この小説は大半が作者の妄想でできています笑
そんな妄想にお付き合いして下さる方、さらには感想や評価、お気に入り登録もして下さる方にとても感謝しています(;_;)
雪歩Pさんやそれ以外の方でも楽しめるような小説を目指して頑張りますので、もうしばらく僕の妄想に付き合って下さい(笑)
では<(`・ω・´)
現在、萩原さんの活動内容は主にレッスンばかりである。
あれから萩原さんは俺の前でも唄うことができた。今ではレッスンスタジオに行くとすぐにでも始められる。
歌に関しては専属の人がいるので俺があーだこーだ言う必要はない。しかし見てる限りではかなり突っこまれている様子で、かなり苦戦しているようだ。
なお、ダンスに関しても以下同文である。
……まあ、この辺はこれからレッスンを続けていると上達していくよな。多分。
そんなことよりもだ。
他に忘れてはならないことがある。
さっきも言ったが、萩原さんの活動内容は主にレッスンばかり……スケジュールもほぼレッスンで埋めてある。
仕事……そう。萩原さんのスケジュールには大事な営業が欠けている!
これがなかったらトップアイドル目指そうだなんて夢のまた夢。
外へ出て名を売らねばトップアイドルになんてなれないのだ。
だから外に出よう……うん。こんなちんまりした事務所にいつまでもいるわけにはいかないんだよ。
「はいプロデューサー。お茶をいれてみましたぁ〜」
スッとデスクの上に置かれた湯呑。最近は萩原さんが俺にお茶をいれてくれるようになったんだよな。関心、関心。
「ってちがう! 萩原さん! これじゃあだめなんだよ!」
「え? プロデューサー。お茶を変えてみたんですがダメでしたか?」
「お、まじか。どれどれ……うーん。美味だ! じゃなくて!」
「もしかして……私なにかしましたか? だったら謝りますぅ。すみません……」
「ち、違うんだ! 別に謝る必要はない。むしろなにもしていないのがダメなんだよ!」
「そ、それってどういうことですか?」
「あれを見ろ!」ビシっと俺はホワイトボードを指差すと、萩原さんはそれにつられてホワイトボードを見る。
「いいか。萩原さん。あれを見て今月のスケジュールを確認するんだ」
「は、はい。えっと……レッスン、レッスン、レッスン、レッスン……あ、あのぅ? レッスンしかないですぅ」
「そう! 萩原さんの言うとおり、今月のスケジュールはレッスンばかりだ。他のみんなを見ろ、営業やミニライブ。オーディションもあるぞ」
当たり前だが、ホワイトボードに書かれた萩原さんの名前は圧倒的に少ない。他のみんなもお世辞にも多いとは言えないが、それでも萩原さんに比べると多い方だ。
よそはよそ。うちはうち。と、小さい頃におかんによく言われたが、今はそんなことを言っている場合ではない。
ちなみに、今日は事務所に俺と萩原さんしかいない。他のアイドルの子らはみんな仕事で出ている。音無さんや社長、それにまだまともに話をしていないが、プロデューサーの律子さんも仕事で出ている。
「ううぅ。改めて見ると私って仕事が一つもない暇人アイドルなんですね。やっぱり……私なんかにお仕事をくれる人は誰もいないってことなんだよね」
がっくり肩を落としうなだれる萩原さん。これはいつものパターンだが、そろそろその弱気な性格もどうにかしていかないといけないよな。
それに男の人が苦手ってのも、まだまだ完全に克服できたわけじゃない……なら、ものは試しにってことで……封印していたあれを出そう。
俺はゆっくりとデスクの引き出しから、とある資料を取り出す。
「萩原さん……実はだな。一応、仕事があるっちゃあるんだ」
「ええぇぇ!? ならなんで早く言ってくれないんですか〜」
「まあ、ちょっと訳があって……とりあえず今から仕事内容を読み上げるから聞いてくれ」
「は、はいぃ。ちょっと不安だけど……なんだか楽しみです。えへへ」
その笑顔がムンクの叫びみたいな顔にならないことを祈ろう。いや、絶対なるよね。うん。この後の萩原さんの表情を絵にしたら俺、超有名な画家になれるんじゃね?
……そうじゃなくて!
「よし。じゃあ読むぞ!」
『キラメキ! 男祭り! 男による男のための男だけのお祭り! だけどちょっと暑苦しいので最後に歌を唄って会場の人に少しだけでもやっぱり女の子も必要だよね〜って思わせるような素敵なミニライブをよろしく!』
「……ふぅ。あれ? 萩原さん?」
俺が資料から目を離すと、目の前にいたはずの萩原さんの姿はなく。代りにデスクの上に置かれた一枚のメモ用紙があった。
『穴を掘って埋まってますうぅぅぅぅ!!』
……やっぱりだめか。
それにしてもどのタイミングで逃げたんだ? 絶対全部聞いてないだろ。
「ま、無理ならしょうがないか…‥どうせまだ返事してないし、今から電話してお断りしよう」
資料を乱暴にデスクの上に放り投げ、ポケットからスマホを取り出し番号を打ち込もうとした時だった。
「ねぇ。雪歩のプロデューサー」
不意に聞こえた声に俺は見上げると、外国人顔負けの金髪の女の子……確か星井美希って名前だったけか? がさっきの資料を見ながら俺に声をかけた。
てか、いたのかよ。全然気付かなかった。
「君……確か星井美希だよね?」
「うん! ミキのことはミキって呼んでくれていいよ☆ それでね。さっき雪歩のプロデューサーの話を聞いてたけど、ミキはこのお仕事に行ったほうが良いと思うの」
「どうしてそう思う? あと俺のことは普通にプロデューサーでいいぞ」
「あのね。プロデューサー。雪歩は男の人が苦手なんだよね? でも、いつまでもずっと男の人が苦手だと今後の活動に支障が出ると思うの。だからこれをきっかえにして雪歩の苦手を克服した方がいいと思うの」
おおぅ……。えらく真っ当な意見が出たぞ。
でもそうだよな。美希の言うとおりだよな。ここで逃げたらもう萩原さんの苦手を克服できるチャンスがこないかもしれない。
よし。そうと決まれば俺は鬼になろう。
この仕事は受けて必ず成功させようではないか!!
「ありがとうな。美希。俺以上に萩原さんのことを考えてくれて……俺、この仕事受けることにする」
「あはっ。そうと決まればさっそく雪歩を説得しに行くの! あ、プロデューサー。ミキもこのお祭りに参加するからね☆」
「え、ちょっと待て、美希……」
俺が呼び止める前に美希はさっさと事務所から出て行ってしまった……
ミキも行くって……スケジュールとか大丈夫なのか?
俺はホワイトボードを確認すると……いたよ。いたいた。萩原さん以外にも名前が全然ない奴。
美希、お前も暇なんだな……