やはり私と同中の彼との青春ラブコメはまちがっている。   作:巣羽流

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15話です!

なんとこの前、日間ランキング4位になってました!

信じられません。本当に皆様に感謝です!

でもなんか平均評価は下がったっていう・・・

どういうことだ?

好評なのか不評なのかよく分からなくなってきました(錯乱)

考えてもわからんので書きます(笑)


15話

相模さんの案が通って変化は表れた。

 

ちらほらと休む人や遅刻する人が出始めたのだ。

 

その事によって一人あたりの仕事の量が増えて大変になってきている。記録雑務というだけあって私はあらゆる雑務の仕事をこなしていく。

 

ちらっと比企谷君を見ると怠そうに仕事をしていた。見た感じやる気が無さそうだがその仕事をする速さは記録雑務の中で一番だったりする。

 

実は比企谷君って仕事ができる男なのだ。

 

やだ、なにそれますます惚れちゃう。

 

本当に大好きなんですがお付き合いしてもらえませんかね。

 

「ふぅ」

 

一通り自分の仕事は終わったかな・・・比企谷君はどんな感じかな?

 

「比企谷君!調子はどう?」

 

「あぁ?・・・終わらない」

 

「え?比企谷君私より仕事するの早いのに?」

 

「何やら他の所から仕事が割り振られてな・・・なぜか俺だけ」

 

彼の目がどんどん腐っていく。

 

能力があるのに本人の性格が仕事嫌いだからな・・・勿体ない

 

「私は自分の分終わったしさ!手伝うよ!」

 

「・・・良いのか?」 

 

「うん!」

 

「悪いな・・・まじで助かるわ」

 

「ううん。元々は比企谷君の仕事じゃないんだし比企谷君がお礼なんか言うのはおかしいよ」

 

比企谷君って根は真面目なんだよね。こういう風にお礼を言える所とかさ。でも表面上があまりにも卑屈だからなぁ・・・

 

「じゃあこれ頼む」

 

「うん!」

 

よーし!じゃあ比企谷君の為に頑張りますか!

 

ーーーー

 

あはは・・・シゴトッテタノシイ

 

雑務の仕事をしていたら頭がおかしくなりそうになる。

 

おかしくなる前に休まなくてはと今自販機まで逃げてきたところだ。

 

私は元々書き仕事は得意じゃないんだよね・・・計算は得意なんだけどなー。

 

はぁ・・・私もパソコン使わせてもらおうかな・・・

 

「さて・・・」

 

自販機で買ったマッカンを手にして会議室に帰る。

 

「比企谷君。お疲れさま!これ差し入れ」

 

そう言ってマッカンを渡す。

 

「愛川か・・・さんきゅ」

 

比企谷君はマッカンを受け取ってすぐに飲む。

 

「・・・うめぇ」

 

「疲れた時にはこれだよね」

 

「まったくだ」

 

「・・・ねぇ。比企谷君」

 

「ん?」

 

「このままじゃ・・・やばいよね」

 

「・・・そうだな」

 

今は雪乃ちゃんが奮闘してるからなんとか回っている。しかしいつ雪乃ちゃんの限界が来るか分からない。

 

「でも俺たちに出来ることは仕事をこなす事だけだろ」

 

「うん。私に出来ることはそれだけかな・・・でも比企谷君なら何か出来るんじゃない?」

 

「過大評価するな。俺はそんなに凄いやつじゃない」

 

「ううん。比企谷君は凄いやつだよ」

 

にっこりと微笑んでそう言うと彼は何時ものように顔を赤くして目を逸らした。

 

「無駄口ばかり叩いてないで仕事するぞ。氷の女王様のお叱りを受ける前にな」

 

「ふふふ。そうだね・・・期待してるよ」

 

ぼそっと最後に呟いた言葉は彼に聞こえただろうか。

 

きっと比企谷君ならこの状況を打破してくれる。そう信じてまた仕事を再開した。

 

ーーーー

 

「はぁ・・・」

 

朝教室に入ってきて最初にため息が出てしまう。就職したらこんな毎日が待っているのかと思うと比企谷君の将来の夢に賛同してしまう。

 

専業主婦か・・・比企谷君のお嫁さんならなりたいなぁ・・・

 

「不気味な笑い方してるけど大丈夫?頭でも打った?」

 

美波が心配して声をかけてきた。でも、さすがに今の言葉は酷くね?

