受け入れ先は幻想郷   作:無意識倶楽部

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リアルが忙しいです!!!

だが私は書こう、無い知恵絞って筆を進ませよう。
何故なら頭の中に幻想郷が(殴


すいませんレポートやらテストから目を背けたかっただけです。

それではどうぞ。



第7話  家と主人と俺の職業

 

 幻想郷の嫌われ者達が住まう場所――地底。この場所は幻想郷の地下に存在する。

 

 旧地獄として使われていたことで過酷な環境下に存在して、かの有名な鬼や、過去に高尚な人々の手によって封印されてきた比較的危険度の高い妖怪たちが集っている。

 

 その為、治安が非常に悪く常に喧騒に包まれている世界がそこには広がっていた。

 

 そんな地底に居を構えている地霊殿の中、一進はお燐の先導によりさとりの下まで案内されながらもこれから会うであろうさとりについて二人から話しを聞いている所から話は始まる。

 

 

「――それで、さとりさんとやらは能力の所為で周りから畏れられているのか」

「そうなの…心を読む能力を持ってるってことだけで…」

「確かにさとり様の前では隠し事なんてできないよ。けど、それが何だい!さとり様はむやみに力を使わないし、悪用もしないっ!!それに…心を読んで一番傷ついてるのはさとり様自身だよ!!!」

 

 周りはさとり様のことを知らないだけなんだ!と、お燐は感情を表に出して叫ぶ。

 

「(…心を読む能力を持っている妖怪、さとり…ね。名前の通り覚がいるなんて凄まじいな幻想郷。にしても心を読むってねぇ…)」

 

 

 心を読む能力。

 

 それは誰もが羨むような力だろう。相手の言ったことの真偽を確かめることが出来て、思考を読み先手を打つことも、対策を立てることも出来る。

 

 さらには、相手が動物などの話すことが出来ない者の場合でもその声を聞くことさえ可能である。

 

 ――しかし、能力はそんな都合よく出来てはいない。

 

 心を読み相手の言っていたことが嘘だと分かる…。それは相手の本心がわかることと同義なのだ。

 

 そして読めてしまう、皆言葉に出すことは少ないはずの恨み・苦しみ・悲愴・憎悪・嫉妬・欲望…そんな負の感情が一挙に自分の頭に押し寄せる。それがどれだけつらいことなのかは想像に難くない。

 

「まあ、だからお兄さんにはさとり様を好いてほしい…とまでは言わないけど、理解しようとせずに拒絶するのだけは止めておくれよ。もし、そうなったらきっと――あたいもお空もお兄さんを許さないから」

 

 そう言った二人からは一瞬で親しみやすさは消え去り、代わりに妖怪特有の恐ろしさをその身に纏っていた。

 

「(いや怖いって!!確かに心読まれんのは嫌だけど…、それより能力の所為で向こうが俺を拒絶する可能性が大なんだけど!!その場合ももしかして…………ええい、何とかなるだろう!)」

 

 絶対にさとりを拒絶してはいけない…。

 

 それはそうだ、いくら相手が心を読むなんて力を持っていたとしても助けてもらった相手の主人に当たる人物を拒絶して良い訳が無い。

 

 …だがしかし能力上そんな可能性が大いにあり得てしまう事に早々と気付き、果てしなく嫌な予感を感じ取った一進は必死になって笑顔を繕う。

 

「お燐たちはさとりさんが大好きなんだな」

「うん♪そうだよ♪」

「そりゃそうさ。さとり様はあたいとお空が妖獣の頃からお世話してくれた心優しい大切な妖怪(ヒト)だからね」

 

 一進の言葉が功を奏したのか、二人はさっきまでの刺々しさも消して再び笑うように話してきてくれて当人も少し安心していた。

 

 

 

 

 

***

 

 

side一進

 

 

 

 

「さっ、着いたよ」

 

 お燐に案内された部屋の扉は他のものより一回り大きく、細かい装飾が施してある為、荘厳な雰囲気で嫌でも自分の緊張感が高まっているのを感じる。

 

「さとり様ー拾った人間が目を覚ましましたので連れてきましたー」

 

『ええ、入ってきなさい』

 

「…へぇ、名前からまさかと思ったけど女性が主なんだな」

 

 予想はしていたが驚くものは驚く、なにせ扉の向こうから返ってきた声は落ち着いた女性のものだったから。

 

「ホラ、お兄さん早く入って」

 

 へいへいっと。俺はお燐に促されるがままに扉を開けて挨拶を始める。

 

「失礼します、私はお燐さんに助けられて地霊殿に運ばれてきた人間で、藤代一進と…………」

 

 下げていた頭を上げて相手を確認…すると、驚くことに部屋の中にはピンク色の髪をした子と、その隣に黒い帽子をかぶって立っている子の見た目十歳(以下?)ぐらいである幼い()()の少女がいた。

 

「(はっ?子供!?んじゃさっきの声はこの子達のどっちかが…………いやいや、どう考えても部屋間違っただけだろ)」

 

「………………えーと、さとりさんの…子供さんですか?すいませんけど、さとりさんはどちらにいらっしゃいますか?」

「「「……はぁ!?!?」」」「うにゅ?」

 

 ……あれ!?、違った?

