遊戯王GX―とあるデュエリストたちの日々― 作:masamune
新しい制服に身を包む。真新しく着慣れない制服に、少し違和感を覚えた。
本校の時とはまた違ったデザイン。そもそも本校の時は色が赤だったが、こっちの制服は黒に近い紺色だ。こういう服をほとんど気ない自分としては、正直違和感がある。
「これが、キミの新しい一歩だな」
学校へと向かう途中。隣を歩く女性――烏丸澪が不意にそんなことを口にした。視線を送ると、少年、と澪は静かに言葉を紡ぎ始める。
「キミの目指す場所への道程は酷く遠く、険しいだろう。ただでさえキミは所謂一般の人間よりも険しい道を歩んできている。これから先、絶望も挫折も星の数ほどあるだろう。それでも尚、諦めるつもりはないのだな?」
「……はい。諦めるわけにはいきません」
諦めることは、できない。
これだけが、夢神祇園という存在が唯一抱くことのできた『夢』だから。
「今まで、何度も挫折はしてきました。それでも、どうにか……やってこれましたから」
「強いな、キミは。…………故に、惜しい」
「えっ?」
「何でもないさ。いずれにせよ、キミが目指す場所に辿り着くにはまずウエスト校でランキング一位になる必要がある。キミの暫定ランキングは今何位だ?」
「えっと、37位と伺いました」
「ほう、転入したてでそこまで評価されるか。やはり面白いな、キミは」
澪が微笑む。澪は、まあ、と言葉を紡いだ。
「ウエスト校でプロを目指す者はそう多くはないから……せめて10位以内には入る必要があるだろうな。ちなみに現行の一位はキミも良く知る紅里くんだぞ」
「二条紅里さん、ですか」
「去年の半ばから当時の最上級生を押しのけてずっとトップを維持している。ウエスト校ではキミがいた本校のように毎年プロのスカウトが目を光らせているからな。紅里くんはプロ入りの筆頭候補だよ」
「そうだったんですか……」
「不遇種族と呼ばれることもあった『植物族』をあそこまで見事に使いこなすのだから、その評価も妥当なものだとは思うがな」
クスクスと微笑みながら言う澪。その上で、だが、と澪は言葉を紡いだ。
「紅里くんはプロに進む気がないと聞いている。本心かどうかは知らないがな」
「そうなんですか……」
「いずれにせよ、キミが目指すべき領域が二条紅里というデュエリストだ。精々精進したまえよ、少年」
はっは、と快活に笑う澪。祇園としては言われるまでもないことだ。目指す領域がわかったのは正直かなりありがたい。
一度退学になり、それでもどうにか夢を諦めることなくここへ来れた。
ならば、諦めない。
諦める必要は……ない。
「そういえば、今日の昼から美咲くんの試合があるのだったな」
「『横浜スプラッシャーズ』と『明神ブラスターズ』ですね。予告オーダーだと美咲はいつも通り先鋒だったはずですけど……」
「横浜は先鋒・次鋒が安定している分、他のところに比べると強い印象を受けるな。もっとも、中堅・副将・大将が固定されていないのは問題だろうが……」
「若いチームですよね、横浜って」
「その分、隙も多い。そのせいで毎年優勝争いをしていながら勝ちきれないな。……まあ、三年前に美咲くんが入団した時は色物に走ったかなどと言われていたが、気が付けば彼女がエースだ。元全日本チャンプ響紅葉との二枚看板なのだから恐れ入る」
澪が肩を竦める。……丁度そのタイミングで、校門へと辿り着いた。
その門をくぐろうとして――一度、祇園は立ち止まる。
「どうした、少年?」
澪が振り返ってこちらを見てくる。祇園は一度大きく深呼吸して、いえ、と首を左右に振った。
「こんなことになるなんて、想像もしていなかったので……」
「人生などそんなものだ。終わる時までどうなるかはわからない。ただ、キミは選んでここへ来た。――そうだろう?」
「――はい」
ゆっくりと、足を踏み出す。その先で、『最強』が。
目指すべき頂きに立つ存在が、諸手を上げてこう言った。
「ようこそ、デュエルアカデミア・ウエスト校へ。――歓迎するよ」
◇ ◇ ◇
現代における花形の職業――プロデュエリスト。それには大きく分けて二つの形がある。
まずは、ライセンスを持ち個人で世界中で行われている大会に出場し、その賞金で生活している者たちだ。彼らは基本的に『スポンサー』を獲得し、そのスポンサー料で生計を立てている者が多い。各種イベントにも参加し、人によってはかなりの知名度を誇る。
個人で活躍している者で有名なのは十年連続日本ランキング一位を誇り、三つの日本タイトルを所有する『DD』や、同じくタイトルである〝弐武〟を有する皇清心(すめらぎせいしん)、〝祿王〟の烏丸澪などが有名だろう。
個人専門の利点はその行動の自由さだ。定期的な試合というものがないので、融通が利き易い。しかし、その反面自分自身の実力によってはスポンサーに契約を切られることもあるし、大会で勝てなければ生活さえもままならない。故に個人専門のプロは世界中でもほんの一握りのトッププロだけしかなれない存在だ。
