遊戯王GX―とあるデュエリストたちの日々―   作:masamune

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第五十六話 黄昏、来りて

 

 

 

 

 ただ、がむしゃらで。

 夢中で。

 必死で。

 他のありとあらゆるモノから目を逸らし。

 そうして……走っていた。

 

 走った。

 走った。

 走った。

 

 前しか見ていなかった。一寸先さえ見えないのに、それでも何の躊躇もなく。

 何度も転んだ、躓いた。

 倒れてしまおうと思った。目を閉じてしまおうとそう思った。

 けれど――できなかった。

 

 血反吐を吐いても。

 体が悲鳴を上げても。

 それでも、涙だけは流さなかった。

 

 そうしてしまえば、全てが終わってしまうとわかっていたから。

 

〝何故、折れない?〟

 

 答えなんて、わかり切っている。

 

 ――僕は、弱いから。

 ――一度折れてしまえば、もう立ち上がれないから。

 それが……わかっているから。

 だから、折れない。

 

 弱いのだ。どうしようもなく。どうしようもないほどに。

 ここにいる人間は、それほどまでに……救いがない。

 しかし、世界はそれさえも否定する。

 

「……どうすれば、良かったの?」

 

 走り続けるその姿に、問いかける。

 振り返った表情は、今にも壊れそうだった。

 

「僕は、どうしたら」

 

 相手は、答えない。

 答えて……くれない。

 

「……わかってる。うん、わかってるよ」

 

 そう、わかっている。

 自分がどうすべきかの答えは、既に。

 

「立ち止まることなんて、できないから」

 

 周りにいる人たちは、とても強くて、立派で、才能に溢れていて。

 必死に追いかけなければ、置いて行かれるだけだから。

 だから――

 

「……頑張るよ。頑張る」

 

 そんなことしか、できないから。

 だから、これでいい。

 

 きっと……これでいいのだ。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 朝というのは鬱陶しい。冬などは特に布団から出たくなくなるから実に困る。

 まあ、最近はそれなりの気温であるため大分マシだが。

 

「うぃーす」

 

 レッド寮に着くと同時に、如月宗達はいつも通りの適当な挨拶を口にする。以前は女子寮の食堂に紛れ込んでいたのだが、最近色々と厳しくなって難しくなってしまった。特に風紀委員長だ。アレに絡まれると実に面倒臭い。

 まあ、雪乃の部屋にいるくらいならバレないのでその点については問題ないのだが。

 

「あ、宗達くん。おはようッス」

「おはようなんだな」

「おー、如月。最近お前こっちで飯食ってばっかだな」

「今日はちゃんと授業出んの?」

「そういやブルーの奴らがまたお前のこと探してたぞ。今度は何したんだよ?」

 

 既に賑やかな食堂に、宗達に対する声が響き渡る。宗達は眠たげに欠伸を噛み殺しながら、あー、と気怠げに言葉を紡いだ。

 

「いっぺんに聞くな面倒臭いだろ。……今日は目ェ覚めたし授業出るよ。あと、昨日は課外授業だったから別に何もしてねぇんだけどな」

「昨日は大変だったッスね」

「ホントにな」

『全くでござるよ。拙者も帰れなくなったでござる』

 

 丸藤翔の言葉に頷いていると、背後からどことなく堅苦しい声が聞こえてきた。昨日、アクシデントによってこっちに来てしまった精霊――『六武衆―ヤリザ』だ。

 精霊であるため、彼の姿は一部の者にしか見えない。まあ、どうでもいいが。

 

「まあ、宗達はブルーから恨みを買うことばかりしてるから自業自得なんだな」

「いや待てよ隼人。俺がいつ喧嘩を売ったってんだ? 俺は基本買う側だぞ」

「喧嘩を買わなければいいんじゃないッスかね……」

「俺は売られた喧嘩は買う主義だ」

「それが駄目だと思うんだな」

「「「うんうん」」」

「オマエらな……」

 

 食堂中の生徒たちが頷くのを見、宗達が額をひくつかせる。そんな中、ん、と宗達は思い出したように周囲を見回した。

 

「つーか、何してんだオマエら。朝飯はどうしたんだよ? 俺が言うのもなんだが、遅刻するぞ?」

「ホントに宗達くんが言うのもおかしいッスね」

「ほっとけ」

 

 翔の言葉にそう軽口を返しつつ、周囲を見る。時間的にそこまで余裕がないというのに、誰一人として朝食を食べていないのだ。

 いや、それどころか食事の香りすらしない。

 

「祇園はどうしたんだ?」

「そう、それで――」

「寝坊したーっ!! 祇園、俺の分の朝食残ってるか!?」

「くっ、この万丈目サンダーが寝坊をするとは……!」

 

