言わば闘拳伝のプロトタイプとなります。
史上最強の拳士ユウイチ
破軍学園に一人の男子生徒がいた。彼は幼い頃に親を亡くし、孤児院で育った。
彼には千人に一人が持つとされる伐刀者(ブレイザー)の一人だった。しかし、伐刀者(ブレイザー)としての才能はまったくと言っていいほどに無かった。そして彼の固有霊装(デバイス)では武器の差というのを得られる物ではなかった。それこそ、固有霊装を装備しているのと素手では何も変わらないと言われるほどに。
しかし、彼は諦めたくなかった。同じ孤児院で育った2つ年上の、自分よりはるかに強い彼女に守られてばかりはイヤだったから。彼女を守れるようになりたかったから。
だから、強くなるために努力した。毎日のようにトレーニングを積んだ。それでも彼女は彼のはるか遠くを行っていた。
そしてついに、彼は出会った。彼の人生を一変させたその男に。
自分と同じく才能が無いにも関わらず達人と呼ばれる領域に至ったその人に。
彼はその男に言った。
「僕を弟子にしてください!」
彼が弟子入りしたその男の名は
梁山泊が豪傑の一人
『最強の凡人』と名高い男
白浜 兼一
後に彼は破軍学園新聞部のインタビューで「後悔したことはあるのか」と聞かれたときにこう答えたそうだ。
「後悔してるに決まってるじゃないですか! あぁっ! ダメです師匠! 人間の体はそんな風に曲がるよう作られてません! 何が大丈夫なんですか! え? 僕もこれで曲がるようになった? なんですかそのおぞましい『まっし~ん』は! 岬越寺先生指導の元、改良に改良を施した自信作? やめてー!!」
……余談だがトラウマスイッチの入った彼のインタビューはその質問を最後に打ち切られたらしい。
「なるほど、たしかにこれは火力の調節が難しいですね。岬越寺師匠」
「兼一くん、スルメを炙る要領でやってみなさい」
「あち、あっつい! ひ、人殺しー!」
「む、失礼だな。そんなことを言う弟子には10分追加だ」
「はっはっは、良かったね。これでもっと強くなれるよ」
「じぇ、じぇろにも~~!」
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破軍学園壁新聞
文責・日下部加々美
名前:青井 優一
所属:破軍学園一年四組
:梁山泊
伐刀者ランク:F
伐刀絶技:無し
二つ名:無し
人物概要:『一人多国籍軍』の弟子
攻撃力 C
防御力 B
魔力値 F-
魔力防御 F
身体能力 A
運 F
かがみんチェック!
魔力値F-という歴代最弱の魔力値。魔力が低すぎて伐刀絶技は使えないときときたもんだ、しかもデバイスは手甲とこれまたリーチを得ることが出来ないもの。
しかし侮ることなかれ、彼の鍛え上げられた強靭な足腰とタフネスは破軍学園一。聞くとこによると学園長から特別許可を得て住み込みしてる道場から通ってるんだとか。彼の強さの秘訣はその道場にあるのかもね。