そんな『個人』に対して存在しているのが『チームプロ』である。プロライセンスを持つデュエリストが日本ならば全国で16チームあるプロチームのいずれかに所属し、他のチームと基本的に五人の勝ち抜き戦でリーグ戦を行っていくというものだ。
これはプロ野球やプロサッカーと同じ経営方式であり、同時にデュエルこそが至上とされる現代では前者二つの競技よりも年棒が高い傾向がある。このプロチームに所属する方法は二つあり、一つはライセンスを持つ者が入団テストに合格すること。しかし、これはほとんどないことと言ってもいい。いきなり入団テストを受けて合格できる者など数えるほどしかいないのだ。
それ故に必然、もう一つの方法こそが主題となる。『ドラフト』――高卒、大卒、社会人卒の学生が指名を受けるというシステムである。毎年、ドラフトの時期になると誰が指名されるかで紙面が賑わうのは日常だ。
このドラフトで指名されるには、高校生なら春と夏に行われるIHや国民決闘大会、大学生や社会人ならそれぞれのリーグなどといった大会で結果を残す必要がある。アカデミア生もここで指名される者が出ることは珍しいことではない。
ここでの利点は何よりも安定性だ。チームに所属し、二期に分かれて行われるリーグ戦で戦うことが基本となるために目的がはっきりとしており、実力の世界といっても個人で活動するよりは遥かに敷居が低い。その反面、シーズン中は毎日試合があるわけではないとはいえ拘束されることも多く、試合日が被ると大会などに参加できないことも多いという点ぐらいか。
まあ、それについては桐生美咲のように毎日どこかの番組に出たり大会に参加したりイベントに参加したりと激務をこなす者もいるので、やり方次第なのだろうが。
チーム所属で有名どころといえば、日本ランキング30位〝アイドルプロ〟桐生美咲や最近長期療養より復帰したかつての全日本チャンプ〝ヒーロー・マスター〟響紅葉、桐生美咲の同期であり、年上ではあるが彼女のライバルとされる〝爆炎の申し子〟本郷イリアなどがいる。
こちらの特徴は個人に比べると試合の放送やニュース番組で結果の報道がされることも多いために名前を知られている者が多いことだろう。それほどまでに、『DM』というものは生活に密着している。
そう、昼休みの時間。食堂にいつもの倍近い生徒がテレビで試合を見るために集まるくらいには。
『さあ、もうすぐ今シーズンの折り返しに入ろうという大事な時期! 現在リーグ2位の『横浜スプラッシャーズ』と3位の『明神ブラスターズ』の試合です!』
テレビから実況のそんな言葉が聞こえてくると、食堂の者たちの視線が一斉にテレビへ向いた。大画面であるため遠目からも見えるのだが、必死で前列をキープしている者も多い。
『本日の先鋒は『ブラスターズ』からは大八木孝樹(おおやぎたかき)プロ! そして『スプラッシャーズ』からは桐生美咲プロとなっております!』
実況の言葉に合わせ、二人の顔が画面に映し出される。「美咲ちゃーん」、という合唱が響いた。
『本日の解説は昨年の新人王、現在リーグトップの『東京アロウズ』より神崎アヤメプロにお越しいただいております!』
『よろしくお願いします』
『『アロウズ』では副将を務められておられる神崎プロですが、本日の試合はどう見ますか?』
『はい。横浜も明神も僅差ですので、勝った方が2位となる微妙な試合ですので……やはり、先鋒・次鋒が注目と思います』
『ほう、スプラッシャーズは桐生プロと響プロ、ブラスターズは大八木プロとレピュセルプロですが……』
『横浜は先鋒、次鋒の安定感が高いですから……どれだけ早くその二人を乗り切れるか、あるいは乗り切らせないかがポイントだと思います』
『成程、桐生プロは先日全米オープンで準優勝をしたと記録があります。それについては?』
『桐生プロは世界ランクでも常に100位圏内におられる人ですし、不思議ではないかと。ただ、個人的にはあの大会で〝祿王〟が優勝している方が気になるのですが』
『『幻の王』ですね。その辺りは――おおっと、どうやら両者準備は整ったようです! 一度そちらへカメラを移しましょう!』
画面が切り替わる。そこでは、美咲が先行になったところが映されていた。
試合の経過は単純だ。LPが0になった時点で次へと移行、場と墓地、相手のLPは引き継ぎ、次の者がLP4000で参戦し、初期手札5枚からスタートするという仕様だ。
要するに勝ち抜き戦であり、この時に何人倒したか、どれだけLPを削ったか、などが個人成績となる。こういうルールであるために重要なのはやはり先鋒で、基本的にエースポジションとされている。
ちなみにこれは美咲が所属するリーグのルールであり、もう一つの方は勝ち抜きではなく点取り方式となっている。
『さて、本日の桐生プロのデッキは何なのか! 注目です!』
