魔法科高校の月兎   作:樹矢

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ようやく更新できました!
定期テストが近く、部活の大会も近いのでなかなか更新できませんでした。

沖縄戦②です。ではどうぞ。


沖縄戦②

 永琳side

 

 私は鈴仙を呑み込んだ光が収まると、直ぐに原因の可能性があるものを片っ端から調べあげていった。だが、結果はある2つの可能性を除いて全て不発だった。てゐを問いただしても「知らない」の一言しか言わず、輝夜は監視カメラ全ての映像を解析しても地上にある書庫以外に行かず、てゐの下僕である因幡達も地下へと行った形跡はない。残った可能性は、

 

 1つめは八雲 紫が何らかの方法でこの装置の存在を知り、誤作動を起こすように、術式などでかしらの細工をした事。その場合は私は奴を殺さなければならない。

 

 もう1つは装置の周りにあった物が()()()()()()()()()()()()()()であるという事。

 

 どちらにせよ今それらを調べている暇はない。今はただ最善を尽くすだけだ。これ以上迷惑をかける訳にはいかないが、かつての2人の弟子達に量子通信機で連絡を取る。専用の秘匿回線(のようなもの)だから大丈夫だ。そしてふと思った。かつての私ならここまでしなかっただろうと。改めて思う。この地上で私も変わったのだと、この世界に来てよかったと。そうしている間に回線が繋がった。

地上の穢れを排除する装置の設計図は前に会いに来てくれた時に渡してある。今頃は製作して対地上軍に配備が完了しているだろう。

 

「豊姫、依姫?頼みがあるのだけれど、今すぐこっちに来てくれないかしら?」

 

 

 鈴仙side

 

私は能力と月の都での訓練の成果で敵をある程度片付けた。まだどこかにこいつらの仲間がいるだろう。隠れながら進むとある物を見つけた。それはいつも身につけているポケットの内部が四次元空間になっている医療用バックだ。もっと早くこれを見つけていれば隠した物も運べたのに。でも今戻るのは得策ではないと思う。取り敢えずバックを身につけてさらに移動する。すると呻き声が聞こえた。武器をしまい、声のするほうへ行くと海岸があり、大人の女性が破壊された建物の下敷きになっていた。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「あなたは…?」

 

「すぐに助けます!」

 

そうして私は瓦礫を動かし始めた。しかしびくともしない。

 

「あの…子供が…2人いるんです…。そちらを助けて…下さい…」

 

「何言ってるんですか!だったら尚更…」

 

「私は…もう…助かりません…ですから、代わりに…あの子達を…」

 

そう言われて私はその人をよく見た。瓦礫で身動きを取ることすらできない。周囲の砂も赤黒くなっている。おそらく下半身は潰れてしまっているだろう。そして柱の残骸と思われるものが、彼女の腹を貫いていた。

 

「その子達は…何処にいますか…?」

 

「1人は…ここに…」

 

そう言って瓦礫の隙間を指す。そこには5歳ぐらいの男の子がいた。おそらくショックかなにかで気絶しているのだと思う。

 

「もう1人は?」

 

「そこに…」

 

そう言って海岸を見つめる。そこには12歳くらいの女の子が倒れていた。その子はゆっくり起き上がり、こちらに気付いて駆け寄ってきた。

 

「お母さん!」

 

「蒼依…大丈夫…?」

 

「喋っちゃダメ!!今助けるから!」

 

「よく聞きなさい…私はもう助からない…」

 

「でも「聞きなさい!!」っ!?」

 

「もう、どうやっても…助からないの。…今、こうして、話しているのも、奇跡のようなものなの…だから…最期に…お願い、聞いてくれる…?」

 

「うん…何?私は…何をすればいいの?」

 

「強く…生きなさい…颯兎を…頼んだわよ……ねぇ、貴女」

 

「何でしょう」

 

唐突にその人は私に声をかけた。

 

「この子達を………お願い…してもいい、ですか…?」

 

「…………わかりました」

 

「ありが……と、う………」

 

その一言を遺し、彼女の全ての機能は停止した。その目から涙か溢れていた。私達には、その理由が言葉にしなくてもわかった。

 

「行きますよ」

 

「行くって、何処に?」

 

「シェルターに行きましょう。ここよりかはまだマシでしょうし」

 

「待って下さい…颯兎を…弟を連れてきます」

 

そう言って彼女は目から溢れる涙を拭いながら弟を起こしに行く。姉弟のやり取りが聞こえてきた。

 

「颯兎、起きなさい」

 

「おねーちゃん?おかーさんは?」

 

「おじいちゃんたちのところに行くって」

 

「ぼくもおかーさんのところにいく」

 

「駄目よ、そんなこと言ったら怒られるわよ。大丈夫、お姉ちゃんがずっと一緒にいるから、ね?」

 

「うん、わかった」

 

弟の前だけでも格好をつけていたいのだろう。弟が母親の遺体を見ないようにしつつ作り笑いをしながら会話をし、弟の手を引いて私のところまで来る。

 

「準備はいいですか?」

 

「はい。いつでも大丈夫です。」

 

「そう、それじゃぁ行きますよ。」

 

姉弟のやり取りを聞いてる時に拾ったボロボロの観光マップを広げて、1番近い軍の基地の近くのシェルターを目指して、私達は走り出した。




ようやく更新できました。前書きにもありましたが、定期テストと部活の大会が近いので、更に更新ペースが遅くなります。本当に申し訳ありません

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