受け入れ先は幻想郷   作:無意識倶楽部

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※5月から6月中旬までは異常に忙しく、執筆をする余裕が無いと思われます。おそらく投稿が遅れますのでご了承下さい。


それではどうぞ。



第64話 最凶のパーティー+α

side文

 

 

 

 

 

「早苗さーん!文々。新聞をお届けに参りましたよー!」

 

 一進さん、幽香さんと別れた後、私は一度一進さんに言われて家に戻る事にしました。そして、制作の終っていた地霊異変…並びに条約改正についての新聞を片手に幻想郷中へと配布しています。

 

 で、今は何処ぞの神社とは一味違う神聖さ漂う守矢神社に降り立ったんですが…。

 

 

「……? 早苗さーん!」

 

 

 ……。

 

 

 …って呼んでも返事がありませんね…。いつもなら境内の掃除でもしてる時間帯なんですが今日は居ないんですかねぇ?

 

 ……ふむ、まぁ仕方ありません。それならそれで二柱のどちらかにでも渡せればいいでしょうし。

 

「よっすブン屋。どったの?早苗になんか用?」

「あや?諏訪子さん」

 

 早苗さんが居ない為母屋に行こうとした所、賽銭箱に腰を下ろしていた二柱の一人に声を掛けられました。

 

「悪いけど早苗だったら今丁度里に下りてる所かな〜」

「はぁ…そうでしたか」

 

 それでは人里で配った時に見つけられていればその場で渡せて楽だったんですがねぇ…。

 

「まぁ今回は新聞を届けに来ただけですので諏訪子さんから早苗さんに渡して頂けますか?」

 

 直接にしろ間接にしろ、どっちにしろ読んで頂けるなら私は構いませんからね。

 

 なんと守矢の方々だと早苗さんしか私の新聞を読んでくれないのですよ!折角取って頂いてるのですから諏訪子さんにも神奈子さんにも目を通して貰いたいものです。

 

「ああこの前のね。それじゃどうせなら上がってく?なんせ異変の片棒を担いだのもウチ(神奈子)のやつだし話も聞きたいでしょ?」

「うえ!?そうなんですか!?」

 

 地底異変の裏にはなんと守矢が絡んでいた!!ふ〜む…見出しはこんな所で………ハッ!

 

 危ない危ない…つい製作欲に駆られて一進さんの事を投げ出す所でした。

 

「いや〜それはそれで非常に魅力的なお話なんですけど今は先約がありまして~」

「おろ?ブン屋がこんな面白そうな話断るなんて珍しいじゃん。…何かあったの?」

 

 そうやって面白いものを見つけたかの様に諏訪子さんの目が細まります…。ハァ、広まっても困るんですが仕方が無いですねぇ…。

 

「あまり広めて欲しく無いのですが…一進さん…ああいえ、新たな外来人が来ているんですよ。私はその人の取材を取り付けましてね」

「……へ〜外来人ねぇ。まいっか、だったら新聞が出来たら持って来てね」

「はい――はい!?え!諏訪子さんもご覧になるのですか!?」

「……ちょっと興味出てきたのさ」

 

 おおこれは素晴らしいです!こんなにも簡単に購読者が増えるなんて一進さん様々ですよ!

 

 一進さんの場合秘密事がある為書く内容が薄くなりそうでしたが…こうやって期待して頂けるならそれを補うぐらいの新聞を作りましょう!

 

「分かりました!それでは早苗さんにも宜しく言っておいて下さい!!」

 

 さて!そうと決まれば急ぎますよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…外来人…一進…って言ったらあいつだよね。……はぁ〜あ、こりゃ厄介な種が舞い込んできたよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side一進

 

 

 

 どうも皆さんこんにちは、俺です。非常に疲れています。

 

 …急過ぎると思いますけどホントに疲れてますよ?厳密には疲れる事が現在進行形で起こってるっていうね。

 

 あ~メンドクセェ…。ただでさえアリスの所に向かいたいってのにこんな所で足止めを食らうとはな。

 

「うどん…。助けてくれ」

「いや…助けろって言われても私がどうこう出来ると思う?」

「……だよなぁ…ハァ…」

 

 隣で俺の心情を察してくれていたうどんになけなしの希望を持ってみるが、うどんも案の定お手上げ状態で慈悲の目を向けて来る。……クッソ…こういう時こそ役に立つべきだろう全く近頃の若い兎は…。

