遊戯王GX―とあるデュエリストたちの日々― 作:masamune
ご要望がありましたので、キャラクターたちの紹介を一つ。
現時点(六十三話)時点における紹介となりますのでご了承ください。
・夢神祇園(ゆめがみ ぎおん)
性別/男 所属/アカデミア本校一年、オシリスレッド所属
使用デッキ/カオスドラゴン、白黒魔轟ジャンド
本作における主人公。絶対的に優れた才能があるわけではなく、圧倒的な力を持つわけでもなく、精霊が見えるわけでもなく、ただただ執念めいた『諦めない』という一念のみで戦い続ける少年。その根底にあるものは『折れない』ではなく『折れることができない』というものであり、その背中は悲壮感に溢れている。
幼き日に桐生美咲と交わした〝約束〟である『プロの世界で大観衆の前で戦うこと』に縋るようにして歩み続けてきた。
その異常なまでに前を向こうとする姿勢を評価する者は多く、同時にそこを不安視もされている。
実力は作中においては精々が中の上。格上には一度を除きただただ負け続けてきた。戦いにおいて彼に奇跡が起こったことは一度もない。彼の勝利も敗北も、全てそうあるべきとして訪れた結末である。
・桐生美咲(きりゅう 美咲)
性別/女 所属/横浜スプラッシャーズ、アカデミア本校特別講師
使用デッキ/TG混沌天使
当時僅か13の若さでプロの世界へと入り、その実力を持って名を轟かせた実力者。プロとしての顔の他にアイドルとしての顔も有しているが、その目的の部分は不明なところが多い。
その目的と同じく、過去についても不明なことが多い。ただ、祇園と約束を交わし、その成就を心の底から願っていることは事実。誰よりも傍で彼が傷つく姿を見続けてきたと同時に、彼にとっては最大の理解者であり親友。その明るさと現実的な思考回路は彼女の武器であり、そんな彼女だからこそ祇園は全幅の信頼を置いていると言える。
明るさとクレバーさを兼ね備え、おおよそ15歳とは思えぬ強さを誇る。しかし恋愛となると一気に奥手となり、幼き日よりいつの間にか抱くようになった祇園への恋心は未だ彼へ明かされていない。要するにヘタレ。
カオス・ソルジャーや、防人妖花でさえその存在を把握できない精霊を従えているなど本質の部分は見えない。だがその実力はかつての全日本チャンピオンである響紅葉と並ぶほどであり、かの〝弐武〟や〝祿王〟も高く評価する。
ぶっちゃけ彼女が祇園に話しかけたり関わる度に祇園へと嫉妬の怨念が向かっていたりするのだが、本人は気付いていないし気付こうとしない。曰く、『恋する乙女は無敵』である。
・烏丸澪(からすま みお)
性別/女 所属/アカデミア・ウエスト校
使用デッキ/暗黒魔轟神
日本五大タイトルの一つ〝祿王〟を冠し、〝日本三強〟に数えられる実力者。
桐生美咲を〝天才〟とするならば、烏丸澪は〝天災〟と評するのが正しいだろう。努力が必ず実を結ぶ者を〝天才〟、高確率で結果を残せる者を〝秀才〟、結果と過程が独立している者を〝凡人〟と呼ぶのならば、烏丸澪は〝天才〟さえも嘲笑う存在だ。ただそこに在るだけでありとあらゆる努力を嘲笑う絶対者。故に彼女と向かい合った者はその多くが心折られた。何故なら、自身が努力によって辿り着いた領域よりも更に先の領域へ烏丸澪はただそこにあるだけで到達しているのだから。
尊大な物言いと立ち振る舞い、何より精霊たちが〝王〟と呼ぶこともあって彼女自身はどこか超人的な雰囲気を漂わせる。
いざ戦いとなれば彼女の敗北はまずあり得ないと言われ、同時にそれだけの結果を残してきている。だが半面、私生活の部分では色々と残念な部分も多い。基本的に働くことを拒み、表舞台にはできるだけ出ようとしない。