 

「実行委員が本当に大変で・・・さすがに疲れたよ・・・」

 

最近は仕事の量がさらに増えて辛くなってきた。比企谷君が居なかったら私もどうなってたか・・・

 

「そんなんで今夜大丈夫か?」

 

「え?今夜?」

 

「うん。バンドの練習する予定じゃん。言ってなかったっけ?」

 

「そもそもバンドやる約束なんてしたっけ?」

 

「覚えてないの?去年の文化祭終わりに約束したじゃん。来年もやろうって」

 

「去年は楽しかったしね~」

 

そう。私たちは実は去年、一年生ながらバンドを結成して出場した。三人ともそれなりに可愛いので評判は良かったし、私たちも楽しくやれた。でも・・・

 

「覚えてない・・・」

 

そんな約束覚えてないよ・・・

 

「まじで?もう有志の申し込みは済んじゃってるし嫌でもやってもらうよ」

 

「えぇ・・・」

 

「良いじゃん良いじゃん!楽しいんだしさ」

 

「まぁ楽しいのは認めるけど・・」

 

うーん・・・仕事の後に練習か・・・

 

辛いものがあるよな。

 

「愛しの比企谷君にラブソングとかさ!贈るとかしたらなんか良いじゃん!」

 

比企谷君にラブソングを?

 

・・・良い。すごく良い。

 

やりたい・・・

 

「わかった・・・やるよ」

 

「やったぁ!」

 

「恋する乙女は扱いやすいね・・・」

 

「うっさい」

 

「じゃあ決定!今日の放課後に駅前の児童館に集合ね~。楽器は私が部のやつ借りておくから二人とも用事終わったら音楽室に取りに来て」

 

「「了解!」」

 

放課後か・・・今日から更にハードになりそうだな・・・

 

でもやっぱり良いよね。青春って感じで!

 

「お前ら席につけ~」

 

先生が朝のホームルームをしに教室に来た。そういえばまだ朝だったな。

 

いつもと変わり無くどんどんホームルームは進んでいく。

 

「え~。本日は雪ノ下が体調を崩して欠席だ」

 

え?雪ノ下って言った?

 

どうして・・・

 

「っ」

 

たぶん頑張りすぎで疲れちゃったんだ。あれだけの仕事量を一人こなすのは無茶だった。

 

私がもっと手伝ってれば。

 

私の心にその後悔が確かに刻まれた。

 

ーーーー

 

「よう」

 

「おはよう」

 

「もうすでに仕事はじめてんだな」

 

「いっぱい残ってるからね!頑張らなきゃ。」

 

放課後、いつものように仕事に取り掛かっていたところ比企谷君に声をかけられた。

 

「そういえば雪ノ下はどうした?」

 

「雪乃ちゃんは・・・体調を崩して休みなんだって」

 

「は?まじで?」

 

「うん・・・」

 

「へぇ・・・あいつが体調管理を怠るなんてな」

 

「ほんとだよ。後でお説教しなきゃだね」

 

「・・・お前も無理はするなよ」

 

「え?私?私は全然大丈夫!」

 

「なんか最近忙しいし、さっきも元気は無いのに張り切ってる感じだったろ?」

 

「ううん・・・私なんか頑張りが全然足りないくらいだよ」

 

「そんなことないだろ」

 

「ううん。そんなことある。私がもっと仕事頑張ってれば雪乃ちゃんの負担を減らせたのに・・・そうしたらこんな事にはっ!」

 

「はぁ・・・あいつが体調を崩したのは、自分で自分の体調をコントロール出来なかったあいつの責任だろ」

 

「でも」

 

「それとも何か?愛川は雪ノ下の立場になったとき、部下が無能だったから体調を崩したって思うのか?」

 

「・・・ううん」

 

「そう言うことだ。それにお前が無理して仕事して体調崩すなんて事になるかもしれんだろ」

 

「そうだよね・・・」

 

「おう。そんな事考えてないでさっさと仕事終わらせようぜ。俺は早く帰りたいんだ」

 

比企谷君はやっぱり・・・優しいな。

 

よーし!

