空人と雷人   作:シャインベルク

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第10話 海軍本部”大将”青キジ

 「氷河時代(アイス・エイジ)

 

 

 瞬間辺り一面の海が凍結する。足場が出来たのはいいが、

触れてて凍らされたらたまったもんじゃないな。

 

 

 空中に留まり様子を窺うと、一息つく間もなく追撃してきた。

 

 

「アイス塊・両棘矛(ブロック・パルチザン)‼」

 

 

 氷の槍が何発も迫る。だが、これなら対処はしやすい。

 

 

 「魔法の筒……」

 

 

 発射された青キジの攻撃を全て空中でかき消す。

 

 

 「返すぜ‼」

 

 

 空間を操作し、氷の槍をそっくりそのまま返す。

それを目の当たりにした青キジは驚いていた。

 

 

 「はぁ⁉なんだそりゃぁ⁉」

 

 

 反射された攻撃に驚愕しつつも、あっさりと回避する。

最後の一発に関しては防がれ、触れた瞬間粉々になって散った。

 

 

 ……やっぱり氷攻撃は効かないようだ。氷結人間は伊達じゃないってか。

 

 

 「おめェさん……なんの能力だ?六式を使えるわけでもなさそうだが……」

 

 

 空中に留まる能力と反射する能力が繋がらないようだ。

片方ずつなら有り得るのだろうか?

 

 

 「自然系”ソラソラ”」

 

 

 「……まさか正直に答えるとは」

 

 

 「別に構わんさ。寧ろ聞いたことあるのか?」

 

 

 「いんや、初めてだ……」

 

 

 やはり今まで存在したことのない悪魔の実みたいだ。

 

 

 「”空”ねェ……聞くだけでも厄介そうな能力だが……」

 

 

 一旦攻撃が止み、話しかけてくる。

 

 

 「目的はなんだ?”麦わらの一味”じゃあなさそうだが……

仮にどんな目的があったとしても、バスターコールに正面から喧嘩売るなんてな」

 

 

 

 

 

 「別に目的なんてねぇよ」

 

 

 「目的も無しに、海賊の味方をして世界の敵となった奴らにつくのか」

 

 

 「彼らはただの知り合いレベルだよ。今こんな状況なのは成り行きだ」

 

 

 「俺はただ、自由でありたいのさ。その為なら……世界が敵でも構わない。

あんな人を人とも思わない奴らに、従うつもりもない」

 

 

 あんな世界貴族(カス)に逆らえない軍なんざお断りだっての。

心当たりがあるのか、若干苦々しい表情を浮かべている。

 

 

 「海賊も似たような奴らは……いや、むしろ海賊の方が多いかもしれない」

 

 

 「別に海賊が海賊を裁くのに問題はないだろう?海軍が世界貴族を裁けるのか?」

 

 

 「本気……のようだな」

 

 

 「さっきも言っただろ。誰よりも強く、誰よりも自由に。

こんな時代だ、海賊の方が俺の目的に近いだけだ」

 

 

 

 

 

 「ナルホドね……だがそれは、この世界で最も困難な目的だ」

 

 

 青キジの全身から冷気が迸る。さて、こっからが本番だな。

 

 

 「その自由を貫きたきゃあ、俺を倒さねェと無理な話だ……」

 

 

 わかってんよ、そのくらい。

 

 

 「わりィが……おめェさん程の脅威を野放しにするわけにはいかねェ……」

 

 

 「………」

 

 

 「今ここで、死んで貰うぞ」

 

 

 なんつー覇気……これが海軍最高戦力の力か。

 

 

 「お断りだよ、コノヤロー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~ロビンside~

 

 

 私は今、夢でも見ているの……?

 

 

 眼前に繰り広げられる光景はとても信じられないものだった。

 

 

 20年前私から全てを奪い、人生を狂わせたたった一度の攻撃が

 

 

 ”バスターコール”が……たった二人の人間に抑えられている。

 

 

 「……オイ…………」

 

 

 どうして、あんな強大な戦力に正面から戦えるの……

 

 

 島一つ、そこにある命を奪い尽す暴力に対して、なぜ向き合えるの……

 

 

 「オイ‼ニコ・ロビン‼」

 

 

 「……え?」

 

 

 肩を捕まれると、誰だったかしら……確かフランキー?

 

 

 「今鍵が飛んできたから取り敢えず外した‼んでアイツら誰なんだ⁉」

 

 

 気づけばいつの間にか海楼石の手錠が外されていた。

 

 

 「私も知らない……あなたの知り合いじゃなくて?」

 

 

 「あんな化けモンみたいな知り合いいねェよ‼片っぽは知ってる風だったろ⁉」

 

 

 「ええ……片方は……でも」

 

 

 一人は神・エネル。忘れもしない、雷を操る空島の神。でも、もう一人は……

 

 

 「まぁアイツらの正体なんざ後でいい。今やるべきは……」

 

 

 「あの船を奪う……でしょ?」

 

 

 正義の門に向かうハズだった護送船が見える。あれを使えれば……

 

 

 「わかってるじゃねェか。おめェ戦力に数えていいのか?」 

 

 

 「勿論。存分にやらせて貰うわ」

 

 

 あの2人の事は後で考えよう。今やるべきことは……

 私を仲間と呼んでくれた彼等の為にも……私は生きる‼

 

 

 ~sideout~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~青キジside~

 

 

 

 「こんなモンかい……お前の力は……」

 

 

 「ハァ、ハァ、ハァ、きっついな……」

 

 

 「もう……いいだろ。諦めろ、お前じゃ俺には勝てんよ」

 

 

 しかし、予想以上に強力な能力だな……

まさか、俺の攻撃がここまで当たらないなんてよ。

 

 

 空間を歪めているようだが……瞬間移動までできるたぁ、

鍛えれば黄猿のじいさんにも追いつけそうだ。

 

 

 だが、たった2人でバスターコールに喧嘩売るとは。

度胸は認めるが、実力がなきゃただの無謀だ。

 

 

 コイツはここで見逃すと、とてつもない不穏分子になりうる。

あっちで暴れている奴も、キッチリ仕留めておくべきか。

 

 

 少々本気をだして、一気に接近する。しっかり身体を覇気で捉え逃がさない。

驚いた顔をしているがもう手遅れだ。

 

 

 「”アイスタイム”」

 

 

 少しは骨があると思ったがこの程度………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「………」

 

 

 

 

 

 おかしい……どうして凍らない?それどころか……何故コイツは俺を掴める?

 

 

 

 

 

 「……紅蓮陣……」

 

 

 

   

 

  ゴウッ‼

 

 

 

 暑っ、いや熱っ‼なんじゃこりゃ‼コイツの身体から異常な熱気が……

 

 

 「流石にこんだけの超高温なら……氷はできねーよな」

 

 

 「こりゃあ……まいったね……」  

 

 

 ったく、ヒエヒエの能力が”全く使えない”なんてな……

だが、これだけ接近したらお互いに攻撃なんて出来ないハズ……

 

 

 そう思っていたのだが、胸元に何かを押し当てられた。

 

 

 

 「”排撃”(リジェクト)

 

 

 次の瞬間、有り得ない衝撃が全身を襲った。 

 

 




お読み頂きありがとうございます。

とりあえず、ひと段落です。
この後の展開で少し迷っています。
詳細は活動報告にて書きます。

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