「あ~、やっとついた……」
結構掛かったな……ぶっ続けで滑ってきたけど大分時間食ったな……
裏町の辺りに到着し、大きく伸びをする。
「ソラ、今後の予定は決まっているのか?」
「いや、特には。何日かはこの島でゆっくりするつもりだけど」
「そうか。私は一足早くマクシムに戻るぞ」
流石に疲れたのでな、といいながら先に行くエネル。
俺も今日はゆっくり休もうかな、と思っていたら誰かがこっちに近づいてくる。
「くそ、思ったよりヒデェな……俺達が出張らんと厳しそうだ……」
ありゃパウリーさんか?どうやら裏町の被害状況を見に来たようだ。
だが、こちらに気づいたようで驚いた顔をしている。
「‼‼‼てめェ生きてやがったのか‼」
「あ、パウリーさん。お疲れ様です」
なにやらご立腹のようで、怒りながらこっちに向かってくる。
はて、なんか怒らせるようなことしたっけ?
「無事なら生存報告ぐらいしやがれ‼他の奴らも心配してたんだぞ‼」
「そういわれても……今帰ってきたとこだし……」
「はぁ⁉」
船も列車もないから歩いて、いや滑って帰ってきたことを説明する。
「全く……フランキー一家が喚いてたんだぞ。”ソラさんがいねェ‼”ってよ」
「なんだそりゃ……わかった、早めに説明しに行くよ」
「ああ、本社にも顔出しとけ、アイスバーグさんも気にしてたからな」
「了解、んじゃ行ってくる」
はぁ、俺も早く休みたいし、さっさと済ませるか……
「ンマー、無事だったか……船にも姿が見えなかったもんで気になってたとこだ」
アイスバーグさんは、もう普通に動いて仕事に精を出していた。
案外この人もタフだよな……まぁ大工だし体力はあるんだろう。
「お陰様で……ちょっと帰りが大変だったけど」
「フランキー一家も知らねェって言うし……どうやって帰ってきたんだ?」
アイスバーグさんも知ってる例のアレ、って言ったら驚いていた。
まぁかなり長距離バージョンだけど。
ああ、フランキー一家のとこ行ったら熱烈な歓迎を受けた。
正直暑苦しい……早く休みたかったので早々にお暇しようとしたら、
「オウ‼ウチの子分共が随分世話になったみてぇだな‼」
海パンの変態に絡まれた。勘弁してくれ……
ようやくマクシムに戻ってきた時には日が暮れだしていた。
とりあえず、色々考えるのは明日にしよう……そう思って眠りに就いた。
目覚めたらもう日が昇りきっていた。自分が思ってる以上に疲れてたんだな。
「ちょっと町まで出て来る」
そう言って船から離れる。返事はなかったが多分聞こえてんだろう。
軽く飯でも食うか、と思い町を探索していると
「「 あ 」」
トナカイ……もといチョッパーとロビンに出会った。
フランキー一家の治療帰りかな?
「貴方……‼」
「や、その説はどーも」
「お、お前生きてたのか‼何処にもいないから心配したんだぞ‼」
チョッパーが涙声で問いかけてくる。うん、めっちゃええ子や……
ほとんど関わりがなかったのにこんなに心配してくれるとは……
「ごめんごめん、今から会いに行くつもりだったのよ」
抱きかかえながらなんとかなだめる。うん、モフモフだ。
「フランキー一家に聞いても、”麦わらさん達と一緒じゃないんすか⁉”って……
ロビンから軍艦に突っ込んでったって聞いたし、ううう……」
もはや半べそ状態。まいったな、昨日疲れてても会いに行くべきだったか。
「ごめんって。ほら、この通り無事だからさ、な?泣き止んでくれって」
「泣いてねェ‼俺は強いんだ‼泣いてなんか……」
よーしよし、チョッパーをあやしていると今度はロビンが話しかけてきた。
「……貴方は何者なの?」
「グスッ……ロビン?」
チョッパーが涙を拭き、彼女を見つめる。
「私は貴方を知らない……それなのに貴方はバスターコールに正面から立ち向かった。
仲間でもない貴方が、どうして私を庇ってあそこまでしたの?」
彼女の瞳に映るのは理解出来ない物に対する恐怖心か、
もしくは未知の存在に対する好奇心か。
「あ~……特に理由なんてねぇよ。ああなったのも成り行きだしな」
青キジと戦り合う為に一番手っ取り早い方法を取っただけだ。
「俺はただ自由でありたいだけ……その為なら世界が敵でも構わない」
仲間の為に戦うルフィとはえらい違いだ。
俺はただの自己満足の為、世界に喧嘩売ったようなもんだしな。
そう告げると、2人とも驚いていた。まぁ傍から見れば頭おかしい奴だよな。
抱きかかえたままのゆっくりとチョッパーを降ろす。
「ま、深い理由なんてないさ。俺がそうしたかっただけ。あんま気にしないでくれ」
そういって探索に戻ろうと2人に背を向け歩きだす。
