遊戯王GX―とあるデュエリストたちの日々―   作:masamune

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第三十六話 プロデュエリストという現実

 

 ふう、というため息が思わず漏れた。時間はすでに深夜だ。夕方には終わる予定だった打ち合わせが長引き、こんな時間になってしまった。

 

(少年には先に夕食は済ませておいて欲しいと言ってあるが……)

 

 女性――烏丸澪は自身が暮らすオートロックのマンションの扉を開け、中に入った。普段なら管理人が座っている事務室も、時間が時間であるためか人はいない。

 廊下には電気こそ点いているが、人影はない。まあ、マンションのロビーなどそんなものだろうが。

 

(明日は休日だが……やはり、働くというのは慣れんな)

 

 息を吐く。学生でありながらプロデュエリストとして活動し、更には〝祿王〟とい日本タイトルまでその背に背負う〝天才〟――それが烏丸澪だ。滅多に表に出て来ないことから〝幻の王〟とも呼ばれる彼女だが、その理由は何のことはない。単純に本人が面倒臭がっているだけである。

 プロデュエリストになったのは、ただ確認するためだ。自身の同類、もしくは同種。それを探し当てるために。

 今のところ、似ている者はいても同種はいない。まあ、最近は探すことさえ面倒になっているが。

 

(清心さんが一番近いか。だが、あの人も生まれついてではなく、自身の選択の結果としてああなっている。それは私とは違う)

 

 初めから『そう』である者と、自身で選んで『そう』なった者の違いは大きい。選択の余地のあるなしは明確な差となって表れるのだ。

 

(……まあ、くだらんことだ)

 

 思考を打ち切る。最近わかってきたことだ。結局、自分はイレギュラーな存在なのだろう。

 選ばれた者でありながら、愛されず。

 愛されない者でありながら、嫌われず。

 全てにおいて、自分は傍観者なのだ。そしてそれはきっと、これからも変わらない。

 

「ただいま」

 

 思考の海に頭の半分を溶け込ませながら、澪は自身の部屋の扉を開けた。一人で暮らしていた頃なら挨拶などしないが、今は同居人がいる。

 他人に対して基本的に興味を持たない自分が気にかける少年。

 

「……まあ、流石に寝ているか」

 

 点いている電気は申し訳程度だ。当然といえば当然である。こんな時間まで起きている理由がない。

 とりあえずスーツを脱ぎ、ズボンと上着をハンガーに掛けておく。シャツはそれ用の籠へ。以前はたまに来てくれる二条紅里がやっていてくれた家事を、今は同居人である夢神祇園がやってくれている。

 申し訳ないとも思うが、独り暮らしで一番理解したのが自分に家事はできないということだ。故に、その好意に甘えている。

 

「…………」

 

 シャワーを浴び、疲れと汚れを落とす。あまり長湯は好きではないが、疲れた時に風呂に入りたいと思うのはやはり自分も女性なのだと思う。

 ……向こうが手を出してくることはないとはいえ、平然と男と同棲している身で言うことでもないだろうが。

 

「全く、手を出してきてもいいというのに」

 

 髪をドライヤーで乾かしつつ、小声で呟く。無論、同居人である少年がそんなことをできるはずがない。彼は真面目である上に義理堅い。こちらに手を出してくるようなことは有り得ないだろう。

 それに、何というか……時々だが、夢神祇園という少年は何かに怯えているような気がする。

 同居を薦めた時も、ウエスト校に編入した時も。彼は自身でも気付かない『怯え』を見せていた。

 

(……他人からの好意と、自身が幸福になることにトラウマがあるのだろうな)

 

 何となくだが、わかる。彼の今まで歩んできた道は、かなり険しいものだった。その経験が、彼の心の中で無意識のうちにブレーキをかけているのだろう。

 好意が本当に好意なのかがわからない――要は、そういうことだ。

 

(まあ、それは時間をかけて矯正するしかない。私も人のことは言えん身だ)

 

 リビングに入る。電気が点いているが、消し忘れだろうか。祇園らしくもない。そんなことを思いつつ部屋に入った澪は、そこにいた人物に驚きを覚えた。

 

「……少年」

 

 そこにいたのは、ソファーに座って眠りについている一人の少年だった。テーブルに本が置かれているところを見ると、読書の途中で眠ってしまったのだろう。

 

「……これは、夜食か」

 

 そして、キッチン側のテーブルには『良ければ食べてください』というメモと共に軽食が置かれている。夕食は忙しさのせいで軽めのものしか口にできなかったので、正直かなりありがたかった。

 

「待っていてくれたのか、私を。……優しいな、キミは。本当に優しい」

 

 見ていて不安になるくらいに――そう呟き、眠っている祇園に寝室から毛布を持ってきてかけてやる。疲れているのか、目を覚ます様子はない。

 