『基本的に1ターン目が終わってから説明ですから、桐生プロ。前回は『ワイト』でしたか』
『それで3人抜きしていましたね』
『『ワイトキング』の攻撃力が7000までいきましたから。あれは突破するのも難しいですよ』
食堂で笑いが漏れる。前回の試合で『ワイト』と説明した美咲に対して観客席からヤジが飛んだのだが、それを美咲は全て黙らせる結果を見せた。そのことを思い出しているのだろう。
そうこうしているうちに、美咲が動きを見せた。最初のカードは――『死皇帝の陵墓』だ。
『おおっと、ここでLPを生贄の代わりとするフィールド魔法『死皇帝の陵墓』だ~! 生贄召喚を行う際、一体に着き1000ポイント支払うことで代用とします! 如何ですか神崎プロ!?』
『上級モンスターを多用するデッキなのでしょうか? 飯田プロのような……』
『おおっと、早速効果を発動! これは――なんとぉ、『大皇帝ペンギン』だ~!!』
『……まさか、『ペンギン』?』
『おっと、効果発動ですね。大皇帝ペンギンは生贄に捧げることでデッキから『大皇帝ペンギン』以外のペンギンを2体特殊召喚する効果を持っていますが――出てきたのは、あれ、ええと……? 鞭を持ったペンギン……?』
『……『ボルト・ペンギン』ですね』
ボルト・ペンギン☆3水ATK/DEF1100/800
ボルト・ペンギン☆3水ATK/DEF1100/800
美咲のフィールドに現れる2体のペンギン。それを、どうにかという様子で神崎が解説する。
『その、本当に初期のカードだったはずです……。私、見たの初めてかも』
『お、おお、成程……しかし、何故……。――ここで桐生プロの方へ音声が繋がります。どうぞ』
画面が切り替わる。見れば、美咲がマイクをカメラへと目線を向けていた。
『は~い、桐生美咲です~♪ さあ、会場の皆さ~ん♪』
『『『美咲ちゃーん!!!!!!』』』
『おおきに~♪ 今日勝ったら会場前で握手会やりますんで、応援よろしくです~♪』
『『『おおおおっ!! 頑張れ~!!』』』
『……とりあえず、さっさと進めて欲しいのだが』
『ああ、ごめんなさい大八木プロ。――今日のデッキは『ペンギンデッキ』です♪ 栃木県にお住いの、PNペンギン大好き12歳さんからのリクエストで作りました~♪ 応援よろしゅう♪』
美咲のウインクがアップで映し出され、一部の男子生徒が歓声を上げる。……伊達に〝アイドル〟は名乗っていない。
後方――食堂の端の方からそんな美咲のことを眺めながら、そんなことを祇園は思う。祇園の正面に座る女生徒、二条紅里がへぇ~、と声を漏らした。
「ペンギンかぁ~。可愛いよね~」
「でも、実用的にはどうなんでしょう。美咲のことだから弱いわけではないと思いますけど……」
「あ、『テラフォーミング』……成程~、『ウォーターワールド』を使うんだ~」
「これで攻撃力1600が2体……強い、のでしょうか?」
「う~ん、どうなんだろ~?」
流石に学内ランキング1位の紅里も美咲の考えは読めないらしい。苦笑を浮かべ、首を傾げている。
――桐生美咲。彼女のプロとしてのデュエルの特徴を上げるとすれば、この点が一番だろう。
毎試合、一般より公募しているリクエストを受け、デッキを構築する。それこそ『ワイト』だろうが『ペンギン』だろうが『魔法使い』だろうが何でもござれだ。
基本的にプロデュエリストは固定したデッキを使うことが多い。飯の種である以上、信頼できないデッキなど使えるはずがないからだ。そういう意味において、毎回違うデッキを組み上げてくる桐生美咲というプロデュエリストはやはり特殊なのだろう。
そもそも彼女はKC社とI²社をスポンサーとしている。『販促』という側面もあってのことで、理由がないわけではないのだ。
しかし、そうであったとしても彼女が次はどんなデッキを使うのかについては興味があるし、彼女自身が人目を引く容姿をしていることもある。人気があるというのもわかろうものだ。
「あ、『ペンギン・ソルジャー』だね~」
「……大八木プロ、上級モンスターを二体とも戻されましたね」
「ペンギン強いね~」
のほほんといった調子で紅里がそんなことを口にするが、それはどうなのだろうか。単純に美咲のタクティクスが凄まじいのだと思うが……。
「そういえば、澪さんは食堂に来られないんですね」
盛り上がる食堂を見回しながら、祇園はそんなことを呟く。紅里が微笑みながら、それはねー、と言葉を紡いだ。
「みーちゃん、人が多いところ嫌いだからね~」
「そうなんですか?」
「タイトル持ちだと嫌でも注目されちゃうから~。昼休みとか放課後とか、基本的に誰もいないところで過ごしてるよ~」
「……成程」
「気になる~?」
どこか悪戯じみた笑みを浮かべる紅里。だが、祇園はそれに気付かないままええ、と頷く。
「折角ですし、お昼をご一緒したかったんですが」
「ああ、そっか。みーちゃんのお弁当、ぎんちゃんが作ってるんだもんね~」
