やはり私と同中の彼との青春ラブコメはまちがっている。   作:巣羽流

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今回は短くてなんの進展もないです!まじで!




19話

 

どうも!愛川花菜です!

 

土曜と日曜の2日にわたって行われた文化祭が終わり、また月曜からこれまでの日常が始まる。

 

いつものように授業をして、いつものように部活に行き、いつものように比企谷君と帰る。

 

しかし文化祭が終わってからその日常に少し変化が表れた。

 

それは・・・

 

「好きです!付き合ってください!」

 

「ごめんなさい」

 

そう。めっちゃモテるようになった。

 

まだ木曜日だってのに4日間で五人目だよ?凄くね?

 

それにしても毎日毎日体育館裏に呼び出してくるのにも飽きた。相手には悪いけどうんざりだよ・・・

 

と言うか話したことないのに告白とかおかしいよね?私相手の名前すら知らないよ?

 

呆れながら自転車を押して校門から少し出たところまで歩く。すると自転車に股がりボーッとしてるアホ毛の男子生徒がいた。

 

彼を見るとさっきまでの陰気な感情が吹っ飛ぶ。

 

最近の私って単純だな。

 

「比企谷君!おまたせ!」

 

「おう。行くか」

 

「うん!」

 

そう言って二人で自転車を漕ぎ始める。

 

あぁ~。この時間が一日で一番幸せ。

 

「そう言えば土曜日、本当にどこか行くのか?」

 

「もちろん!文化祭のご褒美だからね!」

 

「まじか・・・」

 

「もちろんだよ!場所も決めてるんだ!」

 

「・・・ちなみにどこに行くんだ?」

 

「それはね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「動物園!」

 

 

ーーーーー

 

本日は土曜日!お日柄もよく絶好のデート日和!駅前で比企谷君を待ってます!

 

でも・・・

 

「眠い」

 

例によって前日は服選びに時間をかけ、布団では胸がドキドキ。お陰で睡眠不足この上無い。

 

「ふぁ~」

 

「凄い欠伸だな」

 

「っ!比企谷君!?」

 

「よう」

 

み、見られた!?あの大あくびを?

 

いやぁぁぁ!片想い中の人に欠伸見られるとか乙女失格だ!

 

しかもデートの頭にだよ!?こんなの百年の恋も覚めちゃうでしょ!?

 

「お、おい。大丈夫か?」

 

「う、うん!大丈夫!」

 

「なら良いんだが・・・じゃあ行くか」

 

「・・・」

 

あの比企谷君が先導してる?嘘でしょ?

 

何回か一緒に出掛けたりしたけど何時も私の隣か少し後ろを歩いていた。こうやって私の前を歩いたのは初めてだ。

 

もしかして比企谷君も少しは楽しみにしてくれてたのかな?

 

そうだと・・・嬉しいな

 

「おい、何ニヤついてんだよ」

 

「な、なんでもない」

 

「行くならさっさと行こうぜ」

 

「・・・そうだね。行こう」

 

そう言って彼の手を握る。顔は赤くなり、心臓は激しく動く。

 

勇気を出してやってみたけど、やっぱり緊張するなぁ・・・

 

「あの・・・なんで腕を絡めてくるんですかね?」

 

「何でか分からない?」

 

「ああ」

 

「じゃあ教えてあげない」

 

頬を赤く染めたままで基子のように悪戯っぽく微笑む。

 

すると比企谷君の目が見るからに泳いでいた。

 

基子・・・あんたの笑みってこんなに効果あるんだね。

 

「と、とりあえず離せ」

 

「嫌だ」

 

「恥ずかしいだろうが」

 

「私だって恥ずかしいよ」

 

「だったら」

 

「あぁもう!腕組んで歩くの!」

 

「えぇ・・・理不尽だ」

 

「そんなに嫌?」

 

「嫌だ」

 

うっ、そんなにきっぱり言わなくても良いのに・・・泣いちゃうよ?

 

でも私はめげません!比企谷君と付き合いたいから頑張らなきゃ!

 

「えぇー、仕方ないな~。じゃあ手を繋ぐだけで許してあげる」

 

「それも恥ずかしい・・・」

 

「はいしゅっぱーつ!」

 

「無視かよ・・・」

 

比企谷君は諦めたように横に並んで歩く。

 

こ、これって他の人が見たらカップルに見られるよね?