 

 …………ちょっと話が脱線しまくってたから戻すとして…どうすんのこれ?本気で面倒くさいんだけど…。

 

 いや、ね?俺も結局あの後永遠亭まで帰って来た訳なんですよ。皆忘れてるかも知れないけど先生との当初の約束通りにね。ちゃんと幽香から薬草を貰って歩いて来た道を戻ったんですよ。

 

 

 ……幽香と共に。

 

 

「どうして貴女が一進について来ているのかしら?」

「あら?私からすれば貴女がここ(永遠亭)にいる方がよっぽど気になるのだけど?」

「質問を質問で返してんじゃ無いわよ」

 

 そしたら紫と会うなり流れでこんな風になってしまった訳ですわ。困ったねこりゃ。

 

 玄関の扉を開けたらいきなり紫が飛びかかって来たし、それだけに留まらず俺の後ろに居た幽香を見るなり…『元居た所に帰しなさい!』なんだもん。捨て犬かこいつは。

 

 …つーかそれ以前に何でこいつらはこんなに仲悪いの?互いが互いを嫌悪しすぎだろ。…それとも逆か?喧嘩する程仲が良いってやつなのか?

 

「「絶対に無いわ!」」

「はいはい、大変仲がよろしいようで」

 

 もういっそここまで来たら笑っちまうわ。…因みに心読まれた事に対しては気にしない方向でいくからな。

 

「幽香と仲が良い!?冗談じゃ無いわ!何で私がこんな頭の中までお花畑の奴とつるまなきゃいけないのよ!」

「貴女は花が嫌いなの?だったら咲かせてあげましょうか?真っ赤で綺麗な花を――貴女の頭で」

「やめてくれ。割とホントに出来そうだからマジでやめてくれ」

 

 紫の暴言は悪口程度だからいいよ、まだ寛容も出来る。……だけど幽香の発言はアウト。完全にアウト。そんな事されたらだいぶグロい事になる未来しか見えない。

 

「何よ、一進は私がこの女よりも劣っているって言ってるのかしら?」

「真っ当は判断じゃない。少なくても私より優ってはいないでしょう」

「うるさいわよ!偉そうな事言っといて私に勝った事ないくせに!!」

「悪いけどその言葉はそっくりそのまま返してあげるわ!」

 

 ダメだこりゃ、大きな子供二人が罵り合うばかりでロクな話にならない…。

 

 ……これは早めに先生が来てくれる事を願うだけだな。

 

「…先生は?」

「無理ね。まだ暫く治療に来た人の相手をしてるわ」

「じゃあお前と代わって来れないのか?」

「……だって…まだ人前だと…緊張するし……」

「……そっすか」

 

 使えないなんて言わないよ、うどんがまた拗ねそうだし…。でもこれで二人を治めてくれそうな僅かな希望も絶たれました。

 

「(……あの二人ってさ、一時期物凄い話題になったのよ。だからここまでいがみ合ってるっていうか…)」

 すると、自分でも居心地が悪くなったのか、小さな声でうどんがそんな事を言ってくる。

 

「(…話題って何さ?だとしても仲悪過ぎだと思うけどな)」

「(え〜っと、かなり昔の事なんだけどね…。八雲は幻想郷の賢者として全妖怪を治める立場にいるから、妖怪達を統括する為には当然それ相応の実力を提示しなくちゃいけなかったのよ)」

 

 ああ、何となく分かるわ。自分がしっかりと抑止力になっとかないとその他妖怪達に言う事聞かせられないし、何かと困るからな。

 

「(で、そんな中妖怪の中でも相当広く名を轟かせていた幽香さんが注目された訳」

「(実力がある上、どう考えても幽香が他者の下に付く訳無いだろうからな)」

「(そういう事よ)」

 

 成る程な、上に立ちたがる所が幽香らしいよ。無関心、無関係なら兎も角幽香が好き好んで他者の下に付く訳無いわな。

 

 紫も手を焼いた事だろう。一人でも特別処置を出してしまえば周りの奴もそれに乗っかり兼ねない、だから形だけでも全員を自分の下に付く事を了承させないと抑止力とは言い難くなるし。

 

 