「はい。せめてものお礼に……というより、ギンちゃん……?」
「ぎおん、だからぎんちゃん!」
「……成程」
反論はできない。満面の笑みでこんなことを言われては、反論などできようはずがない。
「あ、お昼の時間も終わりだね~」
「試合は……あ、二人目に負けてますね」
「それでもLPを半分ぐらい削ってるから、流石だね~」
美咲が退場し、美咲コールがテレビの中では巻き起こっている。そして、彼女と入れ替わるようにして現れた青年――響紅葉に、会場は更なる熱気に包まれていく。
元全日本チャンプであり、『HERO』という当初はマイナーだったカテゴリを一気に全国区へ押し上げ、その強さを証明した人物。あの遊城十代も憧れていると言っていた人で、実際知り合いでもあるらしい。
「やっぱり、プロの世界は凄いなぁ……」
「雲の上だからね~」
このウエスト校のランキングトップであり、プロ入りの筆頭候補である紅里がそんなことを言う。毎年プロ入りする新人は多くとも、その大半は大成することなく消えていく。
本当に、目指す世界は厳しい場所だ――そんなことを、ふと思った。
「午後からは合同授業だから、よろしくね~」
立ち上がりながら、紅里が祇園にそんな言葉を遺して行く。祇園も頷くと、何世代も前のPDAを取り出した。時間割の確認をする。次の授業は午後から三時間使ってのデュエルの実技だ。
これは三学年合同の授業で、PDAに相手が次々とランダムで場所と共に指定され、デュエルを行っていくというものらしい。最終的にその結果でランキングが変動していくのだそうだ。転入生として入って来たばかりの自分に、クラスメートたちが親切に教えてくれた。
「……頑張るよ。頑張る」
言い聞かせるように、呟く。
目指す領域は、ここでのトップ。
険しくとも――やるしいかない。
◇ ◇ ◇
転入初日の感想としては、正直かなり疲れたというのが一番だった。
質問攻めなど当たり前だったし、特に本校から来たということで色々聞かれた。アカデミアの中で一番DMの色が薄いといっても、専門学校であることには変わりない。中には本校の試験に落ちてウエスト校に来ている者もいて、様々なことを聞かれた。
基本的に初対面の相手には人見知りするのが夢神祇園という少年の特徴である。相手と自分の立ち位置がはっきりしていたら――それこそ教師や対戦相手など、どういった振る舞いをすればいいかがある程度固定されている状態ならば対応できるが、クラスメイトという相手にどう接したらいいかはわからない。
……それに、そもそもだ。
桐生美咲に出会うまでまともな友人などいなかった祇園は、『クラスメイト』という存在に対して恐怖心のようなものさえ抱いていた時期がある。
しどろもどろになりながら対応していたのだが……嬉しかったのは、誰も嫌な顔をしなかったこと。
一部では『退学になった』という噂も流れていると澪から聞いていた身としては少し怯えていた部分があったのだが、嫌な気分になることはなかった。
そして、現在。提出する書類などの関係で一人校舎内を歩いている祇園。どうにか書類提出を終え、後は帰るだけとなった頃。
――――――――、
不意に、何かのメロディを耳にした。吹奏楽部などの練習だろうか、とも思ったが、音楽室は別の校舎だ。職員棟であるこの校舎で部活動をする者はほとんどいない。
ならば、誰だろうか。音源が近いこともあり、何となしに歩いていく祇園。
音を頼りに歩いていくと、月当たりの教室に辿り着いた。『第三音楽室』――どこかくたびれた表記がされたその部屋の扉が少しだけ開いており、そこから音が漏れ出している。
静かに、扉を開ける。そして――その場で、硬直してしまった。
そこにいたのは、一人の女性。
バイオリンを片手に両目を閉じ、静謐な旋律を奏でる姿。
夕焼けの日差しが教室へと指し込む中。
その姿は、あまりにも幻想的だった――……
響く音色は、どこか寂しく、そして……悲しい。
決して暗い曲調なわけではない、と祇園は思う。しかし、奏でられるその音はどうしようもないほどに……寂しかった。
たった一人で過ごした、あの日々。
他人と違う――そのことに憎悪さえ抱いていた頃。
あの頃に、戻ってしまったような。
そんな気が、した――……
「……やぁ、少年」
バイオリンを下げ、その女性――烏丸美緒はクスリと微笑を零した。祇園は、そこでようやく我を取り戻す。
「すまないな、見苦しいものを聞かせてしまった」
「……え、あ、いえ。凄く、綺麗で、その……」
「――少年。キミは何故、泣いている?」
えっ、という言葉を漏らす祇園。顔に手をやると、右の瞳から一粒だけ……涙が零れていた。
「あれ、何で……」
「……まあ、いい。それにしても、ここを見つける者がいるとはな。授業でも使われない教室で、職員でさえも入らない場所なのだが」
「あ、その……扉が少しだけ開いていて、音が聞こえたので……」
