どうやら世界は、マッ缶のように甘くは出来ていないらしい   作:さめのひと

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はい、と言うわけで今週の投稿分です。

UAが2000突破してて驚きました。読んでくれた皆様、ありがとうございます。

The past Episodeに関してはまんまの意味です。

1話が始まる前の話を書いてます。

では、本編へどうぞ!


第3話+The past Episode

【第3話】

 

 そんなこんなで日常を過ごしてるうちに、俺こと比企谷八幡は無事高校2年へと

進級することが出来た。いやまぁ進級自体は流石にとっくに確定してはいたけれども。

 

 と言うわけで今日は始業式である。ちなみにゆきちゃんも同学年で、朋也さんは3年、

小町は中3と中々今年度の我が隊の受験率が高いのがちょっと気がかりである。

 

 …小町とは嫌でも受験の話はするだろうが、朋也さんともちゃんと話しとかないとな。

 進学するなら大学受験となるとそれなりに考慮した活動にせざるを得ないだろうし、

ボーダー以外の場所に就職するならそれこそボーダー本部との話し合いも含めて調整が必要

になってくるだろうしな。

 そういう細かいところも隊長の仕事になってくる。

 

 …もう朋也さんが隊長でよくね?あの人が最年長なんだし。

 

 まぁ、とはいえ元々小町がオペレーターとしてボーダーに入隊したことをきっかけに俺が

風間隊から除隊してまで立ち上げた隊なのだから、ある程度は甘んじて受け入れるしかないな。

 

 俺は、なんだかんだ言ってもあの4人の空間が、好きみたいだ。

 

 

 

 

 ありがたさの欠片もない校長先生の長話が終わり、俺は自分の席へつく。

 クラスは2-F。ありがたいのかありがたくないのか、ボーダー関係者は

同じクラスにはならなかったようだ。

 ボーダー関係者がいると否応なく話しかけられることになるし、ボーダー関係者って中高生の

中じゃヒーローみたいな扱いになってるから、そんなヤツに話しかけられるだけでも

なんというか、悪目立ちしてしまうしな。

 そんな理由で悪目立ちはしたくないし、やっぱりボーダー関係者がクラス内にいないというのは

俺にとってはとてもとてもありがたいことなのだった。

 

 俺は、学校内では俺がボーダーだということは秘密にしてある。

 中学のときに経験したことなのだが、陰キャラがボーダーみたいなヒーロー職に就いてると

それだけでやっかまれたり、突っかかられたりすることもあるからだ。

 

 それでいて、学校の教師も防衛任務などで公欠が多くなったりするとこっちの都合も知らずに

土足で家庭の事情に踏み込んできたりすることもあって、小町に心労掛けたこともあったことから

学校側にも秘密にしている。

 

 ゆきちゃんと朋也さんにもそのことを説明した上で、今は放課後と土日に

防衛任務を入れている状態だ。俺達の事情を理解してくれるいいチームメイトをもったものだ。

 

 と言うわけで、学校では俺のサイドエフェクトを存分に生かして存在感を薄めているのである。

 絡まれたりするとそれはそれでめんどくさいしな。

 

 今出てきたサイドエフェクトって言葉は、トリオン能力が優れている人間に稀に発現する

超技能の総称だったっけ。あれ、違った?

 まぁ概ねそんな感じ。大体合ってるはず。少なくともそこまでズレてはいねぇ認識だろう。

 トリオン能力そのものについての説明は…頭の中で反芻してると面倒臭くなってきたから

今度でもいいだろう。流石俺の思考。自分で感心しちまった。

 と言う訳で俺自身、ボーダー全体の中でも上から数えたほうが早いくらいの

トリオン量があることもあり、このサイドエフェクトってやつが発現している。

 

 俺のサイドエフェクトは≪認識阻害≫という名称らしい。が、俺はなんとなく”ステルスヒッキー”

って渾名をつけてる。

 

 このサイドエフェクトの効果だが、渾名の通り、軽いステルス状態になれる。

 正確に言うと、視界に捕らえていない限り音や気配、殺気といったようなものを

相手に察知されることがなくなる上に、視界に捕らえていても集中して視認し続けなければ

相手の意識の外に出るという、戦闘という意味においてはある意味チートな能力だ。

 