……はずだったのだが、何故か進まない。
不思議に思い振り返るとロビンが服の裾を摘まんでいた。
「……それでも」
「え?」
「それでも、私が貴方に助けられたことには違いないわ」
「……君を助けたのは君の仲間達だろ」
「それでも、よ。お礼くらい言わせて」
”ありがとう”
「……どーいたしまして」
その言葉を告げた彼女の笑顔が妙に眩しくて、
俺は逃げるようにその場を離れた。
~ロビンside~
彼と別れた後、チョッパーと話しながら皆の所に戻る。
「ソラっていうんだ。凄かったな……島ごと飲み込んじゃいそうな波をこう……」
チョッパーから聞くまで名前も知らなかった彼は、
アクアラグナを真正面から受け止めるなど、かなりの規格外らしい。
実際私自身が見た時も、明らかに別格の強さだったわね。
「そうなの……」
「そうなんだ‼なんていうか……ルフィとは違うんだけど、惹かれるっていうか」
「あなたもなのね……どうしてかしら」
不思議と惹かれるなにかを持った彼について話していると、
あっという間に間借りしている家に辿り着いた。
「今帰ったぞー‼」
「ただいま」
ただいまと言える場所がある今の私は、とても幸せね……
「フランキー一家のケガ看てきた。あとロビンから目を離さなかったぞ‼」
「よし‼ごくろうチョッパー‼」
「ふふっ。もうどこにも行かないったら」
本当に心配性なんだから。そう思っていると航海士さん、
いえ、ナミがとても嬉しそうに話してくる。
どうやら失ったと思われた物資が無事戻ってきたそうだ。
彼女が大事にしているみかんの木、お金、荷物全てだ。
その後に変態……もといフランキーがやってきた。
なんでもメリー号に代わる船を作ってくれるらしい。
まだ眠っているがルフィが聞いたら喜ぶだろう。
ほんの少し安堵したところに海軍がやってきた。
それからは怒涛のように話が進み、驚愕する事実がいくつもでてきた。
海軍本部中将”英雄”ガープがやってきて孫であるルフィを折檻したり
肌身離さずつけている麦わら帽子が赤髪との繋がりを示すものだったり
ルフィの父親があの革命家”ドラゴン”であるなど驚くことの連続だった。
そして気づけば、今はバーベキューが町全体を巻き込む宴になっている。
「本当に……楽しい一味ね」
喧騒から少し離れ壁を背に彼らを見つめる。
「そのまま聞け……ニコ・ロビン」
その言葉を聞いた瞬間、背筋が凍った。
「……青キジ……‼」
「なぜいつものように逃げ出さなかった……お前1人ならどうとでもなったろうに」
「……今までとは違うと言ったでしょう。私は彼らを見殺しになんて……」
出来る訳がなかった……こんな私を心の底から信じてくれたんだもの……
その後に聞かされた話は驚いた。彼の友人サウロのこと……
今回態々青キジが出てきた理由……予想外の事態の発生……
「宿り木を見つけたお前は、これからその答えを……
オハラとサウロがお前を生かした意味を……見せてくれるのか?」
「……そのつもり……」
「……だったらしっかり生きてみせろ……」
当然よ……私を救ってくれた彼等の為にも……
「ああ……それからもうひとつ……あの2人は何モンだ?」
「………」
2人というのは、バスターコールに正面から立ち向かったあの2人のことだろう。
「だんまりかい……」
「私にもわからないわ……」
「おめェさんを助けたわけじゃねェと……」
「ええ……”自分がそうしたかっただけ”……そう言っていたわ」
「なるホドね……」
そういうなり圧迫感が消えた。壁の後ろに回ってみても誰もいない。
「お~い、ロビ~ン‼こっちこいよ~‼」
仲間達の呼ぶ声が聞こえる。
「食ってるか~‼肉~‼」
彼らとなら、どんなことだって乗り越えてみせる。
「私も……やってみようかしら」
「おう‼やれやれ~‼」
「や、やめてくれロビンちゃ~ん‼」
(やはり、あの強さ……そして思想……今の世界政府にとっては危険すぎるな……)
数日後 エニエス・ロビーの事件と共に全世界に手配書が発行された
麦わらの一味とされる7人には全員懸賞金が
暴れまわったフランキーにも懸賞金がかけられた
だが それらよりも世界が驚愕したのは
”空人ソラ”懸賞金6億ベリー
”雷人エネル”懸賞金5億ベリー
初頭手配からありえない金額を叩き出したもう2人の賞金首だった
お読み頂きありがとうございます。
ちょっと低いかな、とも思ったのですが
初頭手配からあんまりバカ高いのもどうかと思い、
エネルは一応予想される金額。
主人公はプラス青キジさんとやり合った分にしといて下さい。
次回は懸賞金絡みの話を少々入れます。