 宗達の疑問に答えようとする隼人の言葉を遮り、騒がしい声が響き渡った。遊城十代と万丈目準。共にアカデミアでは指折りの実力者だ。

 

「おー、おはようさん」

「おう、おはよう宗達! で、飯どこだ? まさかもう終わっちまったか?」

「流石に朝食抜きは厳しいものがあるんだが……」

 

 二人が何かを探すように食堂の中を見回す。あー、と宗達が声を上げた。

 

「それがな、祇園がいねぇんだよ」

「えっ、どういうことだ?」

 

 十代が首を傾げる。宗達がさァな、と首を傾げると翔が補足するように言葉を紡いだ。

 

「それが、いつもなら誰よりも早く起きてる祇園くんがいないんスよアニキ」

「え、まさか祇園が寝坊か?」

「夢神が寝坊とは珍しいな。いつもなら俺たちが眠るまで眠らず、俺たちが起きるよりも先に起きている印象だが」

「それ聞くと世間一般で言うところの母親だな祇園」

 

 レッド寮の食事管理をしていることを思えば妥当かもしれないが。

 

「けどオマエら、それなら何で起こしに行かないんだよ?」

「鍵がないッス」

「あん? ああ、成程。そういや鍵持ってんの俺か」

 

 祇園との相部屋は宗達である。宗達は欠伸を噛み殺しつつ、しゃーねぇ、と言葉を紡いだ。

 

「起こしに行くか。オマエらあれだ。今日は朝食抜きな」

 

 宗達のその言葉を受け、不満の声が上がる。阿呆、と宗達はため息を零した。

 

「今からで間に合うわけねぇだろ。嫌なら自分で作れ」

 

 そう言い切り、食堂を出る宗達。その背を十代たちが追いかけてきた。

 

「待てよ宗達、俺たちも行くぜ。……けど珍しいな、祇園が寝坊ってのも」

「あれも人間だしな。ミスぐらいあるだろ。昨日は大変だったし、余計にな」

『……拙者は帰れるのでござろうか』

 

 むむ、と唸る鎧武者は無視する。相手をしてもいいが、してしまえば傍目から見れば危ない人に見えるのが難点だ。なので基本的にスルーである。

 

「帰る方法ないのか?」

『拙者、その手の魔術は不得意であるが故……。遺跡も調べたのでござるが、何も見つからなかったのでござるよ』

「そっか……、帰れると良いな」

『しかし、当面は宗達殿に恩返しでござる。修行の旅の途中、こういったこともいい経験でござる故』

 

 そしてそんなことは一切気にしない十代。昨日の夜、目敏くヤリザを見つけた十代と精霊について軽く話をしたのだ。一応、十代の『ハネクリボー』も見せてもらったが……本当に一瞬しか見ることはできなかった。

 ヤリザは魔術の類を用いない純粋な武人であるためその辺りの感覚が薄いようだが、宗達はそもそも精霊とは相容れない存在だ。〝視る〟ことができるのに今までほとんど精霊を目撃したことがなかったのも、そういう事情からだろう。

 十代は気付いていないようだが……まあ、どうでもいいことだ。

 

「……アニキ、何と喋ってるんスかね?」

「……わからないんだな」

 

 背後から聞こえてくる声。ある意味でいつものことだが、こういう時にその特異性が他者の目に移り込む。

 他者と違うということは良いことばかりではない。むしろ悪い部分の方が多いのだ。

 人と違うこと、人より優れているということは、度が過ぎると毒になる。

 

(くだらん)

 

 思考を打ち切る。最近どうにも思考が沈み、堕ちやすくなった気がする。これも〝邪神〟の影響だろうか。

 まあ、全てが今更だが。

 リスクも結果も、全て納得してこうなったはずなのだから。

 

「おい祇園、朝だぞ。起きろ」

 

 鍵を開けつつそう言葉をかける。しかし、祇園が寝坊とは本当に珍しい。

 まあ、疲れが溜まっていたのだろうが――

 

「――――ッ、祇園!?」

 

 最初に声を上げたのは十代だった。先頭にいた自分を押しのけ、部屋へと踏み込んでいく。

 どうした――後ろの二人が言いかけた言葉も、途中で止まる。

 

 薄暗い部屋の奥。

 そこで友達が……倒れていた。

 

 動く気配はない。うつ伏せの状態では表情も伺えない。

 しかし、呆けたのは一瞬。すぐに体が動き出す。

 

「ッ、隼人、翔! 鮎川教諭呼んで来い! 今すぐだ!」

「えっ、あ、え」

「わ、わかったんだな!」

「急げ! おい十代! 祇園は!?」

「わかんねぇ! あつっ、ッ、凄い熱だ!」

「くそっ――」

 

 靴を脱ぎ、部屋の中へと足を踏み入れる。

 ――ドアから見える空から、雨が降り出していた。

 

 