 

「頑張るぞ!」

 

「頑張れー」

 

「比企谷君もだよ?」

 

「えぇ・・・」

 

嫌そうな顔を彼はする。

 

そんな嫌そうな顔がやっぱり、愛しく思えた。

 

そんな、やり取りをしてると城廻先輩がみんなに聞いた

 

「雪ノ下さん、今日はどうしたの?」

 

「体調を崩して休んでるそうです」

 

「雪ノ下さん、一人暮らしだから誰か様子を見に行ったほうが」

 

雪乃ちゃんって一人暮らしなんだ・・・それだとやっぱり心配だよね。

 

「そうなんだ・・・じゃあ誰か雪ノ下さんの様子、見に行ってあげてくれない?こっちは任せてくれて良いから」

 

葉山くんと比企谷君の二人を見て城廻先輩は言った。

 

そのあと二人で何やら話し合いを始める。

 

「つかさ、愛川は行けないのか?」

 

「実はこのあと用事があってね」

 

素子や美波と約束がある。それをサボると文化祭まで時間がないので本当にヤバイことに・・・

 

「・・・俺がいくよ。」

 

話し合いの末比企谷君が雪乃ちゃんの家に行くことになった。比企谷君なら安心だなっと、ホッとした。

 

だけど雪乃ちゃんの家に比企谷君が行くことに胸がモヤモヤしていることに気付く。

 

一人暮らしの家で雪乃ちゃんと比企谷君が二人きり・・・

 

「っ!」

 

なんか・・・なんかもうっ!

 

雪乃ちゃんは心配だけど比企谷君には行ってほしくい。でもそれは完全に私の私情丸出しの発想。

 

こんな緊急事態なのに・・・やっぱり私って。

 

「行ってくる」

 

「行ってらっしゃい」

 

自己嫌悪に教われながら比企谷君を笑顔で比企谷君を送り出す。

 

はぁ・・・虚しいな。

 

さてと、比企谷君も居ないし、いつもより仕事頑張らなきゃ。

 

ーーーー

 

文化祭のスローガンにいちゃもんがついた。

 

どうやら今使ってるのが何かのパクリだとか何とか・・・

 

「相模さん、雪ノ下さん。みんな揃ったけど」

 

そう城廻先輩に言われて全員の視線が雪乃ちゃんに向く。

 

ここで相模さんに向かないって所がこの実行委員が歪んでいる現状を表してる。

 

雪乃ちゃんはそんな状況で議事録をぼーっと見つめたままだ。今朝、大丈夫だと言っていたがやはり疲労の色を隠しきれていない。

 

やっぱり心配だな・・・

 

「雪ノ下さん?」

 

「え?」

 

僅かな時間があったが、雪乃ちゃんは現状を把握して進行を始める。

 

一人一人スローガンを紙に書いて提出するそうだ。

 

うーん・・・こう言うの得意じゃないんだよな・・・

 

あれかこれかと悩んでるうちにタイムリミット。紙を回収される。どんどん板書を進める。

 

one for allかぁ・・・

 

なんだか今の状況ってまさにそれだよね。頑張ってる一部が他のみんなの為にって感じ。

 

「じゃあ最後。うちらの方から『絆 ~ともに助け合う文化祭~』って言うのを・・・」

 

うわぁ・・・こんな状況にした張本人が何を。

 

「うわぁ・・・」

 

比企谷君も、同じことを感じたのかそう漏らした。

 

てか比企谷君と、考えてることが被った!うれしぃ~!

 

小さな幸せに浸っていると何やら比企谷君と相模さんが駆け引きを始めた。

 

「・・・なにかな?なんか変だった?」

 

「いや、別に・・・」

 

「なにか言いたいことがあるんじゃないの?」

 

「いや、まぁ別に」

 

比企谷君・・・めっちゃムカつく!

 

それ私やられたらぶん殴るわ、たぶん。

 

でもナイス!もっとやれぇ!

