やはり私と同中の彼との青春ラブコメはまちがっている。   作:巣羽流

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12話

どうも!

 

すっかりお馴染みになった愛川花菜です!

 

本日は待ちに待った比企谷兄妹とプールに遊びに行く日です。

 

それはもうウキウキで待ち合わせ時間に比企谷君の家に着いたのですが。

 

「ふぅ・・・」

 

インターホン・・・またこいつを押さなきゃいけないのか。

 

一回だけ押したとはいえまだ慣れない・・・

 

ええい!女は度胸よ!

 

意を決してボタンを押すとピンポーンっと心地よい音がなる。

 

するとドタドタと足音が近づいてくるのを感じた。

 

「はい・・・って愛川か」

 

「おはよう!」

 

「おう」

 

「はい!貸してくれてありがとうね!」

 

「はいよ。小町がまだ準備してるんだが・・・待ってくれないか?」

 

「うん」

 

数分待つと小町ちゃんが慌てた様子で出てきた。

 

「お待たせしました!」

 

「よーし!行こうか!」

 

ーーー

 

「今日は小町に付き合ってくれてありがとな」

 

三人で並んで駅まで歩いてると比企谷君が不意にお礼を言ってきた。

 

「ううん。私も遊びに行きたかったし気にしないで」

 

「すまんな」

 

「私の方こそチケット貰えるんだしありがとうだよ!」

 

「あぁ」

 

そう答えると比企谷君は少し微笑んでいた。

 

それを見ると胸が一瞬ぐっときた。心地よい胸の高鳴り。

 

それを感じたときに今日のプールの目的をひとつ思い出す。

 

私の気持ちを確かめる。

 

ーーーー

 

「えーっと・・・」

 

「なに探してんだ?」

 

駅につくなり小町ちゃんは何かを探すようにキョロキョロと回りを見渡す。

 

なにか買い忘れたのかな?

 

「あっ!いた!おーい!」

 

そう言って小町ちゃんは見覚えのない女の子二人の所に走っていった。。

 

それに続いて私たちも小町ちゃんを追う。

 

小町ちゃんはきゃっきゃと楽しそうにお喋りしてる。

 

「どうかしたのか?」

 

「あれ?言ってなかったっけ?小町は中学の友達と回るんだぁ」

 

「は?」

 

え?

 

それってつまり・・・

 

「私と比企谷君の二人で遊ぶってこと?」

 

「そうなりますね」

 

よっしゃぁぁぁ!

 

じゃなくて。

 

えぇ!?

 

そんな聞いてないんだけど!?

 

さすがにそんな覚悟は決めてきてないよ?

 

「小町・・・」

 

比企谷君が恨めしそうに小町ちゃんを睨む。

 

「じゃあ先に行くねー」

 

そんなの気にしないという風で小町ちゃんたちは駅に入っていった。

 

「・・・」

 

比企谷君と二人っきり!?

 

この状況だと少し気まずいんですが・・・

 

普段の下校ではこんな雰囲気にならないのに。

 

比企谷君の方を見ると目が濁っていくのがわかった。

 

え?私と二人っきりって嫌?

 

「愛川」

 

「ひゃい!」

 

考え事をしていたときに呼ばれたから変な返事しちゃった・・・

 

「小町が行っちまったし俺たちは帰るか?」

 

え?帰る?ナニイッテルノ?

 

「私はここまで来たし、準備もしたから遊びたいな」

 

「まじか・・・でも俺と二人だけだとつまらんだろ?」

 

「そんなことないよ」

 

「だが・・・」

 

「比企谷君は私と二人だと嫌?」

 

ほんとに嫌だ思われてるなら・・・

 

想像するだけで胸が苦しくなる。

 

「そんなことないぞ」

 

顔がショボン状態になっているであろう私を見て比企谷君はそう告げる。

 

「じゃあさ・・・一緒に行こ?」

 

「・・・そんなに行きたいのか」

 

「うん!」

 

「はぁ・・・つまんなくっても知らないからな」

 

よし!よしよし!

 

こんなところで帰ったんじゃなんの意味もない。

 

渋々といった顔だが比企谷君と遊べるのであれば些細な問題。

 

「ありがとう!」

 

「あぁ・・・とにかく行こうぜ」

 

ーーーー

 

プールに到着し私たちはそれぞれの更衣室に別れ着替えをしていた。

 

新しい水着もバッチリ

 

よし!準備おっけー!

 

・・・だけど。

 

「は、恥ずかしい・・・」

 

どうしよ!?

 

今回の水着はビキニタイプだし攻め過ぎな気が・・・

 

お腹回りはなんとかなってるけど。

 

水着似合ってるかな?

 

体の準備はオッケーだけど心の準備は整ってない。

 

「・・・よし!」

 

行こう。

 

ここでじっとしてても仕方ない。

 

よーし・・・よーし!