同種探しは労力と結果が釣り合わないとしてほとんど諦めており、現在は自分とは全く違う存在である祇園に興味を持ち、〝持たざる者〟がどこまで昇れるのかをどこか楽しげに見守っている。
・如月宗達(きさらぎ そうたつ)
性別/男 所属/アカデミア本校一年、オシリスレッド所属 フロリダブロッケンス1A所属
使用デッキ/絵札の三剣士、六武衆
アカデミア本校において唯一『帝王』に届き得る可能性を持つとされる決闘者。
中学時代よりその実力は折り紙付きであったがその素行の悪さと、何よりサイバー流と真っ向から衝突していたがために孤立していた。しかしそれでも正面切って彼に実力で勝てる者はおらず、それが彼の歪みを決定的なモノとしてしまう。
その言動、立ち振る舞いに相応しい実力は有しており、その戦い方は相手の手を潰していくカウンター制圧型。だがその戦術は壊滅的なドロー運のなさをカバーするためのモノであり、必要に迫られた結果とも言える。
そう、如月宗達はあまりにもドロー運が無さ過ぎる。『管憑き』と呼ばれる背負った宿業により生まれた時から精霊たちに嫌われ、忌避される存在。そのため、彼は常に一人きりであった。そんな彼を救ってくれたのが藤原雪乃という女性であり、留学先で出会った友人たち。更には現在彼が友人と認める十代を始めとした者たちであり、彼なりに周囲の人間のことは大切に想っているらしい。
己自身の証明のために戦い続け、かつて愛したDMを憎悪し、力を借りるのではなく力ずくで従わせるという選択をした。
基本的にトラブルメーカー。正直な話、できるだけ関わらない方がいい人種ではある。
・防人妖花(さきもり ようか)
性別/女 所属/
使用デッキ/レベル1活路エクゾディア、魔導(?)
今代最高の(少なくとも日本では)神々すらもその身に降ろす器を有した巫女。
本来精霊とは時に神とも同一視されるほどに力を持つ存在であり、だからこそ対話をする手段を古来より人は探し続けていた。その手段の一つが防人妖花の精霊を視、触れ、言葉を交わす能力であり、また神を降ろす力であった。防人妖花は歴代でも特に力が強く、最早その存在は人と精霊の狭間にあるとさえ謳われる。
元々は山奥の村に隠されるように、或いは隠れるように暮らしていたが、いくつもの偶然が重なる中で烏丸澪と出会うこととなる。そこから多くの人間に出会い、小さかった己の世界を広げていくこととなった。年若い身でありながらも己の役目は理解しており、それらに関わる時だけは普段と違う姿を見せる。
遊戯十代が偶然に産まれた精霊に〝選ばれた者〟であるのならば、防人妖花は永き時の果てに紡ぎ上げられた精霊に〝愛された者〟。どちらの力が上というわけではないが、防人妖花が天より与えられた才能は唯一無二のモノと言えるだろう。
現在は烏丸澪の暮らすマンションに居候しつつ、その将来について考えている。ちなみに彼女の周囲にはクリッターを中心とした精霊たちが警護に当たっており、陰から彼女を守っている。
・新井智紀(あらい ともき)
性別/男 所属/晴嵐大学経済学部四回生、DM部主将
使用デッキ/ジェムナイト
アマチュア№1を謳われる、今年度のリーグ戦でも日本一となった晴嵐大学の主将。
日本最強の大学において二年時よりエースと呼ばれ、今年度はエース兼主将として活躍するという事実から見ても、彼が最強のアマチュアであることは疑いようのない事実である。今期ドラフトでも当然の如く最注目の選手であり、場合によっては過半数のチームから指名がかかるのではないかと噂される。