「何?……私としたことが、らしくないミスだな。私の演奏など、人に聞かせるようなものではないというのに」
澪が苦笑を零す。祇園は、そんな、と言葉を紡いだ。
「凄い演奏だったと思います」
「夢を壊すようで悪いが……こんなものは見よう見真似だ。正式に学んだわけではないし、私も気分で弾いているに過ぎない。自分で弾いておいて曲名も知らないしな」
「そうなんですか?」
「うむ。幼い頃に聞いた旋律だけを頼りに、な。……誰が弾いていたかも知らないというのに」
微笑む澪。彼女はバイオリンをケースにしまうと、無造作に壁へと立てかけた。そのまま、少年、と祇園に対して言葉を紡ぐ。
「今日の午後の授業はどうだった?」
「あ、はい。えっと……十戦して、七勝です」
「ほう。……ふむ、ランキングが26位になっているな。格上を倒したか」
「ただ、紅里さんには勝てませんでしたが……」
「そう容易く勝たれては、ウエスト校の沽券に関わるよ」
クスクスと微笑む澪。澪は近くに置いてあった自身の鞄を手に取ると、では、と祇園に向かって言葉を紡いだ。
「帰るとしようか。今日はデュエル教室もない。……帰りに夕食の買い物をしていくのだろう?」
「はい。そのつもりです」
「キミの作る食事は私のささやかな楽しみだよ、少年」
微笑む澪。その彼女と並び、祇園は教室から出て行く。
澪が教室に鍵をかけると、では、と澪が言葉を紡いだ。
「帰ろうか、少年」
「はい」
帰る、という言葉。
共に歩いている誰かがいるということ。
それが随分――久し振りのことに思えた。
◇ ◇ ◇
翌日。澪は朝早くからプロデュエリストの仕事があるとして学校には行かずにスーツを着て電車に乗っていた。
祇園にその旨を前日に伝えると、朝早くからしっかりと朝食と弁当を用意してくれた。……将来、いいお嫁さんになれそうである。
出勤するサラリーマンと同じ電車に乗る。幸い、時間が早いこともあって満員ということはない。それでも人ごみが嫌いな澪にしてみれば多い方に映るのだが……まあ、我慢するしかないだろう。
全ての我儘が通ることなど、ありえないのだから。
「……着いたか」
アナウンスを聞き、呟く。駅が停車し、駅を降りる人の流れに乗って下車する。
流石に早いとはいえ朝の時間だ。結構な人数が歩いている。
「さて、迎えがあると聞いていたが」
駅を出ると、澪は周囲を見回した。昨日の電話によると、ここに迎えを用意するとのことだったのだが――
「お待ちしておりました、烏丸プロ」
「むっ……磯野さんですか」
「はっ。私などのお名前を憶えて頂き、恐縮です」
「いえ、お世話になっておりますので。……あなたが迎えですか?」
「はい。……どうぞ、こちらへ」
磯野――KC社の社長である海馬瀬人の信頼も厚い人物の先導を受け、歩を進める。そこに停まっていたのは、一台のリムジンだった。
どう考えても日本の公道で走らせることには向いていない車だ。通行人たちは何事かといった様子でリムジンを見ている。
だが、澪は気にした様子もなく中へと乗り込んだ。すると、既に中に一人の少女が待ち受けていた。
「お久し振りです~♪ 澪さん♪」
「……美咲くんか。キミは横浜にいるはずだろう? 試合はどうした」
「ナイターですから、これが終わったらそのまま向かいます」
「それで、朝食は携帯食か」
「食べる時間ないんですよー」
そんな風に言葉を紡ぐ美咲の側には、カロリーバーの箱が置いてある。それと彼女が持っているミネラルウォーターが彼女の朝食なのだろう。
「相変わらず忙しいようだな」
「澪さんが手伝ってくれたら少しはマシになるんですけどねー」
「生憎、私にそのつもりはない。キミと違って私は愛想よく振る舞うことなどできないよ」
「むー」
「それに……私の場合、あまり表に出過ぎると無用な厄を引き寄せる。縁を切ったとはいえ、未だ私が『烏丸』であることは変わらん」
自嘲するように言う澪。美咲はカロリーバーを口にしながら、そうですかね、と言葉を紡いだ。
「気にし過ぎやと思いますけど」
「キミのように強い人間ならば、多少の厄もどうにかできるのだろう。だが、今の私には少々守りたいものが多くできてしまった。チームに所属しないのもそれが理由だよ」
「それ、ウチに守る相手がいないってゆーてます?」
「まさか。ただ、不必要に私が抱え込み過ぎた――それだけの話だよ。真似事も行き過ぎると鎖になる」
「……後悔してます?」
「後悔、という概念が私には理解できないよ、美咲くん」
澪は苦笑を零す。美咲はそんな澪をしばらく眺めた後、まあええです、と言葉を紡いだ。
「とりあえず、頼んでた分はどうです?」
「済んでいるよ。大会のシステムはあれで問題ないだろう。まあ、順当に考えればキミが優勝しそうだが」
「紅葉さんも出ますよ?」
「響紅葉か……確かに強いが、彼はかつての全日本チャンプで合った分対策がされやすい。警戒する者も多いからな。その点、キミはそもそもから使うデッキがわからない」
