幻想殺しと電脳少女の学園都市生活   作:軍曹(K-6)

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右の拳を握り締める理由 Light_of_a_Night_Sky.

オリアナ=トムソンは少々焦っていた。あの場はなんとか逃げおおせたが、対峙した“人間”はその『氣』だけで並の人間を凌駕していた。

 

(何者なのかしら・・・。あの少年。うふ、お姉さん興奮しちゃう)

 

オリアナがそんなことを考えていると、

 

 

 

「今夜は星が綺麗だな――――――、

 

 

――――――こんな夜だ、お前達の願いは聞き届けられそうか?」

 

 

不意にそんな声が響いてきた。オリアナは慌てて振り返る。

 

(何・・・!?)

 

声をかけられて初めて気がついたのだ。()()()()()()()()に。

 

ゆっくりと暗闇の中を歩く少年は、余裕そうな笑みを顔に浮かべ、その口には空のビニール袋が咥えられていた。少年はそれを横合いに吐き捨て、口の端から垂れる液体を拭きながら言った。

 

「よぉ。オリアナ。オマエ、自分が何やったか分かってるよな? 関係のない一般人を巻き込んだんだ。それ相応の覚悟は、出来てるよな?」

「んふ」

 

滑走路、お互いの距離は二百メートルほど。片方は一瞬で詰める事のできる距離だろう。

 

「あらあら残念。お仲間さんはおいてきたの?」

「ああ。食事は済んだ。俺は足手まといはいらない。オマエの相手は俺一人で十分だ」

「大きく出たわね。でも、残念だけど期待している結果が得られるとは思わない事ね」

 

言ってろ。と上条は笑う。今彼の目の前にいるのは、敵であり、的でもあるのだから。

 

「さぁ、宴を始めようぜ。夜はこれからだ」

 

その言葉の直後、戦いの火ぶたは切って落とされた。

 

 

 

 

オリアナは単語帳のページを噛み切ると、魔術を発動させる。だが少年は、横に素早く移動することでかわす。かわす。さらにかわす。

壁のような魔術を放つ。が上条は高く跳ぶことでこれを回避する。

 

(!? かわされた)

「なるべく怪我は負いたくないんでね。さて、行くぞ」

 

上条はそう言うと、その両手につけていた赤いグローブを胸の前でクロスさせ、

 

「オペレーションXX(ダブルイクス)

『了解しましたご主人! XX(ダブルイクス)BURNER発射シークエンスを開始します』

「な、何をする気・・・」

 

オリアナは上条の両手が輝くのを見て確信する。

 

(!! さっきの強力な飛び道具!!)

『ゲージシンメトリー! 発射スタンバイ!!』

「・・・・・・XXBURNER!!」

 

Xグローブの新機能。両腕につけられたカウンターバーナーによって両手撃ちが可能となった最強の飛び道具。

 

それをなんとかかわしたオリアナだったが、その体はもはや火傷だらけだった。

 

「弱いな。オマエ。つまらねぇわ」

「こ・・・の・・・」

 

上条はニタリと笑うとそのまま言う。

 

「まぁどっちにしろ。お前達の計画はおじゃんなんだ。例え学園都市の外だろうが中だろうが・・・学園と自然とを照らしあげるナイトパレードが始まるのは日没と同時。星座の星が顔を出す前かもな。だから、諦めろ」

 

上条は少しだけ後ずさりしたオリアナとの距離を一瞬で詰める。そしてその右手を振りかぶった。

 

「俺はオマエを止めに来たんじゃない。オマエに一発食らわせるために来たんだ」

 

ドゴォッ!! と、恐ろしい打撃音が響く。が、上条は至って真顔だった。

 

「・・・・・・さて、後は魔術師同士で楽しく鬼ごっこでもしてくれや」

 

そう言って上条は闇の中へ消えていった。

 

 

 

―――街中。

 

「ご主人。ナイトパレードが始まると大丈夫ってどういう意味ですか?」

「・・・・・・現在時刻は午後六時二十九分五十三秒」

 

上条がそう言った次の瞬間。

ドガッ!! と。

強烈な光が地上から放たれ、夜の闇が一気に拭い去られた。

それは学園都市の至る所に飾り付けてある、電球、ネオンサイン、レーザーアート、スポットライト、その他ありとあらゆる電飾の光だ。

街に流れる音楽は子供向けのテーマパークなどに似合いそうなものだった。

 

「ナイトパレード」

「おおっ!」

「思えばさ、俺達はみんなつまんねぇ脇役だったんだよ」

「はい?」

「こうやってさ。一つの祭りを全力で成功させようとしたその皆のおかげで、俺達はここに立ってる。あいつらはまず始めに、()()()()()()()()()()()()()調()()()()()()()()()()()()

「・・・・・・確かに。ザマァwwwwww」

「デュフフフwww」

「フォカヌポゥwww」

「「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!!」」




突然短くなる小説。

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