とはいえ彼が歩んできた道は決して平坦なものではなかった。中学高校は公式戦に出る機会が全くと言っていいほど存在せず、大学入学時は彼以外の同級生全員に部内戦で敗北したという記録がある。だがそれでも現時点で彼がアマチュアの頂点に立っているのは事実であり、その過程に何があったかについて彼はただ一言、『努力』としか語らない。
その歩んできた道か、性格か、あるいは両方か。決して他人の努力を笑うことはせず、面倒見も良い。〝ルーキーズ杯〟で知り合った十代や祇園、妖花といった面子とはメールでやり取りをしており、後輩たちの動向は気にかけているらしい。特に十代は自身を倒したということもあって大のお気に入り。事ある毎に公式大会への参加を誘っているとか。
ルックス・性格は問題なし、実力も将来性も抜群とくればモテるはずだが彼女はいない。よく大学で友人相手に「彼女欲しいなー」などと言っているが、大体舌打ちが返ってくる。
・烏丸銀次郎(からすま ぎんじろう)
性別/男 所属/東京アロウズ
使用デッキ/レプティレス
東京アロウズに所属するプロデュエリスト。最近一軍に上がってきた。
二軍と一軍を往ったり来たりしているが、実力はある。姉である〝祿王〟曰く「メンタルが問題」とのこと。実際見た目にそぐわず気が弱いところがあるがその性格が形成された原因はおそらく、というか間違いなく澪。
初対面の相手にはまず間違いなくビビられるかドン引きされる容姿をしているが、その戦い方はトリッキーなもの。『攻撃力0』をテーマに相手を翻弄する。
年齢的に見れば澪が妹なのだが、互いの認識は『姉弟』。それは銀次郎の方が家に入った後だからであり、その立場から孤独だった彼に当時の澪が彼を守る意味も込めて『弟』と彼のことを決めたからである。それもあって澪のことは心の底から信頼しており、だからこそ澪の身を案じている。
芯の通った立ち振る舞いからどうしてもそちら側の人間に見えるが、一応真っ当な人種である。
ちなみに、彼がプロとなったのはとある女性が理由だとか。
・神崎アヤメ(かんざき あやめ)
性別/女 所属/東京アロウズ
使用デッキ/剣闘獣
名門チーム東京アロウズの副将レギュラーにして、昨年度リーグ新人王。
ドラフト入団時の順位は決して高くはなかったが、シーズンが始まるや否や頭角を現し、新人でありながら副将のレギュラーをその手に掴んだ。その堅実で詰将棋を思わせる戦術から『玄人』と呼ばれ、若い世代よりも少し上の世代にこそ人気がある。
元アカデミア本校の生徒で、当時は(彼女が在籍していた頃は女子も寮分けがされていた)ラーイエロー寮に所属していた。少々真面目が過ぎる嫌いがあるが、その実直さ故に周囲からの信頼は厚い。また、選手でありながらスカウトマンとしての仕事もしており、将来を期待して十代、祇園の両名に注目している。
〝ルーキーズ杯〟では、というより作中を通して祇園が唯一勝利を得た『格上』のデュエリスト。それもあってか彼女の祇園に対する期待は高く、時折彼女の方から祇園には連絡をしているらしい。
ちなみに『剣闘獣』はそのシステム上扱い難いというレッテルが貼られ人気がなかったのだが、彼女の活躍もあって主要パーツが軒並み高騰した。こういうところがDMの恐ろしいところである。
・皇清心(すめらぎ せいしん)
性別/男 所属/
使用デッキ/聖刻龍、炎星
日本五大タイトルの一つである〝弐武〟を冠し、〝日本三強〟に数えられる実力者。
日本DMの創世記より最前線で戦い続けており、彼と時代を同じくする者がほとんど残っていないことから〝日本DM原初の大物〟と呼ばれる。この呼び名はあまりにも多くの異名を与えられた彼が最後に辿り着いた終着点と言え、それほどまでに彼の力は凄まじいモノであった。世界ランキング三位という破格の順位を背負い、海外では〝軍神〟とも呼ばれている。
