クオリティが相変わらずアレですが……
年内にもう一度ぐらいは更新したいと思います。
早く全国大会に進みたいです。
家族会議とはどんな時に行うものであるのだろうか?
例えば、夫や妻が生活について重要な決定を行う時。
例えば、子供の進学先や、素行について無視できない話題を相談する時。
例えば、家族に自身の決意した事を告げる時。
例えば――――
「第一回、西住家家族会議を始める。議題は、父様にかけられた嫌疑。浮気について」
「お姉ちゃん?どこから沸いてきたの?」
家族内での不義や不和について。
戦車喫茶ルクレールの一角で始まった何かを、当事者である彼はどこか他人事のように聞き流していた。
(さっき、食べた甘いものがお腹にまだ残ってるな……ここで、甘いものは控えようか)
――――否、本人的には完璧に他人事と認識しているようだ。
当の本人は、ここに来る前に食べた物がまだ消化できていないお腹を擦り、店員に頼んで用意してもらった、ぬるま湯で口を湿らせていたりする。
そもそも何故こんな会議が始まったのか。
それは当初の予定から大幅に遅れながらも合流した彼と、みほが率いるあんこうさんチームの面々が目的地である喫茶店で自己紹介をした後に起きた。
聞き覚えのある名前と、初めて聞く声による出会いにそれぞれ挨拶を送る彼。
特に秋山夫妻の娘である優花里にはいつもお世話になっていますと、深々と頭まで下げる。自分たちよりも遥かに年上の人間、しかも友人の親からそういった畏まられる態度を取られ、あんこうさんチームの面々もどこか畏まった返事を返すのであった。
そんな中、いつもの様子とは少し違う一人の少女がいた。
「…………ぅーん?」
「……どうした沙織?」
「ねぇ、麻子。みぽりんのお父さんどこかで見たことない?」
それは、合流した時から思案顔を浮かべ始めた武部沙織であった。
彼女に尋ねたつもりが、逆に尋ねられた冷泉麻子は一度眉をひそめ、改めて車椅子に座った彼を改めて見つめてみる。
線が細く、スラリとした印象の体はヘタに触れば壊れてしまうガラス細工を連想させる。そして、自身と同じか若しくは小さいくらいの身長。一本一本が細い髪は、先ほど会った黒森峰にいるみほの姉よりもみほの髪色に近い薄い茶髪が混じった黒髪であった。
「……いや、この場合、隊長が彼に似ているというのか」
どこか全体的にほにゃりとした顔つきが、自身のチームの隊長であるみほに似ていると感じた麻子はそう言葉を零した。
だが、いくら外見を観察しても麻子は彼を初見であると断定する。自身の記憶力に自負がある麻子は小さく首を横に振り、沙織に心当たりはないと意思表示を送った。
「うーん。絶対見たことあるんだけどなぁ…………ぅん?麻子……男の人……車椅子…………ああ!大人の女性にゲットされてたあの時の若いツバメ!!」
「その時の事を詳しく聞かせてもらおうか?」
「た、隊長?」
記憶のサルベージに成功した沙織は、喫茶店の中で、そんな事を大声で宣ったのであった。
そして、ちょうど来店してきたのか、いつの間にかテーブルの横に立っていたまほと、黒森峰の現副隊長である逸見エリカがこのお茶会に参戦した瞬間でもあった。
そんなこんなで、喫茶店のワンテーブルがまるで裁判所のようになったのは、そういった経緯があったがためであり、冒頭の家族会議に繋がるのである。
「……隊長がこうなるのがわかってたから、後輩の皆から情報集めて、おじ様に会わせないように気をつけていたのに…………いや、他の皆に見られなかっただけでも良しとするか?でも、大会に差し支えないわよね?」
今現在、黒森峰の二人に挟まれている彼の耳にそんな独り言が聞こえる。声の主は、まほと反対側に座る逸見エリカであった。
娘の暴走グセをある程度理解している分申し訳ない気分になりつつ、彼は取り敢えず彼女には優しくしようと思う。それが、余計に娘からの負担を増やすことになる要素なのだが、今の彼はそこまで気が回っていない。
「武部沙織……と言ったか?それで、いつ父様が女性と逢引をしているのを見たのか詳しく話してくれ」
「え、えぇ?」
困惑しつつも訥々と、沙織は昨晩見た風景をそのまま伝える。学園艦の淵に沿うようにしてある公園のベンチに座る彼と、大人の女性をそのまま形にしたような人と肩を寄せ合うようにして一緒にいたことを。
「……それってしほさんだよ?」
急遽開催された家族会議は、開始五分で閉幕を迎えた。
「えっと、改めて自己紹介をしておこうか。みほの父です」
そう言ってぺこりと頭を下げる彼は、この面子の中で最年長として微妙な空気が流れているのを切り替えるためにそう切り出した。
「先ほど顔を合わせたが、みほの姉の西住まほだ。妹が世話になっている」
「…………逸見エリカよ」
二人はこの場で、黒森峰と名乗らなかった。それはこの場に他校であるということや、先刻みほが筋を通しに来た話題を持ち込まない事を遠まわしに宣言するのを意味していた。
「こちらこそ、いつもみほさんにはお世話になっています。私は五十鈴華と申します」
五十鈴という苗字に反応してしまいそうになるのを堪えつつ、彼は一息つく。
なんだかんだで、色々と濃い一日を過ごした彼は落ち着き、緊張の糸が切れたのか、気怠さを感じる疲れをハッキリと自覚した。
その為、うつらうつらしていると、自然と頭が傾いていく。
(さっきの……カチューシャちゃんも……こんな…………感じだったのかな?)
そんな事を考えつつ、ゆっくりとぬるま湯に沈んでいくような感覚を最後に、彼は寝息を立て始めた。
頭を傾け方にまほがいた場合:グッドエンドルート
「ね、ねぇ、みぽりん?お姉さんの顔が無表情なのに赤いよ?大丈夫?」
「…………」
「あ、鼻押さえた。本当に大丈夫?…………みぽりん?携帯出してどうしたの?」
頭を傾けた方にエリカがいた場合:ルナティックルート(エリカの胃が)
「………………」
「「………………」」
「………………………………」
「「………………………………」」
「…………あ、あの、隊長?みほ?」
「「ナニカイウコトデモ?」」
(胃が……胃がキリキリする………………あぁ、ハンバーグ食べたい)
頭が前(机)の方に傾いた場合:トゥルーエンド
「ぅん…………(うつらうつら)」
ガンッ!!
「「「「「「「あっ」」」」」」」
「ぅあっ!っぅ~~~(額抑えてプルプル)」
カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ………………
どのルートを通ったのかは、みなさんの願望次第です。