「一応、今度の大会はウチの本気で行きますよ?」
「それは楽しみだ。……さて、大会の方はそれでいい。わざわざ私のところまで連絡してきたということは、もう一つの案件だろう?」
鞄から資料を取り出し、それを美咲に渡しながら澪は言う。美咲はそれを受け取ると、はいな、と頷いた。
「詳しい話は向こうに着いてからの予定ですけど、〝祿王〟の目から見てどうですか?」
「……どれだけのレアリティで手に入るかにもよるが、環境は大きく変化するだろうな。ただ、いくつか問題のあるカードがあったぞ」
「何です?」
「まずは『メンタルマスター』だな。『サイキック族』という新たな種族は私も賛成だが、このモンスターだけは頂けない。その資料にもある新カテゴリ『ガスタ』の『ガスタの静寂カーム』と組み合わせれば無限ドローができるぞ」
「あー……成程、確かに。これはエグいですねー……」
「とりあえず気になったのはそこだな。後はやはり『フィッシュボーグ―ガンナー』か。これについてはイリアくんがすでに気付いているのだろう?」
「ええ。やっぱり新しいシステム導入すると問題も多くて……。ウチの方でも『グローアップ・バルブ』をどないしよか考えてますし」
「だが、面白い試みであることも事実だ。ステータス至上主義……その概念に真っ向から立ち向かうシステム。興味があるよ」
「ええ、それが『シンクロ』ですから」
美咲が微笑む。澪はまあ、と言葉を紡いだ。
「それをより多くのデュエリストにも感じてもらうための仕事だ。精々頑張らせてもらうよ」
「はい、よろしゅうお願いします」
◇ ◇ ◇
リムジンで途中の休憩を含めて約三時間。澪は美咲と共に話し合いを続けていた。現在I²社とKC社を中心に行われているプロジェクト――DMの世界に新たな風を呼び込むその取り組みの中心に、この二人も加わっているのだ。
「とりあえず、まず言い訳を聞きたいのはこの『ダーク・ダイブ・ボンバー』だな。考えた奴を締め上げたい」
「澪さんが考えた呪文、『サモサモキャットベルンベルン』は楽しかったですねー」
「地獄絵図だったがな。……後は、やはりこの『氷結界』か」
「二体目はともかく、一体目と三体目が問題ですよねー」
「……『ダーク・ダイブ・ボンバー』はともかくとして、『ゴヨウ・ガーディアン』は警察関係者専用のカードにするのだろう? できればいきなり禁止カードなど出したくはないのだが……」
「『ダーク・ダイブ・ボンバー』は生産しない予定です。ただ、『氷結界』の四体はそもそもからレアリティを最高クラスに設定しとるんで……環境を壊すようなこともないように思いますが」
「ならばいいか。どちらにせよ、制限カード行きは確実だ。……と、言っている間に着いたようだな」
窓の外を眺め、澪が呟く。それを合図とするように車が止まり、磯野が言葉を紡いだ。
「お二方、到着いたしました」
「ありがとうございますー、磯野さん」
「いつもすみません」
「これが私の役目ですので……こちらへ」
扉を開け、二人を誘導する磯野。磯野に付き従い、二人は建物の中へと入っていく。
――I²社名古屋支部。それが二人の目的としていた建物だ。
中に入るともう一度磯野に礼を言い、二人はエレベーターに乗り込む。今日の会議は『第七会議室』で行われているはずだ。
目的の階へ着き、二人は迷うことなく会議室へと向かっていく。そして、扉を開けると――
「桐生美咲、到着しました~♪」
「右に同じく、烏丸澪」
名乗りつつ、中へ入る。すると、既に中には二人の人物がいた。
一人は銀髪の外人だ。世界では知らぬ者などいない人物――ペガサス・J・クロフォード。世界でも有数の大企業I²社の会長であると同時に、DMをこの世に解き放った生きる伝説。
「OH! 美咲ガール澪ガール、よく来てくれましたネ」
「会長の呼び出しとあればいつでもどこでもですよ~♪」
「私自身はそこまで忙しい身ではありませんので」
それぞれの返答。それを受け、ペガサスは笑みを浮かべる。
「そう言ってもらえると嬉しいデース。……今日呼んだ理由デスが、例のプロジェクトがいよいよ大詰めに入って来たのでその確認と……澪ガールにドクター不動を紹介するためデース」
「不動です。どうかよろしくお願いします」
これまでずっと黙っていた白衣を着た、どこか特徴的な髪形の男性がそう言って軽く頭を下げてきた。その姿を見て、ほう、と澪が吐息を零す。
「あなたが不動博士ですか。〝モーメント〟開発最高責任者の」
「ええ。私としても、〝祿王〟とお会いできて光栄ですよ」
「言葉が上手いですね。私のような小娘に会ったところで益などないでしょうに」
言いつつ、澪は不動と握手を交わす。不動はそれを終えると、会長、とペガサスへと言葉を紡いだ。
「私は研究に戻りたいのですが……」
「ハイ、ありがとうございマース。屋上にヘリがありますので、そちらで戻ってくだサーイ」
