遊戯王GX―とあるデュエリストたちの日々―   作:masamune

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第七十話 〝だいすき〟

 

 

 

 

 アカデミア本島にある海岸。そこで、万丈目準がゆっくりと膝をついた。彼と向かい合うのは天上院明日香だ。どことなく疲れた表情をしている。

 告白デュエル、と銘打たれた二人のデュエル。結果は万丈目の敗北に終わった。正直まともにやり合えば互角――いや、万丈目に分があるくらいのはずなのだが、明日香の兄である吹雪に色々吹き込まれた彼は普段の彼とは違う戦い方をし、最終的にBFに蹂躙された。

 

「諦めるな! まだ希望はある!」

「し、師匠……!」

 

 言葉と絵面だけを見るとどこぞのスポ根漫画のそれだが、事情が事情なので苦笑しか出て来ない。実際のところ、明日香は渋い顔をして額を押さえている。苦労人気質な人だ。

 ――遊城十代が七人目のセブンスターズ――大徳寺を打ち破ったことにより、彼らとの戦いは終わった。結局祇園しか知らないことだが、カムルの正体である如月宗達が終わりと宣言した時点で全員の撃退に成功したと言える。

 終わったのだ。傷ついたし、傷つけた。だがそれも、ようやく終わり。

 ……何故か全員分の鍵を盗み出した万丈目がこんなことをやらかしたが、まあそれはそれだろう。

 

「やっぱ阿呆だな万丈目は」

「けれど、ああいう情熱的な気持ちも悪くないモノよ?」

「そういうもんかねぇ……」

 

 宗達と雪乃が少し離れたところで言葉を交わす。視線を送ると、宗達が意味ありげに笑って見せた。その目は「何故言わない?」と問うているように思う。

 視線を外す。言わない理由は単純だ。たとえそれが欺瞞であったとしても、夢神祇園は今のこの時間を壊したくなかった。それがただ、問題を先送りにしているだけだとしても。

 

「……凄いなぁ」

 

 ポツリと、隣からそんな呟きが聞こえた。見れば、桐生美咲がどこか羨ましそうに万丈目を見つめている。

 

「どうしたの?」

「ん、いやな、自分の気持ちを伝えるのって……やっぱり、難しいやん?」

 

 苦笑を浮かべ、美咲が言う。そうだね、と祇園は頷いた。

 

「本当に……難しい」

「うん。だから、凄いなぁ、って。……伝えても、伝わらない時がある。傷つくだけかもしれない。関係が壊れてしまうかもしれない。そんなことばっかり、考えてしまうから」

 

 己自身の気持ちすら曖昧なのに、他人の気持ちなどわかるはずがない。だから伝えて欲しいと思うし、伝えたいと思うのだ。だがそれで伝わる保証はない。間違って伝わるかもしれないし、伝わっても理解されないかもしれない。それが原因で『今』が壊れるかもしれない。

 だから、曖昧に過ごしていく。今までも、これまでも。

 夢神祇園は、流されるままに。選択をせずに、生きてきた。

 

「でも、きっといつかは伝えなくちゃいけないんだよね」

 

 嘘、と呼ぶ程のことではないのだろう。だがそれは真実ではない。だからズレが生じる。それは少しずつ大きくなっていき、最後には破綻する。

 そこに待っているのはきっと、後悔だけだ。だから伝えなければならない。そうなる前に。

 何を伝えるべきなのかは、わからないけれど――……

 

「……そうやね。きっと、そうなんや」

 

 そう言って笑った、彼女の笑顔は。

 今にも消えてしまいそうなほど、儚かった。

 

 

「うおっ!?」

「おい、どうしたんだよ万丈目!?」

 

 

 何かを言わなければ、伝えなければならない。そう思いながら何も言えないでいると、不意にそんな声が聞こえてきた。見れば、万丈目が持つ鍵が浮き上がり、彼がその鍵に引き摺られるように森へと向かっていく。

 

「新手の曲芸か?」

「待てよ万丈目!」

「待つッスよ!」

「止めてくれー!」

 

 宗達の冷静なコメントはともかく、全員が万丈目を追って走っていく。祇園もまたそれを追おうとして、一度足を止めた。だが、すぐに走り出す。

 一度タイミングを逃した言葉は、改めて紡ぐのが難しい。

 

 

 だから、後悔する。

 いつだって、どんな時だって。

 夢神祇園は、そうだった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 走り出した彼らを見送り、桐生美咲は拳を握り締めた。遂に来た。今日ここで、一つの決着がつく。

 そのために桐生美咲はここにいるのだ。もしかしたら、という希望はあった。だがやはり、事態は最悪の方向へと流れている。

 

「さて、俺たちも追うか」

 

 背伸びをしながらそんなことを言う宗達。その隣にいる雪乃もそうね、と頷いた。

 歩き出す背中。その背中越しに、ポツリと呟くように彼が告げた。

 