 …このサイドエフェクトのせいで小学生のときに色々黒歴史作ったっけ。

 思い出したくねぇ。ウボァ。

 

 まぁ、今となってはある程度コントロールできるようになっており、ちょっとだけこの能力を使って

ひっそりと学校生活を送っているのだった。

 

 

 さて、今日は始業式ということもあり、学校は半ドンだ。

 なんか課題で”高校生活を振り返って”とかいうお題で作文の課題を出されたが、

特に書くことがない。

 俺の高校生活を真剣に振り返って考えるが、勉強とメシ以外に積極的に書けることが何一つ

なかったのだ。あれ?目から汗が…

 

 というわけで今日も大体いつもの時間から防衛任務なのだが、受験やその他のことについて

チームメイト全員で一度話し合っておくべきだろう、と思った俺はとりあえず始業式が終わり次第

基地に集まるようにLINEで連絡しておいた。

 俺と違って、始業式後に他の三人には予定があるかもしれないので命令形式にはしなかったが。

 

 というわけで、高校組は予め最寄りの公園に集合するようにも連絡しておいた。

 そして、案の定と言うべきか、予想通りと言うべきか、俺が一番最初にその公園についた。

 

 とりあえずやることもないのでスマホを取り出すと、全員が予定は空いているとの連絡が

返ってきてた。空振りせずに済んでなによりだ。

 

 3分くらいスマホでゲームをしていると

 

 「比企谷君、お待たせしました~」

 

 美少女が、違った。ゆきちゃんが俺に声を掛けてきた。

 

 「いやいや、大丈夫。俺もさっき来たところだし」

 

 ゆきちゃんは隊員という贔屓目なしにみても十分にかわいい。

 もしゆきちゃんが俺より先に到着していたら確実にナンパされるまである。

 

 「朋也さんは、まだ…?」

 「あの人のことだから春原さんイジって遅れたとか普通にありそうだな」

 「確かに。あの二人、とっても仲がいいですもんね。」

 

 俺はその返しに苦笑いでしか対応できない。

 春原さんがイジられすぎててかわいそうになってくるまである。

 ちなみに春原さんってのは、朋也さんの同輩、つまり俺とゆきちゃんの先輩に当たり

サッカー部のエースでもある。リア充の極みかなあの人?

 とはいえ、モテると言うよりは完全にイジられキャラの人で、朋也さんのいいおもちゃ…

じゃなかった。いい友達のようで、二人でバカをやってるというのはよく聞く話だ。

 まぁ、サッカーの実力は本物らしいが。

 

 …バカをやれる友達が学校にいるというのは、それはそれでちょっと羨ましくはなる。

 けど、俺は既に学校という集団を見限っている。バカをやるのはボーダーだけで十分だ。

 

 そんなことを考えながら、5分くらいゆきちゃんとダベってると、朋也さんもやってきた。

 

 「悪い。春原で遊んでたら遅れちまったみたいだな」

 

 あ、やっぱり。予想通り過ぎてちょっと笑える。たぶん今の俺半笑いの顔になってると思う。

 

 「いやいや、俺達もそこまで待ってませんから。」

 

 小町を待たせたくないし、行きましょうと言って俺達はボーダー本部へ行くのだった。

 

 

 

 

 ボーダー本部の俺達の作戦室に入ると、既に小町がいた。

 

 「お兄ちゃんたち遅い!」

 「すまん、小町。俺が春原で遊んでたら遅れちまった」

 「あ、ならしょうがないです。」

 

 春原さんイジりってどんだけ説得力あるんだよ。春原さんがちょっと哀れになってきたぞ。 

 

 …まぁいい。とりあえず話を進めていくか。

 

 「えと、三人とも。今日は時間を割いてくれてありがとう。今日集まってもらったのは今年度の

比企谷隊の活動について、全員から意見がほしくて集まってもらった。」

 

 と言い放つと俺は、小町と朋也さんの両方を見て、次の言葉を紡ぐ。

 