 

「ちょっ!!!お兄さん何変なこと言ってんのさ!!あそこにいるのが「さとり様は子供だったんだねー」お空は静かにしててっ!!!」

 

 はっはっは。チョット待ってくれよお燐さん、そんなに慌てたらあの子供がさとりさんということに――。

 

「本当にすいませんでしたっ!!!」

 

 ヤッベやっちまった!ここの主人に早速やらかした!!いや、だってあの見た目で主人は冗談だろ!つーか、お燐とお空はまず見た目を教えろよ!

 

「え、えぇ…気にしてませんよ。私も……一応自覚していますから、頭をあげてください」

 

 そうピンク色の髪した方であるさとりさん(ちゃん?)が言ってくれたので一安心する。

 

「(うわっマジで優しい!俺もう詰んだと思って土下座する覚悟だったぞ!)」

 

 …という内心があるにはあるんだけど……っていうかあのさ?

 

「ムフフwwおね…お姉ちゃんが子供ってww」

 

 明らかに俺が悪かったんだけど……隣にいる黒帽子の君、さとりさん慰めてあげようよ…何もそんなに腹抱えてまで笑ってなくても。

 

「く、くふふふww」

 

 ……まぁ、今はさとりさんを優先にしないとな。

 

「本当にすみません。――それで助けて頂いたお礼をしたいんですが」

 

「っ!?!?」

 

 なんて言葉をかけた所でさとりさんはいきなり異様な反応をする。

 

 どうしたのかと不安になった俺は、隣にいるお燐に目を移すと気を利かせたお燐が心配そうにさとりさんに問いかけてくれる。

 

「どうしたんですかさとり様?」

「…その人の心が……どうして…心が…読めないなんて」

「「ええっ!?」」「はい?」「うにゅ?」

 

 え、何で?お燐が言うにはさとりさんは心を読む能力を携えてるんじゃなかったのか?

 

「お姉ちゃんが心を読めないなんて!」

「そんなっ!?読めないんですか!」

 

 えーと?良く分からないけどどうやらさとりさんは何故か俺の心を読む事が出来ないらしい。

 

「……お燐ちょっときなさい。――あなたは昨日何をしていたかしら?」

 

 そう言ってさとりさんはお燐を呼び、能力が正常に働くか確かめるように胸の辺りにある瞳でお燐を見つめる。

 

………………………。

 

………。

 

 すると突然。

 

「!? お燐!貴女またこいしと「すみませんさとり様っ!!紅茶の用意を忘れてましたのですぐお持ちします!ほらお空いくよ」「うん~」ちょっとお燐!!」

 

 まあ、しっかりと心が読めたのだろう。

 

 お燐は突かれたくないことだったらしく話を遮って慌てたようにお空を連れて退出してしまった。

 

「あっちゃ~…。もう少し頑張ってよお燐~。運んできた死体をいくつかコレクションにしてるのお姉ちゃんにばれちゃったじゃん」

 

 ふむふむ。お燐が逃げる様に出てったのは黒帽子の彼女と一緒に死体のコレクションをしてたのか…。へぇ〜…。

 

「……………は!?どゆこと?」

 

 …えっ、こわっ!? そんな可愛い顔してそんな物騒なことやってんのこの子達!!!そんな猟奇的な趣味をそう簡単に飲み込める程俺はサイコパスじゃないんだけど!

 

「あっ、すみません一進さんで合ってますよね?どうぞお掛け下さい。そして今のは私がお燐に対して能力を使っただけですよ。結果としてお恥ずかしいところをお見せしましたけど…」

 

「え!? あ、いえそれは構いませんけど。それより私の心が読めないとは?」

 

 なんかさっきの俺の言葉がさとりさんに言ったみたいになったけど…別に構わないか、どの道気になってたし。

 

 俺はさとりさんと向かい合うように椅子に腰を掛け問いかける。――そしてそこの黒帽子ちゃん、何故俺の隣に座る?向かいに座れよ。

 

「……?」

 

いや、何で首傾げてんですかねぇ。俺は至極真っ当な判断だと思うんだけど…もういいやほっとこう…。さとりさんの方が重要だし。

 

「………えぇ言葉の通りですよ。私はこの第三の目で見た生き物の心を読む力を持っています。…けれどあなたを見ても私は何も読むことができませんでした。――あなたはいったい何者ですか?」

 

 私は気絶している人間を拾ったとしかお燐から聞いてませんので…なんて警戒されてもさぁ!

