受け入れ先は幻想郷   作:無意識倶楽部

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祝!!通算UAが10000を超えました!!!
いや~これも私の稚拙な文を読んでくださる皆様のお陰ですッ!!本当にありがとうございます!!!

まだまだ若輩者の私ですが、これからも頑張りますので引き続きお付き合いのほどよろしくお願いします!


それではどうぞ。


 


第33話 宴会の承

side一進

 

 

 

 

「やっほー♪みんな連れてきたわよ〜」

「ハッハー!こりゃまた地上も懐かしいな」

 

 お?紫さんと勇儀を筆頭にぞろぞろと…って時間ギリギリっていうかスキマで登場って…せめて玄関から入れよ。

 

「うんうんしっかり作ってくれたみたいね♪それじゃあ時間も時間だし、そろそろ始めましょうか!」

「誰の所為で遅れてると思ってんだ……ハァ…では。…紅魔並びに地底の問題解決を祝して…乾杯!」

 

「「「「「かんぱーい!!!」」」」」

 

 レミリアの前口上で遂に宴会が始まり出しみんなが各々に集まって話し始めている。

 

「すみませんレミリアさん。宴会の場所として貸していただいて」

「ん?ああ古明地さとりか…構わない今日は大いに楽しんでくれ」

 

 ブフッ!…な、なんかさ…さとりちゃんとレミリアが社交場のお決まりのセリフを言ってるんだけど……ダメだ…二人とも見た目が見た目だから高度なままごとにしか見えねぇ。

 

「……くっくっくっ…」

「…なに声押し殺して笑ってるのよ…」

 

 ん?パチェさんか。

 

「くくっ…いやあの二人見てたらなちょっとな……それよりレミリアがだいぶ上から目線っつーかカリスマ全開じゃないか?」

 

 そもそもお前ら二人って立場的にどっこいどっこいな気がするんだが?方や紅魔館、方や地霊殿の主同士な訳だし……寧ろ地底の代表の分さとりちゃんの方が若干上の様な…。

 

「貴方と会った時もそうだったでしょう…。ま、あれもレミィの苦肉の策ね」

 

 ふ~んイマイチ分からないけどそういうもんなのか…。

 

「あ!お姉ちゃん!」

「え?お姉ちゃん!?」

 

 …ん?

 

「はぁ!?何故にレミリアは驚いてんだよ?」

第三の目(サードアイ)があるからもしかしたらと思ってたけど……やっぱり妹だったのね」

「いや妹だったのねってパチェさん……いっちゃん最初に会った時すぐ挨拶して――」

 

 

『わたしはこいしって言うの。よろしくね♪』

 

 

「…………あ」

「気付いたかしら?あの子は自分の正体を隠してたのよ……全く…危うく恐ろしい事になるところだったわ」

 

 パチェさんに言われて俺は自己紹介の時にこいしちゃんの言っていた事を思い出す。俺もレミリアもパチェさんもフルネームだったのに対し、こいしちゃんだけは名前しか言わなかった…。

 

 あの時に抱いた違和感にやっと気付く事が出来た。

 

 

「故意なのか偶然なのか分からないけど…仮にも怒ったレミィが貴方だけに(とど)まらず、あの子にまで手を出してたならば…下手をすれば地底との軽い戦争になっていたかもね」

 

 …………戦争?

 

「マジかよ…」

「見た所あの姉だって妹の事を相当大切に思ってるでしょう?地底のトップなら何らかの理由をつけて地底の妖怪を動かせるのも考えられなくはないわ」

「…成る程ね」

 

 ここにきて、やっと俺もこいしちゃんの考えが分かってくる。

 

 けれども、こいしちゃんは望んで戦いの引き金になりたかった訳では無いと俺は思う。恐らくさとりちゃんに迷惑を掛けたくなかったってだけじゃないかな?

 

 それでもスッゲェけどなこいしちゃん…自分が知られてない事を名前一つで最大限に利用してるんだもんな……あの時のレミリアの気迫に押されずにそんな細工を考えてたのかよ。

 

「は〜妖怪って怖ぇな…」

「あら、その妖怪の中でも上位にいる吸血鬼を手玉に取った人間がいるって聞いたんだけど?」

「おいおい手玉って…また人聞きの悪い…」

 

 すると、俺とパチェさんの間に割って入ってきた紫さんが風評被害めいた事を言ってくる。

 

「ただの偶然だよ偶然。運が良かっただけだ」

 

 確かにレミリア相手に嵌めてたけど…あれだって殆ど奇跡だったしな…。

 

 心理的にレミリアが不安定にならなかったら攻撃が単調にならなかっただろうし、ましてや妖力…魔力でゴリ押しなんてされてたら能力の都合上俺はひとたまりも無かったと思うぞ。

 