 「小町は受験、朋也さんはどうするか分かりませんが、受験か就活の何れかが今年にあること

から、その辺も含めて調整しないといけないし。」

 「なるほど。確かにそうだね。岡崎さんの進路や小町の受験って両方とも将来に関わることだし」

 「まぁ、俺は未だに進学か就職かすら決めてないんだけどな」

 

 この人、澄ました笑顔でなんてこと言ってやがる。

 

 「いやいや、それ大丈夫なんですか朋也さん!?場合によっちゃ小町とは比較にならない

くらいヤバいんですが…いや本当に。」

 「お兄ちゃん、それどういう意味?」

 

 若干怒気を込めて小町がそう聞いてきた。恐らくだが色々と勘違いしてるぞマイシスターよ。

 

 「あのな、小町。高校受験はもし失敗したとしても大学受験で最悪巻き返しができるんだ。

けどな、大学進学にしろ就活にしろその結果次第で人生左右される一番大事なところなのに

このアホ先輩まだ何も決めてないってことだからな!」

 「おいおい、アホ先輩呼ばわりはないだろ。テストの点はそんなに高くないが、赤点は

取ったことないぞ俺。ってか点数だけで言えば数学たしか赤点取った事あっただろお前。」

 「そういう次元じゃねぇんだってこのアホ先輩!」

 

 …ちょっと本気でこの人の将来が心配になってきた。ってか出水のおかげで既に数学は平均点

くらいは取れるようにはなったんだけどな。

 

 「まぁ、ともかくだ。私学の中堅大学くらいなら今の俺のままでも進学できるし、大分前に

電気工のバイト手伝ったときに、卒業したら来ないかって誘われてたりもするから

いざとなったら何とかなるし、俺は大丈夫だ。最悪アテが外れても現役A級隊員なら

ボーダー絡みでなんとでもなる気はするけどな」

 「なんすかそれ。人生に保険があってうらやましい…」

 「いや比企谷、ボーダー絡みって言えば寧ろお前のほうが保険あるだろ…」

 「つまり、とりあえず朋也さんのことは決まるまで置いておくとして、小町ちゃんの受験を

優先的に考えるって事でいいんじゃないですか?」

 

 アホアホな会話してると宮沢がそう提案してきた。流石ぽわぽわ系美少女。

 我が隊の会話のバランサー兼進行役をこなしてくれるとは。大体いつもこんな感じではあるが。

 

 「まぁ、俺が決まってない以上そういうことになるな。俺としても小町優先の案がいいと思うし」

 「相変わらず朋也さんは自分のことに無頓着なんだから…」

 

 俺はため息混じりにそう答えるしかなかった。

 

 そう、朋也さんは昔からそうだ。自分ってものに対して何も考えてないと思ってしまうくらい

無頓着な人だった。そう思うと、この人と初めて会ったときもそうだっけ。

 そう思うと俺は朋也さんと会った過去を少し振り返ってしまっていた。

 

 

 

 

【The past Episode:比企谷八幡&岡崎朋也】

 

 

 

 4年前の1月。

 

 俺は、警戒区域にいた。

 

 周りには多数の切り刻まれたトリオン兵と、傍らに一人の男。恐らく迷い込んだ民間人だろう。

 

 とりあえず、保護しなければならない。正直タルいが、それがボーダーとしての仕事だ。

 

 「そこのアンタ。ここ、警戒区域だぞ?分かってるのか?」

 

 そう声をかけると、その男がこっちを向いた。

 酷く、やつれた顔をしている。もしかしてヤク中か?

 

 「アンタには関係ない。」

 

 冷たく、ピシャリと言い放たれる。

 声には冷たさというか、冷静さが見て取れた。

 俺の見立てでは、ヤク中ってセンはこの時点で消えた。勘ではあるが…

 

 「そういうわけにもいかないんだよ。こちとらアンタみたいな顔に生気が宿ってないような人で

あっても、見つけちまえば保護するのが仕事だからな。」

 「だからどうした?」

 

 やけに突き放した言い方するようなヤツだな、この人。

 とりあえず、今日のオペレーターの月見さんには連絡を入れておかなければ。

 

 「月見さん、聞こえますか?」

 『あら、比企谷くん。どうしたのかしら?』

 

 俺が通信を入れると、穏やかなが返ってきた。

 

