うずまきナルトが幻想入り~Story of light and darkness~ 作:ガジャピン
文法や英語の使い方違うよって感じた方、私ではなくグーグル翻訳さんが悪いのです。
あ、グーグル翻訳さんにはすごくお世話になってます。いつもありがとうございます。
ナルトは冷や汗を流しながら、目の前の霊夢を見ていた。
霊夢の周りを覆う九尾のチャクラ。
九尾の衣にはなっておらず、オーラのような感じだが、身体能力を飛躍的に上昇させていることは、九尾の力をよく知るナルトだからこそ気付いていた。
「あんたは外に出たいのよね?」
「ちげェ! オレはオレの世界に帰りてェんだ! 外ならどこでもいいっつうわけじゃねェ!」
霊夢の冷めた目を真っ正面から受け止め、ナルトは霊夢からの敵意を振り払うように力強く言った。
幻想郷から出たとしても、そこがもし幻想郷のような世界だったら、被害が拡大していくだけだ。
今も九尾のチャクラが漏れ続けている以上、自分のいた世界以外の世界に行くのを、ナルトは許容できなかった。
「──そう、よく分かったわ。なら異変らしく、『弾幕ごっこ』でどうするか決めるのはどう?
私が勝ったら幻想郷の外に行ってもらう。あり得ないけど、もしあんたが勝ったら、幻想郷で封印するのを許可してあげてもいいわ」
「断るって選択肢はねェんだろ?」
霊夢は眉一つ動かさず頷いた。
「ええ、ないわね。もし断るなら、『弾幕ごっこ』じゃない戦闘になるだけよ。今の私なら肉弾戦もできそうだし。
勘違いしないで。問答無用で外に出すことだって私はできるの。なのにわざわざあんたにチャンスを与えてる。この提案は、あんたしか得しない提案なのよ」
魔理沙は怪訝そうに霊夢を見た。
魔理沙は、霊夢が『弾幕ごっこ』で一度も負けてないのを知ってる。
ナルトしか得しないと言いながら、霊夢が自分の独壇場に引きずり込もうとしているのが、魔理沙にはよく分かった。
しかしナルトにそれを伝えようとは思わなかった。
結局のところ、霊夢とナルトは闘うしかない。二人の意見の妥協点がないのだから。
それを解決できるのは紫ただ一人だが、紫は静観を決め込んでいる。
どうせ闘うなら、『弾幕ごっこ』の方がマシ。魔理沙はそう結論した。
それに魔理沙は、霊夢とナルトを信じている。
きっと『弾幕ごっこ』で仲良くなって、霊夢がナルトの力になってくれると。
「分かった」
ナルトは霊夢の提案を呑んだ。
「……っと、忘れてた。あんた外来人でしょ。『弾幕ごっこ』のルールは知ってる?」
「紅魔館のフランって女の子に教えてもらった」
霊夢の口元がにやりと緩められる。
「そう。ちょっと不安だけど、まぁいいわ。それじゃあ……始めましょうか」
ナルトと霊夢は同時にバックステップして、お互いに距離をとる。
霊夢の手に握られていたスペルカードが光を放ち始めた。
「霊符『夢想封印』」
霊夢から色とりどりの光弾がナルト目掛けて飛んでいく。
ナルトは横に跳んで回避。だが、光弾はまるでナルトに引き寄せられるように軌道を変え、ナルトに襲いかかってくる。
「追尾してくんのか!? なら──!」
背後から迫ってくる光弾たちを睨み、印を結ぶ。
「火遁・豪火球の術!」
ナルトが口から火を吹く。
巨大な火球となった火は光弾にぶつかり、互いに相殺し合って爆発した。
ナルトはほっと息をつく。だがそれも一瞬の安堵でしかなく、その爆煙を切り裂くように霊夢が現れ、瞬く間にナルトの眼前へと近付く。
「はい、残念」
霊夢は至近距離から光弾を一つ、ナルトに撃ち込む。
ナルトは地面を蹴り、空中に逃れる。
逃げた先は、多数の光弾に囲まれていた。
「その逃げ方はハズレ」
ナルトはクナイを一本、霊夢のいる方とは逆の方向に投げる。
その一瞬後、多数の光弾がナルトを押し潰すように迫り、大爆発を起こした。
博麗神社が爆発の衝撃と爆風で震動する。
ナルトはクナイのマーキングに『飛雷神の術』で飛び、光弾から逃れた。
そのすぐ背後には霊夢が既におり、今度は零距離から光弾を一つ、横腹にぶつける。
ナルトはその光弾を避けれずに被弾し、殴られたような衝撃とともに真横に吹っ飛んだ。
霊夢は吹っ飛んだナルトを得意気な表情で見据えた。
「あんたがあの刃物のとこに現れるのは分かってた。勘だけどね。
時間を止めて移動、瞬間移動、高速移動、空間移動……その中のどれかは分からないけど、その刃物のとこしか行けないんでしょ?