 …………。

 ……………………。

 ………………………………。

 

 

「とりあえず、点滴を打っておくわ。多分だけど、疲労が原因ね。命に別状はないわよ」

 

 保険医の鮎川の診断に、宗達たちはほっと息を吐いた。ドアの向こうでこちらの様子を見守っていたレッド生たちからも安堵の声が漏れ出している。

 

「そっかぁ……けど、全然目を覚まさないな」

「熱もあるし、しゃーねぇよ。大体、普段から無理してるからな祇園は。理由はわからんでもないが……」

 

 強さを追い求める宗達だからこそ共感できる、方向性が全く違う夢神祇園という少年の在り方。

 立ち止まることは許されない。折れることは尚、許されない。

 それは最早、己の存在証明に関わることであるが故に。

 

「けど、とりあえず安心したッス」

「肝が冷えたんだな……」

「異様に体は熱いし、何の反応もなかったしな……」

 

 十代の言葉に宗達も頷く。いくら呼びかけても目を覚ますことはない深い眠りと高熱。疲労から来るモノにしては違和感があるが、かといって他に原因も思いつかない。

 ……まあ、普段から働き過ぎだ。たまには休むことも大事だろう。

 

「――それでは、皆は早く授業に出るにゃー」

 

 パンパンと小気味の良い拍手の音を響かせながら現れるのは、レッド寮の寮長でもある大徳寺だ。その言葉を受け、げっ、とその場の全員が表情を曇らせる。

 

「ヤバい! 完全に遅刻だ!」

「雨降ってるしコレ間に合わねぇよ!」

「俺次遅刻したら追試だぜ!?」

「俺もだ!」

 

 流石のレッド生。落ちこぼれとはよく言ったものである。

 十代たちも慌てて学校へと向かおうとする。宗達は一度息を吐くと、空を見上げた。

 

「……面倒臭ぇ」

「サボるのはいけないんだにゃー」

 

 その呟きを耳ざとく聞きつけ、ファラオを抱いた大徳寺が宗達の肩を軽く叩く。ファラオまでもがこちらに鳴き声で警告を飛ばしてきた。

 

「別にサボりゃしねーッスよ」

 

 肩を竦めてそう言い切り、レッド寮を出る。傘を叩く雨が、嫌に鬱陶しかった。

 雨は嫌いだ。良い思い出がまるでない。

 こういう天気の日は、いつも嫌なことにばかり起こっていた。

 

『宗達殿。ご友人は大丈夫でござったか?』

 

 沈みかけた思考を打ち切るように、隣から青い鎧武者が声をかけてきた。あー、と宗達は生返事を返す。

 

「大丈夫だろ。そこまで弱くねぇし」

『そうでござるか』

「……あー、そうだ。ヤリザ、頼まれてくれねぇ?」

 

 立ち止まり、問いかける。何でござるか、とヤリザは相変わらずの堅苦しい口調で問いかけてきた。

 宗達は、大したことじゃねぇ、と言いつつレッド寮へと視線を向ける。

 

「祇園を一応、視てやってて欲しいんだ」

『む、寮長殿がおられるのでは?』

「四六時中祇園の部屋にいるわけじゃねぇし、万一を考えて寮に待機するってだけだ。授業もあるしな。別に張り付いててくれとは言わねぇけど、何かあったら知らせて欲しいんだよ」

『成程、委細承知』

「頼む。友達なんだ、アイツ」

 

 誰もが簡単に手に入れて。

 けれど、如月宗達には僅かしか手に入れられないモノ。

 だから、大切なのだ。

 

『命の恩人は主君も同義。任せるでござるよ』

「おう、頼りにしてる」

『――では、失礼するでござる』

 

 そして姿を消すヤリザ。こういうところは流石に精霊というところか。

 一人になる宗達。雨の音は、先程までより強くなっていた。

 

(……一応、知らせとくか)

 

 今日は休日明け、つまりは月曜日。ということは、彼女は来ていない。

 知らせる義理は特にないが……知らせておいた方が色々と楽だろう。

 歩きつつ、宗達はPDAを操作する。

 

 ……雨は、止みそうにない。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 日本プロDMが誇る、〝日本三強〟が一角。

〝幻の王〟――烏丸〝祿王〟澪。

 国内外問わず、公式戦に出場するのは月に一度か二度。日本ランキング、世界ランキングの両方において圏外であるためどの公式戦も予選からの出場となるという不利な状況ながら、出場すれば必ず上位に名を刻む怪物。

 人は彼女を〝天才〟と呼び、メディアにも滅多に出ないために多くの噂が独り歩きしている。

 

(まあ、確かに天才やけど)

 