 

比企谷君とカップル・・・嬉しいなぁ・・・

 

「えへへ」

 

世界で一番幸せだと言わんばかりの顔をした私と、まだ馴れないのかソワソワした様子の比企谷君は手を繋いだまま電車に揺られていた。

 

ーーーーー

 

移動すること30分。動物園に到着した私たちは手を繋いだままで園内を歩いていた。

 

「わぁ!見て見て比企谷君!ゾウ!ゾウだよ!」

 

「そうだな」

 

「あっ!餌もらってる!かわいい!」

 

「ただ何をするでもなくこの一定の空間で過ごすだけで飯にありつけるのか・・・羨ましい」

 

「まったく、何下らないこといってんのよ」

 

「考えてみたら俺の考える理想像は動物園の動物なのかもしれない」

 

「それだと比企谷君見世物にされるよ?毎日多くの人に見られるなんて耐えられるの?」

 

「・・・やっぱり専業主夫だな」

 

「専業主夫は・・・困るかな」

 

「は?なんでお前が困るんだよ?」

 

「そ、それは・・・知らない!ほら次に行くよ!」

 

「えぇ・・・」

 

鈍感すぎるよ!もしかしてわざとなのかな?女の子の事の恥ずかしがる姿見て楽しんでる?

 

だったらそれを私以外にする事は許しません。

 

「っ!お、おい見ろ。レッサーパンダだ!」

 

「ん?本当だ!」

 

「何あの生き物可愛い~。写真撮ろ」

 

え?比企谷君めっちゃはしゃいでない?

 

私的には比企谷君も可愛い~。

 

「帰ったら小町に自慢しよ」

 

「レッサーパンダと撮ってあげようか?」

 

「え?まじで?良いの?」

 

「うん!じゃあ撮るよー。はいチーズ!」

 

「さんきゅ」

 

「うん!私も写真撮りたいんだけど・・・良い?」

 

「別に良いんじゃないか?」

 

「じゃあ・・・はいチーズ!」

 

「え?」

 

私は顔を比企谷君の顔に近づけ写真をインカメで撮る。

 

やっばぁ、顔近い近い近い・・・

 

「はい終わり!」

 

にっこりと微笑む。

 

いつまで経っても接近するのには馴れないな・・・

 

比企谷君もまた顔が赤くなってるし・・・可愛いなちくしょう。

 

「おい・・・またお前は勝手に」

 

「良いじゃん良いじゃん!思い出作りだよ!」

 

「はぁ・・・たくっ」

 

「次行こうぜぇ~」

 

「あぁ・・・」

 

ーーーー

 

あのまま普通のデート?を楽しんで帰りの電車道。

 

「今日は楽しかったね!」

 

「・・・そうだな」

 

そう言ってふっと微笑む。

 

比企谷君も最初と比べて変わった・・・前だったらこんな風には笑わなかったよ。それなのに今はこんな風に笑ってくれる。

 

「最後にご飯食べてから帰ろうよ」

 

「そうだな。じゃあサイゼで良いか?」

 

「うん!じゃあ駅からの帰り道にあるサイゼで良いよね?」

 

「あぁ・・・あそこか。わかった」

 

ーーーー

 

 

「また比企谷君ドリア?」

 

「んだよ。お前もそうだろうが」

 

「サイゼっていったらそうだよね」

 

「流石愛川だ。わかってんな」

 

晩御飯を食べながら、雑談をする。この当たり前の時間が私にとっては大切で大好き。

 

「・・・」

 

『中1のときアプローチされてたんでしょ?』

 

「ねぇ、比企谷君」

 

「なんだ?」

 

「中学のとき・・・」

 

「・・・」

 

「っ!なんでもない!」

 

聞いちゃ駄目だ。教えてくれないのは教えたくないから。聞かれたくないものを聞くのは良くない。

 

でも気になる。

 

あぁぁぁぁぉ!

 

「・・・中学のときか」

 

「う、うん」

 

「聞きたいのか?」

 

「気になるし、知りたい」

 

「そうか・・・でも今は駄目だ」

 

「え?」

 

そんなに大きな出来事が?

 

いや、そんな凄い事ならいくらなんでも私が知らないのはおかしい。

 

「いつか話しても平気だと思ったときに話すから・・・それまで待っててくれないか?」

 

「・・・比企谷君、分かったよ」

 

比企谷君ならきっと話してくれる。

 

時間はかかるかもしれない。もしかしたら卒業まで話してくれないかも・・・

 

でも私は待ってるから・・・いつか。

 

「じゃあ、ご飯食べよっか!」

 

 

 

 

 

 




ここまでです!

とりあえず文化祭編は終わりです!

次は修学旅行編に入る予定です!

それかちょくちょく感想で書いてあった花菜ちゃんと他のキャラの絡みが見たいって意見があったんですが見たいですかね?

何かしら要望があれば是非教えてください!

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