「見届けてやるよ。認めたくねぇが、あんたは俺よりも強い。正直、これ以上の手はないと思うぜ」

 

 彼の隣で雪乃が首を傾げるが、彼は気にせず歩き出してしまう。それと入れ替わるように、隣に気配が立った。

 

「キミの覚悟、信念、決意、想いに私は敬意を表する。故に、最後まで見届けよう」

「……もしもの時は、よろしくお願いします」

「教授にも言われたよ。……そうだな。もし本当に、私にしかどうにもできないようなことになるようならば……考えておこう」

「ありがとう、ございます」

 

 歩き出す。その歩を進める度に、彼女に付き従う精霊たちが一人、また一人と増えていく。

 

「さあ、行こう」

 

 まるで、本でも買いに行くかのような気軽さで。

 まるで、戦場にでも赴くかのような覚悟を滲ませて。

 桐生美咲は、歩を進める。

 

「未来を――救おう」

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 閃光と衝撃。覚えているのはそれだけだ。

 万丈目の手から離れた七星門の鍵。それが辿り着いたのは、いくつかの巨大な石が突き立った場所だった。鬱蒼と覆い茂る木々に隠されるようにあったその場所。足を踏み入れた瞬間、本能が警鐘を鳴らした。

 不快感。何か、生温い何かに体を押されているかのような感覚。

 見れば、他の者も同じような状態だったらしい。特に十代と万丈目は苦虫を噛み潰したような表情をしている。

 

「何だ、ここ」

 

 誰が呟いたのか、おそらく全員が共有していたであろう疑問を誰かが言葉にした瞬間、その声が響き渡る。

 

「――伏せてください!!」

 

 その叫びと共に、閃光と衝撃が駆け抜ける。

 目を開けた時、そこにあったのは衝撃の光景だった。

 薙ぎ払われたかのように木々が倒れ、中心部にはクレーターができている。そして何より――

 

「精霊……?」

 

 その数、百は優に超えるだろうか。祇園たちを守るように、数多の精霊たちが周囲を取り囲んでいた。

 そしてその更に前に立つのは――

 

「妖花さん……?」

 

 防人妖花。当代最高峰と呼ばれる巫女が、険しい表情でそこに立っている。いつもの快活な笑顔は鳴りを潜め、ただただ射殺すような目でクレーターの中心を見据えていた。

 

「おい、アレ!」

「三枚のカード……?」

 

 事態が呑み込めずに呆然としていると、いち早く復帰した十代が声を上げた。次いで三沢が呟くように、クレーターの底より三枚のカードがゆっくりと上昇してくる。

 姿を消した七星門の鍵。巫女である妖花の表情。そして、三枚のカード。

 ――歯車が、噛み合う。

 

「〝三幻魔〟……?」

 

 祇園の呟き。それに応じるように、後ろから声が聞こえてくる。

 

「みなさーん!」

「どうしたノーネ!」

「大丈夫!?」

 

 美咲や宗達、澪と共に鮫島、クロノス、緑の三人が現れる。奇しくも、今回の戦いに関わった全員がこの場に揃うこととなった。

 

『貴様らにそのカードを渡すわけにはいかんな』

 

 不意に上空から声が響いた。見上げると、一台のヘリが飛行している。

 そこから何か巨大なものが射出され、クレーターの中心へと降り立った。

 

「あのロボットは……?」

『くくっ……鮫島校長、私の声を忘れたのか?』

「その声は……やはり、あなたでしたか。――影丸理事長!」

 

 鮫島が声を張り上げる。影丸理事長――アカデミア本校における理事長であり、しかし、病気によってその職務のほとんどを鮫島校長へと任せていた人物。

 

「何故、理事長が……」

「全ての黒幕だった、ってことだろ」

 

 亮の疑問にそう言って応じたのは宗達だった。彼はそのまま歩を進め、クレーターの手前で足を止める。一瞬視線を向けられた妖花が僅かに震えたが、彼女は退かずに宗達を睨み返した。

 

『いい働きだったぞ――カムル』

 

 影丸理事長の笑い声。十代たちが息を呑んだ。

 

「おい、今、なんて……」

「――七星門の鍵は確かに〝三幻魔〟を封印するための鍵だった。だがその封印解除の条件は鍵を全て奪われることじゃねぇ。デュエリストの闘志が必要だったんだよ」

「おい、宗達!」

「つまり、戦いが起こることそのものが重要だった。つってもその辺の有象無象じゃ意味がねぇ。理事長はそのためにアカデミア本校でデュエリストを育て上げたんだよ」

 

 言うと、宗達はコートの中から仮面を取り出す。

 鬼の面――彼が祇園たちと向かい合う時に着けていたモノを。

 