「寝顔は天使、だったか。紅里くんが普段昼寝している時から思っていたが、寝顔というのは可愛いものだ」

 

 どんな人間でも無防備を晒してしまう状態が、眠っている時だ。本当に、可愛らしい。

 先日の代表戦で敗北し、一縷の望みを懸けて予選から〝ルーキーズ杯〟の本選まで勝ち上がると決めた祇園。彼はそのために出来得る限りの努力をしている。

 頑張って欲しいと思う。だが同時に、無理をしないで欲しいとも。これがどういう感情なのかは、正直わからないのだが――……

 

「ありがとう、少年」

 

 眠っているその頬に顔を近付け、小さく触れる。

 悪戯が成功した子供のように、澪は微笑した。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 目を覚ますと同時に、眩しい、という感想が浮かんだ。リビングに差し込んでくる光に、顔をしかめる。

 朝早く起きることが習慣になっているため、休日だというのに早い時間で目が覚めた。それでも午前八時なので、普段に比べると遅いし学校がある日なら寝坊になる。

 まあ、昨日は夜更かしもしてしまったので妥当かもしれないが。

 

「…………」

 

 目を擦り、起き上がろうとする祇園。しかし、その途中で自身の右側に何かがあることに気付いた。

 

「……ん」

 

 そこにいたのは、同居人であり、家主であり、恩人でもある人物。

 ――烏丸澪。

 その女性が、何故か自分と一緒に毛布をかぶって隣で眠っていた。

 

「え、あ、ええっ……?」

 

 寝起きは悪い方ではない。むしろ、すぐに頭は覚醒する方だ。顔でも洗えばそれで気がしっかりしてくる。

 だが、流石にこの状況では困惑しか浮かんでこなかった。何故――いや、毛布はわかる。澪が掛けてくれたのだろう。だが、何故この人が隣で一緒になって同じ毛布にくるまって眠っているのか。

 ……しかも、しっかりと両手で右腕を掴まれている。非常に柔らかい感触が、余計に冷静な判断を奪う。

 

「ちょっ、澪さん? あの、起きて……」

 

 まだ混乱しているが、とりあえず体を揺すって起こすことを試みる。掴まれている右腕を離してもらおうと手を懸けたが、存外力が強くてどうにもならない。

 どうしよう――そんなことを思っていると、澪が薄く目を開けた。一瞬ドキリとしたが、すぐにその肩を揺さぶる。

 

「起きてください、澪さん」

「…………んー……」

 

 ぼうっとした瞳でこちらを見上げる澪。普段はあれだけ凛々しいのに、この瞬間の澪はそんな雰囲気は微塵も感じさせなかった。

 澪は朝が弱い。基本的に起きてから一時間ほどはぼうっとしており、本人によるとその時間の記憶はないらしい。そんな彼女に朝食を食べさせるのはいつものことだ。

 

「あの、手を離してくれると嬉しいんですが……」

「…………」

 

 澪は一度こちらをじっくりと見つめた後、しかし、何の反応も示さぬままもう一度眠りについた。

 ……二度寝するつもりのようである。

 

「ちょっ、澪さん?」

 

 声をかけ、体を揺するが……反応はない。

 しばらく、起きそうな気配はなかった。

 

 

 …………。

 ……………………。

 ………………………………。

 

 

 結局、澪が再び目を覚ましたのは二時間後だった。相変わらず起きてからの一時間はぼうっとしており、最終的に朝食は抜きになってしまう。

 昼食時に澪は苦笑しながら謝ってきたが、別に謝られるようなことではない。……驚きはしたが。

 

「昔からどうも朝は苦手でな……。幼い頃からよく周囲に迷惑をかけたものだ」

「そうだったんですか?」

「ああ。特に弟と私の世話役だった人には随分と世話になった。キミにも迷惑をかけてすまない」

「あ、いえ、それは平気なんですが……」

 

 それは本心だ。別に迷惑というほどの事でもない。得に危害を加えられるわけでもないし、そもそもこういう部分がある方が好印象を持てる。澪はその身に纏う雰囲気から完璧超人のようなイメージがあり、どうも近付き難いのだ。

 

「そうか。そう言ってくれると嬉しいよ」

 

 澪が微笑む。今日は特に予定もないため、二人で向かい合わせのソファーに座ってのんびりしている状態だ。買物に行こうと思ったが、特に必要なものはないとしてやめることにした。

 その結果、少々手持無沙汰になったが澪は「たまにはいいだろう」として休めと言ってくる。常に何かをしていないと落ち着かないのは、やはり自分の貧乏性故だろうか。

 まあ、考えても仕方がない。祇園はコーヒーを啜りつつ、そういえば、と言葉を紡いだ。

 