「あんたはさっさと帰って土でもいじってなさいよ!」

「じゃあちょっと着いて来て貰おうかしら。貴女でも埋めておけば肥やしとして使えるでしょうし」

 

 もう互いの胸ぐら掴み合ってるんだけど大丈夫だよな?いくら互いが嫌いだとしても他人の家で暴れる程考え無しでは無いと思いたい。

 

「あぁもう!!本当に何の為にここに来たのよ!私だって無駄に争っていられる程暇じゃないのよ!」

「決まってるじゃない。彼が気になる相手だったからよ」

「……え?」

 

 

「……」

「……」

「……」

 

 

 暫しの沈黙。そして突き刺さる二つの視線。

 

 紫は幽香の言ってる事が飲み込めないのかフリーズしてるし、うどんは『…目を付けられて可哀想に』みたいな目で見てくるし何だってんだ。

 

「気になる相手だったからよ。妖怪なのだから欲求に忠実なのは自然な事でしょう?」

 

 そして妖艶とも言える幽香の微笑…。分かった分かった、こいつ絶対に人を弄って楽しんでるだけだよ……。

 

 何で分かるかって?俺がそうだもん。人をバカにするのが大好きな俺が言うのだから間違いない。

 

 …紫は隣で何も言葉が出せないで口をパクパクさせてるよ。可愛いけど酷く滑稽にも見えてしまう。

 

「私の方から襲おうとしたんだけど…向こうに先に手を出されちゃってね」

「襲ッ!?」

「手を出した!?」

「ちょっと静かにしてくれないか?」

 

 無駄だと思うけど紫とうどんを諌めようと努力はしてみる。向こうで今先生は患者の相手してるんだろ?それ抜きにしてもこんな会話広めて欲しく無いし、人里に噂が立ったら立ち寄りづらくなるからな…。

 

 因みに二人共驚いてる様だけど、先に言ったのが紫で後に言ったのがうどんだぞ。

 

 いやそれにしてもそうだったのか…。幻想郷では襲われそう(殴られそう)になった事に対しての防衛は手を出すって意味になるんだな。

 

 いや~あっはっは勉強になった勉強になった。

 

「…ちょっと一進!!!」

 

 うん。だと思った。そろそろ俺の方に来ると思ってたよ。

 

「やめろ紫。お前が思った事なんて微塵も起きてない」

 

 だから優しく肩から手を離してくれ。お前の全力となれば俺の肩が普通に外れかねない。

 

 ってかそもそもそんな事が起きるわけが無いだろう…常識的に考えてくれよ。

 

 射命丸だって付き添いで一緒に居たのだし…何よりも出会って数分で即合体なんて、俺はそこまで見境無い人間のつもりは無いぞ。

 

 ……だからさぁ…。

 

「私の事をキズモノにしたくせに…」

「――ッ!?」

 

 お前は(幽香)何がしたいんだ。何がお前をそこまで駆り立たせる。何だ?そうまでして俺が困ってる姿が見たいのか?

 

 ……つーか殴ってしまったのは認めるけどよ…お前傷なんて一切ついてねぇだろ。

 

「フー・・・フー・・・」

「一旦落ち着け。そしてスキマから出した鉈は一先ず戻して深呼吸してくれ」

 

 乱れた前髪から覗く光の無い瞳が恐ろしく怖いです。いや、似合っていると言えば似合ってるけどな?…だけど俺だって誤解なんかで殺されたくないからさ。

 

 ってか慣れって怖いな。こんな状況に置かれているというのに普通に落ち着いてしまってる自分がいるよ。……流石に自分の命が危うければもっと正しい行動があると思うんだけどな…。

 

「……何してんのよ…」

 

 やっとこさここで救世主(先生)の登場。欲を言えばもっと早く来て欲しかったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だ…攻撃的に襲われそうだったのね」

 

 先生のお陰で白熱していた場がすっかり仕切り直される。…流石だな、入れ替わるよう部屋から出て行ったうどんとは違って頼りになるよ。

 

「若干の事実はあるけど決して真実じゃないからな。そこんところ勘違いすんなよ」

「…分かったわよ」

 

 ホントに分かってんのかね?口ではそう言っておきながら紫はガッチリと俺の腕を掴んで幽香から遠ざけようとしてるんだけど。

 

 …まぁいいや。

 