 

「(いや待て!ちょい待って!いきなり怪しまれた所で俺にもわからないんだけど!!)」

 

 しかし慌てたって事態は好転しない…どうにかして自分が害の無い人間である事伝えねば!

 

「私はただ外の世界で暮らしていたら居場所を失い、暇していたところを八雲紫さんによって幻想郷へ連れてこられた普通の人間ですよ!」

「……八雲紫がですか?……まったくあの妖怪(ヒト)は…。いえ、それをあなたに言ったところで仕方ありません。…それより居場所を失ったとは?」

 

 まったく!? 何!紫さんって幻想郷の妖怪(ヒト)たちに慕われてないの!?

 

 いやそんな事より!余計に怪しまれたんだけどどう説明すりゃいいんだこれ!!

 

「…えーと、まあ一概にかは分かりませんが…それは私の【拒絶される程度の能力】によってだと思います」

「!?」

 

 だ、大丈夫だよね?数刻しか会話してないけど、さとりさんはお空と違ってちゃんと話を聞いてくれるような感じがする。

 

「それのおかげで私は子供のときから周りの奴らに避けられるわ、ハブられるわで大変でしたよ。大人になってからも面倒ごとは尽きませんでしたし」

 

 …自分で言ってて正直泣けてくる…。だって生まれ持った力が明らかにマイナスに振り切ってないか?これだったら能力なんて持ってない方がまだマシだろう。

 

「――まあ、これで能力関係無しに嫌われているんだとしたら笑いものですよね。だとしたら私は唯の勘違いヤローっていうレッテルを貼りざるを得ませんから――」

「何でっ!?何でそんな目にあって!!あなたは今笑っていられるんですかっ!!」

 

 ……え、あれ?少々話が暗くなっていたから俺は自虐風にして皆の笑いを誘ったんだけど…相手さんは何だか感情的になってるし…もしかしてミスった?

 

「あ〜、え〜何ででしょうね…確かにはツラかったはずなんですけど――」

 

 打開しなきゃ打開しなきゃ…え〜と……ダメだ何も思いつかん。

 

 まぁ事あるごとに蔑まれもしたし、ましてや友人なんて呼べる者は居なかったからツラいっちゃツラいけど…でも何でさとりさんは()()()()()必死に思ってくれるのだろうか。

 

「ああ…これが私の人生なんだからしょうがないと、いつしか諦めていたからですかね…」

「「――ッ!?」」

 

 

 

 

 

 そんな一進の話を聞いたさとりたちは顔を俯かせて黙ってしまった。何故か?それは何よりも二人が覚妖怪だったからに違いない。

 

 心が読めてしまう。そんな力を持ってしまったが故に他者からは嫌われ、受け入れてもらえずに苦しい日々を過ごした過去を思い出す。

 

 だからこそ姉妹はわかっているつもりであった。否、分かってあげたかった。そして彼を救いたかった。

 

 自分たちには同じ思いを持つ姉妹がいたからこそ支え合うことだって、助け合うことだってできた。

 

 そして、つらい時期を乗り越えて今の暮らしに辿り着いたのに対し一進は、そんな頼れる者さえいない状況のなかでどれだけ苦しみながら過酷な世界を生きてきて尚、未だに救われていない。

 

 それはあまりに残酷ではないか。

 

 この世界に生まれ落ちたときに覚という種族として能力を持つ姉妹と違い彼は人間。普通に生まれ、普通に生きて、普通に死んで行く人間。

 

 それなのに、何故彼はそんなにも簡単に自分の境遇に納得することが出来るのかと。

 

 

 

 

 

 

「……ええっとすみません。それで、紫さんの居場所を教えて頂けませんか?生憎私は手持ちが少なく幻想郷での生活が落ち着いたら再びお礼をしにこちらに伺いますので」

「ッ!? あなたは外界に帰らず幻想郷で暮らしていくつもりですか!?」

「? ええ、はい。せっかく紫さんに連れてきてもらったのでこの世界で生きてみようかと」

 

 さとりさんの驚きようを見るとやっぱり人外が蔓延っているだけあって、人間は生きていくには難しいのだと実感する。

 

 けれど外界に帰るつもりなんてさらさら無いしな…。つーかこっちに来た時点で俺は外界から忘れ去られてるんだろ?じゃあ無理だろう。それに帰れたとしても外界でつまんなく生きるぐらいならこっちで楽しんで生きてみるよ。

 

 まぁその結果で死ぬんだったらそれはそれで喜んで受け入れるさ。

 

「……………残念ですね…」

 

 はい?え、残念?