「弟さん、いらしたんですね」

「ん、ああ。弟といっても直接ではないがな。血は半分ほど同じだが」

「ええっと……?」

「説明してもいいが、どうせつまらん話だ。聞くだけ損だよ、少年」

 

 苦笑を零す澪。そんな風に言われてはこれ以上聞くことはできない。おそらく触れて欲しくない部分なのだろう。

 

(まあ、話したくないことはあるだろうし。……でも、世話役かぁ……)

 

 やはりというべきか、澪は相当な良家のお嬢様だったのだろう。立ち振る舞いから気品が感じられるし、食事の仕方などもかなり丁寧だ。育ちの良さがよくわかる。

 だが、だからこそ疑問に思う部分がある。プロデュエリストにしてタイトルの一つである〝祿王〟を預かる〝日本三強〟が一角。凄まじい経歴を持つ彼女だが、しかし、それでも未だ十八を迎える前の少女だ。だというのにどうして一人暮らしなどしているのか。

 

「気になるか、少年?」

 

 微笑を零し、問いかけてくる澪。慌てて否定したが、澪は笑いながらこちらを指さしてきた。

 

「キミは表情がわかり易い。……大した理由ではないさ。本当に、くだらん理由だ」

 

 どこか自嘲気味に言う澪。あの、と祇園は言葉を紡いだ。

 

「その、無理に話してもらわなくても……」

「……まあ、あまり詳しくは語れないが、少しくらいならいいだろう。紅里くんなどはこの辺りのゴタゴタを知っているしな」

 

 そう言うと、澪はコーヒーカップを机に置いた。そして、窓の方へと視線を向ける。

 どこか遠くを見るその横顔は……酷く、寂しいものに見えた。

 

「話は単純だ。私はな、家出をしているんだよ」

「家出、ですか」

「こちらからは絶縁したつもりであるし、その手続きも終えているから単純な家出とは違うがな。まあ、色々あった。思い出したくもないが……」

 

 そこで、祇園は気付いた。澪の腕――腕を組んだその手が、僅かに震えていることに。

 

「澪さん、無理は……」

「いや、大丈夫だ。これは恐怖ではない。怒りだよ。感情が動くことなどそうないのだが、あのどうしようもない男のことについてはすぐに怒りが込み上げてくる。忘れようと思っているのだが」

「……無理はしないでください」

「キミは優しいな。だが、たまにはこうして吐き出すことも必要だ。キミのことは信用している。だから、吐き出せる。……それに」

 

 そこで、澪は真剣な表情で祇園を見た。鋭い視線が、こちらを射抜く。

 

「キミがプロデュエリストを目指すのであれば、この手の話は知っておくべきでもある」

「…………」

「世の中にはなどうしようもない人間というものもいるんだよ、少年。本当に……どうしようもない。悪意を悪意と自覚して犯罪を犯す愚か者など可愛いものだ。あの男はそんな次元にさえいない。『善意で人を殺す』んだよ。そしてその善意が向けられているのは自分自身にだけだ。そういう、どうしようもないあの男が私はどうしようもないくらいに嫌いだった。憎悪さえしていた。我が母を、文字通りその手で殺した男など認められるわけがない」

 

 天井を見上げ、澪は言う。その表情は見えない。

 

「だが、どうにもできなかった。それどころか次は私だと思ってしまった。だから、逃げた。……卑怯だろう? 復讐も何もしなかったんだ。私はな、逃げた。それだけだ」

「……逃げた、ですか」

「その判断が間違っていたとは思えん。幸いというべきか、私には才能があった。故にあの男も私を生かしていたが……私が意に沿わないことをすれば、それこそどんな手を使ってでも私を屈服させようとしただろう。そういう男だ。本当にどうしようもない。この世の悪意? 違うな。善意の全てを――それも己に対するモノのみを掻き集め、凝縮したような男だった。今日もあの男に泣かされている者がいるだろうし、それこそ消されている者もいるかもしれん。だが、私は逃げた」

 

 澪は再びこちらへと視線を向けた。その表情には苦笑が浮かんでいる。

 

「軽蔑するか、私を? 私は誰かが傷つくと知っていて、そうなるであろうことは間違いないことも予測していて、それでも何もせずに逃げたんだ。卑怯者と呼ばれても仕方がない」

「……詳しいことがわからないから、言い切れないですけど……。それは、仕方がなかったんですよね? 逃げなければ、澪さんは」

「それは断言できる。逃げなければ私がこうして生きていたかどうかも怪しかった話だ」

「なら、正しかったんです。最善じゃなかったかもしれないですけど、それは最悪じゃなかったはずです。……人にできることなんて、限られてるんですから」

 

