幻想殺しと電脳少女の学園都市生活 作:軍曹(K-6)
上条と貴音は現在、インデックスの前で正座をしている。と言っても、魔術的+物理的拘束をされた上でなのだが。周りを見れば、どこから駆けつけたのか神裂やステイルまでいる。
(・・・・・・なんで私達拘束されてるんですか?)
(・・・そりゃあ、俺達が吸血鬼って事がバレたからだろ。まぁ、故意じゃないけど)
(・・・私にいたっては故意ですよぅ)
(・・・俺も半分故意だけど・・・)
脳内でそんな会話をする上条達にインデックスは胸を張ったままの体勢で聞く。
「で? とうまは何で吸血鬼って事黙ってたのかな!?」
「聞かれなかったから。それに、今更こんな拘束必要か? 二ヶ月ほど一緒にいただろ」
「・・・そ、それは私がしたわけじゃないかも」
「僕がさせてもらった。今まで知らなかったが、十字教の完全なる敵の種族であると分かったため、念のためだ。一応、インデックス救出の時に世話になったから、拘束で済ませている」
「ほむほむ」
「俺達は何もしていないのな。俺達の教えは女教皇様と同じ、救われぬものに救いの手を」
「・・・吸血鬼という存在にも手を貸すって事か」
上条はそう言うと、幻想殺しを全身に展開する。それだけで、魔術的拘束は解かれ、上条の単純な力で物理的拘束も解かれた。
「なっ!」
上条は同様にして貴音の拘束を解くと、眼を真っ赤に光らせて吸血鬼であることを改めて誇示しながら言った。
「俺の事を信じようとはしなくてもいい。だが俺は、俺達は見ての通り吸血鬼だ。だから、仲良くしようとしなくてもいい。返せって言うんならインデックスも教会に保護者権を返す。その代わりその時は、俺に、いや・・・
上条はそう言って背中から翼を生やすと、空港に向かって飛んでいった。
「・・・・・・インデックス。どうするのですか?」
「わ、私はとうまを信じたいんだよ!」
「そうだね。上に確認を取るまでもない。今彼と繋がりを断ってしまうと、今上条当麻が言った通り彼の住む学園都市とイギリス清教は対立してしまうことになる」
「え? そうなの?」
ステイルの言葉に、インデックスは不思議そうな顔をして質問する。その問いにステイルは、
「上条当麻が今ここで宣言しただろう? 学園都市に手を出すな。あれは学園都市と繋がりを断てと言うこと、つまり学園都市は魔術との関わりは無くなる。すると魔術と科学の戦争が始まるだろう。今まで始まっていなかった方がおかしいんだ」
「で、でも何とかなるんじゃ?」
「なるでしょうね。それも、戦争なんて始まらない。魔術が全て消え去るという大番狂わせのみが起こるでしょう」
「え? え?」
「上条当麻の恋人であるあの榎本貴音という少女、彼女が手に入れた魔術に対する
「・・・・・・わ、わ。私とうまと仲直りしてくるんだよ!!」
走り出したインデックスは建宮にムンズと捕まれた。
「・・・・・・その必要は無い。聞いているんだろう? 上条当麻」
「・・・・・・え?」
誰の声だったか。
疑問の声が投げかけられるが、上条当麻は顔を見せない。だが、その代わりに、インデックスが抱えていたスフィンクスが黒猫に変化する。
「「「「なっ!?」」」」
「す、スフィンクス!?」
「・・・あの三毛猫ならマスターが連れて行ってますぜ。お初にお目にかかりますな。我が主吸血鬼上条当麻の使い魔にございます。皆様イギリス清教の結論は今後とも禁書目録は我がマスターが預かるという形でよろしいのですね?」
「・・・・・・あ、はい。そうです」
「では、インデックスはん。マスターがいるところまで影移動しますんで、あっしの体、そのまま抱いててくださいね。離すと影の中に置いてきぼりですのでお気をつけて」
「ちょ、まっ!」
ステイル達が止めにくるが、インデックスはそのまま落ちるように影の中に消えていった。
*
「・・・・・・と、とうま?」
「聞いていた。あいつら、深読みしすぎだろ。帰るぞ、インデックス」
「・・・・・・一日しかいなかったけどいいの?」
「・・・学園都市が一番落ち着きます」
「ほら、置いていくぞ」
「ま、待ってほしいんだよ!」
上条達を乗せた飛行機はイタリアから学園都市へと飛び立った。