俺が雪ノ下にかける言葉は……
「なぁ…雪ノ下……お前は…いつまで姉ちゃんの影を追うつもりなんだ?」
「………。」
この質問はまだ早い気がした。この時代ではまだ雪ノ下と雪ノ下陽乃さんの3人で会った出来事はなかった。だがこの時の雪ノ下の心境を知ってるからこそ聞かずにはいられなかった。
「……何故あなたが私の事を知ってるかのように話すのかしら。気持ち悪いからやめてくれないかしら…」
俺は分かる…今の雪ノ下は気を張っている。つまり動揺を隠してるつもりだろうが昔から知ってる俺にはバレバレだ。
しかし昔の俺では雪ノ下の考えは分からない。なら多少の嘘でも俺は俺のやり方を貫くだけだ。
「お前の姉ちゃんから聞いたよ…昔からヒョコヒョコついて来て真似をしてたって。」
雪ノ下さんには後で合わせてもらおう。
「!?……そ、それは姉さんが言ってたのかしら。」
「あぁ…[私の真似ばっかりしてて、でもそこが可愛いんだけどね!]って…」
「う…//」
雪ノ下がちょっとずつ崩れかけてきた。顔を真っ赤にして俯き始めた。ちょっと可愛いなオイ。
だかすぐに俺の方を見つめなおして開き直ったかのように話し始めた。
「確かに姉さんには私の持ってない物をたくさん持っているわ。身内の私が言うのもなんだけれども…あれほど完璧な人間なんか私の周りにはいなかった。その人の事を目標にして何が悪いと言うのかしら?」
絶対姉ちゃんの事好きだろ。だが雪ノ下の性格では強化外骨格みたいな事は無理だ。逆に雪ノ下を苦しめていく…雪ノ下さんもたぶん気づいていたんだろう…
「ならお前は姉ちゃんみたいに仮面をつけて周りにニコニコしていくのか?」
「そ、それは…そういう事ではなくて…そ、その…」
これが雪ノ下の《自分》を持っていない正体だ。自分で明確な答えをだそうとせず、誰かに合わせる。
なら俺がやるべき事は…
「ハァー………。オイ雪ノ下…結局お前は周りに合わせてばっかりの臆病者なんだよ。」
「!!…あ、あなたに臆病者なんて一番言われたくないわ!」
「フッ…臆病者だよ。今の自分がこの先変わらないといけないと縛られているただの臆病者だ。」
俺は蔑むかのように雪ノ下に話し続けた。
「そうやって今の自分を周りにさらけ出せないただのビビりなんだよお前は…自分をさらけ出せないお前なんかに奉仕部での賭けの勝負に負ける気なんかしねー[ゴキッ]ぶへ!?」
突然の衝撃だった。何が起きたか分からなかった。そして俺はそのまま意識を失った…
数十分後…
「比企谷くん!!比企谷くん!!」ゆさゆさ
俺は天使のような声で目を開けた…そこには3人天使がこちらを覗いていた。そうか…ここは天国なのか…
「比企谷くん!?大丈夫!?意識を失って倒れたからビックリしたよ!!」
と戸塚♂が話してかけてきた。天使だ…じゃなくて
「……何が起きたんだ?」
「あ、あ、あのね…比企谷くんと雪ノ下さんが口論して…比企谷くんが話してる途中に雪ノ下さんがグーで殴って…そのまま走って逃げちゃった…」
なるほどと由比ヶ浜の話で整理出来た……ってうぉーーい!!グーはねーだろ!平手打ちならまだ分かるけどグーで人を気絶させるってどこのヤンキー漫画だよ!!
「くそっ…いててて…」
「だ、大丈夫?」
「あぁ…大丈夫だ。」
「そ、それより…何で雪ノ下さんにあんな酷い事を言ったの?」
由比ヶ浜が半泣きで少し怒りながら聞いてきた。
「…別に。たいして意味なんかねぇーよ」
「……私…雪ノ下さんを探してくる。」
すると由比ヶ浜は教室を出て行った。
「比企谷くん…あれはワザとでしょ?」
と尋ねてきたのは戸塚♀だった。
「…何のことだよ?」
「またまたぁ〜!2人とも素直じゃないですなぁ〜」ニコニコ
「うるせっ…」
「比企谷くん…僕…明日から学校に行くよ!」
「え!?……何で急に…」
「僕…2人の話を聞いて…どれだけ自分の悩みが小さいか気づけたよ!それに比企谷くんが僕の事を必死に助けてくれようしてくれて…比企谷くんがいれば安心出来るしね。」
「そ、そうか…でもあんま無理すんなよ…」
「分かった。なら連絡先交換しよ!友達の証として!」
「お、おう!!ならすぐに交換しよ!!今すぐしよう!!」
戸塚♂と連絡先を交換した。
「これからよろしくね。八幡!!」
「おう!よろしくな彩加!」
これで一件落着だな!!
「いや。よくねーよ」
突然光に包まれた…