「そんじゃ先生、渡すもんも渡したし俺らはアリスの所に行ってみるわ」

「確かに受け取ったわ。…だけど何で人形遣いに?」

「そりゃあ秘密を知ってるし、何より…あいつなら何があろうと俺の味方してくれると思うから?」

「何で疑問形なのよ…」

 

 だって確証なんて無いんですもん。いくら昔懐いてくれていたとはいえ、アリスだって夢子同様相手側に回っている可能性も十分に考えられる。

 

 敵なら敵、味方なら味方…。知らない奴では無いのだからそこらへんをハッキリさせておきたい。

 

「だからこそ確かめに行くんだ」

「私はそれの付き添いね。私はアリスの事も昔から知ってるし…彼はアリスが何処にいるかも知らないって言うから」

 

 さっきまで散々巫山戯ていたくせに急に真面目になった幽香からそんな補足が入る。

 

 手間を取らせてすまんな幽香。でもお前が紫につっかからなかったら多分だけどもっと早く行けてたぞ。

 

「あんまりもたもたしてたら射命丸が俺の取材をしに戻って来そうだし…アリスと話してる時に割り込まれても面倒だからな」

「絶対に私も行くわ…って言いたいんだけどちょっと待ちなさい」

 

 そう言って紫は主張してくる…。

 

 絶対って…そうまでして幽香との行動を認めたくないのかよ。心配しなくても大丈夫だっつーの。

 

「何で彼女が貴方の秘密を知ってるの?…それに味方?」

「…ん?」

 

 え?いや、だってそれは…。

 

 紫の質問に対し少しだけ戸惑う。これって…今更言う事なのか?

 

「彼とアリスは兄妹よ。血の繋がりなんてものは全く無いけど」

 

 うん、そうなんだよな。先に夢子が来てその後が俺になってるし、でもって更に後にアリスが来てるから順番的にそれで合ってるよ。

 

「………」

 

「……妹?」

「妹」

 

 そうだよ。判定的には妹かどうか怪しいけど合ってる筈だわな。

 

 

 …ん?……あ〜…。

 

「言って無かったっけ?」

「聞いて無いし知らないわよ!?ギリギリ判明してたのでも貴方が魔界神の子供って事ぐらいだし!!」

「と言うか彼女も魔界人なの?……実験に協力してくれないかしら…」

 

 激昂する紫に平常運転の先生。…悪いのは俺なんだけどここにいる全員を纏められる人を用意して貰いたい。

 

「ホントに行って大丈夫なの!?魔法の森って少し前に小規模の被害があったのよ!?」

「確かに戦闘の形跡がありましたね〜。私は一目見て何らかの事件が起きてると気付きましたよ」

 

 そうかいそうかい。でもそこに行かないとアリスに会えないのだから行くしか――ってあれ? 

 

「どうも一進さん!新聞を配り終えたので早速取材に伺いました!」

「……射命丸…」

 

 いつの間に来たんだよ…つーか来ちゃったよ…。だから早く行きたかったのに。

 

「…ってどうしたのですか紫さん?そんなに慌てて…」

「どどどどうしましょう一進!よりにもよって一番厄介なのに聞かれちゃったわ!?」

 

 聞かれた?ああ…俺の魔界うんたらの話を射命丸に聞かれたって事ね。

 

「大丈夫大丈夫。こいつはもう幽香の所で聞いてるから」

「はい。その上ネタにしないようにとクギを刺されて絶賛生殺し状態ですよ」

「何よ、文句あるの?」

「いえいえ…」

 

 そして上手く幽香が抑止力になってくれているからこいつは敵に回る事は考えづらい。それに、幻想郷においてこいつは新聞記者である為に交友関係が異常に広く何かと便利である。

 

「…でも、流石にその天狗を引き入れるのは問題あると思うわよ…。天狗の社会は基本中立の立場を取ってくるから融通が利かないし失敗じゃないの?」

「大丈夫だって、問題はあると思うけど失敗じゃないさ」

 

 先生も射命丸が今まで行った報道を省みて否定的な態度で難色を示す。だけど大丈夫、俺だってその辺はしっかりと考えているよ。

 

「第一失敗するって事は成功に進もうとしているからこそ起きるんだ。俺は失敗を恐れて勝負をしないぐらいなら失敗を受け入れて成功の糧にするよ」

 