 最後の言葉は、自分自身に向けた言葉だった。どうしようもないほどに辛い日々。そこから抜け出すことを願いながら、結局何もできなかった自分。

 烏丸澪は偉大な人物だ。だが、そんな彼女でもできないことはある。

 ただ、それだけのこと。

 

「キミは優しいな。本当に優しい」

 

 自嘲するように笑い、澪は一度手で自身の顔を覆う。今の彼女が何を考えているのか、祇園にはわからなかった。

 

「……ありがとう、少年」

 

 ポツリと、澪は呟いた。祇園は戸惑うが、はい、と頷く。澪は、小さく微笑んだ。

 

「妙な話をしてしまったな。さて、本題だ。この話とキミの目指すプロデュエリストとの関係だが――」

 

 澪が言いかけた瞬間、チャイムが鳴った。オートロックのマンションなので、おそらく下に来客がいるのだろう。

 

「む、来客か。紅里くんかな?」

「出てみますね」

「私も出よう」

 

 立ち上がると、澪もそういって追従してきた。断るのも妙な話なので、二人でインターホンと繋がっている電話のところへ行く。流石に〝祿王〟が暮らすマンションということはあり、来客の姿がカメラで見れるようになっていた。

 

「はい」

 

 機器を操作し、カメラと接続する。そして、カメラに映った人物に祇園は思わず身を竦ませた。

 

『烏丸澪サンのお宅でしょうか……』

 

 そう言ってカメラの向こうにいたのは、かなり体格のいい男だった。鋭い目つきが睨むようにしてこちらを見ている。カメラ越しなのでこちらの姿は見えていないはずだが、人でも殺していそうなその視線に思わず唾を飲み込んでしまう。

 外見で人を判断してはならない――そんなことは祇園とて理解している。だが、先程の澪の話を聞き、頭に浮かんでいた可能性……それが目の前に現れたようで、思わず固まってしまった。

 そんな自分に気付いてか気付かずか、澪はカメラの方へと視線を向けると、ほう、と声を漏らした。

 

「これは珍しい客だ。安心するといい、少年。あれは私の知り合いだ」

「そう……なんですか?」

「ああ。――ギンジ、いま鍵を開ける。部屋はわかるな?」

『……ありがとうございます……』

 

 相手はこちらへと礼儀正しく頭を下げると――実際にはカメラに対してなのだろうが――オートロックの扉をくぐって中へと入ってきた。

 

「噂をすれば何とやら、だな。まあ、大して噂などしていないが」

「ええっと……」

「ん、ああ。言っただろう? 弟のような者がいる、と。あれがそうだ。まあ、悪い奴ではない」

 

 くっく、と笑いながら言う澪。それとほとんど同時に、扉が開いた。

 ――そして。

 

「失礼しやす……」

 

 部屋に入ってきたその人物に、思わず悲鳴を上げそうになった。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 その人物の身長は、百八十以上は優にあるように見えた。更に体格もよく、丸太のような腕をしている。その上でまるでこちらを狙う肉食獣のような鋭い目をしており、その左目のを通る大きな傷がより一層威圧感を増している。

 要するに、怖い。いわゆる『あの』職業の方だと連想してしまいそうなくらいだ。

 

「さて、紹介しよう、少年。私の……まあ、弟のような存在の、烏丸銀次郎だ」

「……烏丸銀次郎です、よろしくお願いしやす……」

「ゆ、夢神祇園です。澪さんにはいつもお世話になっています」

 

 慌てて頭を下げる。澪が笑った。

 

「くっく、ギンジを見て悲鳴を上げないのは大したものだよ少年。あの朱里くんでさえ、初対面の時は悲鳴を上げて泣きそうになっていたからな」

「……御嬢サン、それは……」

「ただの思い出話だよ。……まあ、座るといい。わざわざここへ来たということは、何か話でもあって来たのだろう?」

「……ハイ……」

 

 澪に促されるまま、銀次郎が席に座る。澪は銀次郎と向かい合うように座り、祇園は二人へとコーヒーを差し出した。好みがわからなかったので、とりあえず砂糖とシロップを付けておく。

 

「……ム」

「…………!」

 

 呻くような声に、思わず体を震わせてしまった。コーヒーはダメだったのだろうか――嫌な汗を掻きながらそんなことを思っていると、澪が思い出したように言葉を紡ぐ。

 

「ああ、そういえば甘党だったな。すまない、少年。砂糖をもう少し持ってきてやってくれ」

「あ、は、はい!」

 

 僅かに声が裏返ってしまった。そのまま慌てて砂糖を準備し、銀次郎に手渡す。銀次郎はそれを両手で受け取ると、深々と頭を下げてきた。

 

「……ありがとうございます……」

 

