やはり私と同中の彼との青春ラブコメはまちがっている。 作:巣羽流
お待たせしました!
すごく書きにくい…そして頑張ってまとめたけどごちゃごちゃしてしまってるかも!
「エナジーを無駄にしないためにもここはロジカルシンキングを大切にしよう。とにかくインポータントな事から議論しようか」
あれから二日経ったけど相変わらず会議は進まないでいる。比企谷君が少しずつ意見してはいるんだがまったく聞く耳を持ってくれない。
「…」
私はというと会長以外の生徒会の面々とあっちから回されて膨大な書類関係の仕事をやっている。このやってもやっても減らないどころか増える感じが懐かしい。
私はこのまま事務処理だけをしてるだけで良いんだろうか?
そんなことを考えながらただただペンを走らせていた。
「ん?もうこんな時間か。今日はここまでにしよう」
こうして今日も無駄な会議を終わりを告げ、皆がちらほらと帰り支度を始める。
「はぁ…」
「比企谷君」
比企谷君はと言うと顔から焦りと疲れがにじみ出ていた。
私がクリスマスイベントに参加して少しは回復してたのにまたこんな顔に戻ってしまっていた。
今のままじゃ…今やってる作業だけじゃやっぱりだめなんだ。
「比企谷君」
「あ、愛川か。悪いな、すぐ支度する」
「…ねえ」
「どした?」
「比企谷君はどうするのがベストだ思ってる?」
「どうするのが?そうだな…」
少し考える素振りを見せながら比企谷君はすぐに答えを出す。
「総武高校と海浜高校、別々に出し物をするのがベストだと思う」
「別々に…なるほど」
確かにこの足の引っ張り合いを止めるにはそれしかないかも。それにどちらかが転けても最悪もう片方が成功すればなんとか面目は守られるからね。
「私…やってみるよ」
「は?何を?」
「なんとかして見せる」
「…どうやって?」
「実は前から考えてた策があるんだ」
「策?」
「うん。名付けて民主主義的大作戦!これは比企谷君じゃ、思い付いても絶対に成功しないであろう策だよ」
にやりと自信ありげな笑みが溢れる。
あれ?私こんなに自信家だっけ?
「民主主義的か…なるほど」
「で、どうする?やっちゃってもいい?」
比企谷君はしばらく考え込んでから呟くように話しかけてくる。
「…頼む。他に選択肢はないしな」
「うん!まかせて!」
ーーーーーーー
月曜日の放課後。クリスマスイベント準備時間になる。今回の会議も相変わらず終わる目処がたたずに進む。会議は進むんだけどまた新しいことをやろうとするからやることが減らない。むしろ増えてるまである。
はぁ…比企谷君じゃないけど働くのって辛い。
「そろそろ一回休憩にしようか」
「っ!」
海浜の会長の一声で皆がわらわらと散らばり始める。海浜の生徒会の面々は何やら彼らだけで話し合いを始め、ヘルプの面々は彼等だけで雑談を始めた。
き、きた…!
会議の休憩。私は今やっている作業を切り上げ1つのグループに近づく。
作戦開始だ。
「折本」
「ん?愛川じゃん。どしたの?」
「ちょっとお願いしたいことあるんだけど…良い?」
「お願い?どんな?」
「小学生たちの世話を数日手伝ってほしいんだ」
「小学生の世話?」
「うん。クリスマスイベントまで時間がなくなった来たでしょ?うちの生徒会の人達も出来るだけ会議に出席させたくてさ」
「あー、確かにそっちの生徒会の人が毎回世話してるから出れない人いるもんね」
「そうなんだよ。それで…頼めるかな?」
「んーっ…」
折本は考える仕草を取り、動かなくなる。
しかしじっと見るとやっぱり折本も可愛いよなぁ…まぁ比企谷君に興味無さげだし警戒する必要はないか。
「分かった。手伝うよ」
「えっ、ほんとに?」
こ、こんなにあっさりとオーケー出すの?