『私は永遠の命と若さを手に入れるため、〝三幻魔〟の復活を望んだ。――さあ、〝三幻魔〟復活の儀式を始めようではないか!』

 

 高々と宣言する影丸理事長。だが、十代たちの困惑は彼よりも、目の前に立つ人物に向けられている。

 

「如月……! 如月宗達! 貴様、俺たちを裏切っていたのか!?」

 

 万丈目が叫ぶ。宗達は一度目を閉じると、さあな、と呟いた。

 

「俺が言い訳をしたら、オマエは納得できるのか?」

「宗達!」

 

 十代が叫ぶ。宗達は一瞬、ほんの一瞬だけ笑うと、なあ、と十代に問いかけた。

 

「大徳寺先生は……満足して逝ったのか?」

「えっ……?」

「なんでもない」

 

 肩を竦める宗達。

 困惑の空気が流れる。そんな中、最初に動いたのは雪乃だった。

 

「…………」

 

 無言のまま、彼女は宗達の下へと歩いていく。そして。

 

「雪乃!」

「……ごめんなさい、明日香。私は宗達の味方なの。私はどんなことがあっても宗達を信じると、そう決めているのよ」

 

 彼女は、宗達の側に立つ。

 それは、彼らの一つの絆。

 

「ありがとう、雪乃。――けど、俺の役目はもう終わってる。そうだろ?」

 

 なあ、と背後へと言葉を紡ぐ宗達。む、と影丸が唸った。

 

『どういうつもりだ?』

「俺がテメェの側に付いた理由は一つ。状況のコントロールのためだ。ガチでやり合ったら最悪死人が出てるような戦いだ。だから大徳寺さんと一緒に最悪の事態だけは回避できるように動いてきた。そしてテメェがこうして前に出てきている以上、俺の目的は達成されてるんだよ」

 

 鬼の面を叩き割り、宣言する宗達。貴様、と影丸理事長が吠える。

 

『裏切る気か』

「裏切るも何も、俺は最初から最後まで、俺の後ろにいる全員の味方のつもりだよ」

『ならば貴様が戦うか? 貴様が――精霊より忌み嫌われし〝管憑き〟が、〝三幻魔〟にその手を届かせることができるとでも?』

「そうしてやってもいいところだがな。この場には、俺以上の覚悟を持った奴がいる」

 

 そうだろ、と宗達が振り返った。

 歩みを進めるのは、一人。

 

「影丸理事長。あなたがしたことは、アカデミア本校の理事長として許されることではありません」

 

 誰もが道を開ける。当たり前のように、彼女の前から体を退けた。

 夢神祇園でさえ、彼女に何かを言うことは……許されない。

 

「KC社総取締役及び、アカデミア本校オーナー海馬瀬人の代理としてあなたを誅します」

 

 精霊たちが道を開け、彼女を前へと進ませる。

 膝を降り、首を垂れる精霊たち。その光景は、まるで。

 己が大将を一騎討ちの戦場へと送り出す、騎士の敬礼。

 

「そして、何より」

 

 妖花の隣で彼女は立ち止まる。宗達と雪乃はすでにその場を離れていた。

 

「あんたは、ウチの友達を――大切な人を傷付けた。絶対に、許さへん」

 

 轟音が響き、二人の精霊が姿を現す。

 片や、プラネットが一角にして最強の精霊。

 片や、混沌をその身に宿した最強の騎士。

 まるで美咲を守るように、二つの〝最強〟が並び立つ。

 

「美咲さん……」

「……大丈夫」

 

 妖花の声に、彼女はそう応じる。穏やかな笑顔で、壊れそうな笑顔で。

 

「さあいくで、影丸理事長!」

『いいだろう。貴様の精霊と共に歩む魂、〝三幻魔〟復活の贄としてくれる』

 

 向かい合う二人。闇が濃さを増し、全員の体が震えた。だが、その戦場に立つ美咲の周囲には、紅蓮の闇が吹き荒れる。

 赤き悪魔の咆哮が、その身を闇から守り切る。

 

「美咲!」

 

 ようやく紡げたのは、そんな言葉だけだった。

 どうして、こんなことを。

 どうして、独りきりで。

 どうして、何も。

 言いたいことはいくつもあるのに、伝える術はどこにもない。

 

〝大丈夫〟

 

 彼女の唇が、そう動いた気がした。

 けれど、その時の彼女の笑顔は。

 今にも泣きだしそうなほど――弱々しくて。

 

「『決闘!!』」

 

 大切な親友の背中は。

 いつもなら、誰よりも頼もしく見えるはずの背中は。

 何故か――今にも消えてしまいそうだった。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

(震えるんやない……! 大丈夫や、〝三幻魔〟はまだ完全復活はしてへん……!)

 

 心の奥底に刻まれた恐怖で体が震える。記憶の果てにみた世界が、どうしようもなく心を揺らす。

 

(それに、ウチが、ウチが負けたら……!)