 目の前でどこか不機嫌そうに水を口にしている澪を見ながら、桐生美咲は内心で呟いた。彼女は天才だ。だが、その方向性があまりに特異に過ぎる。

 多くの才ある者は相応の努力を積み、結果として天才と呼ばれる。白鳥の様なものだ。水面下では必死にバタ足をしているのに、水上ではそんな素振りを微塵も見せない。

 しかし、烏丸澪は違う。

 彼女は才能だけで戦い続けている。まるでそれが当然であるかのように、人の上に君臨する。

 成程、確かに彼女は〝王〟だ。

 人道とは違う、王道を歩む者。人非ざる人を、王と呼ぶのだから。

 ――とはいえ。

 

「いや、ええ加減機嫌直してくださいよ」

「何を言っている? 別に機嫌など悪くはないが」

 

 こちらへ一瞬視線を向けながら、澪はそう言葉を返してきた。言葉通りに受け取るのは容易いが、発している雰囲気からそれはできない。何より目つきがヤバい。

 

(……気分屋やなぁ)

 

 人のことは言えないが、澪のそれには及ばないだろう。彼女は例えるなら猫だ。基本的に気分でしか行動しない。

 そして更に言うと、彼女は朝が大の苦手であり早起きという行為が何よりも嫌いである。

 ……特に、二日酔いの朝は。

 

「……ッ、迎え酒でも飲むか……。飲み過ぎたなこれは……」

「サラリと未成年飲酒告白せんといてください。ここスタジオですよ?」

「今更の話だな」

 

 頭を抑えながらそんなことを言う澪。はあ、と美咲は息を吐いた。

 二人がいるのは大阪にある地方のスタジオだ。毎週月曜日に放送されている美咲のラジオ番組、『美咲と愉快な仲間たち』の収録を行うためである。

 毎週ゲストを呼んで色々な話をする番組であり、今週のゲストは澪だ。更にいい機会だとして澪へ別件の取材も行われることになっており、そのせいで朝早くからこうして出向いている。

 もともとラジオの放送は夜であり、だからこそ澪はOKを出したのだが……朝からこうして出向くことになったため、相当不機嫌である。

 

「そういえば来週からシーズン始まりますけど……ギンジさん、一軍に残れたんですね」

「ん、ああ。本人は相当喜んでいたよ。本番はここからだ、とも言っていたが」

「楽しみですねー。ゆーてもアロウズは層厚いからあれですけど。……来てくれへんかなー、ウチに」

「キミは相変わらずの先鋒か?」

「ああいえ、来年は紅葉さんとスイッチする予定です」

 

 頭を押さえながら言う澪にそう答える。昨シーズンの終盤はメタカードを使われることが多く、美咲自身かなり厳しい戦いを強いられていた。来年は少しでもかく乱しようという方針になったのである。

 

「成程……、まあ、それが道理か」

 

 水を飲みながら言う澪。何杯目かわからない程に飲んでいるが、大丈夫なのだろうか。

 

「というか、どれだけ飲んだんです?」

「ワインのボトルを五本、日本酒を一升瓶丸ごと、後は……焼酎の量は覚えていないな」

「いや飲み過ぎやろ」

 

 急性アルコール中毒になってもおかしくない。

 

「とはいえ、普段はここまでなる前に止めるんだが……、誰かと飲むというのも久し振りだったからな……」

「誰かと飲んではったんですか?」

「ん、ああ。妖花くんだよ。ああ見えて実に強い」

「……十二歳に飲ませてるんですか」

 

 やっぱり色々と駄目だ、この人は。

 

「元々、催事の際に体を清める目的でお神酒を飲むことはあったようだが……しかし、強い。酔ってはいたが、全く潰れなかった」

「いやその報告受けてどないせいゆーんですか」

「アレは酒飲みになる。間違いないな」

 

 うんうんと頷く澪。先程までに比べると調子が戻ってきたようだが、それでも顔色は良くない。

 美咲ははぁ、と息を吐き、腕時計を見る。この後、美咲は番組の収録が二つほどある。澪は澪で取材があるのだが、この状況でしっかり受け答えができるのだろうか。

 

「もう、大丈夫――」

 

 言いかけたところで、ポケットに入れていた携帯端末が小さく震えた。取り出すと、メールが来ているらしい。

 差出人は――〝侍大将〟。

 

(珍しいなぁ……何やろ?)