 

意を決して外に出るとアホ毛が立ってる男性の後ろ姿が見えた。

 

濃い緑色のトランクスタイプの海パンを履いている。

 

「ひっきがーや君」

 

後ろから声をかけると彼はおせぇよと言わんばかりの態度で振り向いてきた。

 

「お待たせ」

 

「・・・」

 

じっと私の事を比企谷君が見つめてくる。

 

ちょ、ちょっと・・・恥ずかしいんですが。

 

比企谷君に見られてる・・・やばいやばいやばいやばいやばい。

 

待てよ?もしかして新しい水着が変なのか?

 

「私の事じっと見てるけど・・・どこか変かな?」

 

少し不安になって聞いてみる。

 

「いや・・・そうじゃない」

 

頬を少し赤くしてそっぽを向きながら頭を掻いてる。

 

この反応はもしかして・・・

 

「ねぇねぇ・・・水着どうかな?似合ってる?」

 

「・・・言わなきゃダメ?」

 

「聞きたいな」

 

「その・・・なんだ。似合ってるんじゃないか?」

 

「似合ってる?ほんと?」

 

「ああ」

 

やった!うれしいぃぃぃ!

 

自然と口がだらしなくニヤニヤと、崩れてしまってる。

 

それにしても褒め方が比企谷君らしいや。

 

中学の頃、同級生の男子に可愛いとか褒めてもらったことはいっぱいあったが今、比企谷君に褒められた時の方が何十倍も嬉しい。

 

「おい、黙んなよ。恥ずかしいだろうが」

 

私が心の中でほっこりしてると比企谷君に声をかけられた。

 

「ごめんごめん!ありがとうね」

 

「もういいから早く行こうぜ」

 

「うん!」

 

ーーー

 

今回来たプールは広くて流れるプールやウォータースライダーなどなど、多くの遊べるポイントがある。

 

現在私たちは流れるプールで遊んでいる。

 

私は持ってきた浮き輪に乗ってプカプカと流れ、比企谷君は私の浮き輪を掴んで流れている。

 

「比企谷君!すごいよ!ほんとに流れてる!」

 

「そうだな」

 

「私流れるプールは初めてだよー」

 

「俺もだ・・・思ったよりもゆっくり流れるんだな」

 

「そうだね。浮き輪で浮いてると気持ちいいよ~」

 

「気持ち良さそうだな・・・」

 

比企谷君が羨ましそうにこちらを眺めてる

 

「貸してあげようか?」

 

「良いのか?」

 

「うん!」

 

「じゃあ遠慮なく・・・おぉ。こりゃいいな」

 

気持ち良さそうに比企谷君は浮いている。

 

その表情はとても嬉しそうで珍しくはしゃいでいるのが分かった。

 

なんだか・・・こういうの良いよね。

 

「最高だなぁ・・・」

 

ぐだぐだと力を抜き始めた比企谷君はリラックスモードに入った。

 

ふふふ・・・私がいるのを忘れてないかな?

 

「おりゃ!」

 

「おまっ」

 

バシャーンと大きな音をあげ浮き輪がひっくり返しかえる。

 

あの比企谷君の驚いた顔・・・おもしろ!

 

「やってくれたな・・・」

 

「へへーん!油断してる方が悪い」

 

「はぁ・・・たく」

 

もう許すの?そんなのつまんないよ~

 

こうなったら。

 

「くらえ!」

 

手で比企谷君に水をいっぱいかけまくる。

 

「ちょ、愛川。やめ・・・」

 

「きこえなーい!」

 

「この!」

 

「あはは!怒った怒った」

 

「まて!」

 

怒った比企谷君が追いかけてくる。

 

楽しい!

 

ーーー

 

あれからそれなりに遊んでなかなか体が重くなってきた。

 

そろそろ休みたい。

 

「そろそろ休もうぜ」

 

「うん」

 

比企谷君も同じことを感じたのだろう。あちらから休憩を提案してきた。

 

近くのベンチに腰を下ろし二人でのんびりと過ごす。

 

さっきみたいに騒ぐのも良いけど・・・こういうのも良いよね。

 

特に会話をするでもない。だけど不思議と気まずさを感じない。

 

比企谷君にしか感じない不思議な魅力。

 

胸がポカポカと暖まる。

 

今日は何回胸が暖まったのだろうか。

 

「・・・」

 

やはりこれは恋なんだろう。

 

だけど確信が持てない。

 

ちゃんと確かめたい。

 

これが恋なのだと確信したい。

 

そう思った時に自然と比企谷君の手を握っていた。

 

「あ、愛川?どうした」

 

「ちょっとの間・・・このままでいさせて」

 

彼は照れて振りほどこうとしたがその言葉を聞くと難しい顔をした。

 

私は今の状況を確認する。

 

比企谷君と手を繋いでいる。

 

心臓の、鼓動が早い。

 

とっても恥ずかしいし今すぐ隠れたい。

 

でも・・・それでもこの手は離したくない。

 

比企谷君を見る。

 

彼は慌てたような、焦ったような顔をして何かを考えてなにか答えが出たのか声をかけきた。

 