 大体いつまでもゆっくりしていられないのだから引き入れそうな奴は片っ端から引き入れていくしか無いだろう。

 

 …魔界には夢子が居るし、そして母さんの手駒だってどれだけいるのか分からないのだから。

 

「…いいのね?」

「それぐらいの危険は覚悟の上だ」

「…そう。紫、貴女も分かってるわね」

「…ええ」

 

 例え幻想郷の住民が厄介事()を消そうと動いても何ら不思議では無い。要は今まで同郷だった奴と戦えるかを先生は聞いているのだろう。

 

「楽しみね。手応えあるのが敵になってくれればいいのだけど」

「そんな縁起でもない…。どうせ記事に出来ないのなら派手な演出は要らないですよ」

 

 何だかんだ言いながらもここに居る奴らは皆俺なんかの味方でいてくれる。…それがどうしようもなく嬉しかった…。

 

 

 進化する奴は歩こうとした奴だけ。

 

 前に進める奴は前を向いてる奴だけ。

 

 …だったらやってやろうじゃん。

 

「迷惑を掛けると思うけどさ、ここは俺の理不尽に巻き込まれたって事で一先ず力を貸し――」

「ああ、すみませんが紫さんにお伝えしたい事があります。冥界まで新聞を届けた際に少しだけお話したのですが…幽々子さんが少々怒っていましたよ?」

「幽々子が?」

 

 おいおいおい俺のセリフを……いや、まぁ締まらねぇ方が俺らしいと言えば俺らしいか。

 

 …どうやら紫は用事が出来たみたいだし…そろそろ俺達は俺達でアリスの所に向かうかな。

 

「はい。何でも、『些細なお願いをしたのに私の親友はそれすらも叶えてくれないんだわ』…と」

「……あ」

 

 いや、『……あ』じゃねぇーよオイ。…何かこれどっかで見た流れになって来たぞ……。確か――。

 

「一進。すっかり忘れていたけど実は貴方に会って貰いたい人がいるのよ」

「取り繕っても遅ぇし無理だろ。どう考えても今更だし俺には先約があるっての」

 

 アリスだの射命丸だの…片付けないといけないのがどんどん山積みになってきてるから早く終わらせないといけない。

 

 ってか思い出した…これ完全に紅魔館に行く直前のやりとりだわ。そんでもって宴会の時に紫がレミリアに言及されてたな。

 

「お、お願いよ一進!!私を助けると思って!!」

「射命丸。どうせなら取材はアリスの所で一片に済ませていいか?」

「いやぁぁ!!!お願いだから聞いてぇぇ!!!」

 

 うん。ここだと紫がうるさそうだし場所を変えよう。仕方ない仕方ない、紫が悪いのだからほっとこう。

 

「ああ!そういえばアリスさん宅が倒壊してましたよ。この取材が終われば今度はそちらを追いたいですね」

「「……は?」」

 

 ……え?ちょ、え?何?……倒壊?倒壊ってあれだよな…つまり倒壊したって事だよな!?(大慌て)

 

 つまりはーー壊されたってのか?アリスの家が!?

 

「最早呪われてるわ。貴方の体質かしらね…次から次へと問題に見舞われるなんて」

「ま、妥当でしょう。アリスを幻想郷に残しておくメリットが向こうには無いもの」

「…いや、え?何で二人は落ち着いていられるんだよ…」

 

 悪いけど俺にはそんな余裕は無いが…先生と幽香の両名は射命丸の言葉を聞いても平然と考察を続けている。

 

「少し考えればね」

「これぐらい想定の範囲内よ」

 

 …マジか…ただ単純に俺が未熟で至らないだけだってか。

 

「それじゃあ仕方ないわね!!だったら一緒に冥界に行きま――?」

 

 だから…と言う訳では無いが、嬉々として俺の手を取ってきた紫に心底ムカついた俺は無意識のうちに紫の頬に手を伸ばしていた。

 

 

「イヒャイイヒャイイヒャイ!!」

 

 

 ……まぁこれぐらいは当然の仕打ちだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




そろそろ難点だった守矢と冥界に絡めそうです。…誰が立ち塞がるのでしょうかね…無論何人かは戦わせてみますが明確に敵側に回る方は決めていませんので悪しからず。


それではまた次回。




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