 

 首を傾げつつメールを開く。あの男がメールを送ってくるなど通常ありえないことだが――

 

「……ッ、澪さん!」

「悪いが大きい声はやめてくれ。響く――」

「祇園が倒れたって!」

「――何だと?」

 

 鬱陶しそうだった表情が変化し、一気にその眼光が鋭くなる。青白さも相まって、その辺の一般人なら軽く殺せそうな威圧感を纏っていた。

 

「詳しい話を」

「それが、朝から部屋で倒れてたそうで。起きひんみたいです。一応、看ては貰ったみたいなんですけど……」

「……無理が祟ったか」

「かも、しれません」

 

 難しそうな表情を浮かべる澪の言葉に美咲も頷く。そもそも祇園は無理をし過ぎなのだ。五日こうなることは予想できた。そうなる前にどこかで休ませようと思っていたが……間に合わなかったらしい。

 

「看病……は、無理やな。流石に仕事は空けられへん」

「そもそも私たちが行ったところで邪魔にしかならんな」

「家事スキルないですしね……」

「そもそも少年が異常だ。……だが、放置するのもな」

「レッド寮、男所帯ですし……祇園に頼り切りですしね」

「さて、どうするか」

 

 二人して頭を悩ませる。自分たちが行ければいいが、流石にそれは無理だし行ったところでできることはない。それに、きっと仕事を休んでまで言ったところで祇園は喜ばない。むしろ気に病んでしまう。そういう性格だ。

 唸り声を上げる二人。その二人が座るテーブルに、一つの小さな人影が歩み寄ってきた。

 

「お疲れ様です」

 

 ――防人妖花。精霊と心通わせ、神すらもその身に降ろすことができるとされる〝巫女〟。

 十二歳の少女でありながらどこか人間離れした空気を纏う彼女が、礼儀正しく頭を下げてくる。その手には何枚もの色紙が握られていた。

 

「ああ、妖花くん。どうだったかな?」

「はいっ、たくさんサインを頂けました。テレビで見てるだけの人に出会えて、その、凄く嬉しくて」

 

 澪の問いかけに興奮した様子でそう言葉を紡ぐ妖花。ああ、と澪は頷いた。

 

「……若いな」

「年寄りみたいなこと言わんといてくださいよ。十八ですやん」

「だが、こんな純粋さはとうに失ってしまっているよ」

「……それは言ったらアカンやつです」

 

 有名人のサインを持ち、目を輝かせる少女。……こんな純粋さは、今の自分たちにはもうない。

 

「あの、どうしたんですか?」

 

 首を傾げる妖花。何でもないよ――そう言おうとして、美咲はふと思いついた。

 レッド寮の男子たちに看病など望めるはずがない。しかし、自分たちも行くことはできない。

 それならば――

 

「どうやら、同じ考えに至ったようだな」

 

 隣で笑みを浮かべる澪。その視線は自分と同じで妖花へと注がれている。

 

「…………?」

 

 二人分の視線を向けられ、防人妖花は小動物のように小首を傾げた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 外は雨だ。それも、かなり激しい。

 鬱陶しいな――宗達は心の底からそう思った。雨が降ると外に出られない。そうなると、必然的に校舎内で過ごすことになる。

 中等部の頃に比べると天国だが、それでも居心地がいいわけではない。レッド寮以外の生徒、そのほとんどからは相変わらず敵意か忌避の感情しか向けられず、どうにもやり辛い。

 まあ、今更そんなことで参ってしまうほど柔らかな神経はしていないが。だからこそ学食の真ん中で堂々と焼きそばパンを食べているわけであるし。

 

「相席、構わないか?」

「……どうぞ」

 

 宗達の座っている席は椅子が他に三つあるが、どこも空席だ。別に席を取っているわけではない。単純に、誰も寄り付かないだけだ。

 中学時代の悪名はどうしても拭いきれない。君子危うきに近寄らず。実にいい格言である。

 だが、どうやらそれも目の前の男には通用しないらしい。

〝帝王〟――そう呼ばれる男には。

 

「夢神たちとは一緒ではないのか」

「四六時中一緒にいるわけでもねーし、十代たちはあれだしな」

 

 宗達がチラリと視線を向けた先。そこでは十代たちがドローパンを購入して騒いでいた。朝食が抜きであった分、いつもより盛り上がっているらしい。

 

「如月、キミは混ざらないのか?」

 

 正面に座った男――丸藤亮もそちらへと視線を向けつつそう問いかけてきた。んー、と宗達は焼きそばパンを口にしつつ言葉を紡ぐ。

 

「一週間日替わりで生魚パン食うと買う気失せるし」

「口にモノを入れた状態でしゃべるのは感心しないな」

「育ちが悪くて申し訳ない」

「いや、いい。……だが、そうか。そういえばキミはドロー運がそこまでいいわけではなかったな」

 

 亮もまた注文したのであろう料理に手を付けつつそう言葉を紡ぐ。食事の仕方一つとっても品があるのは、やはり育ちが良いからだろう。真似できないことだ。

 

「つーか、最悪のレベルだわな。正直、あんたが羨ましい」

「俺はデッキを信頼している。それに応えてくれているだけだ。ありがたいことにな」

「それが羨ましい。俺は、憎まれてるだけだから」

 

 それが如月宗達にとっての業であり。

 どうしようもない……現実だ。

 