 結果的に何とかなったが、パチェさん達が上手く合わせてくれたりとかはもはや俺が手を加えられない所だったしな。

 

「ていうか紫さん?俺って強くなれるモードがあった筈だよな…全くなれなかったんだけど……」

 

 ほんとコレな。もうちょい強くなれるの前提でレミリアと遣り合おうとしてた訳で…あん時内心めちゃくちゃ焦ってたんだよ。

 

「モード?…ああ襲の事ね。そりゃそうよアレって条件があるもの」

「は?条件?」

「そ、条件♪」

 

 ……条件…てことは俺はあの時初めから――。

 

「私が一進に強化の札を渡さない限りなれないわ」

「それ予め言っとけや!!こちとらお陰でかなり危険な橋渡ってたんだぞ!!」

「それは知らないわよ。貴方が好きで勝手に渡っただけじゃない」

「……ウグッ…」

 

 確かにそう言われれば正しいのは圧倒的に向こう…。俺が自分で分かりもしない力を当てにしてたのが悪いんだし……。

 

 う~む流石にこれは紫さんが正しくて俺が正しい措置は無いな…。

 

 

 だったら、

 

「……メシ抜きにしてやる」

「逆恨み!?ちょっとぉ私の楽しみを奪うのは止めてよ!!」

「(∩  ̄▽ ̄)アーアー、きこえなーい」

「一進!!!」

 

 はっはっは!俺を反省させようだなんて百万光年早いんだよ!

 

 逆恨み?ああその通りだが何か?まぁ何て思われようがこれだけは言える。ご飯の力は偉大、はっきりわかんだね。

 

 

「なぁ霊夢、あいつ何もんだぜ?幻想郷に新しく来た外来人か何かか?」

「ああ…紫がいつか言ってたわよ。一進は何処〜一進は何処〜って…多分あれがそうじゃないかしら」

 

 おろ?騒ぐ紫さんを置いとくとして…見覚えの無い巫女と魔女っこがいるんですが?…ああ、てことはこの二人がそうか。

 

「え〜と博麗霊夢と霧雨魔理沙だよな、幻想郷の中心人物って事で聞いてるよ。まぁ予想しての通り俺は外来人の藤代一進だよ」

「ええよろしく。妖怪相手で困った事があったら神社まで来なさい、報酬次第で速やかに解決してあげるから」

「…覚えとくよ」

 

 報酬次第でってオイ…巫女の生業上それって良いのかよ…。

 

 …けど妖怪相手でって事は…この子どんだけ自信あるんだろ?いくら中心人物っつっても二人共中学…高校ぐらいだよなぁ。

 

「何だ何だ、既に私の知らない所で外来人にまで名前が広まってるのか…。まぁ私は有名だから仕方ないんだぜ!」

 

 …何か言ってるとは思ってたけど独り言デケェなこの魔女っこ…。

 

「それで一進って言ったか?全く…しょうがないからこの魔理沙さんがサインを書いてやるぜ!」

 

 有名になるのはホント辛いぜ〜♪なんて言いながら意気揚々とペンを走らせてるところ悪いけど断じて要らんからな…。

 

 いやそれよりも今どっから色紙取り出した!その帽子四次元ポケット!?

 

「ホラよ、まだ数枚しか出回ってないレアものだぜ♪」

 

 レアものだぜ♪って言うか…もしかしなくてもそれは需要が無い裏返しなのでは…。

 

「あ、ああサンキュ…。……なぁその格好って事は魔理沙は魔法が使えるのか?」

 

 なんて心と裏腹に俺はサインを受け取る…。いや、サインはマジで要らないんだけど、あれだけ嬉しそうに書かれたらどうにも断れないだろ。

 

 それに魔法が使えるってのなら俺もツテとして口実を作っておきたいし。

 

「おう!だからここの本はよく借りに来てるんだぜ!」

「本の所持者が知らない所で借りてくのは窃盗って言うのよ」

「げっ!!んじゃな一進!なんか聞きたい事があったら宴会中話し掛けてくれよ」

「待ちなさい魔理沙!貴女次来た時に返すって言ってたじゃない!」

 

 窃盗はダメ。ゼッタイ。何だけど…どうやら魔理沙はここの魔導書をパクってただけのようだな。

 魔理沙が怒ったパチェさんに追いかけ回されて――無いな。パチェさん全然追いつけそうに無いわ。

 

「ちょっとあんたら!!私がもの食べてる近くで埃立ててんじゃないわよ!」

「あら、埃どころか塵一つ残してる記憶無いんだけど?」

「そう言う意味じゃ無いわよ!全く、あんたも面倒くさいわね…」

 

 あ、咲夜も参戦っすか………こりゃ騒がしくなる前に退散しとくか…。

 

 

 

 

 

sideレミリア

 

 