 腹に響いてくるような声に、いえ……、と小さく返すことしかできない。元々初対面の人との会話は得意ではない祇園だ。見た目からして恐怖の対象のような相手だと、色々と辛い。更になんというか、笑顔が怖い。もの凄く怖いのだ。

 コーヒーに砂糖を三袋分、たっぷりと入れる銀次郎。甘党というのは本当らしい。祇園はどうしようかと少し考えたが、澪に呼ばれ澪の隣に腰を下ろした。ちなみにエプロンを着けたままである。

 

「さて、事前連絡もなしにここへ来るぐらいだ。何かあったのだろう? まあ、予想はついているが」

「……ハイ……。すみまセン、御嬢サン……」

「私に謝ってどうする。お前の道だろう、ギンジ?」

 

 烏丸銀次郎――そう名乗った男は、澪のその言葉にゆっくりと頷いた。相変わらずこちらを殺すような目つきをしているが、どこかその目の光が弱々しい。

 

「だからその姿勢が……まあいい。――少年、すまないが協力してくれ」

「え、あ、はい。何ですか?」

「ギンジとデュエルをしてやってくれ。ギンジ、帰りならデュエルディスクは持っているな?」

 

 こちらの返事を待つ前に、銀次郎へと問いかける澪。銀次郎はハイ、と頷いた。

 

「み、澪さん。いきなりデュエルなんて……」

「私では意味がないんだ。頼む、少年」

 

 こちらを見つめ、そういってくる澪。一度ギンジへと視線を向けると、その鋭い目つきに思わず嫌な汗を感じてしまった。

 だが、デュエル――それなら、まだ、やれないことはない。

 

「わかり、ました」

「ありがとう、少年。早速やろうか。――ギンジ、見せてみろ。お前のデュエルを」

「……ハイ」

 

 銀次郎が立ち上がる。やはり背が高い。対面すると、余計にその大きさがよくわかる。

 

「……よろしくお願いします、兄サン……」

 

 その言葉に、どうにか頷きを返し。

 デュエルが――始まった。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 ソファーなどを移動させ、スペースを作る。こういう時、移動が簡単な家具は非常に助かる。

 デュエルディスクの出力を調整し、ソリッドヴィジョンの大きさを小さくすると、準備は完了だ。

 

「……先行は私です……、ドロー……」

 

 銀次郎の先行によってデュエルが始まる。一体どんなデッキか――警戒しつつ、前を見る。

 

「……モンスターをセット、カードを一枚セットしてターンエンドです……」

「僕のターン、ドロー」

 

 銀次郎の始まりは非常に静かだ。まあ、普通といえばそれまでだろうが。

 

(どうしようか……)

 

 手札を見る。今回は一気に展開はできそうにない。手札に『レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン』がいるのはラッキーだが、ライトパルサードラゴンがいない。今出すのは得策ではないだろう。

 

「僕は『ドラゴン・ウイッチ―ドラゴンの守護者―』を召喚します」

 

 ドラゴン・ウイッチ―ドラゴンの守護者―☆4闇ATK/DEF1500/1100

 

 現れたのは、金髪をポニーテールにした魔術師だ。特殊効果はあるが、今は関係ないのでおいておく。

 

「バトルです。セットモンスターへ攻撃」

「……セットモンスターは『レプティレス・ガードナー』です、守備力は2000……」

「う……」

 

 レプティレス・ガードナー☆4水ATK/DEF0/2000

 

 祇園LP4000→3500

 

 反射ダメージにより、ライフポイントが削られる。守備力2000――ずいぶんと硬い。

 

「僕はカードを一枚セット、ターンを――」

「――エンドフェイズ、リバースカードを発動します……。罠カード『毒蛇の供物』……自分フィールド上の爬虫類族モンスター一体と、相手フィールド上のカードを二枚、破壊」

「ッ、ドラゴン・ウイッチの効果です。手札からドラゴン族モンスターを捨て、破壊から逃れます。『レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン』を墓地へ」

 

 レッドアイズは墓地に送っておいた方が色々と都合がいい。伏せカードであった『激流葬』が破壊されたのは痛いが……それは仕方がない。

 

「……『レプティレス・ガードナー』の効果を発動します……。このカードが破壊され墓地に送られた時、デッキから『レプティレス』を一体、手札に加える。私は『レプティレス・ヴァースキ』を手札へ……」

 

 レプティレス・ヴァースキ――非常に珍しいカテゴリーにおける切り札を手札へ加える銀次郎。正直、状況はあまりよろしくない。

 

「……私のターン、ドロー。手札より、『ゼンマイラビット』を召喚……」

 

 ゼンマイラビット☆3地1400/600

 

 現れたのは、ゼンマイ仕掛けのウサギだ。だが、その攻撃力ではドラゴン・ウイッチには届かない。

 どうするつもりなのだろう――そんなことを思うなか、銀次郎はカードを一枚、デュエルディスクにセットする。

 