 

 多くの人が傷つく。そこには美咲にとって大切な人がたくさんいて、守りたい人たちがいる。

 ――それに、何より。

 この戦いで誰よりも傷ついた彼を、これ以上傷付けるわけにはいかない。

 

「ウチのターン、ドロー!」

 

 胸が張り裂けそうだった。彼の傷ついた姿を見た時、心の底から後悔した。

 遅くはない。今からでも自分が戦えばとそう思った。けれど、それでは黒幕を逃がしてしまう。そうなれば、彼が命を懸けて戦ったことが無駄になる。

 だから、耐えたのだ。待ち続けたのだ。この時のために。

 

「ウチは手札より永続魔法『神の居城―ヴァルハラ』を発動し、効果で『光神テテュス』を特殊召喚! 更に魔法カード『打ち出の小槌』を発動! 手札三枚を戻し、戻した枚数をドロー!――三枚目に引いたカードは『裁きの代行者サターン』や! テテュスは引いたカードが天使族だった時、相手に見せてもう一枚ドローできる! 『死の代行者ウラヌス』、ドロー! 『堕天使スペルピア』、ドロー!」

 

 光神テテュス☆5光ATK/DEF2400/1800

 

 ドロー加速。〝三幻魔〟の詳しい力については不明だ。故に、やれる手は全て打つ。

 

「ウチはフィールド魔法『天空の聖域』を発動! カードを一枚伏せ、モンスターをセットしてターンエンド!」

 

 ここで勝てば全てが終わる。それでいい、それ以外の結果も答えも想いも要らない。

 だって、負けてしまえば。

 本当に終わる。終わって、しまう。

 

『くくっ、私のターン、ドロー。私は罠カードを三枚伏せる』

「…………?」

 

 その言葉に思わず眉をひそめる。背後の方からもざわめきが聞こえてきた。

 

「あいつ、本当にデュエルをしたことがあるのか?」

「わざわざ罠カードって宣言する必要などないというのに……」

「……来ます」

「ああ、そのようだ」

 

 後半の声は妖花と澪か。流石、あの二人は〝視えて〟いる。

 正直、震えが止まらないのだ。先程から感じる、この圧力を前にして。

 

『くっく、これで準備が整った。フィールド上の罠カード三枚を生贄に――『神炎皇ウリア』を特殊召喚!!』

 

 柱より焔が立ち上がり、紅蓮の竜が姿を現す。

 その咆哮は大気を揺らし、その闇が世界を覆う。

 

 神炎皇ウリア☆10炎ATK/DEF0/0→3000/0

 

 手にした者は世界の総てと永遠の命を手に入れるとされる〝三幻魔〟が一角。

 神の焔を纏う〝皇〟。

 

『ウリアの効果発動! 一ターンに一度、相手の罠カードを一枚破壊する! そしてこの効果に対し相手はチェーン出来ない! トラップ・デストラクション!!』

「――――ッ、『破壊輪』が……!」

『ふん、ハズレだな。〝三幻魔〟に罠カードは効かない。魔法カードも発動ターンのみだ。――バトルだ、ウリアでテテュスに攻撃!』

 

 天使が破壊される。だが、想定内だ。天空の聖域がある以上、こちらに戦闘ダメージはない。

 

「ウチのターン、ドロー! 魔法カード『トレード・イン』! 手札より堕天使スペルピアを捨て、カードを二枚ドロー! 更にセットモンスター、『ジェルエンデュオ』は光属性、天使属性モンスターを召喚する際二体分のコストにできる! 生贄に捧げ、『The splendid VENUS』を召喚!」

 

 The splendid VENUS☆8光ATK/DEF2800/2400

 

 現れるのは、最強の天使。その力は、同族以外の力を落とし込む。

 

『プラネット・シリーズか……!』

「説明は不要やな? バトル、ヴィーナスでウリアを攻撃!」

 

 ヴィーナスが存在する時、天使族モンスター以外のモンスターはその攻撃力を500ポイントダウンさせられる。〝三幻魔〟は強力だが、モンスター効果は届く。なら――届くはずだ。

 

 影丸LP4000→3700

 

「ウチはこれでターンエンドや」

 

 先手はとれた。ウリアも撃破出来た。滑り出しは上々だ。

 

『ドロー。……くくっ、流石に吠えるだけのことはあるようだ。だが、〝三幻魔〟はこの程度では揺らがぬ。ウリアが墓地にいる時、手札から罠カードを一枚捨てることで蘇生できる! 甦れ――神炎皇ウリア!!』

 

 神炎皇ウリア☆10炎ATK/DEF0/0→4000/0→3500/0

 

 爆炎と共に蘇るウリア。更に自身の効果により攻撃力が更に上がっている。

 

