空人と雷人   作:シャインベルク

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第9話 バスターコール

 

 遂に正義の門が開き始めた。さほど時間もかからず軍艦が迫ってくるだろう。

一旦下に向かい、フランキー一家と合流する。

 

 

 「ぐ、ぐ、軍艦十隻がせめてくるゥゥゥ⁉」

 

 

 「それに海軍中将五人。国家級戦力だな」

 

 

 バスターコールの説明をすると、絶望した顔になる。

当然か、そんな大戦力相手に戦える体力なんてほとんど残っていないだろう。

 

 

 「キングブルはまだ動けるか?」

 

 

 「ハ、ハイ‼なぜか迫撃砲の砲撃がほぼありませんでしたので‼」

 

 

 「それならお前らそいつで全員先に脱出しろ。ここにいると巻き込まれるぞ」

 

 

 「で、ですがアニキと麦わらさん達が……」

 

 

 「大丈夫だ、護送船なり船奪えばいい。もしもの時は俺がなんとかする」

 

 

 いまいち納得はし辛いようだったが、正義の門が大きく開き始めた。

 

 

 「……わかりました。アニキ達をお願いします‼」

 

 

 

 

 

 「ソラよ、これから何が起こるのだ?」

 

 尋ねてきたエネルに、掻い摘んで説明する。

 

 

 「ほう……中将とは……なかなか手応えのありそうな相手だ」

 

 

 おっかしいな……若干戦闘狂になりつつある。

とりあえず屋上に上がり、現状を確認する。

 もはや正義の門が完全に開くのも時間の問題だ。

 

 

 「遠いが確かに感じるな……強い気配だ」

 

 

 まだ軍艦は視界範囲には捉えられないが、エネルは感じたらしい。

だがそれより先に、手前の橋に人影が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 「出たぞ…… ”ためらいの橋”の上に……見ろニコ・ロビン‼」

 

 

 「もはや正義の門は開いて、俺が通るのを待っている」

 

 

 「あれをくぐれば俺は……世界の英雄になれるんだァ‼」

 

 

 「おめーじゃ色々足りてねぇよ、っと‼」

 

 

 油断しまくっているスパンダの後ろから近づき、全力で股間を蹴り上げる。

 

 

 「ハウッ‼‼‼」

 

 

 白目を剥いて気絶した。正直この下衆ヤロウにはこれ位じゃ足りないけどな。

 

 

 

 「あなたは……?」

 

 

 「っと、初めましてだな。ニコ・ロビン。とりあえず敵じゃないから」

 

 

 「久しいな、青海の考古学者よ」

 

 

 隣から声をかけたエネルを見て明らかに警戒する。

 

 

 「神・エネル⁉何故ここに⁉」

 

 

 「安心しろ……今貴様に用は無い」

 

 

 「そういうこと。信じられないと思うけど……」

 

 

 そう言いかけた所で、

 

 

 「ここかァ‼」

 

 

 階段から変態……もといフランキーが現れた。

 

 

 「オウ⁉誰だおめぇら⁉」

 

 

 うん、やっぱりどう見ても変態だな。海パンアロハのおっさんだもんよ。

とりあえず、フランキーにも事情を説明しようとしたら

 

  ドガァァァン‼

 

 

 「何だァ⁉島の防護柵が⁉」

 

 

 どうやらそんな暇もないらしい。軍艦からの砲撃が始まった。

出来れば接近される前に叩きたい。

 

 

 「フランキー‼彼女を頼む‼」

 

 

 「アアァン⁉てめェらどうすんだ⁉逃げる気か⁉」

 

 

 

 「んにゃ、軍艦叩いてくる‼」

 

 

 どれだけ馬鹿な事言ってるんだって感じで、2人とも驚いた。

むしろ、この為にここまで来たようなもんだしな。

 

 

 「行くぞ。エネル」

 

 

 「ああ。いつでも問題ない」 

 

 

 そういって、完全に開いた正義の門へ飛んでいく。

さあ、本番だ。全力全開でいこうか‼

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~エネルside~

 

 

 成程……確かにこの数の軍艦があれば、島一つなど軽く攻め落とせるだろう……

 

 

 「中将‼ 何者かが本艦に接近してきます‼」

 

 

 「なに?敵か?」

 

 

 「わかりませんが……空中を飛んできます‼」

 

 

 だが……一人で国すら落とせるこの私を止められるか‼

 

 

 「5億V(ボルト)打ち砕く雷光(トールハンマー)‼」 

 

 

  ズドォォォン‼

 

 

 横から打ち抜くように、雷撃を放つ。ふむ、軍艦とはいえ装甲はこの程度か……

これだけで貫通するなら、敵を減らす事など容易いものだ……

 

 

 そのまま続けて二隻、三隻、四隻と軍艦に横穴を空けていく。

 

 

 少し離れた所では、ソラが同じように穴を空けていた。

流石というべきか……一発で二隻ほど巻き込んで撃っている。

 

 

 さて、そろそろか……そう予想した所で強い気配が四つほど向かってくる。

近くの甲板に上がり迎え撃つことにする。

 

 

 「貴様……何者だ?」

 

 

 「麦わらの一味のようだが……容易く軍艦を沈める力……脅威だな」

 

 

 「自然系(ロギア)のようだが……迂闊だな、こんな場所で戦うなど」

 

 

 「………」

 

 

 おそらく、この四人が中将なのだろう。心綱で感じられる気配が今までで最も強い。

ふん、まさか四対一とはな………面白いではないか‼

 

 

 「我が名はエネル‼青海の強者よ……その力、見せて貰おう‼」

 

 

      バチン‼‼‼

 

 

 かつての2億V(ボルト)雷神(アマル)”とは違い、身体を巨大にはしない。

最大Vのエネルギーを全てそのままの身体に留める。

青白く輝く肉体は、”雷速”を遥かに超えた超高速機動を可能とする。

 最早その速度、光速に届きうるかもしれない目にも映らぬ速さ。

 

   「MAX10億V(ボルト)武御雷(タケミカヅチ)

 

 

 これが今の私の全力だ……存分に戦おうではないか‼

 

 

 ~sideout~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おめェさん……ちょいとやりすぎじゃあないの……?」

 

 

 軍艦にレールガンで横穴を空けていると、圧倒的な気配を感じた。

遂に来たな……初めての命懸けの戦い、身体が震えてきたよ。

 

 

 「海軍本部大将”青キジ”……」

 

 

 「俺の名前くらいは知ってるか……で?おめェの名前は?」

 

 

 「俺の名はソラ……海賊だ」

 

 

 「そうか。なら……手加減できねェぞ」

 

 

 「……上等だ‼」

 

 

 次の瞬間、海が凍っていく。

 

 

 負けるわけにはいかねぇな。

この世界を生きていく為に、越えなきゃいけない壁は超えるだけだ‼

 

 

  

 




お読み頂きありがとうございます。

遂に空と氷の激突です。
雷はほっといても大丈夫ですかね。

次回もよろしくお願いします。

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