「……カードを一枚伏せ、ターンエンドです」

「僕のターン、ドロー」

 

 手札を見る。……これなら、動ける。

 

「僕は手札より魔法カード『愚かな埋葬』を発動。デッキからモンスターを一体、墓地へ送ります。『ライトパルサー・ドラゴン』を墓地へ。更に、魔法カード『死者蘇生』を発動。『レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン』を蘇生し、更にレッドアイズの効果で『ライトパルサー・ドラゴン』を蘇生!」

 

 レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン☆10闇ATK/DEF2800/2400

 ライトパルサー・ドラゴン☆6光ATK/DEF2500/2000

 ドラゴン・ウイッチ―ドラゴンの守護者―☆4闇ATK/DEF1500/1100

 

 まるで魔術師が従えるかのように並び立つ、二体の竜。おそらくだが、銀次郎のデッキの基本は『待ち』。出来うる限り早急に攻撃し、決着をつけなければならない。

 ――だが。

 

「『ゼンマイ・ラビット』の効果を発動……自分フィールド上の『ゼンマイ』と名のついたモンスターを選択して次の自分のスタンバイフェイズまで除外。ラビットを除外……」

「…………?」

 

 思わず眉をひそめる。どういうつもりだろうか。確かに、今そのモンスターがいたところでダメージ的には無意味だが――

 

「――そしてゼンマイラビットが除外された瞬間、罠カード発動。『ゼロ・フォース』。自分フィールド上の表側表示モンスターが除外されたときに発動でき、フィールド上の表側表示モンスターの攻撃力は全て0に……」

「そんな……!」

 

 レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン☆10闇ATK/DEF2800/2400→0/2400

 ライトパルサー・ドラゴン☆6光ATK/DEF2500/2000→0/2000

 ドラゴン・ウイッチ―ドラゴンの守護者―☆4闇ATK/DEF1500/1100→0/1100

 

 三体のモンスターの攻撃力が全て0になる。これでは、攻撃もできない。

 

「ッ、僕はカードを一枚伏せ、ターンエンドです」

「……私のターン、ドロー。スタンバイフェイズ、『ゼンマイ・ラビット』が帰ってきます……」

 

 ゼンマイ・ラビット☆3地ATK/DEF1400/600

 

 ゼンマイ仕掛けのウサギが戻ってくる。銀次郎はもう一度手札を見ると、一枚のカードをデュエルディスクに差し込んだ。

 

「……ドラゴン・ウイッチとライトパルサー・ドラゴンを生贄に捧げ、『レプティレス・ヴァースキ』を特殊召喚……!」

 

 レプティレス・ヴァースキ☆8闇ATK/DEF2600/0

 

 現れたのは、いくつもの腕を持つレプティレスの女王。その特殊召喚の条件こそ難しいが、その分強力な力を持つ。

 

「……ヴァ―スキはフィールド上の攻撃力0のモンスターを二体、生贄に捧げることで特殊召喚できます……。私は更に、『レプティレス・スキュラ』を召喚……」

 

 レプティレス・スキュラ☆4闇ATK/DEF1800/1200

 

 現れる更なるモンスター。攻撃力を考えれば、耐えられる道理はない。

 

「……バトルフェイズに入ります……。スキュラでレッドアイズを攻撃。スキュラは攻撃力0のモンスターを戦闘で破壊した時、そのモンスターを効果を無効にして守備表示でこちらへ特殊召喚します……」

「ッ、レッドアイズ……!」

 

 祇園LP3500→1700

 

 ライフポイントが大きく削り取られ、更にレッドアイズまで奪われた。

 もう……打つ手はない。

 

「……ヴァースキでダイレクトアタック……!」

「……負け、ですね」

 

 祇園LP1700→-900

 

 静かなデュエルは。

 こうして、静かなままに終わりを迎えた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 手も足も出なかった。いや、やりようは他にもあったのかもしれないが、今の自分にはこれが限界だ。

 やはり、カードの知識とは重要だ。『ゼンマイラビット』と『ゼロ・フォース』――あんな使い方があるとは。

 

「ありがとう、ございました」

「……いえ、こちらこそ……」

 

 笑みを浮かべる銀次郎。正直、かなり怖い。どう考えても一般人の顔ではないのだ。

 

「いいデュエルだったよ、少年、ギンジ」

 

 軽く手を叩きながら、笑みを浮かべてそんなことを言ってきたのは澪だ。銀次郎が頭を下げる。

 

「……恐縮です」

「そう謙遜するな、ギンジ。見ないうちに強くなったな。……少年も深く落ち込む必要はない。ギンジはこう見えてプロデュエリストだ」

「そう、なんですか?」

 