『バトルだ、ウリアでヴィーナスを攻撃!』

「――――ッ」

 

 ダメージはない。無いが、ウリアの効果は強力だ。このままでは押し切られる。

 やはり強力。侮っているつもりはなかったが、流石に〝三幻魔〟――世界を喰らう存在だ。

 

「美咲先生!」

「大丈夫ッスか!?」

「頑張るんだな!」

 

 声が聞こえる。生徒であり、友である彼らの声。

 

(……大丈夫。大丈夫や)

 

 心を落ち着かせる。背負ったモノ、信じるモノ、成し遂げたいコト。

 それを忘れなければ、負けることはない。

 

 親指を上げ、腕を横に突き出す。振り返ることはない。目を逸らせば、きっと臆してしまうから。

 

『カードを一枚伏せ、更にフィールド魔法『失楽園』発動! 場に幻魔がいる時、カードを二枚ドロー出来る! 二枚ドローし、ターンエンド』

「ウチのターン、ドロー! ヴァルハラの効果を発動! 裁きの代行者サターンを特殊召喚! 更に神秘の代行者アースを召喚し、効果発動! 天空の聖域があるため、『マスター・ヒュペリオン』を手札に!」

 

 裁きの代行者サターン☆6光ATK/DEF2400/0

 神秘の代行者アース☆2光・チューナーATK/DEF1000/800

 

 二体のモンスターが並ぶ。プラネットでさえ簡単に撃破された。ならば次は、この一手だ。

 

「王者の鼓動、今ここに列をなす。天地鳴動の力をここに! シンクロ召喚、『レッド・デーモンズ・ドラゴン』ッ!!」

 

 現れるのは、最強にして絶対の王者。

 桐生美咲が託された、紅蓮の悪魔。

 

 レッド・デーモンズ・ドラゴン☆8闇ATK/DEF3000/2000

 

 神にすら匹敵するとされる存在へ、紅蓮の悪魔が挑みかかる。

 

「更に墓地のサターンを除外し、マスター・ヒュペリオンを特殊召喚!」

『それ以上はさせん。――罠発動、『奈落の落とし穴』。マスター・ヒュペリオンを破壊し、除外する』

「…………!」

 

 聖域に座す大天使が破壊される。まずい、これでは。

 

「……ターンエンド!」

『ドロー。――バトルだ、ウリアでレッド・デーモンズ・ドラゴンへ攻撃!』

「―――――――!!」

 

 美咲LP4000→2000

 

 如何に紅蓮の悪魔といえど、今のウリアには及ばない。戦闘で破壊されてしまう。

 ウリアの攻撃力は現在5000。ターンを追うごとに強化されていっている。

 

(……ッ、まだ、一体だけやのに……!)

 

 全身を襲う衝撃と激痛。体の芯、奥底の魂を揺さぶるような一撃。

 口元から血が零れる。それを指先で拭い、前を見据える。

 

(悔しいけど、幻魔の力は想定以上や。これは、急がなアカンかもしれんな……)

 

 理想は三体全てを叩くことだが、その余裕があるかどうか。

 敗北は文字通りの世界の破滅。それだけは認めない。

 

『失楽園の効果で二枚ドロー!……私は魔法カードを三枚伏せる』

 

 失楽園によって増えた手札と、この状況。これは、まさか。

 

「魔法カードを三枚、か」

「――来る、ってことか」

 

 澪の呟きに反応するのは宗達だ。そして、その答えはすぐに出る。

 

『魔法カード三枚を生贄に捧げ、『降雷皇ハモン』を特殊召喚!!』

 

 轟雷が堕ち、闇の深さが増す。

 現れたのは、金色の体躯を持つ三幻魔。

 

 降雷皇ハモン☆10光ATK/DEF4000/4000

 

 攻撃力、4000。

 純然たる暴力が、顕現する。

 

『これで二体目だ。カードを一枚伏せ、ターンエンド』

「ウチのターン、ドロー!――ヴァルハラの効果により、『アテナ』を特殊召喚! 更に天空の聖域があるため『死の代行者ウラヌス』を特殊召喚し、アテナの効果発動! ウラヌスを生贄に捧げ、『裁きの代行者サターン』を特殊召喚! 更に手札より神秘の代行者アースを召喚! 効果により、『想像の代行者ヴィーナス』を手札に!」

 

 アテナ☆7光ATK/DEF2600/800

 死の代行者ウラヌス☆5闇・チューナーATK/DEF2200/1200

 裁きの代行者サターン☆6光ATK/DEF2400/0

 神秘の代行者アース☆2光・チューナーATK/DEF1000/800

 

 高速でデッキを回転させる。二体のモンスター。それを、まとめて吹き飛ばす。

 

「アテナの効果により1200ポイントのダメージを与え、更に墓地の光属性モンスター、光神テテュスと闇属性モンスター、ウラヌスを除外し! 『カオス・ソルジャー―開闢の使者―』を特殊召喚!!」

 

 影丸LP3700→2500

 

 カオス・ソルジャー―開闢の使者―☆8光ATK/DEF3000/2500

 

 現れるのは、最強の混沌。

 

(届け……!)