 「民間人を一人発見。保護の準備をお願いします。」

 『えっ!?す、すぐに保護の手配をするわ!』

 「よろしく頼みます」

 

 話を理解した月見さんは、真剣な声色で返してきた。

 ちなみに年上なので、さん付けである。

 

 …とりあえずこれで保護の手配は完了した。

 

 「さて、これでアンタの存在はボーダーに知れ渡ったわけだ。俺じゃなくても他の誰かが

アンタのことを保護するから」

 「どうしてお前はそこまでして俺に関わる?」

 

 男は、酷くイラついた声で俺に問いかけてきた。

 

 「これが仕事だからな。」

 「別に俺なんか助ける必要ねぇよ」

 「アンタになくても俺やボーダーって組織にはある。つーか俺の手当てのために保護されとけ」

 

 俺もまた、男に対して苛立った声でピシャリと言い放つ。

 流石にここまで言われて苛立ちを隠したまま接してやる義理なんざ俺にはないしな。

 

 「…もう、疲れたんだよ。」

 「自殺志願者か?だったらヨソでやってくれ。でないと何回でもボーダーに保護されることに

なっちまう。民間人の保護は手当てこそいいけど後処理がクソ面倒くせぇんだよ」

 

 まぁ、確かに手当てはいいんだけどね。防衛任務中に民間人救出ってのがそもそもレアな

ケースなわけだし。こんなクッソ危険なところに好き好んで入ってくる人間なんかほぼいないしな。

 

 「…親父と同じ場所で死にたいってのが、そんなにダメなのかよ!」

 

 男が、強く放った言葉が、俺を凍りつかせた。

 

 「俺みたいなクズ助けようとして、俺を突き飛ばして、バケモンに喰われて、それでも俺に

逃げろって言い続けてたんだよ親父は!けど、もう生きる意味なんざねぇ!喧嘩もしたし、何回も

何回も何回も何回もぶつかりまくったけど、あの人は最後まで親だったんだよ、俺の!

俺にとっちゃまるでわかんねぇよ。けど、何も無くても生きていこうなんて思わねぇよ!

親父が助けてくれた、繋いでくれた命だったとしても、俺は一人で生きていけるほど

強くなんかねぇんだよ!親父が死んでからこの数ヶ月、惰性で生きてはみたけど、もう意味なんて

ねぇよ。なのに、なんでアンタらはそんな命まで繋ごうとするんだよ…」

 

 言い切って、男の体から力が抜ける。へたり込むように地面に崩れた。

 

 何故だかわからないが、俺は「そうか」と納得しちまった。イラついてた気分がスッと落ち着く。

 そして俺は一つの結論に達する。この男は、俺にあった可能性の一つなんだ。

 

 俺もそのバケモノ共に両親を殺されたが、俺にはまだ小町がいた。

 

 けど、小町まで失っていたら?

 俺がこの男のように急に、何の前触れもなしにたった一人にされたら?

 

 そう思うと、この男へのイラつきは完全に消え、なんとしてでも救ってやりたいと思うようになった。

 

 「俺は比企谷八幡。アンタ、名前は?」

 「…俺か?」

 「ああ。ってかアンタ以外に誰がこの場にいるんだよ」

 「…だな。俺は岡崎朋也。」

 

 さて、と一呼吸置いて俺は俺の持論を語ることにする。

 

 「岡崎さん、アンタさっき言ったな?何も無くて生きていこうって思えないって。

けど、それは違うんじゃねぇの? 一人なら一人でいいじゃねぇか。孤独を肯定してやれば

いいじゃねぇか。岡崎さんが死んじまったら、岡崎さんの命を繋いだ親父さんはどう思う?