 思わず銀次郎の方を見てしまう。すると、銀次郎は小さく笑みを浮かべた。おそらく苦笑しているのだろうが……怖い。先程の笑顔よりはかなりマシではあるが。

 

「とはいっても、二軍暮らしだがな。最近一軍にようやく上がれたと聞いていたが……一軍昇格の時に来なかったというのに今ここに来たということは、大方二軍行きを告げられたといったところだろう」

「……ハイ……」

「……二軍、ですか」

「まあ、言いたいことはわかる。大方、『自分に足りないものを見つけて来い』とでも言われたのだろう? きっかけは一昨日の試合か。ドラフト五位の選手に、そうチャンスは回ってこない。そのチャンスであれだけ無様なデュエルをすれば当然だな」

「……ハイ……」

 

 腕を組みながら言う澪に、どこか小さくなりつつ頷く銀次郎。澪は鋭い視線を銀次郎に向けつつ、言っておくが、と言葉を紡いだ。

 

「私にアドバイスできることはない。それはギンジ、お前自身が一番理解しているだろう? 私には誰かを教え導くことなどできんよ。……わかったなら、帰るといい」

「……ハイ、失礼しました……」

 

 礼儀正しく頭を下げ、部屋を出ていく銀次郎。澪はそれを見送ると、自身の部屋へと入ってしまった。

 どうしていいかわからず、困惑する祇園。先程の話によると、澪は父親のことが嫌いで絶縁していたのだという。だが、弟と呼ぶ相手のことは――

 

「…………ッ、うん……!」

 

 意を決し、一度大きく深呼吸をする。そうしてから、祇園は部屋の扉を開けた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 外の空気が酷く冷たい。吐く息は白く、宙に溶けていく様はどこか物悲しい。

 姉とも呼べる人物は相変わらずだった。手厳しい言葉をぶつけてくるところも変わっていない。だがそれはこちらのことを想ってであり、その優しさが身に染みる。

 まあ、だからといって自身の問題が解決したわけではないが。

 

「…………」

 

 ため息を零す。憧れて、目指した世界。やはり、自分には向いていなかったのだろうか――

 

「あ、あの」

 

 不意に、背後から声をかけられた。振り返ると、そこにいたのは先程デュエルをした相手。

 

「……どうされました……?」

「あ、えっと、その……澪さん、多分、傷つけるために言ったんじゃ、その、ないと思うんです」

 

 しどろもどろになりながら、その少年は必死に言葉を紡いでくる。正直、驚きで固まってしまった。

 

「その、僕、退学になって……ウエスト校に編入して、住む家なくて、澪さんに世話になっているんです。え、えっと、だからその……澪さん、すごく優しい人、ですから……。あの、嫌いには……」

「……大丈夫です……。御嬢サンの優しさは、知ってます……」

 

 マンションを見上げる。澪の住んでいる部屋――そこから、彼女の視線を感じた気がした。

 

「え、えっと……」

「……私を甘やかさないつもりなんでしょう……。弱気になっていました……。ありがとうございます……」

「そ、そんな、僕なんて……」

 

 縮こまってしまう少年。だが、この少年の優しさはよく伝わってきた。だからこそ、澪もこの少年を傍においているのだろう。人の価値を定める時は異常にシビアなのが澪だ。……幼い頃はそのせいでよくトラブルになったのが懐かしい。

 

「あの、烏丸さん……?」

「……銀次郎でお願いします……。御嬢サンと紛らわしいンで……」

「え、えっと、じゃあ、銀次郎さん……。その、僕なんかが偉そうに、って思われるかもしれないんですが……。頑張って、ください。試合、見に行きます」

「……私は、二軍ですよ……?」

「見に行きます」

 

 言われ、少したじろいでしまった。しかし、同時に嬉しさで口元が吊り上っていくのもわかる。

 

「……一軍に、上がれたら。御嬢サンと一緒に来てください……」

「は、はいっ!」

「……お名前、もう一度お聞きしても……?」

「祇園です。夢神祇園」

「……夢神サン、御嬢サンをお願いします。御嬢サンは寂しがり屋なんで……、夢神サンのような人が傍にいてくれるなら、安心できます……」

「僕なんかに何ができるかはわかりませんが……。恩返しは、します。必ず」

「……ありがとう、ございます……」

 

 頭を下げ、その場を立ち去る。寒さは、先ほどまでのような辛さを感じさせなくなっていた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 部屋に戻ると、玄関のところで澪が待っていた。普段の彼女らしくもなく、どこか落ち着きがない。

 

「……お帰り、少年」

「はい。ただいまです」

 

 返事を返す。澪は頷いた後、どこか言い難そうに言葉を紡いだ。

 

