あと投稿が遅れてしまいすみませんでしたぁ!
それではどうぞ。
◯
sideこいし
「お二人が数多くの荷物の前で立っていたので、何事かと驚きましたがなるほど…そういう事が……」
「お進が紅魔館から何人か連れて来るって言ってたからすぐに片付くと思うんだけど……ゴメンね?荷物置き場みたいに使っちゃって」
「いえいえそんな、全然気にしてませんよ」
ふぅ、阿求が優しくて良かった良かった。
里の皆から感謝の気持ちって言われていっぱい貰ったけど…それが完全に持ち運べる量をオーバーしてたからどうしようかって黄昏てたんだよね。
「ちょうどいいところに出会えてよかったです。いくら感謝として貰った物でもこれは些か多すぎですよね…里の人は貰う側の気持ちも考えなかったのでしょうか…」
阿求は玄関から中程まで積みあがった荷物を見て苦笑いしてるけど~、実際この量だと阿求に会うまではホントに困ってたんだからね。
はぁ~阿求の家が近くて助かったし、それに上手く家の敷地に運び込めたから本当に良かったよ。
「多分考えてたと思うよ?今はこんなになってるけどこれでも最初は良識があったもん。それをお進がちゃ~んとお金を払おうとしたものだから『だったら安くするから沢山貰ってってくれ』なんて事になってさ~」
まぁ普通は貰った物にお金を渡すのは失礼なんだけど……そこはお姉ちゃんにそう言われてたらしいからさ、里の皆がくれた物にお金を払おうとしたのはしょうがないんだけどね。
「それでここまで多くなったと…彼は祀られてる神かなにかでしょうか?驚くぐらいの人徳ですね……ですがそれにしても里の若者達の目を覚まさせてくれたお礼ですか…」
「あれ?阿求も迷惑してたの?」
阿求ももみ~同様に少しだけ顔をしかめて何かを思い出してるようだった。
どうやらもみ~の言ってた里の男達による行き過ぎた情熱ってのも相当なものみたいだね…わたしはお進が居たしあんまり気にしなかったけど……。
「迷惑……と言われればそうですね。それの所為で妖怪の方があまり人里に来る事が無くなってしまい幻想郷縁起も滞っていますから」
「ありゃりゃ……」
それはかわいそうに…けれどということはお進が若者を
「…では、そろそろ…」
と言って阿求は非常に慣れた手つきで厳重に仕舞われていた紐で綴じられている一つの本(冊子?)を取り出していた。
「『では』って?……何それ?」
「幻想郷縁起の為こいしさんにいくつかお聞きしたい事がありますので」
「ああ~」
これがお進の見たがっていた幻想郷縁起……そういえば妖怪の事について書いてるって言ってたからわたしにも聞くつもりなのかな?
「……と、いつもであれば言っていたのですが」
そう言った阿求は何を思ったのか、幻想郷縁起を無造作に投げてしまう――えっ!投げた!?そして目の色を変えたかと思えばわたしに迫って来てるんだけど!?
「今回は一進さんとの関係について聞かせてもらいたいので
「ええ!?」
ちょ!ちょっとそれ大切な物じゃないの!!……じゃなくて落ち着いてよ!?なんか息荒いし目がギラついてるし怖いよ!
「こいしさん!!」
だけど阿求はそんな慌てているわたしを畳み掛けるよう机から身を乗り出して必死に言い縋ってくる…。
「お願いしますよ~あの時私が正常に戻った時には既にお二人は居なくなってしまっていましたからぁ。いや~ちょうど良かったです!慧音さんからその内縁起を見に来ると聞いていたのですが待ちきれなかったんですよ」
あ、あ〜……阿求が独り言を呟いてたからほっといてきたツケがここで回ってくるとは思わなかったよ……。
しかもこれはもう断れないっぽい雰囲気になっちゃったしなぁ……。
「……聞かれても大したこと言えないよ?」
「全然全然!!本の中では無く本人達の実際の恋バナが聞けるだけで私は十分ですからッ!」
恋バナって……ま、いっか。
「それじゃお進と会った時からでいい?」
「ありがとうございます♪」
はぁ…阿求は阿求ですごい生き生きしてるしさ、人のこんな話を聞いていて楽しいものなのかな?