現日本ランキング1位にして、五大タイトルの内の三つを預かるDDがかつて四つのタイトルを有しグランドマスターまであと一歩だった際、それを遮り続けてきたのが彼。逆に皇清心がかつてグランドマスターに最も近付いた際に最後のタイトル〝壱龍〟を獲得するのを遮ったのがDDであり、今でこそ直接対決はほとんどないがこの二人には浅からぬ因縁がある。
如月宗達の選んだスタイルのある意味では完成系。その暴虐的な意志は精霊を捻じ伏せ、従え、力へと変えてしまう。皇清心曰く、「これが選ばれなかった者が唯一選べる選択」だった。
最強の一角であり、彼を倒せないということは時代は創世記のままで止まっていると言える。
如月宗達はかつての自分に似ているとして面白半分にちょっかいをかける。この男にとって他人の人生など慮るものではない。宗達に絡んでいるのも所詮は気まぐれである。
・本郷イリア(ほんごう いりあ)
性別/女 所属/スターナイト福岡
使用デッキ/炎王、ラヴァル
スターナイト福岡でレギュラーを張るプロデュエリスト。
桐生美咲が横浜スプラッシャーズに入団するのとほぼ同時期にスターナイト福岡に入団し、以来公式の大会で幾度となくぶつかり合ったという経緯から彼女のライバルとして認知されるようになった。本人にとってはそれで認知度も上がり、人気も出たので内心桐生美咲には感謝しているらしい。
炎属性のデッキを使い、かつてはバーンを中心としたデッキを用いていた。父がカードのデザイナーをしており、その父が生み出したカードの強さを証明するため、また、自分自身の強さを証明していくために戦っている。
気の強い女性だが、だからこそ桐生美咲とは相性が良い。
冷静に考えれば桐生美咲とは10も歳が離れており、彼女の年齢なら彼氏の一人や二人いていいはずなのが浮いた話は全くなく、本人も割と気にしている。
・二条紅里(にじょう あかり)
性別/女 所属/デュエルアカデミア・ウエスト校
使用デッキ/植物デュアル
デュエルアカデミア・ウエスト校デュエルランキング一位にして、生徒代表。
DMに特化しているわけではないとはいえ、専門学校であるウエスト校でトップに立つ女傑。その実力はかの〝祿王〟も評価し、ドラフトでも注目を浴びる人物。まあ要は本校における『帝王』の立場なので、当然と言えば当然だが。
二年時よりランキングのトップに君臨し、IHの個人・団体共に上位に食い込む実力者。特に今年の春に行われた春季大会では個人戦で見事近畿大会一位を勝ち取った。〝ルーキーズ杯〟でこそ桐生美咲に敗れるものの、その将来は期待されている。
基本的に呑気でやる気を疑われるような立ち振る舞いだが、彼女は〝祿王〟に折られなかった数少ない人物の一人であり、現在進行形で烏丸澪と友人であり続けている稀有な人物であるということを忘れてはならない。
・菅原雄太(すがわら ゆうた)
性別/男 所属/デュエルアカデミア・ウエスト校
使用デッキ/ライトロード
アカデミア・ウエスト校における№2。
あらゆる意味で正統派の高校生であり、努力と結果が釣り合った道を歩んできた人物。そういう意味では先に仮定した〝天才〟とは言わずとも〝秀才〟と呼べるだけの才覚を有していると言えるだろう。
ランダム性の高いライトロードを難なく扱い、夢神祇園を一度は正面から捻じ伏せた。細かいことにはあまり悩まず、今打てる最善を常に選択しようとする彼の戦術はライトロードと噛み合っているのだろう。実際実力は評価されており、ドラフト候補である。
夢神祇園にとっては良き先輩だが少々軽い部分が目立つ。新井との会話は最早漫才。まあ関西人なので多分普通。むしろ軽いレベル。