「相手を信じなければ、信頼関係は築けない。デッキも同じだ」

「……信じるのも、裏切られるのも疲れた。だから、これでいいんだよ」

 

 立ち上がる。そう、これでいい。今更、これ以外の道など選べない。

 如月宗達は、こうしていくしかないのだ。

 

 

『オシリス・レッド一年生、如月宗達。至急校長室へ』

 

 

 どこでサボるか――そんなことを考えていると、不意にそんな放送が聞こえてきた。思わず眉をひそめる。

 

「おい如月、何かしたのか?」

 

 レッド生の一人がそう声を上げてきた。おう、と宗達は軽く手を挙げる。

 

「心当たりがあり過ぎてわかんねーよ」

 

 何かを言いかけた亮に背を向けて。

 宗達は、面倒臭ぇ、と呟いた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 全てがいきなりだった。祇園が倒れたこと、そしてその看病のために一度アカデミア本校に行って欲しいと二人に頼まれたこと。

 正直気後れしたが、祇園のことが心配なのは自分も同じだ。故に二人――主に澪の伝手だが――の協力を得、アカデミアまでヘリで来たのだが。

 

「わざわざ来て頂いたのに待たせてしまってすみません、防人さん。今、如月君を呼んでいますので……」

「あ、ありがとうございます」

 

 校長室。そこの主でありデュエルアカデミア本校校長、鮫島の言葉に恐縮しながら妖花は頷く。サインをもらった時は興奮していたから大丈夫だったが、いざ冷静に会ってみると緊張してしまう。

 かつての黎明期にいくつもの伝説を築いた〝マスター〟鮫島。リアルタイムで見たことはないが、テレビで何度も見たその背中は妖花の憧れの一つである。

 

「そう緊張なさらず。楽にしていてください」

「は、はい。あの、その如月さんというのは……」

「ええ、桐生先生と〝祿王〟から聞いておられませんか?」

「えっと、プロデュエリストになった人、ですよね? ニュースで見たことがあります」

「はい。彼に案内してもらうのが適任でしょう」

 

 頷く鮫島。正直、妖花としては知り合いである十代の方が良かったのだが……美咲や澪がそれなりに信頼している相手であり、更に授業時間であるということを考えれば妥当なのかもしれない。

 どんな人だろうか、とそんなことを思う。プロというだけで妖花にとっては雲の上の存在であり無条件に尊敬する相手なのだが――

 

「――――ッ」

 

 不意に、妖花の全身がざわついた。

 未熟ながらも神々を降ろす〝巫女〟。その性質が、全力で警鐘を鳴らしている。

 何かが――来る。

 

 

「失礼するぞ、っと」

 

 

 そして、現れたのは一人の青年。

 目つきの悪い、雰囲気は祇園とは真逆の存在。

 

「あん、オマエ……?」

 

 青年が、こちらを見据える。

 ――その背に闇が蠢くのを、妖花は確かにその目で見た。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

『拙者、ヤリザと申す。巫女殿、お会いできて光栄でござる』

「防人妖花です。よろしくお願いします」

『こちらこそでござるよ。して、巫女殿。拙者たちの手助けは必要ないでござるか?』

「はい。ただ、万一に備えて部屋の外で待機をお願いします。意志のない力の残滓なので、問題ないと思いますが……」

 

 レッド寮の祇園たちの部屋。そこで宗達はヤリザと妖花のそんなやり取りをぼんやりと聞いていた。部屋へは足を踏み入れていない。否、踏み入れられない。

 朝は感じなかった、妙な気配。まるで何か視えない質量がそこにあるような感覚が、宗達の足をそれ以上前に進ませようとしない。

 例えるならば、光であり白。あまりにも清浄すぎる『何か』がそこにあるような感覚。

 

『承知したでござる』

「では、お願いします」

 

 ヤリザが部屋を出ると共に、妖花は頭を下げてから扉を閉めた。これから何が行われるかは宗達にはわからないし、知ろうとも思わない。

 踏み入ってはいけない領域。本能がそう告げている。

 

「巫女、ね」

 

 ポツリと呟く。それを聞き付けたのか、ヤリザが視線をこちらに向けた。

 

『どうしたでござるか?』

「いや。あんなちんまいのが人と精霊を繋ぐ存在ってのも大概だな、って思ってよ」

『巫女に年齢は関係ないでござるよ。とはいえ、流石にあれだけの器を持った者は拙者も久しく見ぬでござるが……十代殿、でござったか? 宗達殿のご友人もまた相当な才能を持っているようでござるが、巫女殿はこの方面に才能を特化させ、磨き上げた存在でござる故。この手の話ならば一番でござるよ』

「俺には理解できねぇ話だな」

 

 肩を竦める。正直興味もない。祇園がこれで体調を持ち崩すならそれでいい。欲しいのは結果だ。過程ではない。

 