そうしてわたしは阿求に求められるまま今までお進とあった出来事を話していった……。
〜〜〜〜〜
「はぁ~そんな素敵な事が。……このような話が聞けるなんて…これは小鈴に自慢出来ます」ボソボソ
「ん?」
「いえいえ気にしないでください。いや〜それにしても一進さんが良い意味で変わってる人なんですね〜」
「アハハハ!見事にその通り…になるのかな?」
阿求の言うように本当にお進は変わってるからね…。
妖怪の問題に進んで首を突っ込んで行くし…ましてや解決するのに自分を犠牲にまで考えてるんだもん。
「それにしてもそんな一進さんが幾度か往復に来ているようですが…まだ終わらないみたいですね」
「多いからね……阿求も欲しいのがあったらあげるよ?」
「ホントですか!?嬉しいです!」
だってあれだけ多かったから流石に…ねぇ?
それに喜んでもらえるんだったらわたしもあげ甲斐があるしね。
すると喜んでいる阿求は席を離れたと思ったら満足そうに木彫りで出来たいくつかの小物を机に並べ始める。
「ふふふ…」
「…………」
…そしてわたしは犬とか猫などの動物に扮した小物をふにゃ〜っとした笑顔で眺めていた阿求をざわついた心でただただ静かに見ている…。
まぁ、ざわついたって表現も正しくないのかもしれないけど…。
「…?どうしたんですか?」
……目を放してそっちのけっていっても、流石に一対一の場で相手が無言になってしまっては嫌でも気になるものなのかな?
だからだと思うけど阿求はわたしがどうしたのか気になったようで、自分の姿勢を正して問い掛けていた。
「…こいしさーん?」
「ん〜……」
当然阿求が呼んでいるのは気付いているんだけどさ…わたし自身自分のこの気持ちをどう言い表したらいいのか分からないんだよな~。
「……いや……わたしも阿求みたいな反応した方がいいのかな〜って…」
「はい?」
う〜んやっぱり伝わらないよね……さて一体どう言えば――ああ!
「阿求みたいにさ、可愛い物を見たら女の子みたいな反応すればわたしももっとお進に思われるかなって♪」
うんうん♪ざわついたって言うぐらいならこの言い方がしっくりくるかな。
「え!?そ、そんな変な反応してましたか!?」
「うん♪
「からかうのはやめてくださいよ///それに絶対こいしさんの方が可愛いですって!さっきの話だと一進さんだってこいしさんに首ったけじゃないですかぁ」
「…そ~言われると少し恥ずかしいな……///」
事実人里から紅魔館まで移動するならお進よりわたしの方が速いんだけど…往復で何かあったら怖いからってわたしは阿求の家に待ってる事になったんだよね。
それでお進は里の皆から貰った大量の品物を消費する為に一先ず傷むものだけを持って紅魔館に向かっちゃったし。
「出会ってから殆ど
確かにお進は優しいよ。
優しいんだけど…なんか……こう…ガラス細工を触れるみたいな優しさだからさ、わたしの求めている優しさ違うんだよね…。
「わたしはもっとこう…ぐいぐい来てくれた方が……///」
「くっはァァ!そうです!!そういう所がとても可愛いんですよこいしさんは」
「な、何回も言わないでよッ!」
「まぁでもそんないじらしい気持ちを抱いてデートに来たそうですが……こんな事になってしまってはデートどころでは無いのでは?」
「……そうなんだよねぇ……」
ホントだよ!折角楽しもうとしてたのに色々邪魔が入ったりして中止みたいになっちゃいそうだし。
「だからさ、せめてお進に服だけは買わないといけないんだよ」
そうしないとまたお進が紅魔館の従者だと間違えられちゃうからね。
「は〜一進さんに服ですか……あぁでは、こいしさんも着てみます?いや、寧ろ着てください!」
「え!?」
「私も色々貰いましたし、それに里の者がやっているなら同じように私からも感謝の贈り物をしませんとね♪」
なんて先ほどの笑顔は何処へ行ったのやら…阿求はわたしに断れないようにして、悪い笑顔を浮かべながら少し大きめな木箱(?)を持ってきて――!!