「うん。まかせて」
「ありがと!助かるよ!」
「気にしない気にしない。じゃあさっそく行こうか」
「うん!」
ーーーーー
小学生たちの世話を終え、折本にはそのまま流れでこっちの雑務も手伝ってもらった。
意外な事に折本は雑務をめちゃくちゃ真面目にこなしていた。
もっと面倒くさがると思ってたんだけど…
「ん?もうこんな時間か…今日はここまでだね」
海浜の会長の一声で本日の作業は終わり、帰宅時間。当然のごとく今回も会議で進展は無かった。
「じゃあね、比企谷君!」
「おう」
「じゃ、行こっか。折本」
「そだねー」
今後、どうするか話そうと提案し、折本と帰宅することになってる。ご存知のとおり、私と折本は同じ中学で家も近いため不自然なことは無かった。
「いやー!しっかし疲れたよ!」
「集中して手伝ってくれたもんね。ありがと」
「いやいや、今までそっちばっかりやってたからこれくらいはねー」
少しばつが悪そうにしながらハニカむ。今までこちらに作業が重点的に来ていたことに少し罪悪感を抱いていたのだろうか。
「うん。にしても仕事ってやってもいっぱい増えるんだよね」
「それある!あたしも今日雑用やってて仕事減らないなーって思ってた!」
「そうだよね。それなのに会議はまるで進まない」
「えっ?進んでるから雑務が増えるんじゃないの?」
「私は進んでないと思う。あれやこれや新しいことをやろうとするから、現状から動けないでやることが増えてるんだよ。海浜の会長さんの否定しないって方針がこの状況を生んだんだろうね」
例えるならポケモンで図鑑を埋めるために次のジムに行かずに草むらを歩き回るような物だ。プレイ時間は増えても、手持ちが増えても結局ストーリーは進めていない。
「このままじゃ…正直ヤバイと思う」
「…」
「でも私は雑務を頑張ってやるしかないんだけどね」
「じゃ、明日もあたし手伝うよ」
「うん。ありがと」
ーーーーーー
翌日の火曜日。本日も小学生たちの面倒を見終わり、折本にはそのままこっちの雑務も流れで手伝ってもらっている。
折本はたったの二日目なのにかなり作業効率が上がっている。彼女、実はかなり有能なのかもしれない。
「クリスマスらしさを取り入れたいよね」
「ツリーだけじゃ物足りないよね…そうだ!ケーキを焼くって言うのはどうだい!」
「いいね!」
「小学生たちが焼いたりしたら皆にも喜ばれるんじゃないかな?」
「Nice!」
「ちょっと待ってくれ」
「ん?どうかしたのかな?」
「ケーキを焼くとしてそれを食べさせるのには問題がある。コストもかかるし、小学生に作り方も教えなきゃならん。何よりも衛生面で保護者とかの参加者の信頼を得なきゃならない。本当に清潔な環境で作られているのか、害はないのか示さなきゃならない」
いつものように比企谷君はこれ以上はダメだと阻止しようと試みる。
ちらっと隣に座る折本を見ると、作業中の手を止めてこのやり取りを見ていた。
「ふむ…確かに」
「今からそんなことをやってる時間なんてないぞ。ケーキを作るのは現実的じゃない」
「のんのん。何回も言うがそうやってすぐ否定するのはナンセンスだ」
「何回も言うが時間がないんだ」
「わかってる。だからどうしたらなんとかなるか、それを話し合おう」
「…でも」
「よし!じゃあ今からどうやったらケーキを出し物として出来るか話し合おうか」
「…はぁ」
総武高校の書記ちゃんから小さなため息が漏れる。折本は依然とやり取りを見つめていた。
「参加者の説得するのはここの施設を使わせてもらうって事と担当の先生をつけるって事で説得しよう。施設は市が管理してるから信用できるだろうしね。」
「うん。先ずはそれで行こうか。異議のある人いるかな?」
「…」
「よし。じゃあその説得役なんだけど…総武高校の方でお願いできるかな?」
「…はい!わかりました!」
「っ」
また仕事が増えるのか…分かってましたけどね。そんな顔を総武高校の面々はする。だが今回はそれだけではない。
そんな顔をしている人がもう一人。
「…」
そう折本だ。
ーーーーーー
翌日、水曜日。本日は小学生は来ない日なので最初から事務作業に勤しむ。
うわぁ…なんて量なんだ。折本早く来てくれないかな…。
「愛川、お待たせ」
ぞろぞろと海浜の助っ人組を連れて折本が到着する。
「折本。待ってたよ。今日もよろしくね」
さーって仕事仕事っと…ってあれ?なんか取り巻きたちが席につかないんだが。
「あのな愛川…こいつらも手伝うことになった。仕事を割り振ってよ」
なんと折本の口から出たのは私の予想してなかった素敵な言葉だった。
「え?良いの?」
「良いの良いの。現状は皆に伝えたからさ。そっちの生徒会の人を会議に参加させるのにはこれしかないでしょ。人出が足りないんだし。」
「折本…ありがと!じゃあやろうか!」
ーーーー
「次になにかある人はいるかな?」
「この前のケーキの件だけど取り合えずうちの学校の平塚先生に監修してもらえる事になりました。参加者の説得の方はこれから行くつもりです」
「そっか!よろしくね!」
手伝いが増えたことでこちらの生徒会の人達が発言できる回数が増えてる。やっぱり人数が対等になることがかなり大きいんだと思う。それでも会議は進まないんだけどね。