 

プルプルと笑いそうになるのを堪えてると、どんどん話を進めていく。

 

「ふーん、そう。嫌なら何か案だしてね」

 

「『人 ~よく見たら片方楽してる文化祭』とか」

 

「っ!」

 

や、やばい・・・吹き出しそう。比企谷君・・・最高!

 

もう我慢できない・・・!

 

「ぷっ」

 

「あっははははっ!」

 

私が吹き出した音を陽乃ちゃんの笑い声が飲み込む。ナイス陽乃ちゃん!

 

それにしても比企谷君・・・ほんとにさいっこう。

 

いやぁー。あの時の相模さんの顔・・・爽快だね。

 

「比企谷。説明を」

 

そこから彼は自分が犠牲だと、そう主張しながら説明をする。

 

それを聞いた雪乃ちゃんはとっても楽しそうだ。やっぱりこの前の夜、何かあったのかな?

 

 

「比企谷くん・・・却っ下」

 

そうして今日の会議は明日に持ち越しになり解散。帰り際に口々に比企谷君を悪く言う人がいた。その人たちはサボりが目立つ人たちばっかり・・・

 

そうだよね。君達には嫌味に聞こえたよね。でもそれが現実だから。

 

ふと比企谷君を見ると帰り支度を始めていた。

 

「比企谷君!お疲れさま」

 

「・・・おう」

 

「今日は最高だったよ。爽快って感じ」

 

「あぁ・・・これで明日から仕事に来るやつが増えるだろ」

 

「そこまで・・・」

 

自分を悪役にして仕事をやらせる・・・やっぱりすごい。

 

「このあとバンドの練習だろ?頑張れよ」

 

「うん!ありがとう」

 

「じゃあ」

 

「またね」

 

彼は足早に会議室を出ていった。

 

比企谷君・・・かっこいいなぁ・・・

 

今なら抱かれても良いって言うくらい惚れ直した。

 

いやまぁただの例えだけどね。

 

ーーーーー

 

翌日、比企谷君の発言により変化は表れた。今まで来なかった人たちは軒並み揃い、仕事を熱心に取り組んでいた。

 

比企谷君まじですごいなぁ・・・

 

そう思い口元を緩めているとすべての元凶が近付いてきた。

 

「ひゃっはろー!花菜ちゃんも相変わらず頑張ってるね~」

 

「まぁ頑張らなきゃ間に合わないですからね」

 

「大変そうだねぇ」

 

「誰のせいですか誰の」

 

「えぇー!花菜ちゃん私のせいにするの?酷い!」

 

オロロとわざとらしく泣き真似をする陽乃ちゃん。まったく気にしてないな・・・

 

「それはそうとさ、花菜ちゃんは昨日の比企谷君どう思った?」

 

「やっぱ最高ですね。ほんと比企谷君は凄い人ですよ」

 

「おぉ~。さすが花菜ちゃん!わかってるぅ」

 

「当たり前ですよ。私と比企谷君の仲ですよ?」

 

ふふんと、どや顔で威張る。比企谷君の事なら私にお任せですよ!

 

「お姉さんも比企谷君の事欲しくなっちゃった」

 

「え?」

 

「花菜ちゃんも比企谷君狙いでしょ?敵は意外と多いよねぇ。お互いに頑張ろ?」

 

「じょ、冗談ですよね?」

 

比企谷君を陽乃ちゃんが狙ってる?

 

戦ったって自力で負ける。見た目も学力も運動神経も私に勝てる要素はない。

 

どうしよ。

 

「さぁね・・・じゃあ私は比企谷君に構ってもらいに行くね」

 

そう言って絶世の美女は目の腐った私の思い人の元に歩いていった。

 

まさか本当に?

 

私のアドバンテージ、同じ中学出身と言う事実がある。

 

でも・・・中学での彼との記憶がほとんどない。実質私にアドバンテージはない。

 

頑張って中学の時の事を思い出すんだ!

 

くっ・・・思い出せない。

 

「愛川さん。手が止まってるわよ?」

 

「ご、ごめん!」

 

今は仕事だ仕事!

 

もう色々考えないために仕事に集中した。

 

 




今回はここまでです!

次回から文化祭突入!

花菜ちゃんもフェスティバります(笑)

今回もお付き合いくださってありがとうございました!

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