 

 最強の騎士がこちらを一瞥した。その瞳に込められた強い意志を感じ、頷きを返す。

 

「カオス・ソルジャーの効果発動! 一ターンに一度、相手モンスター一体を除外できる! ウリアを除外や!」

『永続罠『デモンズ・チェーン』!! その効果を無効とする!!』

「――――ッ!!」

 

 やられた。だが、まだだ。まだ、届く。

 

(カオス・ソルジャーを残したままやと次のターンで上から潰される。なら――)

 

 伏せカードはない。ならば、この一手だ。

 

「レベル6、裁きの代行者サターンにレベル2、神秘の代行者アースをチューニング! シンクロ召喚!」

 

 頭に嫌な痛みが走った。プラネット、レッド・デーモンズ、開闢の使者、そして今から出そうとしているモンスター。

 明らかに一度のデュエルで自分が扱い切れる容量を超えている。ダメージもあり、目が霞んできた。

 

〝戦乙女よ〟

 

 声が聞こえた。自分に力を貸してくれる精霊であり、同時、監視役でもある天使から。

 

〝それ以上は危険です〟

 

 端的で、それでいて真理を突いた言葉だった。はっ、と息を吐く。何を今更。そんなこと、とっくの昔に理解している。

 今更危険がどうした。リスクがどうした。そんなもの、とっくに受け入れている。

 

(もう、祇園を、あんな目には……!)

 

 傷ついて欲しくない。

 泣いて欲しくない。

 ずっと傷ついて、ボロボロになって、それでも前を向こうとしたその背中を知っているから。

 

 大切だから。

 だから、守る。

 絶対に――傷つけさせない。

 

「……だから……、何や……ッ……!」

 

 口の中に鉄の味が広がる。

 痛みは警告だ。これ以上は踏み込むなという、肉体からの。

 

「負けられへん……! 負けられへんのや! 絶対に!」

 

 美咲、と自分を呼ぶ声が聞こえた。

 それは、彼の――

 

「――紅蓮の悪魔よ、今ここに降臨せよ! 『閻魔竜レッド・デーモン』!!」

 

 桐生美咲が託されたカード、『レッド・デーモンズ・ドラゴン』。その対となる、本来ならば存在しえないカード。

 紅蓮の悪魔が咆哮し、世界が揺れる。

 

「魔法カード『アドバンスドロー』発動! カオス・ソルジャーを生贄に、カードを二枚ドロー!――レッド・デーモンの効果発動! 一ターンに一度、このカード以外の表側攻撃表示のモンスターを全て破壊する!!」

『何だと!?』

「吹き飛べ!!」

 

 闇を纏う紅蓮の炎により、世界が揺れる。

 全ての焔が対地を焼いた時、場に残ったのは赤き悪魔だけ。

 

「バトルや! レッド・デーモンズで攻撃!! アブソリュート・ヘル・ドグマ!!」

 

 トドメの一撃。誰もが決着だと思った。これで終わりだと。

 だが――届かない。

 

『手札より『速攻のかかし』を捨て、バトルを無効とする!』

「…………ッ!」

 

 届かない。悪魔の一撃は、あと一歩で防がれた。

 

「……魔法カード『一時休戦』や。お互いはカードを一枚ドローし、次の相手ターンのエンドフェイズまであらゆるダメージが通らへん」

『延命したか。だが、LPが無事として……果たして、その体が持つのか? 私のターン、ドロー! 手札より罠カードを墓地に送り、ウリアを蘇生! 更に失楽園の効果で二枚カードをドローし、魔法カード『死者蘇生』を発動! ハモンを蘇生!』

 

 攻撃力6000のウリアと、攻撃力4000のハモン。

 まだ一体が後に控えているというのに、どうしようもないほどの絶望感が美咲の胸を締め付ける。

 

『バトルだ! ハモンでレッド・デーモンを攻撃!』

「――――ッ」

 

 ダメージはない。だが、その代わりに衝撃が体を襲った。

 

(ッ、こんな、これ、ほど……!?)

 

 桐生美咲は防人妖花ほどではないが精霊の加護を受けた存在である。故に闇のゲームに対しても耐性がある。しかし、それでも幻魔の一撃はあまりにも重い。

 思わず膝をつく。視界が滲む。正直、永くはもたない。

 

「美咲ッ!!」

 

 声が聞こえた。思わず振り返る。祇園が、今にも泣きそうな顔でこちらを見ていた。

 

「大丈夫」

 

 届いたかはわからない。けれど、そう言うしかない。

 だって――そうだろう?