 

「私は八雲紫がどこにいるか知りません。それに知っていてもあなたから会いに行くことはできませんよ」

「何故ですか? もしかして道中の妖怪とかでしょうか?」

 

 う~む……だとしたら厄介だな、確かに妖怪相手にばれずに移動するなんて容易な事じゃないだろうし…。

 

 そもそも妖怪と言う者がどれだけ危険なものなのかすら判断出来てないからな。…どうしよう、全員お空クラスの攻撃を持ってたら生きていける気がしないんだが。

 

「『地上と地底の不干渉条約』それのお陰で私たち地底の者が地上に出る事、地上の者が地底に来る事は基本的に禁じられていますから。まあ、あなたの場合八雲紫が来れば地上に出れると思いますが」

 

 …不干渉条約?……って事は地上に行くには紫さん待ち!?嘘ぉ!?だったら何であの妖怪(ヒト)は俺をここに落としたし!

 

「ということは、俺は紫さんが来るまで―「出れないですね」」

 

 ですよねー。それまでどう生きろと!!

 

 ここまで来たらいっそ泣けてくるレベルだぞ…。紫さん…いきなりこの仕打ちはあんまりだと思うんですか…。

 

「……先ずは強い権力を持つ所の保護下に入ることをお勧めしますよ。幸い地底の代表者は人間に友好的ですから」

「すみませんけど代表者はどこにいます!?」

 

 よっしゃマジでキタコレ!!神はまだ俺を見捨てていなかった!!ここの代表に泣いて頼み込めば一先ず助かったかもしんない!

 

「それでは、まず貴方はどんな事が出来るのでしょうか?」

 

 ん? どんな事?…ああ、代表者に会う前に先ずは自分のアピールポイント考えとけって事ね。それもそうだな…その方が心象も良くなりそうだし。

 

 だとしたら……って待てよ?これって人間基準で考えていいのか?さすがに何百キロ持ち上げろとかは俺人間だから無理だぞ。

 

 ……ええい迷っててもしゃーないか。

 

「基本的な家事は出来ます!というか雑用でも何でもやります!」

「そうですか。それは良かったです最近仕事が忙しいので人手が足りなくて困っていましたから。貴方も思ったより早く恩を返す事が出来て良かったですね」

 

 は?え、んん??どういう事だ?急に話がわかんなくなったぞ。恩返し?

 

「それではちゃんとした自己紹介を――わたしは古明地さとり。この地霊殿の主、そして()()()()()をやっている者です」

「は!?地底の代表!?」

 

 この子が!?お燐とお空の主人のみならずここ一帯の地域仕切ってんのがさとりさんなのかよ!?

 

「……おや、一進。これから主人になる相手に対してそんな口の利き方でいいんですか?」

「え、あ!? えーと…申し訳ありませんさとり様!――これから迷惑をおかけすることがあると思いますが、精一杯頑張りますのでよろしくお願いします!!」

 

 詐欺だよ詐欺!!気付ける訳ねぇよこんなもん!!完全に見た目詐欺じゃねーか!

 

 あときっとこの人Sだ。優しいけどきっとSだよ。じゃなかったらこんなニヤニヤした笑み浮かべるわけねーよ。

 

「ふふっ、それでよろしい。さて、二人も戻ってきたようだからしっかり後輩として挨拶しなさいね」

「さとり様ー、紅茶をお持ちしましたー。遅くなったのはお空が火力の調整を間違って手間取ったからですよ」

「すみませんさとり様~」

 

 なんてさとりさんが言った束の間…お燐とお空が扉を開けて入ってくる。

 

「お燐もお空も戻ってくるの遅いよ~わたし喉渇いてたのに~」

「二人とも、別にそれぐらいで怒ったりしないから安心しなさい。それよりも一進から大切な知らせがあるわ」

「「知らせ???」」

 

 取り敢えず持っていた紅茶をテーブルに置き、部屋に戻ってきた二人は早々にさとりさんの言葉を聞いて俺に注目し始めた。

 

 …え〜と。

 

