空人と雷人   作:シャインベルク

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第2話 1人目と目的地

「う……」

 

 

 能力の練習をしながら時間を潰しているとようやく目が覚めたみたいだ。

 

 

 「起きたか?気分はどうよ?」

 

 

 「貴様……そうか……私は負けたのだな」

 

 

 そう言いつつゆっくりと起き上がる。もう動けるのか。スゲェな。

 

 

 「だが、悪くない気分だ。世界は広いものだ……いいだろう、約束は約束だ」

 

 

 「え?」

 

 

 「青海にも興味が湧いてきた……貴様と共に行くこととしよう」

 

 

 あれ?もうちょっとゴネるかと思ったけど、以外にすんなりいったな。

 

 

 「いいのか?自分で言うのもなんだがかなり怪しい男だぞ?」

 

 

 「フン、限りない大地は常に天にあるのだ。多少の寄り道など問題ない」

 

 

 そんなもんかね。またいつか行くって言いだしたらついて行ってもいいかもな。

 

 

 「まあいいさ。これからよろしくな、神様」

 

 

 「もう神ではない……もう一度やり直しだ。少なくとも貴様と、ゴムの男に勝つまでは」

 

 

  こりゃ、事あるごとに戦わなきゃいけなさそうだな。いい修行になりそうだ。

 しかし綺麗なエネルってこんな感じなのか?

 

 

 「いつでもかかってこいよ」

 

 

 手を差し出し握手をしようとする。すると

 

 

 「聞いていなかった。貴様の名は?」

 

 

 そう尋ねてくる。そういや名乗ってなかった。この世界なら苗字はいらんか。

思えばこの名前は能力にピッタリだな。

 

 

 「 ”ソラ”だ。」

 

 

 「……ソラ、貴様に付き合ってやろう。私はエネル。もはや神ではない、ただのエネルだ」  

 

 

 がっしりと握手を交わす。こうして、心強い仲間と船が手に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なぁエネル、この”マクシム”って普通の航海は出来るのか?」

 

 

 「どういう意味だ?」

 

 

 「空島では確か白海だっけ……そこに浮かぶのか?」

 

 

 空島の海で浮かぶのなら多分青海でも航行可能のはずだ。

期待を込めて尋ねてみたのだが

 

 

 「わからん」

 

 

 「は?どういうこと?」

 

 

 「この”マクシム”は大前提として空を駆ける方舟として造ったのでな。

青海はおろか、白海で使ったこともない」

 

 

 要するにあくまで飛行船であり海洋船ではないと……

 

 

 「さらに言えば、ゴムの男との戦闘に、墜落した時の衝撃による破損。

先程の貴様……いやソラ、お前との戦闘でさらに負担がかかっている。

 もはや、飛ぶのだけでギリギリの状態だ」

 

 

 「……おいおい、なんだよそりゃ」

 

 

 せっかく手に入れた船があっさり墜落して沈没なんて笑えねえ……

今はまだ俺の能力で固定しているからいいものの。 

 どうにかして直してもらわなきゃ、非常にまずいな。

とりあえず、動力源に案内してもらう。中も広いな……

 

 

 「しっかし、よくもまぁこれだけのもん作ったな……」

 

 見たこともないような機械に、巨大な歯車。

おそらく動力である雷を流すためのパイプがあちこちに組み込まれている。 

 

 

 

 

 

 「あれ?エネル、こっちは違うのか?」

 

 

 なんか、見た感じ重要そうな機械がズラリと並んでいるんだが。

 

 

 「そこは飛行回路の部分ではない。この舟の力”デスピア”だ。

もっとも、回路の殆どがイカれてしまい、修復も困難だがな。

ふん、やはりどこも損傷が激しいか……」

 

 

 「デスピア?」

 

 

 よくわからなかったので聞き返すと、要は雷雲を作る機械のようだ。

元々はこれで、住んでいた空島を破壊し尽くす計画だったらしい。

 

 

 「やはり、直そうにも部品が足りん……」

 

 

 「なぁ、こっちの部品は使えないのか?」

 

 

 俺としては飛行機能があればいいので、こっちのデスピアは別にいらん。

そう思っていたのだが、エネルにもの凄い嫌な顔をされた。

 

 

 「んな顔されても……まずは動かせることにするほうが先だろ?」

 

 

 「確かにデスピアの部品を回せば充分だが……」

 

 

 雷雲を自由に製造し続けるこの回路を壊すのは……なんて言っているが。

ぶっちゃけ過剰戦力だぞこれ。国攻めなんてそうそうしないって。

 説得を続けても、なかなかいい返事がこない。

 

 

 「あーもう、必要になったら雷雲くらい俺が作るよ」

 

 

 天候を弄って、手の平大の雷雲を創り出す。

それを見たエネルは目が飛び出るほど驚いていた。

 

 

 「……もはや、何でもありなのだな」

 

 

 「正直、俺もそー思う」

 

 

 驚きを通り越してもう呆れるしかない。

考えようによっては、あらゆる自然系の上位互換になりうるからな。

 

 

 「よかろう、まずは飛行機能を優先して回復させる。

だが、青海を航行できるかどうかはわからん。

 あくまでこの舟は飛行船であり、私も船の専門家ではないのでな」

 

 

 専門家ねぇ……別に飛べるだけでもいいのだが、最低限海に浮かぶようにはしておきたい。

となると最初の目的地はあそこかな。原作の流れ的にも丁度いいし、ルフィ達と接触もできるか。

 

 

 「とりあえずその方向で頼むわ。最低限飛べるようになったら少し高度を下げよう。

最初に行くべき場所が決まったから、青海が見える所まで降りることにする」

 

 

 船か島さえ見つかれば、目的地を探すことは出来るからな。

 

 

 

 「ふむ、何処に向かうのだ?」

 

 

 

 

 

 「”水の都”ウォーターセブン。 優秀な船大工が揃う、造船業の盛んな町だ」

 

 

 

 

 




最初の目的地は水の都です。

船の整備は誰にしてもらおうか……

お読みいただきありがとうございます。

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