「はい。ありがとうございます。お二方も、申し訳ありませんが失礼します」
不動はそれだけを言うと、足早に出て行った。それを見送り、相変わらずやなぁ、と美咲が言葉を紡ぐ。
「忙しそうやけど、目が輝いてる」
「〝モーメント〟は〝シンクロ〟において大変重要な力になるでショウ。ドクター不動には期待してマース」
「ふむ……それで、会長。今日の会議の他のメンバーはどうしているのです?」
「こちらへ向かっているはずデスが……全員がトッププレイヤーたちデース。集まるまではもう少しかかると連絡が入ってマース」
「ほな、お昼御飯が先かな?」
「イエス、お弁当は用意してありマース」
「やった、ご飯食べれる~♪」
ペガサスの言葉に喜びの様子を見せる美咲。そんな二人へ、ああ、と澪が思い出したように言葉を紡いだ。
「私は必要ありません」
「ホワッツ? 体調でも悪いのデスか?」
「いえ、今日は弁当を持ってきているので……」
そう言うと、澪は鞄から弁当を取り出した。朝に祇園が用意してくれたものだ。
しかし、澪が弁当を用意していることが予想外だったらしく美咲が驚きの声を上げた。
「ええ~!? 澪さんが弁当!? 会長マズいで! 明日世界が滅びる!」
「ほう、美咲くん。詳しく聞こうか?」
「や、やって澪さん料理ダメダメやないですか」
「キミに言われたくはないな」
「Oh、澪ガール。手作りデスか?」
「はい。私の手作りではありませんが」
微笑むと、適当に椅子に座る。美咲は首を傾げるが、まあいいか、とすぐに思考するのをやめた。
「とりあえず、食べましょか」
「私はすでに頂いているので……おっと、誰か到着したようデース」
ペガサスが用意していた弁当を広げる美咲と、内線で誰かが来たという知らせを受け取るペガサス。それとほぼ同時に、その来客者が扉を開けて入って来た。
「す、すみません! 遅れました!」
部屋に入って来たのは、赤髪の女性だった。スーツを着ているが澪のようなズボンではなく、スカートである。
「あ、イリアちゃんや~♪」
「ほう、イリアくんか」
「……って、美咲に〝祿王〟!?」
本郷イリア。アメリカからの帰国子女であり、美咲の同期である女性だ。大学生リーグ出身であるため二人よりも年上なのだが……二人共、彼女に敬語を使う様子はない。
ちなみに現日本ランキング36位で、世界ランキングでももうすぐ百位を突破できるという位置にいる。そのデッキタイプから〝爆炎の申し子〟とも呼ばれているプロデュエリストだ。
「あんたたちも来てたんだ……っていうか、美咲。あんた私より年下なんだから敬語使いなさいよ」
「それ何度目~? 無理やて、無理無理」
「まあ、美咲くんには無理だろうな。イリアくんも座ったらどうだ?」
「は、はぁ……」
実はプロとしての活動年数としては美咲もイリアも澪よりも長い。しかし、〝祿王〟というタイトルはそれを黙らせるだけのものを有している。
……もっとも、澪はそんなことは気にしていないようだが。
「とりあえず、お座りくだサイ。ミス・イリア」
「わかりました。……今のところ、集まっているのはこのメンバーだけですか?」
「そうデスね。あと一時間以内には七人ほどが集まれる予定デース」
「そういえば紅葉氏は来ていないのか、美咲くん?」
「紅葉さん、他のメンバーと一緒に地元で子供たち相手にイベント中です。ちなみにウチは明日の予定。そういうイリアちゃんも、宗二郎さんは?」
「知ってるでしょ、今日あっちはデーゲーム。兄さんは先鋒だから今頃試合中ね。それより、DDさんと皇さんは?」
「DDさんはオーストラリア大会、皇さんは中国大会やな」
「ハイ、二人共世界へ挑んでいる最中デース。なので、今回は呼んでいまセン」
プロデュエリスト――その中でも有名な若手やトッププロたちで行われる会話。この『プロジェクト』には彼女たちだけではなく、かなりの数のトッププロや企業が関わっている。そのため、KC社とI²社をスポンサーに持たぬプロであってもプロジェクトには別の企業から関わっている場合が多い。イリアなどはそのパターンだ。彼女の所属するチームもスポンサーもKC社やI²社ではない。
「これは雑談デスが……年末に〝ルーキーズ杯〟を行うのは知っていマスね?」
「そらまあ、メインですし」
「私は参加しますし……」
「できれば遠慮したいですが、解説の仕事を任されましたから」
ペガサスの言葉に、それぞれ美咲、イリア、澪が応じる。ペガサスは頷くと、実は、と言葉を紡いだ。
「そこで一つ問題が発生したのデース。ノース校が出場を辞退したいと申し出てきました」
「出場辞退、ですか」
「イエス。それで、一般枠を新たに一つ増やすことになったのデース。ガールたちの中に、誰かいい人材は知りまセンか?」
「一般枠……うーん、例のあの子はもう決まってるんですよね?」
「ハイ。ミラクルガールは決定してマース」
