受け入れ先は幻想郷   作:無意識倶楽部

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遅くなってしまいスミマセン!

数パターンで思考した結果、
ここに一進君を落とそうと終着しました。


それではどうぞ。






episode1~幻想郷にようこそ
第6話  やっとの思いで幻想郷


『――フンフーン〜♪…ん?なんだいなんだい。こんなに怨霊が集まって…って人間の死体があるじゃないか!しかも綺麗な上物!』

 

『いや〜♪最近は、お空が暴走するわでろくなことがなかったから嬉しいねぇ♪コレも日々頑張ってるあたいへの「うぐぅ…」………って、嘘!?生きてるのかい!』

 

『…ああ〜もう…これは厄介なの拾っちまったよ。まぁコレはどうするにしてもまずはさとり様に報告かねぇ?』

 

「……」

 

『はぁ…感謝しなよ…。あたいが見つけなかったらってか、あたい以外に見つかったとしてもきっと死んでいたよ。お兄さん…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side一進

 

 

 

 

「……どこだ…ここ…?」

 

 俺は目を覚ますと、そこは知らない天井だった。

 

「いや、気絶から目覚めた典型的なセリフ言ってる場合じゃねぇってマジでここどこよ」

 

 身体を起こすと薄暗く家具自体は少ないが、とても綺麗なステンドグラスが目立つ洋室に俺は寝かされているようだった。

 

「……つーか体がイテェ、そして何で俺は寝てんだ?」

 

 上体を起こしたときに気づいたが、俺はそこら中包帯まみれになっている上見知らぬ所に寝かされているときたもんだ…。

 

「さて」

 

 どうしてこうなったのか分からない為、俺は少しばかり前の出来事を思い出そう。

 

 

 

 

 

 

 

『えぇ、もちろん。幻想郷は全てを受け入れますわ』

 

 うん。そうだそうだ。確かそう言った八雲に俺はスキマで落とされて…。

 

『待ってろよ幻想郷!俺が今すぐ行ってやるからな』

 

 俺は幻想郷で新たな暮らしを楽しみにしたところで…。

 

『…………え?地面は?…長くない?これいつまで落ちるの?』

 

『おーい。紫さーん?そろそろ地面つかないとマズイことになるんですけど?』

 

『……いやいやいや、シャレにならない速度だって!!死ぬって!マジで死ぬって!』

 

 ………ああ、そうだ…。自分の生命の危険をリアルで感じてたんだ…。

 

『あ、出口見え…って岩ぁぁあ!!地面岩ぁぁぁぁああ!!!イヤー死ぬー』ズグシャンッ

 

 

 

 

  ざんねん!!いっしんのぼうけんはこれでおわってしまった!!

 

 

 

 

 うん。巫山戯たのは謝るけど…何で俺生きてんの?あの速さで地面に衝突したんだよ?普通は死ぬと思うんだか…。

 

「ま、まぁ考えてもしゃーない!結局こうして生きてたんだから細かい事なんて気にしないわ。……で、ここが幻想郷ねぇ」

 

 見た限りじゃあんまり向こうの世界と変わんねーな。俺の想像では大方ファンタジーで構成されてるもんだと思ってたけど…。

 

 ま、そんな事よりも取り敢えず……。

 

「八雲は許さん」

 

 俺は身体の痛みに耐えながらそう誓った。

 

 

 

 

***

 

 

 

 ベッドの上で誰かが来るまでなんて我慢出来なかった俺は、少し気になる事もあるので部屋を出て洋館内を歩いていた。

 

「八雲も来る気配ねーし、ここは広いし、ひとまずは気絶?していた俺を運んでくれたやつに――「うにゅ?」うぇい!?」

 

 え、ちょ!?いきなり何!?

 

 目を向けるとそこには大きい黒い翼、それにかかる大きいマント、そして大きい胸を主張するように瞳みたいな赤い宝石を付けた黒髪ロングの少女が――。

 

「あなただれ?…あっ!知らない人!すぐに燃やさないとー♪」

 

 俺の生命を脅かす事を言っているではないですか…。

 

「燃やッ!? ちょ、ちょっと待ってくれ!俺h―「地霊殿に入ってきた侵入者なんて溶かしつくしてあげるから!」

 

 とかちつくちて?――じゃねぇよバカ!人の話を聞けッ!!右手の筒にエネルギー溜めんな!