『宗達殿も才はあるはずでござるが……』

「お世辞はいいよ。わかってるんだろ? 人と精霊を繋ぐ? 無理に決まってる。どっちからも爪弾きにされる存在なんだから」

 

 憎悪を受け、憎悪を撒き散らす。

 それが如月宗達の在り方であり、選んだ道。

 

 

「――終わりました」

 

 

 しばらく待った後、妖花がそう言って部屋から出てきた。その表情にはどこか疲れが伺える。

 

「……これで祇園は大丈夫なんだな?」

「はい。祇園さんの体には、本来ならば人が受け止めきれない力が渦巻いていました。とりあえずそれを封じ、放出したので……これで大丈夫だと思います」

「精霊界で何かあったかねぇ……」

「はい、おそらくは。ただ、感じ取った力は残滓ではありましたが紛うことなき〝神〟の力でしたので……少し、疲れました」

 

 苦笑する妖花。それでもその顔つきが校長室で会った時から随分違うのは、これが彼女の本来の姿であるからだろう。

 人と精霊を――あるいは神を繋ぐ存在。

 人であり、人に非ざるモノ。

 まあ、それでも少女であることに代わりはない。

 

「とりあえず疲れたんなら部屋で休んどくといい。これが鍵だ。大したもんはないが、食堂に行けば食う物くらいはある。寮長には話しつけとくから、適当に休め。明日の朝帰るんだろ? 布団なら一応、予備があるしな」

「え、あ、あのっ」

「俺はこれから授業だ。今日は別のとこで寝るから、祇園のこと看てやってくれ」

 

 そのまま背を向けて立ち去ろうとする宗達。正直、この少女と自分の相性は良くない。性格的なものではなく、性質的なモノ。存在の形が、相容れないのだ。

 近くにいては互いに悪影響が出る。正直、居心地が悪いのだ。

 水も澄み過ぎると魚が住まないように、この正常な空気というモノが宗達には耐えられない。

 背を向ける宗達。その背に、妖花があの、と言葉を紡いだ。

 

「その、背負ってるモノは……」

 

 振り返らない。振り返ってはいけない。

 向き合えば……きっと、揺らいでしまうから。

 

「私には、その、事情とかはわからないです。でも、その力は危ないです。きっと……良くないことになります」

 

 それは、この小さな少女なりの忠告。

 巫女としての、魔を糾弾する言葉。

 そしてそれを、如月宗達は受け入れられない。

 

「確か、十二歳だったか。……俺もまだ十六年しか生きてねぇが、人生の先輩として教えといてやるよ」

 

 僅かに振り返り、その目を見据える。

 少女が、僅かに怯えた表情を浮かべた。

 

「異常な人間ってのは理解しようとするもんじゃねぇ。道を外れてるから『外道』ってんだ。……もしも世界が壊れた歯車を取り換えるような優しい世界だったなら、違ったかもしれない」

 

 背を向ける。それは叶うはずのない、優しい世界の想像で。

 それは創造ではなく想像だから……だから、違う。

 

「だがな、そうじゃなかった。そんな世界じゃなかったんだ。だから俺も祇園も歪んだ。俺たちだけじゃねぇ。人間は皆、どこかしら歪んでる。そしてそれを正すことはもうできない。

 だからこの話はここで御終いなんだよ。これで終わりなんだ」

 

 歩を進める。付いて来ようとするヤリザを、手で制した。

 傘に当たる雨の音が、嫌に耳に響き渡る。

 

〝くっく、やはり貴様は面白いなァ……虫けら〟

 

 響いてくる、良くないと彼女が評したモノの声に。

 

「うるせぇよ」

 

 宗達は、小さく呟いた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 目を覚ますと、時間はすでに深夜だった。額に感じる冷たい感触。手で触れてみると、頭を冷やすためのシートが張られていることに気付く。

 

「……時間」

 

 近くにある携帯端末で時間を確認する。見れば、深夜二時。しかも日付が一日飛んでいる。どうやら丸一日眠っていたらしい。

 

「…………ん」

 

 不意に、近くから声が聞こえた。視線を送ると、そこにいたのは見覚えのある少女の姿。

 防人妖花――その少女が、布団の中で眠っていた。

 

「……看病、してくれてたんだ」

 

 未だ思考ははっきりしないが、それだけは理解した。わざわざこんなところにまで来てくれたのか。

 

(迷惑、かけちゃったな……)

 

 丸一日寝ていたということは、食事の用意もできなかったということだ。レッド寮の皆にも随分迷惑をかけてしまったように思う。

 本当に……どうしようもない。

 

「情けない、なぁ……」

 

 雨の音が響く室内で、小さく呟く。

 あの時、全力で相対に向かった。だが、何もできなかった。何もできないままに、蹂躙された。

 弱い。どうしようもない程に。

 