ちなみに今日もあっちの方針に比企谷君が何回か異論を唱えたが全部否定されていた。否定しないんじゃないのかよ本当に。
「じゃあ今日はここまでにしようか!お疲れさまです!」
すっかすかの会議が今日も終わり変える準備を整え、比企谷君と帰路につく。
「疲れたねー。それにかなり寒いし!」
「ああ久しぶりにあったかーいマッカンが飲みたいな」
「だねぇ。買ってこうか!」
「そうだな」
「…っ?比企谷、あそこの自販機の前にいるのって…」
しばらく漕ぐと見慣れた海浜の制服にパーマの髪の女の子が一人で待っていた。
「お、折本!?なにしてんの!?」
「比企谷に聞きたいことがあってさ、待ってたんだよ」
「俺にか?」
こくんと真剣な顔でうなずく。
表情から何の話かは何もなく予想がついてた。
「それで…何を聞きたい?」
「比企谷はさ…どうなるのが一番良い結果に繋がると思う?」
どうなるのがベストか…それは私が以前比企谷君に聞いた質問と同じものだった。
比企谷君にアイコンタクトを送るとわかってると言う風に頷く。
「俺は海浜と総武が各々で違う演目をやるのが良いと思ってる。今の状態だとお互いの良いところを殺しあってるからな」
「良いところを?」
「ああ。先ずうちの会長の一色だが年下であることが理由で完全にそちらに対してイエスマンになってしまってる。だからこちらの生徒会に大量の雑務が流れてくるんだ」
「うん」
「そうなるとこちらの生徒会の面々は雑務に追われて意見を言う機械がかなり減る。これでは海浜の意見を採用するだけになってしまい、自分達の意見が反映されない」
「確かにそうだね」
「次に海浜だがこちらに雑務をほとんど投げているから作業にどれだけ時間が取られるかが分かっていない。こちらに投げた作業はきっちりこなしているから、簡単に出来るもんだと勘違いしてるんだと思う。大抵の仕事はすぐに終わらせるだろうと勘違いをし、無尽蔵に意見を出そうとしたりする。過去にイベントをやった経験もないからそう言うところの抑えが効いてない」
それだけが原因って訳じゃないと思うけどね。
「これらを解決するには別々にやるのがベストだ。海浜がいなければ総武の人達は意見が言えて自分達の思うようにやれる。総武が居なければ海浜の人達は雑務にかかる時間を身をもって知れて加減ができる」
「なるほど」
「分かってくれたか」
「うん!確かに比企谷の言う通りかもねー!」
もう完全に折本はこちら側に来ただろう。海浜の助っ人組の主要人物を抱き込めた今なら…
「私もそう思うよ。だからね…明日意見してみようと思うんだ。バラバラでやろうって」
攻めるなら今だ!
ーーーー
翌日の木曜日、小学生は本日も学校の都合で来ない。好都合だ。
「それじゃあ今日の会議を始めようか」
今日は皆にも現状を知ってもらおうと意見して会議中の雑務は一切禁止。集中して会議することになっている。
「ちょっと意見なんだけどさ!クリスマスだしjazzbandのプロに依頼できないかな?」
「jazzかー。いいねそれ!」
始まった。
人数差がもとに戻って何か言いたいこと言いやすくなったのかな?昨日よりもあっちの人達は口が回るよ。折本の『それあるー!』が無くなっただけまだ少しましだけどね。
「待ってくれ。依頼するあてはあるのか?」
「これから探すんだよ」
「そんな時間はどなにある?費用は?」
「そこをどうするか、それをこれから話し合うんだよ」
「それじゃあ間に合わない」
「ほんとに君はしつこいな。否定から入っちゃダメだよ。他のみんなもそう思ってるはずだよ」
海浜の会長はちらっと自分等の生徒会の面々を見るとみんなそうだそうだ!っと言わんばかりの表情を作っていた。
この人達は何を考えているんだ。いや、なにも考えてないんだろうか。
もういいや。ここでやろう。
「はい。意見良いですか?」
私は万を辞して高らかと手をあげる。反撃開始だ。
「ん?君は確か…愛川さんだったかな?」
「私はこの会議の方針は間違ってると思う。このままじゃ間に合わない。絶対に」
「だからそれをどうするか話し合うんだよ」
「その時間はどこにあるの?」
「そ、それは…」
「私はあなたがしっかりと責任を持って出来ることはやる。無理なら却下をすべきだと思う」
「ブレインストーミングは皆で話し合うものなんだ。今さらそれを否定するなんてナンセンスだよ?」
「方針は変える気は無いんですか?」
「もちろん」
ここまで言ってもやっぱりダメか。
「なら私は海浜と総武とで別々の題目をやることを提案します」
一色さん、比企谷君と折本以外の驚きの視線が私に集まる。
一色さんには事前にしっかりと伝えてあるからまあ驚かないよね。
「そんなのはダメだよ。この合同の目的が合同でやることでグループシナジーを生むことなんだからさ」
「そのシナジーは生まれてないんじゃないかな?」
「確かに。それあるー」
「えっ?」
「あたしも上手く協力できないと思うなー」
海浜の面々はそろって折本の顔を見つめる。予想外のところからの攻撃。これが一番効くんだよね。
そしてこの攻撃を期に海浜の助っ人組も会長に不振な目を向け始めた。
人数差は逆転した。ここで畳み掛ける!