 夢神祇園は、この戦いから逃げなかった。この戦いだけではない。幾度となくあった絶望的な戦いを前にしても、彼は一度も逃げることはしなかった。

 ならば、桐生美咲が逃げるわけにはいかない。

 彼の友であるために。

 彼と共に歩みたいと、そう願うが故に。

 

「『星屑のきらめき』を、発動、……レッド・デーモンズ・ドラゴンを、レッド・デーモンを除外して……蘇生」

 

 震える足で立ち上がる。最後の一手だ。ここを通す。通してみせる。

 

「速攻、魔法。『クリボーを呼ぶ笛』……『ハネクリボー』を特殊、召喚……更に、『救世竜セイヴァー・ドラゴン』を……召喚……!」

 

 レッド・デーモンズ・ドラゴン☆8闇ATK/DEF3000/2000

 ハネクリボー☆1光ATK/DEF300/200

 救世竜セイヴァー・ドラゴン☆1光・チューナーATK/DEF0/0

 

 揃った。後は、一撃を。

 救世のための一手を、紡ぐだけ。

 

「――レベル8、レッド・デーモンズ・ドラゴンとレベル1、ハネクリボーに――」

 

 視界が、傾いた。

 

(あれ、どうして、世界が――)

 

 地面が近付いてくる。その時間が、やけにゆっくりに感じられた。

 

(嗚呼、そっか)

 

 声が聞こえる。ただ、応じる術はない。

 

(傾いてるのは……ウチか)

 

 そこで、理解する。

 自分は、届かなかったのだと。

 

 もう……駄目なのだと。

 

 

「美咲ッ!!」

 

 

 彼の声だけが。

 やけに、大きく聞こえた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 ソリッドヴィジョンが消えていく。それを眺めながら、ぼんやりと理解した。

 ――私は、失敗した。

 負けてはならぬ戦いで。

 無様にも、敗北したのだ。

 

「美咲!」

 

 体が抱き上げられる。見上げた先には、今にも泣きそうな顔をした彼の姿。

 少し、珍しいと思った。彼が泣いた姿など、初めて弱音を吐いてくれたあの日以外に見たことがなかったから。

 

「しっかり、しっかりして! どうしてこんな……!」

 

 どうして、という彼の問い。そこに対する答えは一つだ。桐生美咲は、今日この瞬間に勝利するためにここにいた。

 やがて訪れる――訪れてしまう破滅の未来。それを変えるために。そのために存在していたのだ。

 けれど、少しだけ慾が出た。

 命を懸けて、それこそ相打つつもりで戦うべきだったのに……できなかった。

 

 いつの間にか、こんなにも私の中で大きくなったあなたと。

 共に歩みたいと、そう思ってしまった。

 

(情けない、なぁ……)

 

 最初は、世界のためだった。そして、復讐のためだった。

 けれど、いつしか心はあり方を変える。

 この世界で生きる私。

 その隣にいてくれた彼。

 それが、かけがえのないモノになってしまった。

 

(守りたい、って、思ったのに……)

 

 理由は、温かなモノに。

 過去を想って抱いた憎悪は、いつしか未来を想う願いとなった。

 

「……ごめん、なぁ……」

 

 どうにか絞り出せた言葉は、そんな言葉だけで。

 

「何を……」

「……守り、たかった、ん、やけ……ど……」

 

 苦笑い。

 全てを抱えて、背負って、何もかもを懸ければどうにかなると思っていた。

 けれど――駄目だった。

 死にたくないと、きっと、心のどこかで願ってしまったのだ。

 

「……情け、ないなぁ……」

「そんなことない」

 

 恥じ入る言葉はしかし、即座に否定される。

 

「美咲は、僕たちを守ろうとしてくれた。情けなくなんかない」

「……そっかぁ……ウチ、頑張った、やん……な……?」

「美咲は頑張ったよ。頑張った。あんなのを相手にして、逃げないで。美咲は……ッ」

 

 彼の瞳から涙が一滴、零れ落ちた。

 優しいな、と思う。泣いてくれるなんて。

 けれど……うん、そうだ。

 そんな彼だから、私は。

 

 両の手を伸ばし、彼の頬に触れる。

 そして――

 

 唇が、重なった。

 

「――――」

 

 優しい感触。彼は逃げなかった。それがただ、嬉しい。

 そして。

 

 

「だいすき」

 

 

 ずっと、伝えたくて。

 けれど、伝えられなかったその言葉を告げて。

 

 ゆっくりと……目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 影丸の笑い声が響き渡る。三幻魔の力が満ちたことによりその肉体は若返り、その異常な力は彼を延命させていた装置を軽々と投げ飛ばすほど。

 異常な光景だ。だが、ことここに及んでは何が起きても不思議ではない。

 