じゃないと、あの時刃物を投げたあんたの行動に説明がつかないわ。
今更だけど、あの刃物は私の方にも投げた方が良かったわね。そうすれば、少しは撹乱できたのに」
ナルトは上手く受け身をとり、中腰の姿勢で霊夢に向き直る。
(……つえぇ)
霊夢は常にナルトの先を読み、ナルトの動きを分析しながら闘っている。
フランとは全く違う闘い方。
『弾幕ごっこ』の勝ち方を知っている者の動きだ。
「それからさっきの火の技……弾幕を防ぐだけならいいかもしれないけど、その後に発生する爆煙は自分の首を絞めるだけね。『弾幕ごっこ』では使わないことをオススメするわ」
「……アドバイスどーも」
ナルトはジト目になって霊夢に言った。
(ものすげェ余裕かまされてる)
わざわざ忠告してくれるのはありがたいが、少しイラッとくるのも事実だった。
自分の内に感じる熱を必死に抑え込みながら、ナルトは地面に軽く手をついて、地面を蹴り横に高速で移動。移動する姿は猫を思わせる姿をしていた。
更に博麗神社の周りに生えている木を蹴り加速。再び地面、灯籠、鳥居、木──それらを次々に蹴り、ナルトは加速していく。
そして博麗神社にはただ何かを蹴る音だけが響き、ナルトの姿は見えなくなった。
(本来なら、もっと障害物の多いとこで使う技だけどな)
もしくは狭い場所、森林や建物の中などで真価を発揮する技だ。
しかし、使えないことはない。行動パターンは限定されるが、姿すら映らぬ速さでの接近戦は霊夢に対して有利だろうと判断した。
何故なら、霊夢は先程から光弾でしか攻撃していないからだ。
近距離でも手足を使わず光弾で攻撃してきたことを考えると、近距離での戦闘が不向きなんじゃないかとナルトは感じた。
だからこその超高速戦闘。ヒットアンドアウェイで霊夢に反撃させず、一方的に攻撃する。
「罰当たりな……鳥居や灯籠を蹴るなんて」
霊夢は肩を震わしていた。
霊夢の周囲には蹴る音と僅かな土煙があがっているだけで、それ以外は何もなかった。ナルトの姿は景色に溶けたように見えない。
(ここ!)
ナルトは霊夢の後ろにあった灯籠を蹴り、一気に霊夢に近付き腕を掴もうとする。
それを霊夢は少しだけ身体をずらして回避。置き土産に『夢想封印』の光弾を三つ、回避する前の自分がいたところに置いた。
「いいっ!?」
ナルトは自分から光弾に突っ込んでいく形になり、光弾の爆発で後ろに吹っ飛び、灯籠にぶつかった。
「がっ!」
ナルトから呻き声が漏れる。ナルトはそのまま前のめりに倒れた。
「目にも止まらぬ速さってやつね。でも最後は私に接近してくるって分かってた。
なら、私を狙った瞬間の気配を感じとればいい。そんなの目を閉じてても避けれるわ」
霊夢はうつ伏せから両手で起き上がろうとしているナルトを見下ろした。
「それと今あんたがやった技、私もできそう」
霊夢はナルト同様地面を蹴り加速を始める。
しかし三度目の加速の時にタイミングを外し、加速に失敗した。
首を傾げぶつぶつと呟きながら、霊夢は再び挑戦する。ナルトのことはほったらかしだ。
次は四度目で失敗、その次は六度目、その次は七度目。
ナルトはその間に起き上がり、霊夢の動きを注視。
霊夢はだんだんと加速していく時間が長くなり、今はナルトと同じように姿が見えなくなる程の速さになっていた。地面、木、灯籠、鳥居を蹴りながら、ナルトの周囲を動きまわっている。
「っておい霊夢! お前さっき言ったことを思い出せ! お前も鳥居と灯籠を蹴ってるじゃないか!」
「私はいいの」
魔理沙からの指摘を加速し続けながら霊夢はそう返す。
加速しながら話したせいか、様々な場所から声が聞こえた。
ナルトは霊夢に内心で舌を巻いた。
ナルトはさっきの技を覚えるのに丸一日かかった。最初はそんなに難しくないが、姿が見えなくなる程加速してからは難易度が跳ね上がる。
霊夢はほんの数分でコツを掴み、今はもう蹴るタイミングを完璧にマスターしている。
(それに九尾のチャクラ、さっきまでは身体能力をそんなに強化できてなかったのに、今は最大限っていっていいくれェ強化されてる)
九尾のチャクラを霊夢は使いこなせるようになったのだ。
おそらく天才なんだろう。物事の本質を感覚的に掴み、それを己のものにする能力。生まれながらの実力者。
再び自分の内に宿る熱に鬱陶しさを感じながら、ナルトは霊夢からの攻撃に身構える。
「そろそろ行くわよ」
そこら中から霊夢の声が響き、あらゆる方向から色とりどりの光弾がナルトに向かっていく。
ナルトはクナイを四本それぞれ別方向に投げた。それにまとわりつくように複数の光弾がそれぞれのクナイに追従する。
「無駄よ。タネが分かってる技なんか使っても意味ないわ」
ナルトは迫ってくる光弾を『飛雷神の術』で避ける。
ナルトの姿が消えた刹那、霊夢は周囲に飛んだクナイを見た。
(爆発しない……?)