 

 ええい、せっかく来たってのに早々に死んでたまるか!

 

「聞いてくれっ!俺はさっきここの館に運び込まれただけなんだ!」

「えいっ!」

「無視!?」

 

 一瞬だけ光が溢れたかと思えば、突きつけられた筒から溜められていたエネルギーみたいのが発射される。

 

「(あ、コレ死んだわ)」

 

 轟音と共に俺の視界が白い光で埋め尽くされる。

 

 

 

 

 

 だが、

 

 

「あれー?何で燃えてないのー?」

 

 俺は死ぬ事なくそこに立っていた。

 

「(何故に?後ろの壁はほぼ消し飛んでるのに俺は無傷なんだが)」

 

 あまりの事に脳内処理が間に合わなくなる…。取り敢えず分かった事は、後ろを見やれば薄暗い外の風景が見えている為に今いるココがそれなりに大きい館ってのが分かった。

 

 ……しかし今重要なのは目の前にいる少女である。

 

「こうなったらもう一度―「まさか今の音って、あああぁぁぁーー!いたー!」…あ、お燐!」

 

 お燐?

 

 再び攻撃をされては堪ったもんじゃないから急いで逃げようとした所、第三者の声によって俺も翼の子も行動を中止する。

 

「ダメだよお空!この人燃やしたら!」

 

 そう言って俺を庇うように立つ、黒いゴスロリのような服を着ているネコ耳と尻尾を生やした赤い三つ編みの少女。

 

「えっ!…まさかさとり様のお客さん!?」

「…うーん…いや、そーじゃないんだけどねー…」

「それじゃ♪燃やして―「ダメだって!」うにゅー…だってーさとり様が侵入者には火をつけなさいって!」

 

 出会い頭に相手の事を消し炭にしろと…いやはやまっことながらに恐ろしい主人がいるようで…。

 

「いやっ、それ『気』ね!『火』じゃなくて『気』ね!さとり様そんな物騒なこと言わないよ! もう〜久々にさとり様の言葉を覚えてると思ったらお空はこれだもの~」

「えへへ〜♪」

「はぁ…、褒めてないよ…」

 

 と、登場から流れる様に疲れた顔になったお燐と呼ばれる少女と、照れているお空と呼ばれている少々アホの子。

 

 ん~…アホの子の聞き間違いのようだからそこまで主人の人も恐ろしい訳では無いのかな……というか二人とも…俺を話からおいてかないで欲しい。

 

「なあ、お燐さんとやら少しいいか?」

 

 話が通じそうな方に逃げたのは断じてビビった訳じゃない。ビビった訳じゃ無いけど…もう一度撃たれたいとも思えない。

 

「ん?ああ、ほっといて悪かったねぇお兄さん。体、大丈夫なのかい?」

「いや、確かにそこのお空って子に襲われたけど怪我は無かったから気にしてないよ。それより、ここはどこなんだ?」

 

 なんて口では言ったけど嘘です。何で怪我してないかめっちゃ気にしてます。

 

 だけどそんな事より状況把握を一先ずしておきたい…。現状俺は迷子と言っても過言じゃ無いと思うしな…。

 

「おやお兄さん、あんな所で倒れてたのに地霊殿を知らないのかい?」

「地霊殿?それがこの館の名前か?」

 

 八雲からの説明には含まれて無かったけど……ってあんな所で倒れてた?

 

「気絶してた俺を運んでくれたのは君か!」

「うん、そうだよ。あたいは火車って妖怪でね、死体を見つけると持ち帰りたくなる性分なのさ」

 

 まぁ、お兄さんは死体じゃ無かったけどね、と言ってお燐はカラカラ笑っている。

 

「(よかった。お空って子じゃなくて彼女に見つけてもらえて本当によかった)」

 

 一歩間違えると自分が二度と目を覚まさなかったかもしれない事実に少しばかり恐怖する。

 

「本当にありがとう、助かったよ」

 

 岩だらけの地面から拾ってくれたのと、お空って子の…何ていうのあれ?砲撃?を(いさ)めてくれた事はリアルで感謝したい。

 

「ほぇ〜珍しいねぇ。妖怪に感謝する人間なんてさ」

 