「で、でもこれから生まれると思うんだよ!」
今まで動揺が少なかった海浜の会長も焦りを隠しきれてない。あと一押しで行ける!
「そんな確証どこにも無いじゃない」
「そんなことっ!…一色さん!一色さんはどう思う?」
「わ、私ですか!?うーん…そんなことないようなあるような」
「っ!」
一色さんを狙われた!?事前に伝えたとはいえ彼女は今回の作戦で立ち向かうだけの準備をしてなかったし…狙われたのは痛い。
「ほら!一色さんだって可能性を感じてるんじゃないか!」
「可能性があるってだけで賭けるのは危険だと思う」
「一色さんは今の形式で構わないだろ?」
「うーん。確かに協力することも大切だと思いますけど…せいこ…」
「ほらね!」
一色さんが言い終わる前に強引に声を上げる。
形成が逆転したと言わんばかりに余裕の表情を見せる。
「そもそもこれは生徒会同士の合同のイベントなんだよ?両生徒会長が納得してるのに助っ人がそんなに引っ掻き回さないでほしいな。ね、一色さん?」
「…あははー」
一色さんは自分の発言で責任が生じないようにしてる。不味い流れだ。
「…じゃあもしも失敗したらどうするつもりだ」
比企谷君が援護をはじめる。このままじゃヤバイ。
「失敗しないように話し合ってるんだ」
「資金が…時間が足りなくなるのは話し合いじゃどうにもならない」
「…1回さ、時間を置こう。お互い冷静になるまでさ。今日は早いけどこれで解散にしよう。それで来週辺りに続きをやろうか」
やばい!逃げられる!この機会を逃したらもうだめだ!
「時間がないんだよ。今日ここで決めよう」
「他のみんなの意見も聞きたい。でもみんないきなりでビックリしたはずだよ。だから1回クールダウンしなくちゃダメだと思うんだ。一色さんもいいね?」
「はい。お任せします」
「というわけだから今日は解散!詳しい日取りはあとで連絡をするから。次はみんなにも意見を聞くからね!」
「…」
ダメだった…。
「愛川…」
「比企谷君。だめだったよ。あと一押しだったんだけどなー」
「一色をしっかりとこちら側につけていたら…確実に成功しただろうな。あいつにこの作戦伝えたの今日だし仕方ないっちゃ仕方ないかもな」
「だよね…昨日やろうって決めて今日決行だもんね。早すぎたかぁ」
「…」
「まぁ仕方ない!次にみんなの意見を聞くときに何とかしようか!」
「…そうだな」
くよくよしてる時間なんてない。次は月曜に向けて作戦もまた練らなきゃ…どうしようか。
「愛川」
「ん?なに?」
「先に帰っててくれ」
「え?なんで?」
「用事があるんだ。ケンタにいかなきゃならん」
「じゃあ私も…」
「いや、一人で良い」
「う、うん。わかった」
「ありがとな。じゃあまた今度」
「またね」
比企谷君はそう言うと駅の方に進んでいった。
なんだったのかな…考え事でもしたいのか。そんなことを思いながら帰路につく。
その夜に比企谷くんから『次の会議は任せて欲しい』とのメールが届いた。
遅くなってすみません!言い訳するとテストとかバイトとか色々忙しかったです!
ほんと難しいですね、書くのって。頭にあることを書くのが上手くできないです…シリアスな雰囲気も難しい。花菜ちゃんがヒロイン出来てないです。
完結できるように頑張りますんで暖かい目でお願いします。