「着物!?」
うっそだぁ!?こんなのそう
「極力似合いそうな物を選んできたつもりですが…どうです?」
「いやわたしにくれる前提みたいになってるけどそれは流石に阿求に悪いって!」
びっくりした事に阿求が持って来たのは淡い花模様が彩られた高価そうな着物だった……。
「大丈夫です大丈夫です!それにいいんですか?一進さんが新たな服を買うとなると向こうは当然和服になりますよ?」
「あ…………」
そっか…いざお進が服を買ったらさっきの人達が着ているようなのになるのか…。
…………。
「ふふふ…迷うぐらいなら貰ってください♪こいしさんも和服姿になれば、より一進さんとお似合いですから」
「…………ありがとう……」
「いえいえ」
なんか上手に丸め込まれちゃったような気がしなくも無いけど…別にいいよね、お進がわたしの着物姿を見てどんな反応するか楽しみだし♪
そ、それに……わたしがいつもと違う格好したらお進も喜んでくれるかもしれないし…///
「それでは数分で着付けてしまいましょう」
「お願い♪」
ふふふ…お進はなんて言ってくれるかなぁ~。
~~~~~
そして阿求に着付けてもらって数分後……やっとの事で全部の荷物を持ち出したようで、お進が手伝ってくれた人達にお礼をしているのが屋敷の外から聞こえてきた。
「……そんじゃご苦労さん。…やけにこあが死にそうな顔してるけど…そんなに辛かったか?」
「一進さ~ん実は―「こあ、帰るわよ」……あ~はい」
「?どうしたんだろうな?」
「一進さん一進さん!今回運んだ物の中に少し欲しい物があったのですが……」
「おう、好きに持ってっていいぞ。それじゃなくとも魔理沙なんて大半は自分の家に持って行ったとおもうしな……」
「そういえば途中から全然見かけなく―「美鈴!何時までも門を空けておく訳にはいかないわよ」あ、はーいすぐに戻りますので!…それではありがとうございます」
「ああ、こっちも手伝ってくれて助かったよ」
……ん~、お~そ~い~よ~!何時まで皆と喋ってるの~。
「こいしさん、早くお見せしたい気持ちも分かりますが少し落ち着きましょう」
「だって~」
着させてもらってすぐの時はまだ良かったんだけどさ~、着物特有の帯でキュッとしてるのが動きづらいからだんだん―「こいし~終わったぞ~」――来たッ!?
「ごめんごめんかなり多かったから思ったより時間が………」
…………。
「?」
あれ?どうしたんだろう……お進がわたしに目を向けた途端押し黙っちゃった…。
「え~と…阿求ちゃん?そこに座敷わらしがいるんだけど…俺の目がイカれた?」
「見えているものは正常ですが……え~とすみません、少し難解すぎるんですが……」
うん?座敷わらし――は分かるけど…いやいやどういう事?
そんな言葉が出てきた意味が――あ!もしかして似合って無いのかな!?
「俺は見た事無いけどきっと居たらこんな感じだと思う…。……可愛いし…何よりこいしを見た俺が幸せになってるから」
「初めからそうやって普通に言いましょうよ!?一瞬似合って無かったのかと思ってこいしさんにどう謝るか考えていましたよ!」
…はう~良かった~もしかしたらお進の好みじゃないのかと思ってドキドキしてたよ~。
「ああごめん……後ごめんついでにこのままこいしを外連れてっていいか?」
「はい?あぁ服の事を気にしているのでしたらそれはこいしさんに差し上げたものなので構いませんよ」
「じゃ…」
えっ……と、思う間も無くわたしはお進に手を取られ外に連れてかれる……。
そして遠ざかっていく阿求が笑顔でわたしに手を振っているのが見えた所で、やっとわたしも状況が把握出来てきた…。
「こんな可愛いんだったら里の奴らに自慢するしかないからなぁ~」
やっぱり見せしめ!?確かに可愛いって言われるのは嬉しいんだけどそんな事していいの!?
「マズいって!普通に歩いてただけなのに最初お進は周りからヘイトを集めてたのに!」
「恥ずかしがんない恥ずかしがんない♪それに向かってくる奴がいたら今度はこいしに掠らせもせずに返り討ちにするから」
ああ~!わたしも里の人を煽った前科があるからあんまり強く言えないんだけどさ……。
「まさか楽しんでる?」
「どうだろうな。……あ!そうだそうだ、俺の服のついでにこいしには髪留め買ってあげるわ」
「髪留め!?」
これはひょっとすると…お進からわたしへのプレゼント!?
やったやった♪本当にありがとうね阿求…着物のお陰でお進がわたしにプレゼントを――……。
「じゃなくて!お進はわたしを恥ずかしがらせて楽しんでるでしょ!!!」
「はっはっはっは!」
もう!そうやってすぐ誤魔化そうとしたってわたしには効かないんだからね!!
でも……。
お進からのプレゼントか~。
えへへへ~♪
多分ですが阿求と文は同じ回に出す事は無いと思います、話し方似すぎているんですもん。
それではまた次回。