「寒いのか?それとも何か嫌なことでも思い出したか?」

 

それは私を心配してかけてきてくれた言葉。

 

「ううん・・・違うの」

 

やっぱり優しい・・・

 

心配して言葉をかけてくれる彼・・・

 

目が泳いで、顔を少し赤くしてる。手汗もかいてきてる。

 

そんな比企谷君を見てると愛しく感じる。

 

あぁ・・・やっぱり私はこんな彼を。

 

いや。こういう彼だからこそ・・・

 

「比企谷君」

 

「何だ?」

 

「比企谷君は私の事好き?」

 

「・・・そういうこと聞く?」

 

「うん」

 

「・・・嫌いじゃない」

 

嫌いじゃない・・・か。

 

比企谷君らしいや。

 

「そっか」

 

「ああ」

 

私は手を離しベンチに座っている比企谷君の前に立つ。

 

「私も比企谷君の事嫌いじゃないよ!」

 

最高の笑顔でそう言い放つ。

 

今はこれで良い。

 

でもいつの日かしっかりと言いたい。

 

彼に"好き"だと。

 

「そうだ!今日の記念に写真撮ろうよ!」

 

「えぇ・・・良いよ」

 

「撮るの!すみませーん!写真撮ってください」

 

「まじでか」

 

「ほら!ピースピース!」

 

「いきますよー!はいチーズ!」

 

「ありがとうございました!」

 

「お前・・・急に元気だな」

 

「えへへ。まぁね!」

 

「たくっ」

 

「はい!休憩終わり!次はウォータースライダーに行こう!」

 

「お、おい」

 

そう言って比企谷君の手を引っ張る。

 

今日は来れて本当に良かった。

 

私の初めての恋を実感できたのだから。

 

ーーーー

 

プールからの帰り道。

 

見事今回の目的である私が恋をしている事が分かったのだが。

 

「・・・」

 

気、気まずい!

 

二人っきりて!二人っきりてぇぇぇぇ!

 

体動かしてる時は何ともなかったのに、落ち着いたらどうしようも無いくらい恥ずかしい

 

比企谷君の顔見れないよ・・・

 

「なぁ、愛川」

 

「な、なに?」

 

「俺これから晩飯外で食うんだが・・・一緒に食うか?」

 

「っ!」

 

比企谷君からのお誘い!

 

顔がにやける。

 

すごく嬉しい。

 

やった!

 

・・・というかご飯誘われただけでこんなに喜んで。

 

私ってかなり乙女だな。

 

「行かないのか?」

 

「行く!行くよ!」

 

「お、おう・・・」

 

「それでどこで食べようか」

 

「どこでも良い」

 

「比企谷君はどこに行きたい?」

 

「サイゼとか?」

 

「っ!・・・サイゼ」

 

思わずぷっと吹き出す。

 

女の子と初めての晩御飯に行くのにサイゼって・・・さすが比企谷君!

 

そういうところも大好きだぜ!

 

「サイゼをバカにするのか?」

 

「しないしない。千葉県民ならサイゼだよね!」

 

「愛川。マッカンの時といいわかってるじゃねぇか」

 

「じゃあサイゼに決定ね!」

 

もうさっきに比べて緊張もしてないし気まずくもない。

 

馴れるの早いな私。

 

ーーーー

 

「ふぅ・・・」

 

ご飯を食べて家に帰宅してきた。

 

お風呂も済ませいつものように部屋でのんびりモード。

 

ベットに横たわり今日の出来事を思い出す。

 

『比企谷君は私の事好き?』

 

「うわぁぁぁぁ!」

 

はずかしっ!

 

なにそのセリフ!?

 

バカじゃない!?アホじゃない!?

 

いやぁぁぁぁ!

 

バタバタと布団の上で悶える。

 

最近こんなのばっかり。

 

あんなこと何で言っちゃうかな~。

 

ほんとあの時の空気に当てられてたよ・・・

 

「・・・はぁ」

 

でも今日は自分の気持ちを確認できたんだし良いか。

 

「さてと」

 

携帯を取りだし比企谷君に今日は楽しかったとメールを送る。

 

もちろんあの時に撮ったツーショットの添付は忘れない。

 

送信っと。

 

この写真、家できっと小町ちゃんに見つかって面倒なことになるんだろうな。

 

まぁ別にどうでも良いか。

 

それにしても。

 

「比企谷君とのツーショットか・・・」

 

それを眺めるとついつい顔がにやける。

 

「えへへ・・・」

 

これ現像して写真立てに飾ろっかな♪

 

・・・私も恋をすると乙女になるんだな。

 

「ふあぁぁぁ」

 

やっぱ今日は疲れた。

 

なんだか眠くなってきたよ比企谷君。

 

心の中で写真の比企谷君に話しかける。

 

そして徐々に夢の世界に入っていった。

 

 




今回はここまです!

ちょっと長くなってしまいました!

今回もお付き合いいただきありがとうございました

感想とか指摘とか質問待ってます!

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