 見捨てられる。

 切り捨てられる。

 

〝弱い〟ということは、それだけで罪なのに。

 

「……どうして」

 

 体が震える。上手く動かず、思考がまとまらない体を抱え。

 

「どうして、こんな」

 

 溢れ出る感情は。

 一体……何が溢れ出たモノか。

 

 歪み、捻じ曲がったその心は。

 当人さえも知らぬまま、軋みを上げていく。

 

 ――溢れ出る血を拭わなければ……その先にあるのは、一体何か。

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 ようやく書類の整理が終わる。引き継ぎの準備に加え、校長としての職務。やはりやることは多い。

 

(とりあえず、今日の分は終わりましたか)

 

 ふう、と息を吐き、鮫島は立ち上がる。随分遅くなってしまった。外の雨は未だ止まないままだが、まあ、仕方がない。

 立ち上がり、書類を片付ける。そして一瞬躊躇してから鮫島は机を開けた。

 そこに入っているのは、小さな箱。『七星門の鍵』――このアカデミア本島に伝わる、ある存在を封印するモノだ。

 

(……理事長には、生徒たちを巻き込むこともやむなしと言われましたが……)

 

 既に敵は動き出しているという話もある。対策を考えなければならないのだが――

 

 

「――随分と悩んでおられるようですね」

 

 

 不意に聞こえてきた、静かな声。同時、部屋の照明が落ちる。

 轟く雷鳴。稲光によって浮かんだその姿は、異様な風貌をしていた。

 

「……ノックも無しに入室とは、不躾な方ですね」

「敵が礼儀正しく入る道理もないでしょう?」

 

 鬼の面を被り、全身をコートで隠したその存在が、静かに頭を下げてくる。

 その光景は、あまりにも異様だった。

 

「我が名は、カムル。セブンスターズが第一陣として参上しました」

「セブン、スターズ」

 

 鮫島が眉をひそめる。セブンスターズ――その名は理事長から聞いている。

 七星門の鍵を狙う……敵。

 

「それでは、殺し合いましょう。……生徒の方でもよろしいですが」

「――生徒には、手出しはさせません」

 

 デュエルディスクを構える。そう、それはさせない。

 決していい教師ではなかったかもしれない。だが、それでも。

 

「生徒たちに、手出しはさせません。私はデュエル・アカデミアの校長です。私には彼らを命懸けで守り切る義務があり、使命がある」

 

 それでも、自分は教師だから。

 今からでも――戦わなければならない。

 

「成程、教師としての矜持……お見事です。しかし、勝てなければ意味はない」

 

 ――決闘です。

 その言葉と共に、雷鳴を背にしたデュエルが始まった。

 

「先行は私です! ドロー! 私は魔法カード『竜の霊廟』を発動! デッキから『真紅眼の黒竜』を墓地に送り、更に『ダーク・ホルス・ドラゴン』を墓地へ!」

 

 二体のドラゴンを墓地に送る。これで準備は整った。

 サイバー流の禁忌であり、裏の力。畏れ、忌避されてきた力を使う。

 

「これが私の覚悟です……! 魔法カード、『融合』!! 手札の『サイバー・ダーク・エッジ』、『サイバー・ダーク・キール』、『サイバー・ダーク・ホーン』の三体を融合し、『鎧黒竜―サイバー・ダーク・ドラゴン』を融合召喚! 効果により、墓地のダーク・ホルス・ドラゴンを装備!」

 

 鎧黒竜―サイバー・ダーク・ドラゴン☆8闇ATK/DEF1000/1000→4400/1000

 

 現れるのは、闇の竜にまるで寄生するように張り付く機械の竜。その異様な姿が、暴力という名の力を持って降臨する。

 

「サイバー・ダーク……禁じ手と聞き及んでおりましたが」

「手段を選ばず向かってくる者に、こちらが手段を選ぶ道理はありません。私はターンエンドです」

 

 本来なら使いたくなどなかったデッキ。しかし、今更そんなことは許されない。

 どんな手段を使っても、手を使っても。

 プライドさえも捨ててでも――生徒を守る。

 それが、〝マスター〟と呼ばれた男、最後の矜持。

 

「――成程、面白いですね。しかし」

 

 鬼が、笑う。

 

 けらけら。

 けたけた。

 

 嘲笑うようにして。

 仮面の奥に光る眼が、こちらを見下し嘲っている。

 

「かつてのあなたならば――〝マスター〟ならばともかく」

 

 ドロー。その宣言と共に、周囲に闇が吹き荒れる。

 底知れぬ、闇が。

 

「最前線を退いた今のあなたに、かつての力はありません」

 

 

 

 ――そして、黄昏が来る。

 セブンスターズ。

 

 日常を破壊する者たちが……襲来する。

 












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