 そうか?理由がどうであれ、助けてもらったなら礼ぐらい言うのが筋だろう。まぁぶっちゃけ俺は妖怪というのを良く知らないからそれが常識なのかは分からんが…。

 

「…ま、いいや。それで長話もこの辺にしておいて、起きたのならまずさとり様に会ってもらうよ。さとり様はあたい達、そしてこの地霊殿の主人だからね」

「主人…さとり様ね。ああ、分かった」

 

 この広い館の主で壁一面を消し飛ばせる力を持つ者を従える主人、さとり…か、俺は会っても大丈夫なのだろうか。

 

 若干頭の中ではかなり凶悪で強大な力を持つ者と想定しておくべきかな。

 

「ホラお空起きて!さとり様の所に行くよ!」

「……うにゅー?…難しい話終わったのー?」

「そうだって!だからさとり様の所に行くよ!」

 

 お燐ちゃんはボーッとしてるお空ちゃんを軽く小突いて意識を覚醒させている。つーかよく立ったままで寝ていられるな…。

 

「さとり様!だったら私が連れてってあげる!それじゃあ行っくよー!!…………あれっ??」

 

 お燐ちゃんに主人の下に連れてくと言われ、意気揚々と歩きだしたのに何故かいきなり足を止め首をかしげ始めたお空ちゃん。

 

 ……な、何だ、もしかしてさっきまでの俺の対応の中でどこか不審に思われる様な事でもしてしまったのか?…だとしたらマズイ…少々アホな子とか勝手に思ってたけどもしかしたら実は賢いのかもしれない。

 

「どうしたの?お空?」

「ねぇーお燐?さとり様の部屋どこだっけ?」

 

 …結果賢くなかったけどどっちみち訂正するわ。この子、少々じゃなくてかなりアホの子だ。

 

「………はぁぁああ〜…、それじゃあお兄さん、あたいについてきておくれ……」

 

 少しの間でお燐ちゃんの疲労度が振り切れそうになってるがここは頑張ってもらいたい。ここで放置されたら俺は割と本気で困るんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さとりside

 

 

 

 

「…さっきの音はまたお空がやらかしたのかしらね」

 

 私はそう言いながら衝撃で崩れてしまった書類を拾い集める。

 

「元気なのは良いけれど、館の修繕も楽では無いのだからもう少し考えてもらいたいものだけど…」

 

 地上と地底の不干渉条約、そして異変の後処理として目を通した大量にある資料を見て再び実感がわいてくる。…確かに怨霊が地上に出てしまったのはお燐のやった事だから責任は取るのだけど……。

 

「八雲紫に言われたけど、なぜ私が地底全土のまとめ役なんて」

 

 これは一種のパワハラでは無いだろうか?ましてや条約についても見直しを要求してきたし最近はやる事が増えて寝る時間まで削られている。

 

 もっとそういう荒事や人の上に立つのに慣れている人が旧都に居るのにと、ため息が出る。

 

『さとり様ー拾った人間が目を覚ましましたので連れてきましたー』

 

 すると、扉の向こうから聞きなれた声が響く。

 

 おや、先ほどお燐が生きている人間を外で見つけたと言っていましたが。報告通りにその男を連れて来てくれたようね。

 

「ええ、入ってきなさい」

 

 それにしても人間が地底に来るなんてね、かなりの訳ありかしら?最近忙しいから面倒事にならなければいいけど…。

 

「失礼します、私はお燐さんに助けられて地霊殿に運ばれてきた人間で、藤代一進と…………」

 

 そういって部屋に入ってきた彼、一進さんは言葉の途中で止まってしまった。

 

 どうしたのでしょう?お燐達を見ているから妖怪に驚いたわけでも無さそうだし、この部屋は特に驚くものなんて……。

 

 

「………………えーと、さとりさんの…子供さんですか?すいませんけど、さとりさんはどちらに?」

「「……はぁ!?!?」」

「うにゅ?」

 

 そんな事言われて柄にも無く叫んでしまった私はきっと悪くないと思います。

 

 

 ………確かにこの容姿では子供にしか見られませんけど……。

 

 




まさかの地底スタート・・・。予想外です。なにせ私自身驚いてますから。コウマグミカキタカッタ…


さて、一進君の能力が度々発動していますね。そんな状態で彼は地底で生きれるのでしょうか?それとも別の所へ……?


それではまた次回。

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