「私の方はあまり……。サウス校は出身ですから色々と知ってはいますが、一般となると……。ジュニア大会の優勝者だけでなく、準優勝者も参加させてみては?」
「私もあまり知りませんね。強いて言うなら、『侍大将』くらいでしょうか」
「あれは本校の生徒ですやん」
「だから無理だな」
「そうデスか……確か、美咲ガールの幼馴染は……」
「今はウエスト校ですから、無理ですねー」
「いっそ、プロを増やしてはどうです?」
「やはりそれが一番でショウか」
ペガサスが考え込む。しかししばらくすると、わかりました、とペガサスは大きく頷いた。
「方法は考えておきマース。……そうデス、澪ガール。美咲ガールの幼馴染はどうデスか?」
水を向けられ、澪は一度箸を置いた。そして、微笑を浮かべる。
「強いですよ。私を相手に、最後まで足掻いていましたので」
「〝祿王〟相手にって……うわぁ……」
「まあ、慣れとるからなぁ祇園はそういうの。社長にも捻じ伏せられてたし」
「どうデスか? 彼はこの大会に出られるマスか?」
「さあ、どうでしょう?」
微笑を浮かべたまま、澪は言葉を紡いだ。
「ただ……彼が諦めないのであれば、可能性はあるでしょうね」 1
まずは、皆様にお詫びを。(ちょっと長いんで読み飛ばして頂いても……)
元々は友人と私の展望を考えない「書いてみようぜ!」という軽いノリで書き始めたこの作品ですが、それ故に設定などが甘い部分が多々あり、何人かの読者様方に不愉快な思いをさせてしまったようです。
本当に申し訳ありませんでした。
内容としては主に「リスペクトデュエル」と「アカデミア分校」についてです。
前者は友人の皆さん(何度か後書きに書いているカードショップの方々です)に聞いたところあまり良い話は聞かなかったのと、「お互いが全力を出せるならば勝敗は関係ない」という理論であるという記述があったので、作品的に面白くなるかなー、と思って作品内ではああいう扱いにしました。それを不愉快に思われた方がおられるようで、アドバイスに従い「アンチ・ヘイト」のタグを付けさせていただきました。重ね重ね、申し訳ありません。
ただ、私個人としては「カイザー」である「丸藤亮」が手を抜いているなどとはつゆほども思っておりません。「ヘルカイザー」の方が好きなのは事実ではありますが……。
ただ、「勝敗は関係ない」というのは念頭に置くものではなく、結果としてそう感じられるのであれば一番、というものではないのかなー、と思ったわけです。間違っているかもしれませんし、多分そうなのでしょうと思います。同時に「互いに全力を出す」というのも解釈次第で、その辺は作中では宗達とカイザーの二人で(というよりは今作における「サイバー流」で)対比出来たらな、と浅はかにも考えておりました。
以上の事は作者である私がしっかりと原作を理解し、作品を練っていれば起こり得なかったことです。本当に申し訳ありませんでした。
ただ、ここまで来ると修正しようとすれば一度作品そのものを消して書き直す必要まで出てくるのでそれはご勘弁願いたい……ということで、「そういうものだ」認識していただけると嬉しいです。
そして後者ですが、「アモンがいるのはイースト校なのにイースト校ないけど?」ということです。これは単純に、ちょっと勘違いもあって私が三年目の彼らは「海外組」だと思ったんです。漫画版みたいな感じで。その結果、「ややこしい」という意見もいただきました。しかし、今更変えるのもちょっとあれだし……ということで、ややこしいかもですがそういう認識でお願いしたいです。
アモンなどは「アメリカアカデミア・イースト校」みたいな感覚で出すつもりです。……そこまで続けられるかどうかは作者である私の根性次第ですが。
重ね重ね、申し訳ありませんでした。
謝罪を書くのはどうか、とも思ったのですが、間違えていたのは私ですし、折角読んで頂いているのに説明もないままというのも不誠実との考えでこのような形を取らせていただきました。
端っこの方で特に日の目を見ることもなくひっそりやっていこうと思っていたこの作品が「日刊一位」に偶然とはいえ掲載されるに至ってお気に入りが増え、ここらで少し気を入れ直そうかと思っての所存です。
鬱陶しい長文ですが、読んで頂いた方、ありがとうございます。
それと、一応ですが私はGXにおいて嫌いなキャラクターも思想もないつもりです。上記の(私解釈の)「リスペクトデュエル」も考え方としてはありだと思いますし、要は受け取り方なのではないかと考えています。未熟者ですが「エンターテイメント」として楽しんで頂けるよう努力する所存ですので、お付き合いいただけるとありがたいです。
サイバー流のことも含め、今後の展開にちょっと修正が必要になって来たので次回の更新はちょっと遅れるかもです。なるべく早く出すつもりなので、見捨てないでくださると嬉しいです。
重ね重ね、私の未熟と無知、不勉強故をお詫びします。
申し訳ありませんでした。