やはり私と同中の彼との青春ラブコメはまちがっている。 作:巣羽流
「と言うわけで部活しばらく早退させてほしいんだけど……」
「…そっか。分かった」
私がクリスマスイベントを手伝うと決めた日の翌日。早速、戸塚くんにこの事を伝えに来た。
「八幡最近また元気が無くなってきてたからさ、心配してたんだ。昨日も、夜に一緒にご飯食べたんだけど元気なかったしね。これでまた元気な八幡に戻ると良いな」
うっ、眩しい。久しぶりに天使の微笑みがぁぁぁぁ!
最近私も腐ってたかもだからなぁ…ほんと浄化されてる気分だよ。
…って一緒にご飯って?
「ちゃんと比企谷君をサポート出来るように頑張るよ!」
「あはは。頼もしいなぁ。頑張って!」
「ありがと」
「ううん…」
「…戸塚くん?」
あれ?戸塚くんなんか元気ない?
もちろん可愛らしい顔なんだけどいつもよりも元気がない感じるな。
「僕はテニスに高校生活を費やしたいと思ってるし、そうしてるつもりだよ」
「えっ…急にどうしたの?」
「愛川さんは…恋に費やしたいんだね」
「えっ?えっっ?」
急になにを言い出すのこの天使は。恥ずかしいんですけど。
「ふふふ。顔真っ赤にして、愛川さん可愛いなぁ」
「ちょ、戸塚くんまでやめてよ。何だかはずかしいじゃん。てか何で恋!?何で知ってるの!?」
もしかして
「八幡の事いっつも見てたでしょ?さすがの僕でも気づくよぉ」
なんですと…恋愛に興味なさそうな戸塚くんまでもが気づいてるって事は他のみんなも気づいてるってこと…?
「っ!」
えぇ…私ばれてないと思ってたんですけど!?すっごい恥ずかしいんですが!
「戸塚くーん…もうやめてぇ」
「ごめんごめんちょっと意地悪言いたくなっちゃって」
「えぇ…酷いなぁ」
「ふふふ。でも応援するから安心して。それに部活しばらく早退するんだからこの位はね」
舌を出してそう言う彼の仕草は可愛いの一言に尽きる。女としての自信が砕けそうなんですが…
「そろそろ練習始まるしコート行くよ?愛川さんはそっちのボール持っていってね。僕は部室の他のみんなにも声かけてくるよ」
「はーい。じゃあ先いってるからね!」
戸塚くんの承認も得たし、今日から張り切っていかなきゃね!
「…ちゃんと応援しなきゃ」
ーーーーー
私が比企谷君と校門前で合流してから向かったのは学校から自転車で数分ほどの距離のコミュニケーションセンター。そこについてから進捗状況の事を細かく聞いていた。
「えっ、全然間に合わないかもしれないのに小学生加えてることにしたの?」
「ああ。まったく意識高い系(笑)の考えてることはわかんねぇよ」
「どんな会議なのよ…気になってきた」
「これから嫌でも味わうことになるだろうな。これは聞くより直接見た方が分かりやすい」
本当にどんな会議なんだろう。こういった行事事では比企谷君そこそこキャリアあるはずなのにこんなに苦労するって…考えただけでも恐ろしい。
「おっ、来たな」
彼の視線の先を見てみると、亜麻色の髪の少女がこちらに歩いてきていた。
「せんぱーい!おま…た…」
私を見るなり固まっちゃったんですけど。私悪いことしたかな。
「ちょっ、せんぱい!」
「なんだよ」
「…」
なにやらひそひそ声で会話始めちゃったんですが…もしかして比企谷君話し通してない?
「…」
話が終わるとこっちを値踏みするようにじろじろ眺めてきたんですが…そんなに見られると緊張するんだけど。
「こんにちはー!すみませんおまたせしちゃって。わたし、生徒会長の一色いろはです」
うっわぁー!一瞬でこんな明るい顔と声になっちゃったよ!?すごっ。この娘凄い強者っぽいよ!?
それにたしか以前折本たちと出掛けたときに会った娘だよね…あの時はなんか怖かったな…
「こ、こんにちは。2年の愛川です。よろしくね」
「愛川先輩ですよね!文化祭見ました!お姫様可愛かったです!」
「そ、そう?ありがと」
「いえいえ。てか先輩、愛川先輩とも知り合いだったんですね。葉山先輩とも知り合いだし先輩の交遊関係って地味に凄いですよね」
「交遊関係って…ボッチの俺にそんなもんがあると思うのか?」
「うわっ、またボッチとか言ってるんですか?」
「うるせ。ほら早く行くぞ」
「はーい。じゃあお願いします」
えっ…当然のごとく一色さんのビニール袋を受けとる比企谷君って…それに一色さんも渡すのに抵抗無さそうだし。
あ、あれ?もしかして二人ってかなり仲良さげな感じ?