「はい。このたび地霊殿で働かせてもらうことなりました藤代一進です。お燐さん、お空さんこれからよろしくお願いします」

 

「へぇ!嬉しいねぇ。お兄さんここで働くことにしたのかい!あたいは火焔猫 燐。お燐でいいよ」

 

「わたしはーえ~と…「…霊烏路 空」そうそう。だからお空って呼んで♪これからよろしく~♪」

 

 はぁぁ~鳥頭なんだから、とあきれているお燐と笑っているお空を見てほほえましい気持ちになる。

 

「(……良かったぁ。二人とも俺を受け入れてくれる優しい妖怪で…これなら幻想郷で暮らすことを視野に入れても大丈夫だな)」

 

 喜んでくれている二人を見て一先ず自分の身の安全が確保された事に一息つく。

 

「さあ、お燐たちも今日は仕事を終えていいわ。これから一進と交流を深めましょう」

 

 そう言ってさとりさんは机の上に()()()のティーカップを用意していた。

 

「(いや、なんで一つ少ないん? いじめかい?いじめなのかいさとりさん?)あの~さとり様?私の分は頂けないのでしょうか?」

 

「? 何を言ってるの一進?渡してるじゃない」

 

 …って言われてもね…さとりさん()黒帽子ちゃん()お燐()お空()…で、()。…足りねぇって。

 

「いや、これでしたら一つ少ないんですけど……」

 

「……まさか…」

 

 いや、まさかじゃないって。何でそんな深刻そうな顔してんですかい?もう一個出してくれりゃいい話でしょう。

 

「…ウソッ!?!?!?」

 

 何て事言ってたら…わお。黒帽子ちゃんがめっちゃ詰め寄ってきたんだけど……どしたの?

 

「…あなた――わたしが見えているの!?」

 

「ん? ああ、俺が部屋に入ったときからずっと居たでしょ」

 

「――お姉ちゃん!!!」

 

「!? やっぱり居たのねこいし!」

 

「「こいし様っっ!?」」

 

 ちょっとーいきなり過ぎてついていけないんだがどういう事だ?取り敢えず黒帽子(こいし)ちゃん(様のほうがいいかな?)の姿は俺以外に見えていなかったって事だろうか。

 

 確かにちょいちょい彼女の発言が無視されていたような―――。

 

「お姉ちゃん!一進をわたしのペットにしていい!?」

 

 …………。

 

 ――what!? ペット? ペットって言ったらもしかしてあのペット?(錯乱)

 

「…ハァ、まあこいしを見つけることができるならそれもいいかしらね」

 

 肯定ですか!?まさかの妹のペット発言を肯定ですか!?さとりさんお願いだから取り消して!!ていうか取り消させないと俺がペットとして飼われる事に!!

 

「あの!さとり様流石にペット扱いは「やったぁぁ~!じゃあ一進はこれからわたしのペットに決まり!」…」

 

 ―――終わっったああああぁぁぁ!!!俺の尊厳が消え失せたあああぁぁぁ!!!

 

「……一進、大変だと思うけどこいしをお願いね」

 

 いや、そんなこと言うならペット肯定発言取り消してくださいよさとり様!

 

「それはできないわ」

 

「!? 私の心は読めないのでは!?」

 

「目は口ほどに物を言うってこういうことなのね…」

 

 ああ、顔に出てたって―「どーーん♪」今度は何さ。

 

 俺とさとり様の話しを遮るように抱き着いてきたこいしちゃん(もう、ちゃんでいいや)は、満面の笑みを浮かべて言い放ってきた。

 

「わたしはお姉ちゃんの妹で古明地こいしって言うの!わたしの呼び方はなんでもいいや。それで!これから一進のご主人様になるからよろしくね♪」

 

「(…命か、人としての尊厳か―――)そうだね。よろしくこいしちゃん」

 

「えへへ~♪」

 

 尊厳?何それおいしいの?

 

「「「軽っ!!!」」」

 

 なんだよそこの三人。文句でもあるのか?

 

 確かに俺はなんでもやるって言ったよ。言ったけどさぁ~それがペットになるなんて誰も予想出来ないだろ……。

 

 まあこれも恩返しってことで我慢しますか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

―――こうして俺は幻想郷で暮らすことになった。

 

 

所在地・・・地霊殿

 

 

種族・・・人間

 

 

能力・・・拒絶される能力

 

 

 

そして、

 

 

 

職業・・・・・・ペット

 

 

 涙が出そうだ…。




一進君地霊殿に住み込み決定!!!
やったね!ペット扱い嬉しいね!


さてこっからどうしよう。何も考えてゲフンゲフン。


それではまた次回。

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