチは異論を唱えていない。サスケ君の友達の筈なのに……。

 

どういうつもり何だろう。

 

イタチを問い詰めるべきか?

 

いや、今まさにサソリとデイダラがナルト君と戦おうとしているんだ。

 

私も駆けつけなきゃ!

 

…………でも、その時私はどっちの味方をすればいいの?

 

疑問に答えを出せないままに私は走り出した。


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