俺だって両親があのクソ共に殺されてるけど、まだ妹がいる。

けど、妹がもし岡崎さんと同じ状況で、今の岡崎さんと同じ行動をしたら、少なくとも

ブチ切れるな。もしかしたら手だって出るかもしれない。

だからさ、岡崎さん。アンタだって生きてみるべきなんだよ。死ぬにしたって、孤独を目一杯

楽しんでから考えるくらいでちょうどいいんだよ。今のこのご時勢だ。岡崎さんと似た境遇のヤツ

なんか一杯いるけど、ソイツらだって生きていってるんだ。

見た感じ俺とそう年も変わらない人間が、人生悟った顔して死にたいとかほざいてんじゃねぇよ。

確かに生きていってるヤツらの周りには友達がいて、仲間がいて、生きたいと希望を持てるヤツら

かもしれねぇ。そういうヤツらだって俺は知らないわけじゃねぇ。けど、だからって一人で生きちゃ

いけない理由なんてねぇぞ。それでも尚死にたいってほざくなら、その命を使いつぶして死ね。」

 

 とりあえず、言いたい事をひたすらぶつけてみた。

 

 「…なんなんだよ。なんなんだよアンタは!なんで俺を知った風なクチきいてんだよ!

ああそうだろうよアンタには妹がいる、家族がいる!まだ全部失ったわけじゃないのに

偉そうなクチきいてんじゃねぇぞ!」

 「だったら!!…だったらなんだ?妹がいるからまだ俺のほうがマシって言われりゃそうなのかも

しれねぇけどな。けど、俺は生きてほしいんだよアンタに。…俺が妹まで失ってたらもしかしたら

アンタみたいに全部希望失くして自殺願望者よろしくフラフラしてたかもしれないからこそ。」

 

 会話を切るために最初だけ怒鳴り、後は淡々と話す。

 

 「なんなんだよそのアンタの独善的なエゴは!なんでアンタは俺を生かそうと、俺に希望を

与えようとするんだよ!んなもん欲しくはねぇし、アンタと違って背負ってるモノが無い俺から

すれば比企谷さん、アンタが眩しいんだよ、眩しすぎんだよ!俺はアンタと違って心の支えも

なければ、生きていく手立てもない。んな状況で、辛い目に遭って、生き続けてほしいって…

アンタ、残酷なことを俺に要求してるの、分かってんのか?」

 「あぁ、分かってるつもりだ。俺には支えがあるとはいえ、失う辛さそのものは痛いほど分かってるし、そんな中、支えもなしに生きていけってのがどれほど酷なことを言ってるかってのも理解してる

つもりだ。俺だって似た状況なわけだし、理解度そのものは割と高いと思うぞ」

 

 …こうして舌戦を繰り広げてるうちに、保護要員が到着した。

 彼、岡崎朋也は特に抵抗もせず、気力の無いまま立たされて、歩かされている。

 

 「岡崎さん、最後に一つだけ。生きる希望が無くて、本気で死にたいんなら、命を使い潰す

つもりでボーダーに入ってください。そして、俺を、俺達を助けてください。」

 

 お願いします、と俺は頭を下げる。

 

 俺は、この時の岡崎さんがどんな顔をしていたか分からない。

 ただ、俺のエゴであったとしても、俺は岡崎さんに生きる理由を提示してみた。

 

 これでダメなら、恐らく何をやってもダメだろう。少なくとも俺にはどうすることも出来ない。

 

 出来る限りはやったし、あとはなるようになるさ。

 

 そう思った途端に保護用の車両にエンジンが掛かり、そのまま出発していく。

 

 『比企谷くん、えっと…その。』

 「すみません、月見さん、いきなり怒鳴っちまって。通信、切っててくれても良かったんだけどな。」

 『あ、大丈夫よ。というか、私さっきの比企谷くんの言葉、すごく身に染みたというか。

なんというかこう…重みがあったというか…』

 

 …こうやって感想を聞かされるとなんだかスゲェ恥ずかしいな、なんて思いながら適当に

月見さんと会話しつつ、本部へ帰還する俺であった。

 

 ―こうして、俺と朋也さんは一度目の邂逅を果たした。




さて、今回の話は楽しんでいただけましたでしょうか?

今回は朋也と八幡の邂逅を描かせていただきました。

書きたいことがちゃんと伝わればいいなぁと、思いつつ。


あと、この先の展開で若干ヘイト気味な展開が出てくることが確定したので
アンチ・ヘイトタグを追加させていただきました。

よろしければ次回投稿も読んでいただけますと幸いです!


追記:BBF読み返してたら宇佐美さん3年前入隊じゃないっすか…
オペレーターを月見さんに修正しました。

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