比企谷君は一色さんの事苦手だと思ってたんだけどなぁ。
「…」
「愛川。行くぞ」
「あ、うん」
もしかしてライバルが増えたなんてこと…ないよね?
ーーーー
「今日から手伝ってもらう新しいヘルプ要員です!」
「どうも、愛川です」
「玉縄です。海浜高校の生徒会長なんだ。よろしく」
「挨拶が終わったなら早く会議を始めようぜ。時間がない」
「そうだね。じゃあ始めようか」
挨拶を済ませて会議が始まる。私は比企谷君の隣にポジショニングしてスタンバイオッケーだ。
オッケーなんだけど…
「顧客がなにを求めてるのか、それをカスタマーサイドにたって客観的に考えてみようよ」
「…」
「その案だと予算が掛かりすぎでコストパフォーマンスがわるいんじゃないか?」
「…」
「それだとシナジー効果が薄れるんじゃないかな?」
こ、これは…
正直舐めてた。
なにを言ってるのかまったく理解できない。
あれ?これって私がアホだからなの?
「ねぇねぇ比企谷君」
「なんだ」
「今これ…なにやってるの?」
「…さあ?」
さあって…
「まぁこんな感じなんだ」
「なるほど…」
これは本当にやばいな…
ーーーーーーー
本日の会議をじっと観察した感想を言おう。
会議がまったく進んでる気がしなかった。
全部の意見に対する討論。批判を許さずその意見をどうしたら実行できるか。どうしたら全部の意見を取り入れられるか、そう言う話し合いをしていた。これじゃあ会議が進まなくなってるのも分かるよ。
「この会議のやり方ってまずいよね」
「ああ。このままじゃ時間が足りないな」
比企谷君との帰り道、私は現状を彼と確認しながら進んでいた。
「やり方変えなくて良いの?」
「やつらは今のスタイルを崩すことを嫌がるんだ」
「嫌がるって…それじゃ、うまくいかないじゃん」
「じゃあ進言してみ。何言ってもだめだから」
「…」
「あいつらのやりたい事はたぶんボランティアを成功させる事じゃないだよ」
「…何となくわかるかも。あの人たちはたぶんあの議論を楽しんでるんだよね」
「たぶんな。ミスチル風に言うと意識高そうな話をして、自分が高尚な人種になった気になってるだけだ」
「これヤバイよね…」
「ああ…どうにかしなきゃ確実に失敗する」
「どうにかしなきゃか…」
今日比企谷君が彼らを説得してたのを見てたけど聞く耳をまったく持たない。きっと説得は無理。ならどうするか。
「玉縄って人に個人的に意見しに行く?」
「だめだ。あいつはリーダー面してるが責任を取りたくないんだ。自分一人で何かを決めることに抵抗を覚えてる」
「責任を取りたくないリーダー…」
「今現在俺達に必要なのは責任を取れる責任者かもな」
「…」
何となく会議が進まない理由が…根元が分かった。
「このままじゃ共倒れ、うちの学校もやられる。てか実際かなり巻き込まれてる」
「生徒会の人達、なんだか一色さんのこと頼ってないよね」
「新生徒会が発足してはじめての仕事で倒けたからな。リーダーの頼りなさが出ちまってる」
「現状として比企谷君が全体の仕事を統括してるもんね」
「ああ。最近じゃ一色に声をかけずに俺にかけてくるようになってきた。これはまずい。一色の代わりをするのは奉仕部としての活動理念に背くことだからな」
「あっちもこっちもどうにかしなきゃならないのか…ああもう!もういっそのこと海浜と総武で別々に出し物やらない!?」
「それ良い考えだな。俺も出来ればそうしたいんだけどな」
「まぁ普通に考えたら無理だよね…」
「とにかく明日から愛川も書類作りと手伝ってくれ。文化祭実行委員を経験しただけあってかなり事務処理能力は高いしな。お前が一人増えるだけでかなり効率が上がる」
「う、うん。がんばる」
とりえず私は書類整理とかして…それをやりつつ比企谷君のサポートをして…
よーし!頑張らなきゃ!
なんだか書くのが難しい…
みなさんこの先の展開は察してる方多いかもですがちまちまと更新していきまーす。
ではまた!