 

 

「ふふふふ、藍は彼女達とはしゃがなくて良いのかしら?」

「まさか…………私はそんな事しませんよ」

「そうよねぇ、やっぱり従者はこうでないと。ねぇレミリア?」

「…何お前達と違って咲夜はまだ若いんだ…それぐらいは大目に見るさ」

「…………」

 

 今日は何時にも増して八雲が突っかかってくる…誰かが機嫌を損ねるような事をしたのか?散々料理について注文入れてたくせに殆ど手を付けて無いんだが…。

 

 なんて八雲に悪態を吐きたいが…確かに顔役が集まってる所では相応な態度でいて欲しいのも本音だ。

 

 …それにパチェまで一緒に混じって何をしてるんだ…。少しは私の面子を気にしてくれないのか?

 

「まぁ、元気なのは良い事じゃないですか。……ウチには少々元気過ぎるのが居ますけど」

「確かに初見で攻撃してくるぐらい元気なのが居るな。…そういやお空とお燐は置いてきたのか?」

「ええ、大所帯じゃなんですし…それにお空は何をしでかすか分からないですから」

 

 一進…こいつはいいとして…今この場には八雲紫と古明地さとりが居るんだ、下手な事して舐められる訳にもいかない。

 

「フフフフ…そういえばねぇさとり知ってるかしら?ここにいるレミリアは一進の事を殺そうとして逆に遊ばれたのよ〜」

「なぁ!?」

「はぁ…一進に遊ばれて…ですか…」

 

 ちょ!?おま!!当てつけか!!さっき歳の事を逆手に取った私への当てつけか!!

 

「プククク…恥ずかしいわよね〜いきり立って挑んだ挙句当の本人は二人の為に動いてたんだから〜」

「待て八雲!それ以上は言うな!!」

 

 くそッ!ただでさえこの見た目だから他の奴らから舐められやすいというのに…ここでも下に見られたらいよいよもって不味い事になるではないか!

 

「……って言われてもなぁさとりちゃん?」

「一進は…まぁ気付きますよね、それより能力がコントロール出来る様になったんですね」

 

 はぁ?二人して何を言ってるんだ?

 ……いや、今はそんな事より八雲の口を塞ぐ方が先決か、幸い八雲も止まっている事だし…。

 

「紫様……何を仰りたいのかは大方分かりますが…彼女は文字通りの覚りですよ…」

「……あ」

 

 ん、覚り?…覚り…覚り覚りって事は……。

 ……あ!まさか――ッ!!

 

「ええはい、とっくに見終わりました。……妹さんと仲直り出来て良かったですね」

 

 うわぁぁーー!!一進に嵌められてる所完全に見られてんじゃないッ!!!ていうか私が舐められない様に振舞ってたのも全部バレてたわけか!?

 

「……そうですね、…まぁ大丈夫ですよ紫さんなんて一進を手中に収めたくて何度も自爆――」

「ちょっとさとり!?何でこの流れで私が陥れられてるのよッ!!」

「……フッ…貴女には分かりませんよ、私達の悲しみが…」

「いや何が!?いきなり言われても分かる訳無いじゃないの!どういう事よ!!」

 

 クッ、そうか…さとりは心を読む妖怪だったな…私とした事が大切な事が抜け落ちていた。落ち着け…これ以上不利になる様な事は考えるな…。

 

 だがどうしてさとりは八雲を…?

 

 

「(……体躯に共感したんだろ)」

「おい一進!」

「ははっ、悪い悪い本人達にはバレん様にするさ」

 

 何だ?八雲の従者と一進は分かっているのか?

 

 ……でも…ま、折角のチャンスなんだ…。

 

「ほほうさとり…。妖怪の賢者たる八雲の失態とは…ぜひ私も聞いてみたいんだが?」

 

 今までの仕返しという訳では無いが私も腹が立っていた所だ…、

 

「聞いてんじゃないわよ!!」

「紫さんは外界でですね――」

「貴女も言ってんじゃないわよ!!!」

 

 せいぜい乗らせてもらおうじゃないか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今んとこ優勢は、さ>レ>紫って感じか?」

「それを私に聞くか?というか一進…お前さっきから楽しんでないか?」

「まぁ当然だわな。普段凄い奴があんだけ弄られてりゃ見てる側としたら楽しいだろ」

「見てる側ならな…だから私はこういう時でも羽目を外せないんだ…」

「あ、お疲れさんで~す」

「ハァ……」

 

 

 

 

 

 




一進の言っていた光年は時間ではなく距離です…間違えないようにしましょう。
…それよりネタだとしても好き嫌いが分かれるものを使ってしまいましたが、レミリアの言う通りそれぐらいは大目に見て下さい。

……ちゃんと宴会に入れて良かったです。


それではまた次回。


 

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