四本のクナイの内どれかに移動すれば必ず『夢想封印』の光弾に当たり爆発する筈だが、それがない。
何か嫌な予感がして、霊夢は動きを止める。
動きを止めたのとほぼ同時に、霊夢の眼前にナルトが上から現れ高速で着地した。もし霊夢が動きを止めなかったら、組みつかれていただろう。
(あの刃物にしか移動できない筈……。闘う前にあらかじめ刃物を博麗神社のどこかに置いた? でもそれならあの時刃物を投げた説明がつかない。
あれは陽動するための下準備? なら今投げた刃物は囮?
一つ確実なのは、刃物のある所に瞬間で移動できること)
霊夢の頭がフル回転で働き、今起こった予想外の事態を分析していく。
ナルトは霊夢を見て勝ち気な笑みをした。
「わりぃな霊夢! もうこの場所はオレの
「意味の分からないことを……!」
ナルトは再び消えた。
霊夢は咄嗟に
そのすぐ頭上をナルトの腕が掠めていった。
霊夢はすかさず光弾を撃つが、ナルトはもういない。
霊夢には分からないことだが、ナルトはさっきの超高速移動の時に、手で『飛雷神の術』のマーキングをしながらそこら中を蹴っていたのだ。
つまり博麗神社内は、ナルトのマーキングだらけの空間になっている。
霊夢は次々に様々な方向から接近してくるナルトを
(右、上、後ろ、正面、左、右斜め後ろ、左上、後ろ……)
霊夢は不思議な感覚に陥っていた。
例えるなら、ピントの合ってないメガネからピントの合ったメガネに替えたような、寸分のズレのない世界。
ボヤけていた世界がはっきりとした輪郭で見える。自分の周りが手に取るように分かる。
(何これ……スゴい)
霊夢はだんだんと
脳内でイメージした身体の動きを、反射に近い反応で実際の身体もイメージ通りになぞる。
頭と身体が一体になっている感覚。本当に電気信号を介して身体に指示しているのかと疑いたくなるくらい脳と身体のタイムラグを感じない。
霊夢の顔に笑みが生まれ、ナルトの予測不可能な攻撃を心から霊夢は楽しんでいた。
そんな霊夢とは対照的に、ナルトは焦っていた。
接近戦ならどうにかできると踏んだのに、未だに霊夢を捉えられないからだ。
(くそっ、当たらねェ)
まるで写輪眼を相手にしているような感じだった。
自分の動きの一手先を常に選び続けている。そんな錯覚を覚えた。
「私に一発も当てれなくて、イライラしてるでしょ? 仕方ないから一発当てさせてあげてもいいわよ」
霊夢は一枚のスペルカードを手に持ちながら、両手をあげた。
ナルトは絶句し、霊夢の正面に現れる。
「何を考えてる?」
「別に何も……ただ、こんなに一方的じゃあんたがつまらないかなって思っただけよ。
やっぱ『弾幕ごっこ』はお互いに楽しまなくちゃね」
霊夢は両手をあげたまま、にこりと笑った。無垢な少女のような綺麗な笑顔だ。
(どうする? けど霊夢はあのまま動きそうにねェし、こっちから攻めるしか選択肢はねェ)
ナルトは正面から霊夢の右腕を掴もうと急接近──すると見せかけて、『飛雷神の術』で霊夢の後ろに飛んで左腕に左手を伸ばす。
ナルトの左手が霊夢の左腕に触れた瞬間、左手がすり抜けた。
「えェー!? 何だコレ!?」
まるでうちはオビトのようなすり抜け。
「『夢想天生』」
霊夢は両目を閉じ、静かにスペルカードを宣言した。
動揺するナルトの左手首を、霊夢は右手で掴む。
「騙して悪いけど、勝負だからね。勝たせてもらう」
霊夢はそのまま左手から光弾を撃ち、ナルトは
そしてナルトの吹っ飛んだ先は、多数の光弾で埋め尽くされていた。
ナルトの身体がそれらの光弾に触れる。
多数の光弾はうねりをあげて大爆発を起こし、ナルトの身体はその中に消えていった。
こうして、ナルトと霊夢の『弾幕ごっこ』は霊夢の勝利で幕を下ろした。
ナルトは霊夢に一方的にヤられる程弱くありません。
じゃあ何でヤられたのかは、次の回で霊夢の口から語られるでしょう。
本当に単純な理由です。紅魔館でのナルトの闘い方を覚えていれば、すぐに分かります。