「……ギンジは、何か言っていたか?」

「お礼を言われました。晩御飯、作りますね」

 

 時計を見、少し早いと思いながらも晩御飯の準備に取り掛かろうとする。澪は何かを言いかけ、飲み込んだ。祇園は、そんな澪に対してエプロンを着けながら言葉を紡ぐ。

 

「大丈夫ですよ。姉弟なんですから。澪さんの伝えたかったことは、伝わっているはずです」

「……そうか」

「はい。……でも、どうして僕とデュエルを? 澪さんがやれば……」

「私ではギンジの心をへし折る結果になるだけだ。あの面構えと体格をしておいて、ギンジは昔からどうも小心者の嫌いがある。表情に出にくいから周りが気付かんだけでな。……足りないのは心の部分だ。私はそう思う。そしてそれは、私には伝えられんことだよ」

 

 自重するように笑う澪。その笑顔の奥に隠された感情は、何なのか。

 

「いっそ全てを失くせば私のようにもなれるが、そうもいかん。ならば十全の心を持つしかない。だが、ギンジはできない。いや、できていない。要はそういうことだ。キミとのデュエルなら、何かを掴んでくれるかと思ってな。キミもプロの実力を肌で感じることができる。一石二鳥だ」

「成程……」

「……プロというのはシビアな世界だ。なあ、少年。自由契約――要するにチームを首になる者の平均年齢はいくつだと思う?」

「え、えっと……」

 

 いくつだろう、と思う。現在活躍している人たちは、それこそ様々な年齢の者がいる。正直わからない。

 それを感じ取ったのだろう。澪は頷きながら言葉を紡いだ。

 

「25、6だ。これでも甘く計算して、だがな。大卒から考えて精々が三年……その間に結果を出せなければ首を切られる。そういう世界だ。ギンジは一年目、二年目と芽が出ず、三年目の今年にようやく一軍に呼ばれた。背水で戦っている状態なわけだな。本人もそれをわかっているのだろう。だから、縋るようにここに来た」

 

 だが、澪は敢えてその手を振り払った。プロとは、結局最後に頼れるのは己だけになる世界である。だからこそ、澪はその手を振り払った。

 

「なあ、少年。キミはそれでも、プロを目指すのか?」

「……憧れた場所で、夢を叶えるための場所ですから」

 

 その答えは、酷く自然に口にできた。

 今日敗北したように、プロにはまだ遠く及ばないけれど。

 それでも、僕は――

 

「だから、諦めません」

 

 その、言葉に。

 

「期待しているよ」

 

 澪は、微笑と共に頷いた。

 

 

 

 

「ああ、ちなみに」

「わわ、お鍋が……! はい、なんですか?」

「ギンジは今年で21だ」

「……………………えっ?」

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 夜。祇園が洗い物をしている時間、澪は自身の部屋でとある人物に電話をかけていた。数回のコールの後、相手が出てくる。

 

『……ハイ……』

「今、大丈夫か?」

『ええ……大丈夫です……』

「ならばよかった。……今日のデュエルで、何かを掴めたか?」

『……まだ、わかりませんが……夢神サンと、約束しましたんで……』

「ほう」

 

 約束――その言葉に口元が緩む。彼は次から次へと、こうして約束を紡いでいく。

 人と交わるのが苦手だからこそ、こうして繋がっていくのだろう。

 

『……いい少年です……』

「本当にな。だからこそ見守りたいと思うし、傍にいて心地いい」

『……御嬢サン、もしかして……』

「さて、な。それはわからん。私自身、自分の気持ちがよくわかっていないのでな」

 

 そう、よくわからない。

 誰かに対してここまで興味を示すこと自体が、初めてだったから。

 

「だがまあ、頑張れ。応援しているよ」

『……ありがとう、ございます……』

「今度は弟として来い。少年の作る食事は美味しいぞ? そしてその時はいい知らせを聞かせてくれることを期待している」

『……ハイ……』

 

 電話を切る。部屋を出ると、祇園がこちらを見て笑顔を浮かべた。

 

「あ、澪さん。軽いデザートを作ったんですが、食べますか?」

「頂くよ」

 

 頷きを返す。その中で、澪は思う。

 他人に対して興味を持つことは今までほとんどなかった。だが、今の自分はこうしてかつての自分なら容赦なく切り捨てていたような少年に興味を抱いている。

 それが、どういう意味なのか。

 どういう、ことなのか。

 わからない。今はまだ、わからなくていい。

 そう、今は。この生活を続けられれば――

 

「いい気分だ」

 

 口元が緩んでいることを自覚しながら。

 澪は、呟いた。










プロの世界の現実、そして己の実力。今はまだ、遙か遠くにあるその世界を少年は見つめる。
それを見守る少女の心は、何を映しているのか……。








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