「さあ、次は誰だ! 〝最強〟にして精霊共を従える〝祿王〟か!? アカデミアの〝帝王〟か!? 精霊に忌避される咎人〝管憑き〟か!? 精霊に選ばれし者、遊城十代――貴様か!?」

 

 高々と笑いながら告げる影丸。彼の意識はすでに彼女が倒した美咲には向いていない。当たり前だ。彼の目的は〝三幻魔〟の復活による不老不死と力の獲得である。すでに退けた相手に意識を向ける意味はない。

 

「……野郎」

 

 最初に動こうとしたのは宗達だった。闇を纏い、影丸に冗談抜きの殺意を叩き付ける。

 

「待て」

 

 だが、それを止めたのは澪だった。彼女は視線を一人の少年から外さぬまま、言葉を紡ぐ。

 

「もう少し待て」

 

 その声に迷いはない。宗達は足を止める。

 

「どうするつもりだ?」

「見ていれば答えは出る」

 

 そして、〝王〟は沈黙した。

 視線を前に向ける。そこにいるのは、少女を抱きかかえる少年。

 その彼は、少女を抱いたまま立ち上がる。

 

「――僕が戦う」

 

 凛としたその言葉。それを聞き、影丸が嗤った。

 

「貴様が戦うというのか? 愚かな……理解しているのか、この状況を? そこの小娘ですら無意味だった。精霊に選ばれ、力を持つその小娘でさえもだ。それが、何者にも選ばれず、何者でもなく、ただそこにあるだけの貴様に何ができる?」

「そうだよ。僕は弱い。きっと、ここは退くべきなんだ。僕が出る幕じゃない」

 

 けれど、と少年は言った。

 力を持たぬ身でありながら、その少年は。

 

「けれど、それでも、傷ついたのは美咲だ。――傷付けられたのは僕の親友なんだ!!」

 

 それはきっと、少年が始めてみせた激情。

 人はそれを、憤怒と呼ぶ。

 

「わかってる、わかってるんだ! 僕よりも! 澪さんが! 丸藤先輩が! 宗達くんが! 十代くんが! みんなが戦った方がいいって! 僕じゃ役者不足だって! わかってるんだそんなこと!」

 

 少年の慟哭。それは、持たざる者の叫び。

 

「それでも! エゴでも! 我儘でも! ここは! これだけは譲れない!」

 

 傷つけられたのは、倒れたのは、大切な少女だから。

 彼女の想いを見たならば、自分が戦わなければならない。

 

「無意味なんかじゃない。意味はあった。あったんだ。それを僕が証明する!」

 

 桐生美咲がたった一人で抱え込み、戦った意味はあった。

 それを証明するのが、少年の役目。

 

「否定はさせない。それだけは、させない」

 

 最後まで自分以外のためだけに戦った、腕の内で眠る少女。

 その少女を否定する言葉だけは、絶対に許さない。

 

「ふん。ならばどうする? ただ一人私に挑み、その命を無意味に散らすか?」

 

 対し、相手は嘲笑を返してくる。少年は一度口を閉じると、ゆっくりと振り返った。

 己と同じように、〝三幻魔〟に立ち向かう理由を持っているのであろう友達の方へと。

 

「十代くん。……勝手なこと、言ってるのはわかってる。だけど」

 

 その時、少年は初めてその言葉を口にした。

 

「助けて、くれないかな? 僕一人じゃ……きっと、難しいから」

 

 だから、二人ならと。

 そう、告げて。

 

「ああ、――ああ! 勿論だぜ祇園! 当たり前だ!」

 

 どこか嬉しそうに、それでいて覚悟を決めた声音で十代は頷いた。

 そして、少女を抱える少年へと〝王〟は言葉を紡ぐ。

 

「美咲くんは私が預かろう。そして、これを持っていけ。……きっと、意味がある」

「はい」

 

 少女のデッキより抜き取った一枚のカードを受け取り、少年は頷く。そこへ、別の少女が歩み寄ってきた。

 

「急いでください、祇園さん。急がないと、美咲さんは……」

「うん、わかった。ありがとう」

 

 並び立つ二人が纏う衣は、落第生を示す色――紅。

 しかし、二人を止める者はいない。誰もが黙し、二人の背中を唯見送る。

 

「いくぜ影丸! 美咲先生の仇だ! 〝三幻魔〟は俺たちがぶっ倒す!!」

「あなたは絶対に許さない。必ず、ここで倒す」

 

 常ならば絶対に口にしないであろう『強い』言葉。だが、影丸には何の威嚇にもならない。

 

「ならば来るがいい。貴様らを贄とし、〝三幻魔〟は完全なる復活を遂げる!!」

 

 そして、戦いが始まった。

 譲れぬ意志を携えて。

 

 過去と、今と、未来。

 その全てを懸けた決闘が――始まる。








桐生美咲、敗北。
その命は散ってしまうのか。






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